人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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フォウ「最終回だよ。覚悟して読んでね」


「いつか─────またね!」


終幕〜王が見惚れし、かの星の名は〜

「全く。リッカとマシュはともかく…よもやオルガマリーめまでこうも羽目を外そうとはな」

 

晴天と蒼穹が満ちる、オルガマリーの固有結界。月や異世界も跨ぎ喧騒を極めたカルデアを、一人見下ろす王が一人。

 

「そうか。気紛れに助け、信を置いたあの娘が。いつからか己の心の嵐すらも吹き晴らすまでに至ったか」

 

英雄王、ギルガメッシュ。エアを擁し、カルデアを楽園に変え、厳しく、時に優しく、時に愉快にこの旅路を盛り立てし…原初にして至高の王。

 

「マシュめもどこかに頭のネジを飛ばした程に快活と成り果てたきらいはあるが……やつめの守護は、我の蔵にすら見当たらぬ程の至高と化した。あの、無垢の奴隷がよくぞ変わるものよ」

 

彼は此度の祭りは中心ではなく、天と頭上に在った。自らが定めた第二の都市。幸福なる楽園の今と、在り方を。

 

「我が龍、藤丸龍華も成長を語るには外せんな。神に憎まれ、嫌悪され、疎まれた供物の獣。それが今や天を覆う龍とまでに成ろうとは」

 

くっくっ、と愉快げに喉を鳴らす。それは勿論、愉快で仕方ないといった王たる感情の発露

 

「ああ────認めねばなるまい」

 

財共よ、よくぞここまで成長し、研磨され、大成し、進歩し、進化した。

 

裁定の結果など、語るまでもない。楽園に至るもの、楽園に在りしもの。

 

「大儀である。よくぞ我の期待に応え、予想を裏切り、世界を背負うに値する傑物となった」

 

それこそは、王の裁定による賛美。

 

懸命に擁護するばかりであった雛鳥たちが、今や大いなる猛禽となり翼を広げ、この空を大いに羽ばたいている。

 

丹念に、丹念に磨き上げた宝、財。

 

それが今、王の目と心を満たしている。充足を齎している。

 

その事実と結果に───王は、大変なまでに満足していた。

 

「磨き上げし財は佳し。……思えば、この旅路の始まりは、無垢なる水晶を拾い上げた頃合いからであったな」

 

己の身に、宿りし素知らぬ意志。素知らぬ魂。

 

凡夫雑種風情が王の存在に成り代わるとは万死極刑に値すると誅しに向かえば、其処に在ったのは漂泊を越えた無味無臭。無垢を越えた透明無実の形ある空気。

 

「アレには我も面食らったものよ。裁く罪どころか自我も希薄、文字通りの赤子のようなものであったのだから。…だが」

 

だが。その魂には『敬意』と『尊重』の萌芽があった。

 

ワタシを受け入れてありがとう。

 

この人を知りたい。この存在に触れてみたい。

 

もっともっと、ギルガメッシュを知ってみたいと。

 

「赤子でありながら、泣くではなく知恵を求めた。思えばあの頃より、我の機嫌は上々であったな」

 

右も左も道理も分からぬながら、知りたいと願うは王の素性。

 

困惑と混迷の最中、自らの器に敬意と感謝を絶やさぬ魂。

 

気紛れながら、面倒を見てやっても良い類の稀さであったと、王は笑う。

 

「其処からは───ふはは、まるで甲斐甲斐しいシングルファザーではないか。我ながらマメであったな」

 

様々な景色を、様々な想いを、絶対的なる超越者の視点から見せた。

 

あらゆる全てが叶う力を持たせ、あらゆる全てを見通す視座を渡し、その魂の発展の行く末を見定めた。

 

その果てに───その魂は『尊ぶ』事を選んだ。

 

「この世のすべてを尊び、重んじ、悪徳すらも受け入れ、それもまた紋様と受け入れる。支配でなく、統治でなく。人の歩みの全てを良しとした」

 

それが、その魂の色彩。それを知った後に、自らの先導や導きなどは不要であった。

 

己自身の力で輝きを増し、己自身の力で他の財を見出す。やがてその輝きは、雑種や雑多な塵屑すらも財宝に変えていく。

 

「財を生み出す、磨く必要すらなき白金。────我の知る宝物の中でも、唯一無二にお前は至ったのだ」

 

口にはしないが、虹の獣と認めた至尊の獣たる存在の傍らに相応しいほどに、彼女は煌めき輝いた。

 

最早無味無臭、無味乾燥なる魂は、王の宝物の何にも劣らぬ…

 

否。全てを上回る至宝と化したのだ。

 

その魂がある限り、自らすら見出だせぬ宝が増える。

 

その魂がある限り、自らすら予期し得ぬ宝が手に入る。

 

そして、それらを全て受け止めながら、自らも柔らかく目映く輝く。何よりも美しく、眩しく。

 

「所詮節目に過ぎぬゆえ、誰に聞かせるつもりも無いが──」

 

そう。

 

その魂と刻んだこの旅路は。

 

この旅路に関わった、全ての存在は。

 

「───我が王道を懸けるに相応しい、珠玉の財たる全てであった」

 

王が歩んだ、三千の轍。

 

王たちが歩んだ、三千の旅路。

 

それら全ては、王自身にとってもかけがえのない財となり。

 

それら全ては、王自身の予想すら遥かに越えた旅路となった。

 

 

───無論ながら、旅の終わりは此処ではない。

 

まだ結末は遙か先。星の大海に漕ぎ出すには、取り組むべき雑事が数多無数に待っている。

 

「だが、それでも良かろう」

 

立ちはだかるは、凡夫雑種の悪足掻き。

 

或いは、身動きが一歩も叶わぬ異なる歴史。

 

本来なら、王がかかずるようなものではない。

 

しかし───王の胸は、弾んでいた。

 

「歩みの一つを重ねる度に、見出すものは必ずや在るだろうさ」

 

そう───

 

我が財、我が精鋭。

 

我が傘下、我が部員達。

 

我が愉悦、我が旅路。

 

それら全てが、自らの目による見通しすらも越えた旅路を。

 

自らの予想すらも越えた可能性を。

 

自らの胸の高鳴りすら越えるような愉悦を、我に捧げるのであろうと。

 

王は確信し。

 

同時に────信頼していたのだ。

 

「このカルデアに、ただの一人も雑種はおらぬ。あの言葉、我は未だに覆してはおらぬのだからな」

 

王の有する財達は、百花繚乱が如き輝きと煌めきを魅せるであろう。

 

それが出来ぬ雑種など、最早何処にも有りはしない。

 

万感の想いを込めて、王は謳うのだ。

 

「この旅路は───我が歩みは、幸福なる旅であった」

 

民も含め。

 

歴史も含め。

 

歩みも含め。

 

苦難も含め。

 

歓喜も含め。

 

勿論、王すらも含め。

 

 

関わったものが見せた、あらゆる全て。

 

森羅万象、遍くその尽く。

 

それらは全て、王に捧げられるに相応しい───

 

 

星の如くに輝く、唯一無二の旅路であったと。

 

 

やがて、王は天に起つ。

 

傍らにあるはずの魂も、獣も、今日ばかりはあの楽園に置きやって。

 

王は、天にありながらソラを見上げる。

 

「─────」

 

見上げた空の果てに輝く、一つの星。

 

オルガマリーが心に抱いた星は、軈て遍く全てを照らす星となった。

 

あらゆる世界、あらゆる次元、あらゆる未来、あらゆる全てを、きっとあの星は照らし続けるだろう。

 

かけがえのない、綺羅星たちと共に。

 

「ふはは、賑やかになりおって」

 

王は捉えている。

 

空は明るく見えねど、輝くかの星の周り数多に、大小様々な星が輝いている。

 

かの星は孤高とばかりに一際強く輝くが、不思議な事に他の星々の輝きを決して否定しない。

 

ただ、星は星であるが故に尊い。

 

星は、共に輝く事もまた叶う。

 

一つ一つは輝きが弱く、一等星には叶わずとも。

 

それらの輝きは束ねられ、時には天の川になり。

 

時には人の想いを受け、空を彩る星座となり。

 

時には、人々の願いを受け止める流星となる。

 

「──────」

 

王は微笑み、空に輝く星を見る。

 

王を見下ろす奔放さすらも、愛おしく感じる程に。

 

傍らに在りながら、遙か未来に至る煌めきを示すその輝き。

 

それこそが、この旅路を駆け抜けるに値する織物となる。

 

これよりも、我等の旅は続くであろう。

 

結果でなく、成果でなく、評価でなく、誇示でなく。

 

ただ、胸をときめかせる本能のままに。

 

新しきを識る歓びのままに。

 

怠惰極まる、価値を示せぬ愛おしき人間達の物語として。

 

王の目を、心を、全てを。その生き様を以て愉しませるであろう。

 

「嗚呼、それこそが────」

 

それこそが。

 

あの輝く星の銘。

 

王を照らし、王に想いを馳せさせる至尊の星。

 

それこそが。

 

王を捉えて離さぬ、絢爛無比の輝き。

 

それこそが───。

 

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