人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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(感想とメッセージは明日まとめて行います。この話の元ネタは今日ブルーアーカイブ公式が投稿したYoutube動画です)

アダム「───海は青く。雲は白い。絶好の、バカンス日和だ」

彼は今、トリニティのティーパーティー三人の海旅行の引率にて海へとやってきていた。

イチジクワンポイントトランクスと、鋼の肉体に羽織られた夏ジャケットが眩しい。

アダム「念の為私のプライベートビーチに招いたが…」

ミカ「せんせ~!」

アダム「む」

ミカ「アダムせんせ~!どーん!」

アダム「ミカ。──おっと」

ミカ「わっ、流石アダム先生…!ちっとも身体がブレないね!」

アダム「オレの身体は、後に続く全てを受け止められるからな。白き純白の水着…天使の如き姫の君にピッタリだ」

ミカ「……わ〜お……やっぱり、サラッと言えちゃうのが王様で、王子様なんだ…」

アダム「事実を告げたまで。照れることはない」

ミカ「あ、あっ!ほら!ナギちゃんが待ってるよ!行こ行こ、アダム先生!」

アダム「フッ、そうだな。ティーパーティーの皆で…だものな」


プチ夏イベント〜トリニティ・サマー・バカンス〜

ティーパーティー三人だけの、海の一日のバカンス。スーパー便利屋とブラックマーケットの伝手でビーチを貸し切ったアダムを引率に、皆は海へとやって来た。

 

「アダム先生。今日は私達にお付き合いいただき、ありがとうございます。どうか今日は、素敵な一日に致しましょうね」

 

桐藤ナギサ。ティーパーティーの中でも最も激務に追われし一柱であり、キャパオーバー前にこのビーチへとやって来た苦労人。当然ながら、水着の装いだ。

 

「ナギちゃんはどんなに暑くてもアイスティーは飲まないんだよ?紅茶は温かくしたものこそが至高です、だなんて言って!」

 

「あ、あはは…。アダム先生はどうぞ遠慮なくアイスティーを…、…?どうかなさいましたか?」

 

「いや。ナギサの黒くセレブリティな水着に見惚れていたのだ。着痩せをするタイプだったのだな、君は」

 

胸元からへそまでを開いた大胆な、黒きセレブ御用達デザインの水着。

 

見惚れていた。堂々と告げながらアイスティーを嗜むアダムに赤面し俯くナギサにミカが満面の笑みを向ける。

 

「どう?私の王子様、素敵でしょ〜?」

 

「み、ミカさん!アダム先生はあなただけの存在という訳では…!」

 

「────やれやれ。到着早々、騒がしいものだね」

 

そしてその集まりに会合するは、百合園セイア。白きボディ密着型の水着に、黄色のサングラスや被り物で決めたコーディネートで現れる。

 

「セイアちゃん!」

「セイアさん!」

 

「これはまた。君の内に秘めた情熱を感じさせる良い水着だ」

 

「流石はエデンの王。堂々とした美辞麗句にこれほど言霊を込められるのは貴方だけだね」

 

「そういうアダム先生の水着は…イチジクマークの、トランクス?」

 

「イチジクがお好きなのですか、先生?」

 

「縁があってな。故郷で生まれてエデンを散策していた時、全裸にイチジク一枚で前を隠していたものだ」

 

「アダム先生の…」

「イチジク一張羅…」

 

「「…………………////」」

 

「故に、ジークフリート氏の菩提樹の葉のようにアダムといえばイチジク……ん?どうした、二人とも」

 

「アダム先生。あなたはもっと、自身に込められた圧倒的な男性の魅力を自覚するべきだと思うよ」

 

イチジクの事か……?今一合点がいっていないアダムであった。

 

 

そして準備運動の後、いよいよ海で遊ばんと意気込むミカ。

 

だが…

 

「ちょ、ちょっとちょっと!どうして二人とも本を持って何処かに行こうとしてるの!?」

 

「私は潮風を感じながら読書に勤しもうとしていたよ」

 

「私も、折角ですので波風を感じながら読書をと」

 

「え〜っ!?折角海に来たんだから、海で遊ぼうよ〜!」

 

当然ながら反論するミカの、頭を撫でるアダム。

 

「「!」」

 

「無理強いは良くない。人にはそれぞれ、その場で行える最善がある。私で良ければ、いくらでも君の遊び相手になろう」

 

「ぁ…。……うん!アダム先生なら大歓迎!…って、あれ?」

 

いそいそと本をしまい、ミカの傍らに集うナギサとセイア。

 

「せ、折角海へ来たのですし。運動して汗を流すのも悪くないと思いまして」

「どうせなら、同じ体験をしたほうが思い出に残りやすくなるというものだよ」

 

「な、ナギちゃん?セイアちゃん?」

 

「ですので、その…アダム先生…」

「ミカにしたように、頭を優しく撫でてくれるかい」

 

「フ。喜んでそうさせてもらうさ。よしよし、協調性があって大変偉いぞ。二人とも」

 

「ちょ、ちょっと〜っ!アダム先生は私の、私の王子様なんだから〜っ!」

 

そうして、思い思いの時間を過ごすアダムとティーパーティーの三人。

 

「アダム先生。貴方の言う通りだったよ」

 

「む?」

 

「悲観論者が残した屁理屈に、人生を縛られる必要はない。楽園から来た貴方の言葉は、真理と自信に満ちていた。あなたを信じたから、今の私達がある」

 

「セイア…」

 

「ありがとう。アダム先生。楽園から来た、私達全ての先を生きる王。あなたのことを、これからも見つめているよ」

 

「あぁ。私も、君達の期待と信頼に応える私でいることを誓おう。永遠にな」

 

浮き輪でゆらゆらと揺れるセイアを支え…。

 

「アダム先生。改めて、謝罪と感謝をお伝えさせてください」

 

「?」

 

「私は、エデン条約で取り返しのつかない過ちを犯すところでした。信ずるべき学友、仲間を疑い…あまつさえ退学にまで追い込もうとすら」

 

「極限状態だったのだ。ストレスで起きた精神的不安の表出を、本性と呼ぶような浅はかな真似をするつもりはない」

 

「ありがとうございます。それを…アダム先生や、夏草の皆さんが止めてくださったからこそ、今こうして私達は三人共にいられるのです」

 

「比翼連理、灰は灰に、塵は塵に、友はあるべき絆と共に。こう在るべきと君達が願ったからこそ、私はその道を切り拓けたのだ」

 

「アダム先生…」

 

「先生は生徒を導く事が本懐だ。君達が目指すべき場所は、君達が見つけ決めるしか無い。この光景を私が導いたというのなら、そう願い望んだ君達こそが偉大なのだ。偉いぞ。よく頑張ったな、ナギサ」

 

「────はい。アダム先生の金言、心に刻みます」

 

「うむ。これからも、遠慮なく私を…大人を頼るといい」

 

「……それは」

 

「ん?」

 

「それは……生徒でなく、私個人のお願いでも…よろしいでしょうか?」

 

「──無論だ。君の全てを、私は受け止めよう」

 

「──〜〜〜〜…………」

 

ナギサと共に、浜辺を歩き。

 

 

「アダム先生〜〜!いっくよ〜〜〜!!」

 

「全力で来い、ミカ!!」

 

「そー、れっ!!」

 

「ッ────!!」

 

「わっ!?……また弾けとんじゃったね……」

 

「これで十個目だな。新しいものを持ってこよう」

 

「ご、ごめんねアダム先生!ついつい力が入りすぎちゃって…!」

 

「構わない。はしゃぐ君も素敵だよ、オレのミカ」

 

「っっ!!?………お、オレの、は……反則っていうか…」

 

「?事実しか口にしていないつもりだが?」

 

「う、うう~っ!嬉しいから!恥ずかしいの〜っ!この複雑なオトメゴコロ、解ってよ〜!」

 

「オトメゴコロ、か……」

 

(そう言えば、私もリリスも少年時代が無かったのだった。何処かの世界には、エデンに在ったカインやアベルといった少年たちもいるのかもしれんな)

 

バレーボールをパワーで粉砕する王子様と姫様があった。

 

そして、楽しい時間はあっという間にすぎるもの。夕暮れの浜辺にて、ミカは名残惜しげに足で水を弾き、アダムとナギサ、セイアは撤収の準備を行う。

 

「改めて、アダム先生。今日は本当にありがとうございました」

「あなたにはいつも、感謝しきりだね」

 

「こちらこそ。三人の絆に私を入れてもらえたこと、心から感謝する」

 

「アダム先生はこれから、カルデアの夏イベントの引率もあるのだろう?」

「リッカさんを初め、アスカさんやヤマトさん、サラさんにもよろしくお伝えくださいね」

 

「勿論だ。また必ず共に交流を───」

 

その時、アダムの目に映るミカ、ナギサ、セイアから、湧き上がる情念がある。

 

疑念と疑惑に満ちたエデン条約。

 

誰もが誰もを信じられなかったあの日々。

 

最低限に被害を抑えはしたが、それでもナギサは極限状態になり、セイアは瀕死となり、ミカは自暴自棄になりかけていた。

 

それが、奇跡が重なり今こうして笑い合っている。

 

透き通るような、青春を過ごしている。

 

自分は、その手助けを出来たのだ───。

 

「─────…………っ………くっ………」

 

その時、アダムの熱くなった目頭から、涙が溢れる。

 

目を抑えても、その涙はとめどなく溢れる。

 

「あ、アダム先生!?どうなさいましたか!?」

 

「男泣きかい?ふふ、意外なものを見れてしまったね」

 

「すまない……これは、アレだな…………」

 

アダムは、涙を拭いて夕暮れ空を見上げる。

 

「感極まる、というヤツだ。人は、嬉しい時にも……涙を流せるのだったな───」

 

先生冥利に尽きる。

 

アダムの成し遂げたことは、かけがえのない日々として彼に返ってきたのだった。

 

「あーーー!!!私のアダム先生泣かせてるーーー!!」

 

「ご、誤解ですミカさん!アダム先生は先生という聖職に感銘を受けたことにより…!」

「言っておくが、『君の』である事は否定しないが、『君だけの』アダム先生ではないという事は忘れないように」

 

「おっ!セイアちゃんそれって〜〜〜〜…!?」

 

「…うざ絡みだね。言わぬが花というやつだよ」

 

こうして……

 

小さな一日のイベントは、過ぎていった。

 




アダム「────む?」

翌日、シャーレにて。

「ふふ…」

全員で撮影した写真が1枚と、一人一人と撮った写真が1枚ずつ。

『アダム先生、大好きだよっ☆ ミカ』

『私の大切な貴方様へ ナギサ』

『楽園に、いつか連れて行ってくれたまえ セイア』

アダム「──────あぁ、勿論だ」

アダムの、かけがえのない報酬を…

大切に、写真立てへとしまい机へと飾るのだった。
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