人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
エクストラクラスの真意と本懐を知る戦い。
『果たすべき責務からの呼び声』。
楽園カルデアのマスター、藤丸龍華は、フレンドとなった数多の『藤丸立香』のカルデアに赴き…
エクストラクラス運用の、真意を知る戦いに身を投じる。
アルターエゴ・ペーパームーン
「こうして共に戦える日が来るとは思いませんでした。龍華さん。どうぞ、よろしくお願い致しますね」
一つ目の戦い。共にするは国連より造られし『人造の救世主』たる、藤丸『りつか』。
ペーパームーンの不調によって、飲み込まれた内側。その地にて巻き起こる『AI聖杯戦争』による戦いに身を投じる。
「AIが切り捨てられ、使い捨てられる。その光景が許せないと感じられるのですね。龍華様は」
共に戦う彼女は、しかしAIの戦いと争いに冷徹とすら言える合理性の判断を下す。
「ですが、それはAI以外のどのようなものでも同じ事です。発展のため、或いは進展のため。人は切り捨て、新しきの前に古きを破棄する。或いは切り分け、進歩を促す」
「りつかちゃん…」
「覚えがあるのです。私が此処に招かれたのは天命か、或いは皮肉かのどちらかでしょうね」
国連に作られ、またそれを再生産、或いは切り分けようと量産される筈だったりつかに、その光景へ感じることは何も無かった。
何故ならそれは『身近』であり、当たり前の事であったから。彼女にとって、切り分けた自身など当たり前の事であるから。
「それは違うよ」
龍華は否定する。
「どんな理由があれ、どんな理屈があれ。生まれたものは、そして生きている、存在しているものはたった一つ。それを、誰かの都合で切り分けたり、増やしたり減らしていいなんてあり得ない」
「…!」
「綺麗事だって思うかな?でもね、綺麗事や、絵空事が本当は一番良いんだよ。誰だって『こうあったらいい』『こうであれば良かった』なんて考えるのは当たり前なんだから」
「現実や、残酷な事実を知って…人はそれを『夢』と片付けたりもする。でも、人はいつだって『夢と希望』を現実にするために足掻いて頑張るものだから!」
「龍華、さん…」
「だから、りつかちゃんも私と一緒に頑張ろう!希望を、夢を!素敵でかけがえのない現実にするために!」
自己の内面、そして自らの存在意義。
それを見つけるために、二人の藤丸は懸命に抗う!
「所詮私は消耗品。そう言われ、そうあれと望まれてきたと思っていました」
「ですが…それを諦めとして自分に課していたのは、紛れも無い自分自身だったのですね」
破壊と死の女神【カアァァァァァッ…………!!】
「龍華さん。私も頑張ってみます」
「世界に生み出された、あなたのような人間の分け身たる私でも。自身に出来ることはあるのだと、証明するために──」
分け身の少女は、世界に在る意味を知る。
〜不可逆廃棄孔・イド
それは、恩讐に満ちた旅路の果ての是非を問う一幕。
「おい、起きろ。おいって」
「あ…」
「お前さんら、寝こけすぎだ。しかしここは…どういう訳だ?」
リッカ、立香、藤丸おじさんが辿り着いた場所。そこは、灰色の空と当たり前の日常が交錯する場所。
当たり前の『日本』であった。
「お帰りなさい!ほら、あんたもリッカ達も入んなって。シチュー、出来てるからさ」
ブーディカと三人の娘、そしてリッカと立香は子供というおじさん一家として、二人は当たり前の学園生活に勤しむ。
「なんだろう……凄く、久しぶりな気がするな……」
「そっか、藤丸君はそうだよね。…久しぶり、なんだね」
束の間の平穏、束の間の日常を戸惑いながらも受け入れる二人。
────だが、恩讐の炎は彼等を決して逃さない。
「あ、お帰り。今丁度晩御飯の支度ができ……」
【─────……………】
「……えっ?嘘、どうしたのさ。そんな危ないもの、持って────」
壊される日常。
奪われるかけがえのないもの。
「え、あ────えっ、ぁ………………?」
打ち捨てられる家族。
骸となった平穏。
「り、つか…………」
「おじさん!?おじさんっ!?何が、一体何がっ……!?」
「───すまん。護れなくて………すま、ん………」
「ぇ──────」
そして、藤丸立香に示される……
「────────嘘だ」
最悪の現実。
後輩の【骸】
「嘘だ、嘘だ。嘘だ、嘘だ、嘘だ!!」
恩讐への誘い。
「こんなの────こんなの嘘だぁあぁあぁあぁあぁあーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッ!!!」
血を吐く絶叫、戦慄の慟哭。
【哀しいか?悔しいか?【復讐】したいか?なぁ少年】
「ッッッ─────!!」
【そりゃあしたいよなァ?品行方正ぶって、一生懸命頑張って、その挙句に一家惨殺の憂き目じゃぁ救われねぇよなぁ?あんまりだよなぁ?】
【お前ッ────!!リッカを!!リッカを返せぇッ!!】
【クヒャハハハハハハッ!じゃあくれてやるよ!復讐の為の力を!復讐する理由を!復讐する大義名分を!】
【復讐者】に渡されし、【クラスカード】。
それが、彼を燃やす炎となる。
【精々テメェを焼き尽くしな!その果てに何が待ち、何が残るのか!復讐者の大本として楽しみに待っててやるぜ!】
【お前ぇぇえぇえぇえぇえッッッ!!】
【じゃあなァ!何も護れなかった優男クン!地獄で応援してるキリエちゃん達に!恥ずかしくないようになァ!!】
少年の、炎に滾る復讐が始まる。
〜トリニティ・メタトロニオス
それは、全ての罪が赦される場所。
『私はメタトロン。神の意志の代行者にして、全てを裁き裁定するもの』
リッカ達が挑む最後のオーディールコール。地獄、天国、そして煉獄の三界にて、人類の罪へと向き合え。
『メタトロン…?その姿は一体……』
パパポポの権能を取り戻し、全ての存在の罪を『赦す』。偽神の在る天国に至るために必要な、最後の儀式。
【皮肉なものね。神の意志の代行者が、神の意志すら無視し裁決を下すだなんて】
「どうやら父の知るメタトロンでは無いようだ。彼等が活路を拓いてくれた。退くぞ!」
アダム、リリス、そして魔王達の導きにより、煉獄へと脱する一行。
そしてそこに現れるは。
【やほ〜。キリエライト。会いたかったよー】
「あなたは一体!?」
【まぁ言ってもいいか。アテシはリリス。リリスだよ。よろしく~】
「リリ……!?」
【……気持ちは分かるわ。けれど、あれは別側面よ】
リリスと名乗る少女。その存在が、地獄と煉獄に一層の波乱を齎す。
「アタシ、アンタの事はそんなに嫌いじゃないよ。実はね。今のアンタは喧しくて、うるさくて、それでいてキラキラしてる『人間』だもん」
「ありがとうございます!!」
「だからこれは、アタシの自分勝手なエゴで、八つ当たりで、恨みつらみ。【アタシ】はダメで、『アンタ』が良かった事への理屈のない憎悪と嫌悪」
「えっ────ぐうっ!?」
【なんでお前だけ?アタシとお前の何が違った?あんたも私もヒトモドキだったのに。アンタが輝いて、アタシが輝けなかった理由は何?】
リリスに宣戦布告されし、我らがなすび。
【許せない。認められない。羨ましい、妬ましい、悍ましい。憎たらしい。アンタだけ、アンタだけ、アンタだけ、アンタだけ──!】
「せぇいッッッ!!!」
【がふっ─────!!】
人間らしさに溢れた、同意の鉄拳。
「私は清楚で清純。無垢過ぎてキラキラのキリエライトです。しかしそれは、謂れのない悪意に背中を丸める理由にはなりません」
【ッ────】
「私の事を嫌うというのなら大いに結構!あえて言うなら私の方こそ、誇り高さのカケラも見えない【女々しいあなたが大嫌い】です!!」
【お前────】
「喧嘩とやり場のない怒りならばなら買いましょう!マシュ・キリエライトとリリス!決戦の場は───この特異点で一番高いところです!!」
【───上等じゃん。ブッ殺してやるよ、キリエライト………!!】
「受けて立ちます!あなたのような、…………『ヒトモドキ』とは違う──グランドシールダー、藤丸龍華のオンリーワンサーヴァントとして!!」
マシュの、人間的な戦いも今、始まる。
そして────
アンデルセン「奴等、来ると思うか?」
作家「知らんが…必ず来るだろうな」
人類の隣人を知る戦いも、いつか。