人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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オルガマリー「ふぅ…これでまずは形にはなったかしら」

(カルデアが出会った縁の編纂。まだまだ修正追加が必要だけれど…一先ず、ここで区切っておきましょう)

「…本当に」

「本当に、たくさんの。たくさんの人達と会ったわね。この旅路は」

(歩き出した頃は、こんなにも長くたのしい旅路になるだなんて思わなかったわ。あの頃…そう、始まりのあの頃は)

「ふふ…何もかも、あの頃とは様変わりして…ん?」

マシュ『所長!ノスタルジックに浸りまくってるであろう時に失礼致します!』

オルガマリー「マシュ?どうしたの?」

(この娘も、大いに変わった子の一人よね)

マシュ『先輩のミッションにお付き合いください!』

オルガマリー「ミッション…?」

マシュ『はい!』

『先輩の!女子力披露ミッションです!!』


チェックポイント・フィナーレ・パーティー

「ご、ごめんねオルガマリー!二人で内緒にやるつもりだったのに、マシュがマリーを加えようって聞かなくてさ…!」

 

アーネンエルベ。内緒かつ秘密の喫茶店。今日はマシュと二人で貸し切ったのであろう場所で、リッカがいつになくしおらしく謝罪する。

 

「ふふん、マスターの秘めた本当の願いにも気を配る!それこそが真のオンリーワン、グランドサーヴァントの真骨頂です!」

 

マシュの自信満々な独断により情報が漏洩したようだ。リッカ感謝の腹パンがマシュに炸裂し、マシュはアジーカのように丸まった。

 

「ふふ…マシュの言う通りよ。隠すなんてらしくないわ。折角なんだから、私達三人で作りましょう」

 

その微笑ましい光景に笑いながら、オルガマリーは提案する。

 

「……うん、そうだね!折角の機会…この最初の三人で作ろっか!」

 

リッカはすぐに満面の笑みを見せ、突然の親友の手助けを受け入れる。

 

こうして、三人の女子力披露宴は静かに幕を開けるのであった。

 

 

「リッカ、あなたは本当に変わったわね」

 

リッカの手伝いに終始徹しながら、オルガマリーは感慨深げに彼女に言葉を投げかける。

 

「こんなにも、こんなにも繊細で華やかな料理や飾り付けが出来るようになって。本当に……魅力的になったと感じるわ」

 

皆のための料理。皆のための飾り付け、皆のための準備。

 

華やかな催しや、可愛らしい気遣いに仕上げ方。その全てが彼女の成長を証明している。

 

「もう立派に、あなたは可愛い素敵な女の子よ。私が、太鼓判を押してあげるわ」

 

オルガマリーは、その光景に目頭を熱くしながら告げる。彼女はこんなにも、立派で素敵になったのだと。

 

「私の先輩を上から評価とは!何様ですか所長!」

 

「所長よ所長!上司に当たるんだから採点くらいいいでしょう!?」

 

「それもそうですね!初期の所長も、いっぱいいっぱいのあっぷあっぷ所長でした!お互いとても素敵な進化を果たしたと認めてあげてもいいです!このマシュ・キリエライトが!」

 

オルガマリーの優しめの膝蹴りが腹に突き刺さり、マシュは芋虫のように丸まった。

 

「……ねぇ、リッカ」

 

そんな折、隣り合い、準備しながらオルガマリーはふとリッカに告げる。

 

「もう、何をすれば愛してくれるか…なんて。考えたりはしていないわね?」

 

「?どったの急に」

 

「衝撃的だったの。今でも忘れられないわ。一番カルデアを凍り付かせた発言なのよ、アレ」

 

ロンドンにて、源頼光にリッカが放った言葉。

 

役に立たなくてはいけない。誰かの為に頑張らなくてはいけない。

 

教えてほしい。あなたは何をすれば、私を愛してくれますか?

 

無償の愛を、ただの一度も知らなかった人間の歪みと捻じれ。獣になりかけていたリッカの、魂の慟哭。

 

1年前になりながらも、決して忘れることの無い彼女の絶望を、オルガマリーはずっと覚えている。

 

「どうかしら。このカルデアは……あなたに愛を、教えられたかしら?」

 

オルガマリーの言葉に、リッカは彼女の背中を擦る事で応えた。

 

「勿論だよ。オルガマリー所長」

 

「!」

 

「あなたが、ギルが、姫様が、マシュが。皆が皆、私に愛を教えてくれたよ」

 

彼女は笑う。威嚇のような、凶暴げな笑みでは決してない。

 

「私は生きてて良かった。生まれてきて本当に良かった。愛されることに動機や理屈なんていらない。人は生きているだけで、誰かと出会えるだけで…愛と勇気と、希望を貰えるんだよ」

 

「……リッカ…」

 

「このカルデアは、オルガマリーのカルデアはね。私のたくさんの、受け止めきれないくらいの愛でいっぱいの場所だよ!ありがとう!オルガマリー!」

 

リッカは笑う。心の底から、大輪の華のような、太陽のような笑みで。

 

「私の、たくさんの愛が溢れる場所に呼んでくれて!作ってくれて!あなたに、皆に出会えて本当に良かった!」

 

彼女はもう、未知の獣ではない。

 

一人の人間。一人の、愛に溢れた人生を歩む存在。

 

藤丸龍華。この旅路で咲き誇った、龍の華なのだ。

 

「─────…………っ、…………………〜………」

 

「あ、あれ!?どしたのマリー!?」

 

オルガマリーは、込み上げる感情を律する事が出来なかった。

 

「……初対面では、酷いことばかりを言って……無理やり、世界を救う役目を担わせて…」

 

「マリー…」 

 

「あなたを、死ぬかもしれない場所に送り込み続けた…」

 

彼女は、リッカの成長を誰よりも喜んだ。

 

同じくらい、彼女に抱えきれない罪悪感を抱いてきた。

 

「あなたは、そんな私すら親友と呼んでくれた。マシュと一緒に、私を…受け入れてくれた。そんなあなたが、こんなにも立派で、素晴らしい人間になってくれて…」

 

リッカが、オルガマリーの背を優しく撫でる。

 

「本当に嬉しいのよ。本当に…。ありがとう、リッカ。ありがとう、マシュ…」

 

「うん」

 

「あなた達の友達に、親友になれて…。本当に、幸せよ。本当に…ありがとう…」

 

毎日のように張り詰めていた。毎日のように、至らなさに喉を掻き毟っていた。

 

誰にも頼れなかった。誰にも相談できなかった。誰にも本心を打ち明けられなかった。

 

彼女も今や、緊張感からくる辛辣さや、自己評価の低さから来る卑屈さは見られない。

 

当たり前のように喜怒哀楽を備えた、一人の人間として此処に在る。

 

彼女はもう、一人ではない。

 

神などではない、当たり前の人間なのだ。

 

「うん!本当に、オルガマリーも変わったよ!」

 

「そ、そう?」

 

「勿論です!ヒステリックかつパニック癇癪持ちのレフ・ライノール信奉者から見違えるようですね!」

 

マシュが復活し、会話に殴り込みをかけてきた。彼女は自信に満ちあふれた様子で語り出す。

 

「先輩も所長も、旅の始まりからすっごく素敵な人間になりました。それはこのマシュ・キリエライトが、親友として保証させていただきます!そしてそれは、素晴らしい成長かつ進化!後輩として自信を持って華丸を押すものであると!先輩!」

 

「う、うん」

 

「所長!」

 

「え、えぇ」

 

「私は嬉しいです!!(ぶぉお〜)」

 

どこからが持ってきたほら貝を吹き鳴らし、嬉しさをアピールするマシュに、二人は顔を見合わせる。

 

「…マシュはどうしてこうなったのかしら…?」

 

「無農薬天然栽培極めて育てたらこんな事になっちゃったね…」

 

マシュは変わった。無垢であり、無菌室の中でしか生きられなかった幸せな人形などでは決してない。

 

リッカの背中を追いかけ、オルガマリーと対等の人間でありたい。そんな願いが、彼女をマシュからなすびと変えた。

 

大きく実らせ、自らを伸ばし、気が付いたらギネス記録級のなすびとなっていた。

 

「まぁ私はあまり変わっていないと自負しています!何故なら私はいつだって先輩のオンリーワンサーヴァントであり!」

 

「であり…?」

 

「オルガマリー所長の!数少ない親友であるマシュ・キリエライトなのですから!!」

 

カルデアは、彼女に無垢であることを願った。

 

そうでなければ意味が無い。

 

そうでなければ盾を持てない。

 

そうでなければ、君は存在する価値はない。

 

そんな、マリスビリーが懸けた呪いを彼女は早々に打ち砕いた。

 

彼女はもう、誇り高き盾の英霊の頂点だ。

 

英雄王に認められ、戴冠せしカルデア最強の盾だ。

 

リッカが、オルガマリーが信じるこの世で最も硬く強い盾だ。

 

そんな彼女の、自信に満ちた言動は。虚勢や戯言では決してない。

 

彼女は一人の人間、マシュ・キリエライト。

 

リッカと、オルガマリーの。肩を並べる対等な…

 

「いくら何でも、自分はあまり変わってないはフカしすぎかななすび〜?」

「いふぁふぁふぁ!?いふぁいれふせんふぁい!?」

 

「所長の数少ない…何だったかしら?聞こえなかったからもう一度お願いするわ」

「いふぁーぃ!ほっへのびふぁいまふ〜!?」

 

それはそれとして、意味不明な自信にも満ち溢れているので。

 

彼女は二人に、存分にほっぺをつねられましたとさ。




リッカ「できた〜〜!!」

そこには大量の、彼女が手がけた料理や装飾、歓喜のパーティー会場が出来上がっていた。

誰も傷付けない、誰も見逃さない。彼女が歩んだ反省の顕現。

マシュ「あとは皆さんに披露するだけですね、先輩!」

リッカ「うん!…あれ、どうしたの、オルガマリー?」

オルガマリー「あ、ううん。思ったんだけど…」

「パーティー会場は世界一つにしましょうか」

リッカ「え?」
マシュ「え?」

オルガマリー「こういう事よ」

オルガマリーは展開する。

「『人理に寄り添う、希望の華』────」

リッカ「うぇえぇえ!?」
マシュ「なんとー!?」

即座に展開されしは、オルガマリーの固有結界。吹雪吹き荒れる南極空間。

マシュ「所長!こんなうらっ寂れた場所をパーティー会場に!?正気ですか!?」

オルガマリー「まぁ見てなさい。成長したのはあなた達だけじゃないのよ」

そしてオルガマリーは変化する。

ステラマリー『風のオルガマリー、仮称ステラマリー!今からこの冬景色、ブッ壊すわよ!』

怒りに満ちた顔になりながら、オルガマリーは宙に浮き。

『マシュ!リッカと準備を死守なさい!』

マシュ「正気ですか所長!?」

『二度は、言わないわ─────!!!』

リッカ「ほわあああああああああああああ──────!!!???」

オルガマリーの、星を破壊する一撃により…

───固有結界の表層は、粉々に砕け散った。

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