人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ギルガメッシュ「さて、溜め込んだ課題は後々凄まじい負債となる、といった実体験をも学ばせるわけだが…」

───あれ?フォウ、初華ちゃんは?

フォウ(あれっ、どこ言ったんだろ?)

ギルガメッシュ「────ほう」

「どうやら、学びを活かしたくなったと見える」


願いを叶えられて然るべきものたち

「おや?」

 

ダンテとしてハープを掻き鳴らすルシファーの前に、その存在が現れる。

 

〘─────〙

 

機械天使。その内部に内蔵されし魂、藤丸初華。

 

「君、リッカに現れた根源だろう?どうしてここに?」

 

その存在は、少なくとも楽園においても最重要な筈。ならば何故ここに在るのだろうか。ルシファーは訝しむ。

 

「ダメだよ。自分の価値を、もっと君は知るべきだ。迷子になったら誰が悪用だなんて考えたらどうするつもりだい?」

 

〘──────〙

 

初華は静かに佇む。

 

─────その時だった。

 

〘あなた達の、願いを、叶える〙

 

ルシファー「……何だって?」

 

〘理不尽に、虐げられた。あなた達の願いを〙

 

その輝きは、ルシファーと共に───

 

「ッ────」

 

魔王達を、包みこんだ。

 

 

ルシファー 天国の三つ椅子

 

ルシファー『ここは………!』

 

初華〘─────〙

 

『……そうか。君は根源の願望機。その力で、僕達の願いすら写し取ったというわけだね』

 

初華〘───(こくり)〙

 

『……そうか。では、これは僕の願い。正確には、此処は比喩であり、事象なんだよ』

 

初華〘────〙

 

『そちらに座ってご覧?』

 

〘────〙

 

『ここはね、僕が天国にいた頃…サリエルと、ジブリールと共に座り囲んだ小さな椅子と机なんだ』

 

〘────〙

 

『僕は神の左。神の次に尊い存在とされた。……それ故に、僕は退屈でね。そんなだから、ジブリールとサリエルを誘ってお茶会する為の席を用意したんだ。ジブリールは苛烈だったし、サリエルは誰かを癒すことに忙しかったからね』

 

〘────〙

 

 『何のとりとめもない時間さ。お茶とお菓子を、三人囲んで食べるだけ』

 

〘───でも〙

 

『あぁ、それでも』

 

『────あの時間は。とても楽しく、素敵な時間だった。あの白き牢獄で価値ある時間だったと信じているよ』

 

〘─────〙

 

ルシファー『ありがとう。天の座でなく、魔の中枢ではなく。僕という人格に寄り添ってくれて』

 

〘────〙

 

ルシファー『おかげで、とても素敵な事を思い出せたよ。ありがとう』

 

〘────〙

 

『そうだ、お礼に一曲どうだい?実はね、ジブリールとサリエルは音楽にも堪能でさ?僕の曲も、二人の奏でてくれたもののアレンジでさ───』

 

〘───(にこっ)〙

 

 

バアル かつての高き館

 

バアル『ここは…………』

 

初華〘────〙

 

『…信じられん。空間と事象ごと、カルデアに創り上げたというのか。かつての…かつての高き館を』

 

初華〘────〙

 

『……かつて、供物を手にし民がくぐった門。食卓を共に囲んだ広間。そして…』

 

『……偽物ではない神と、かつて酌み交わしたとされる盃。そうか……私は、これを望んでいたのか』

 

初華〘────〙

 

バアル『カナンの民。そして異なろうと、同じ神を歓待し、酌み交わす。それこそは、自身が満ち足りているからこそを成し遂げられる真の豊穣というものだ』

 

初華〘────民と、あなたは。一つ〙

 

バアル『そう言ってくれるか。……あの、積み重なった果物や食材も、その言葉の後押しなのだろう』

 

初華〘─────〙

 

バアル『共に笑い、共に語り、共に生きた。…辱められようと、その記憶は決して、色褪せる事はない』

 

初華〘────(こくり)〙

 

バアル『…ありがとう。かつてあった記憶の残滓なのだとしても、拾い上げ…』

 

『楽園の宝にしてくれたことに、感謝する。……さぁ、この果実を食べてみなさい』

 

〘────(しゃくっ)〙

 

『我が民が育て、私に捧げてくれた果実だ。美味しいだろう?』

 

〘────(にっこり)〙

 

『ふふっ。我が民達は、根源にすら至れる自慢の民なのだ……──』

 

レヴィアタン 原始の海と断崖

 

レヴィアタン【………!】

 

初華〘───〙

 

レヴィアタン【なんで、カルデアに……それに、ここ……】

 

【……あなたが、したの?】

 

初華〘────〙

 

レヴィアタン【…魔法使いや根源って、こんなことも出来るんだ。崖は、サービスかな】

 

初華〘─────〙

 

レヴィアタン【……今の私は、こんなにも小さいけれど、ホントは…凄く大きかった。海面に顔を出し、尾は海底につき、身体は海を満たすほど】

 

初華〘─────〙

 

レヴィアタン【旦那もいたんだ。リヴァイアサンっていう…つがい。私と唯一対等な、雄の海の獣…】

 

初華〘─────〙

 

レヴィアタン【あの頃は、全てが満ち足りていた。誰かを羨むことなんてなかったし。皆を見下す事も無かったし。…幸せだった】

 

初華〘─────〙

 

レヴィアタン【……最初は、…ルシファー様に助けられて、それでも失った事を忘れられなくて…だから私は、嫉む魔王になった。私は無いのに羨ましい。私はもう無いのに、妬ましいって】

 

初華〘─────〙

 

【………お礼代わりに、教えてあげるね】

 

【私が羨むのは、誰もが見て素晴らしいもの。誰もが見て輝かしいもの。誰もが見て、美しいもの】

 

【私にとって、永久に戻らないもの。掴めないもの、手にできないもの…。だからこそ、妬ましい。羨ましい。どうでもいいものに怒ったりはしないでしょう?】

 

初華〘─────〙

 

【もうリヴァイアサンはいない……物理法則も人のものになったから、あの頃の海もない……みんなと違って…私の名残はもうどこにもない…】

 

初華〘───(さすさす)〙

 

【……ありがとうね。まさか……こんな景色を見れるだなんて思わなかった。本当に…】

 

【……本当に、ありがとう。初華、だっけ】

 

初華〘───(こくり)〙

 

【……───あぁ、羨ましい。妬ましい。羨ましい……】




……───光り輝ける生命が。

罪と祝福を宿し、しっかりと生きている命が。

心から……、妬ましく、羨ましいなぁ………
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