人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「なんだ!?何が起こった!?玉座で何が起こっている!?」


「モニターが落ちているわ!映像が拾えない!マシュ!リッカ!ギル!返事をして!!」

『は、い・・・私達は、大丈夫です・・・!』

「マシュ!あぁ、良かった!」

「大丈夫かい!?ゲーティアは!宝具は、リッカ君は、ギルはどうなったんだ!?」

【――・・・】

「なんとか言ってくれ!彼は、彼は・・・!」

「――ギル君は無事だよ。いや、なんだ、この反応は・・・」

「レオナルド・・・!?」

「『冠位』。この霊基パターンは、冠位クラスのものだ!なんてことだ、ゲーティアの前に――グランドサーヴァントが顕現している!」


「なんだって――――!?」

【――姫・・・】

「!?」

【姫が、いる・・・】


「姫・・・!?」


英雄姫(エア)無垢と憧憬の願い(レメゲトン)

『――総ての命には終わりがあり、それは避けられないもの。全ての生命が挑み、克服が叶わなかった生命の摂理』

 

 

冠位に至り、輝きを放つエア。その身を纏う煌めきを輝かせ、ゆっくりと歩み、相対する

 

 

『リッカ君!?マシュ!無事かい!?何が起こったんだ!?こっちのモニターがぶっとんだんだけど!?』

 

 

「は、はい!・・・英雄王が」

 

『ギルが!?ギルがどうしたんだ!?まさか―――』

 

ロマンの声音を、リッカが遮る

 

【姫様に・・・なっちゃった・・・】

 

『ぇえ!?』

 

 

【レメゲトン・・・その力、その姿。私と同じ全能に至ったか・・・!】

 

『・・・』

 

【だが興醒めだぞ。それだけの力を、姿を!魂を得ていながら。導きだした結論がそんな下らぬものか!我々が見据えたものか!】

 

ゲーティアは憤り、憤慨する

 

【終わりなど我々の前で語るなと言う!我等の期待を、決議を覆せぬと言うなら・・・】

 

『はい。ワタシはあなた達を否定する気も、論破する気もありません』

 

【・・・何?】

 

そう。この姿は、この魂は・・・何かを否定し、決議するものではない。

 

『死は不可避であり、それは覆らぬ真理。けれど――それはけして『終わり』ではない』

 

何かを慈しみ、全てを受け入れ、寛容とするもの。だからこそ――

 

『死とは、後へ続くものへ希望と未来を託す儀式であり――けして、『無』ではない』

 

エアは、穏やかに告げる

 

『この世で死なぬ生命はなく、また、無意味に終わる命も無い。全てのものは世界に生きた証を残し、未来と明日に願いを託し、自らに課せられた天命を果たす。――死して無に至るものは未だなく、全ての者には価値と意味がある』

 

死は、けっして絶望ではない。死はけして、無価値ではない

 

『死は忌避し、蔑み、消し去るものではなく・・・認め、受け入れ、安らぎとして受け入れるもの。それは全ての生命に与えられた『意味』。次に託し、自らの生命を次に繋ぐための、尊き生命の『色彩』』

 

【死が・・・死が、価値がある、意味がある・・・だと!?何を、馬鹿な・・・】

 

『ゲーティア。誰よりも死を嘆き、誰よりも生命の在り方を問いながら、全能にて答えに至れぬ魔神の王よ』

 

ゲーティアの嘆きを静かに見詰め、目を閉じ・・・エアは、示す

 

『今こそワタシの答えを、あなたに示します。人類悪の一、嘆きと憐憫の獣。その3000年の偉業に、ワタシの研鑽を捧げましょう――』

 

緩やかに浮かび上がり、ゆっくりと手に取るは『乖離剣』。白金に輝くそれを高々と掲げ、冠位に至りし姫は自らの意味を謳う。

 

研鑽の果てに告げる、自らの答えを――

 

『――ワタシの真理(こたえ)を、此処に示す』

 

『乖離剣』から七色の風が巻き起こり、吹き上がる

 

(――・・・)

 

その姿を静かに、誇らしげに眺める至尊の獣。自らを変えたただ一人の姫、その晴れ舞台を万感の思いで見つめる。

 

「これは・・・!」

 

【わぁ・・・!】

 

辺りに色彩が充ちる。鮮烈にして輝かしき様々な色が、あらゆる事象を司りし色が、絶望と悲劇を塗り潰していく。感嘆の声を漏らす二人の少女

 

【――!まさか、レメゲトン!貴様は・・・!】

 

ゲーティアは理解する

 

エアの冠位の意味。その姿へと至った意味を

 

【まさか、そんな決断を!そんな決議を!我々の為に下すと言うのか!全能の座を!英雄の頂点の座を!此処で手放すと言うのか!】

 

静かに頷く。――それこそが、冠位を戴いた意味

 

【止めろ、それは・・・!死よりも恐ろしき事だ!止めろ!それだけの力を持つためにどれほど時間がいる!それだけの全能を手にしながら、貴様は――!】

 

ゲーティアの忠告に、更に確信を持つエア

 

――あぁ。やはり。彼等は・・・――

 

『死は万物に在り、それはけして覆らぬ命の理

 

けれど、それはけして『無』ではない

 

生命の生きた軌跡は必ず後に伝わり、また新しい生命が芽吹き、紡がれる

 

死は恐れ、嘆き、目を逸らすものではなく

 

認め、受け入れ、駆け抜けていくもの

 

故に――死は、断絶ではなく

 

後の生命に、希望と未来を託す儀式である』

 

エアの言葉に反応し、エアの魂に共鳴する。あらゆる風と、あらゆる理を肯定し、荒れ狂う暴風が紡がれる

 

至宝の輝きに劣らぬほど煌めく、姫と冠位に至りし魂。――その全ては、完全無欠の結末の為に

 

『至尊を詠う』 

 

空間が堪えきれずに激震し、全ての魔神が衝撃を拝領する

 

 

『縁は出逢い、紡がれ』

 

マシュとリッカには、暖かく、柔らかき風となりて。その傷と、苦痛を癒す

 

『歴史を織り上げ、死を越える』

 

荒れ狂う七色の風圧。全ての嘆きと苦痛を蹴散らす嵐のように。愛おしく、祝福に満ちた世界に流れる風のように

 

『人生とは 世界に生まれ』

 

其処に――自らの『冠位』の総てを乗せる

 

到達した筈の頂点の座を、到達した筈の最強の座を、誰もが夢見る至天の座を、己が答えに殉じさせる

 

『死と断絶を越え、愛と希望を抱き――』

 

その全ては、星のごとき過去、輝かしき未来、尊き現在(いま)の為に

 

その全ては、悲劇と嘆きに訣別を告げ――

 

【そのような決断を、何故――!!】

 

その為に――

 

『尊き生命(いのち)を謳う旅なり――』

 

姫は厳かに、答えを示す――

 

その宝具、至尊の一撃

 

その名は――

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

人理を照らす、開闢の星(エヌマ・エリシュ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放たれる、『冠位』を乗せた一撃。最強にして、至尊なる究極の暴風

 

 

【オ、ォオォオォオォオ・・・!!】

 

ゲーティアに叩き付けられるエアの、魂の解

 

その為に、全能に至った

 

その為に、冠位に至った

 

それを、その栄誉を、その究極を、その絶対を――今、手放した

 

【ォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオ――!!!!!!!】

 

ゲーティアの持つ全能を剥奪するために

 

ゲーティアの持つ不死性を、突破するために

 

愛すべき者達の未来を、切り拓くために

 

そして――

 

『――ゲーティア』

 

全能では、けして至れぬ――

 

『ありがとう・・・』

 

生命の答えの道を、示す為に――

 

神殿全てに、エアの一撃、七色の風が充ちる

 

未来のために戦う者達に祝福を

 

悲しく蠢く魔神柱たちに、一つの贈り物を

 

・・・エアの至りし冠位、ゲーティアの所持する全能

 

それら二つは、未来への礎として消えていく――

 

 

【――・・・・・・ありがとう、だと・・・】

 

ゲーティアの全能は、見る影もなく消滅していた。先程の威厳と風格は、完全に霧散している

 

それだけではない。――『結合が、ほどけていた』

 

群体として起動していた魔術式が、結合を解除され、バラバラに分散していく

 

「――はい。ワタシはあなたに、それを伝えたかった」

 

エアの一撃が魔神全てに変化を、切っ掛けをもたらした為だ。――魔神達には、それぞれに自我が生まれていた

 

手にした自我に、激情に。自らの生命に殉じる道を選んだのだ。答えは、様々だった

 

 

「至尊・・・至尊・・・我には無い。レメゲトン。その議題は、我等には与えられなかったものだ――」

 

自己崩壊を起こすもの

 

「――それを知りたい。知りたい、が・・・今の我には、時間が、境遇が、余りにも・・・――」

 

活動を停止するもの

 

 

「馬鹿な!馬鹿な、馬鹿な!レメゲトン!お前は何故、何故その結論に至った!何故、何故――!」

 

問い続けるもの

 

「・・・――レメゲトン。その至った解答。彼等と対話を行えば、解の材料となるであろうか。対話を開始する。ゲーティア。我々は、ゲーティアであることを放棄する」

 

自らの疑問を、提唱するもの

 

「不要!不要!不要!お前の答えよりも、身を焦がす今がある!殺す、殺す、殺す!!英雄どもの総てを殺しつくす!!レメゲトン!汝の答えは我等には無用なり!ゲーティアよ、我等の偉業に、我のような結論は不要なり――!!」

 

怒りに震え、交戦を選ぶもの

 

 

「感謝を!レメゲトン!我等の激情を呼び覚ました事に感謝を!求められるというのはこういう事か!拒絶されるというのはこういう事か!」

 

歓喜し、胸を震わすもの

 

「統括局に報告!光帯を回せ、偉業を開始せよ!0.999999999%の確率は許容範囲だ!いや、例え失敗したとしても――!『レメゲトン』のように、確かな答えを、この宇宙に残すべきだ――!!」

 

 

魔神の全てが、『己』を獲得し、自らに殉じ戦いを続ける――!

 

 

「はい。ワタシの想いを、ワタシの心を。ゲーティア、ワタシはあなたに伝えたかった」

 

エアの身にもう冠位の輝きは無い。ゲーティアの全能を打ち消し、不死性を過去のものとするために。自らの手にした威光と輝きを、総てを手向けとした

 

エアに残ったのは――魂と、器。そして・・・

 

――申し訳ありません。王の冠位を、このように・・・

 

《構わぬ。お前の結論に相応しき結末よ。冠位など安いものだ》

 

姫を見守る。絶対なる魂――

 

《あの魔神は何れ滅びる。そら、最後の手向けを告げてやれ》

 

王の肯定に、静かに頷く

 

 

「――あなたは、誰よりも生命の在り方を嘆き、生命の不完全さを嘆き、自らの総てを使い、虚無の希望を目指した。――その決議に、その憤りに、一つの生命としての感謝を」

 

【――・・・・・・】

 

ゲーティアは、全ての生命を憂い、嘆いた

 

それは、憎しみや恨みではない

 

生命の幸福を願い、永遠の理想を願い、偉業を果たした

 

その決議は、魂は、目指したものの尊さは、紛れもない輝かしきものだ

 

だから――感謝を。あなたに滅ぼされなかった、外なる世界、有り得ぬ、しかし確かに生きている自分の、一つの言葉として

 

「――そして、『あなたは、ワタシに名前をくれた』」

 

【――!】

 

レメゲトン、という名前。この名を持ち続けられたことこそ、感謝の源泉

 

この名を与えられながら、この魂にはなんの阻害も、呪いも降りかかることも無かった

 

それどころか・・・自らを追い詰める手段として機能している

 

・・・それは、この名が紛れもない『祝福』であったからだ

 

呪詛ではない、呪いではない。ただ、魂に託されし願い

 

『無垢と憧憬を忘れないように』と、全ての願いを託された。

 

『けして、在り方が損なわれぬように』と想いを託した

 

だからこそ――今の今まで、自らは健やかに、変わらず、世界の総てを見続けることができた

 

その期待と思慮に、深い感謝を

 

「ワタシは――あなたたちを、忘れない」

 

そして・・・ゲーティアの終わりを、無にはさせない

 

「虚無の希望を目指したもの。生命の在り方に立ち向かったもの。――ワタシに、願いを託したもの。その『終わり』を、無にはさせない」

 

ずっと、ずっと覚えている。未来永劫、忘れない

 

「ワタシに、希望をくれたもの。――だからこそ、ワタシはあなたにこう告げます」

 

 

それこそが、ワタシの始まり。それこそが、ワタシの在り方

 

 

・・・魔神よ。生命を憐れみし人類悪よ

 

 

「――ワタシに名前をくれて。ありがとう――」

 

 

敬意と、感謝こそが・・・誰にも負けない、ワタシの誇り

 

《――――》

 

英雄王が認めてくれた、ワタシの大切な在り方なのだから・・・

 

 

【――我々を、無価値にしないと。忘れないと。無にはさせないと。死は次に繋ぐための儀式であると。――その感謝が、お前の答か】

 

静かに、ゲーティアがその真理を反芻する

 

【『死は、無には至らない。必ず、続くものがある』――レメゲトン。これがお前の解か】

 

「――はい」

 

【ならば、その様に動くがいい。72柱の魔神を、その最後に至るまで。その魂に記憶せよ】

 

崩れながら、勅令をエアに告げる

 

【レメゲトン。無垢と憧憬を懐きし魔神よ。間も無く崩れ去る我々を――その答えに従い、忘れるな】

 

静かに頷き、フォウと視線を合わせる

 

「行こう、フォウ」

 

フォウが『至尊の守護者』となり、エアの願いに応える

 

『仕上げだね。いつまでも一緒だよ、エア』

 

「うんっ!――マスター」

 

【は、はいっ!】

 

目線を合わせ、笑顔にて告げる

 

「ワタシが出来ることは、ここまでです。――」

 

そのまま、マスターを、リッカを抱きしめる

 

【ぁ――】

 

「ありがとう。あなたがあなただから、ワタシはこの答えに辿り着けた。――ワタシの大切なマスター。どうか彼等に、あなたの答えも伝えてあげてください」

 

【――はいっ・・・】

 

「今まで、本当によく頑張ったね。――本当に、リッカちゃんは素敵な女の子だね――」

 

【・・・――っ・・・ありがとう・・・ございます・・・!】

 

リッカの答えに頷き、マシュに向き直る

 

「マシュ。戦いが怖くても、辛くても。一生懸命、ワタシ達を護ってくれて、ありがとう」

 

「そんな、私は・・・」

 

「ううん。胸を張って。この旅路は、あなたがいたから素敵なものだった。あなたが頑張ったからここまで来れた。・・・流石、リッカちゃんのサーヴァントだね」

 

「――っっ。ありがとう・・・ありがとうございます・・・!」

 

「――あぁ。やっと、伝えられた」

 

静かに頷き、フォウにまたがる

 

「最後の役割を、果たしてきます。・・・二人とも、どうか、無事で」

 

浮かび上がるエアを、二人は見つめる

 

「ギルガメシアさん!その、あの・・・!」

 

【また、必ず逢えるよね!絶対、また!】

 

その言葉に、笑みと共に頷く

 

「――ずっと一緒だよ!英雄王が、在る限り!」

 

それを告げ、エアは駆ける。宙域へ、魔神達の居場所へ

 

 

『ボクは今、とても幸せだ』

 

「?」

 

『君に出逢えた、重ねた時間の全てに――感謝を。ボクの大切な、大切な運命よ――』

 

「――こちらこそ。これからも、ずっと、ずっとよろしくね――」

 

七色と白金の輝きが、宇宙の黒に駆け抜けていった――




「そうか・・・我等の結末は、我等の大願は、レメゲトン、お前によって阻まれるのか・・・」

「ワタシだけではありません。輝かしき、魂と絆に」

「――ならば、悔いはない。姫に、王に、龍に阻まれたならば・・・我等の結末は、必定だった・・・」

『バアル、消滅』


「死→無?否、何故/託す。永遠『無用』レメゲトン/解答/消滅。至尊・・・至尊・・・至尊・・・――」

「お休みなさい、フェニクス。もう・・・苦しまないで」

「感謝、陳謝――レメゲトン、我が死と新生、此処に――」

フェニクス、鎮魂


「・・・無念だ。人の可能性に、有用性に。今になって気付くとは」

「ワタシも教わったのです。あらゆる世界から、あらゆる人間から。その意味と価値を」


「――私は納得した。我等の導き出した魂が、我等が見出だした魂がそう信じるならば。我等の慧眼は過ちではなかった」

「はい。・・・あなたの聡明さに、敬意を表させてください」

「――――その魂に祝福あれ。汝の回答は、我等の結論に足るものだと」

ゼパル・消失


「無念だ。無念に過ぎる。あなたから貰った自我が、こんなにも早く消えてしまう」

「・・・」

「――けれど、得難いものだ。『生命を惜しみながら、死ぬ』。それは、ゲーティアだった我には無かった結末だ。そして――死の間際に、あなたがいてくれる」

「はい。――あなたは、あなただけのものです」

「――我が輝き、我が至尊。我が生を看取った姫よ。愉悦を求めるがいい。貴女の魂を彩るために。それが私に生命を与えた貴女の使命であり、私という命の、最後の願いである」

アンドラス・死亡

「信仰も、不老も、永続も、希望も。人類を救うことは出来なかった。お前の願いは徒労に終わるやも知れぬ。――それでも、行くのだな」

「はい。人類も世界も、まだこれからです。人はいつか――世界の外の存在すらも見通せるほどに、その認識を拡げると信じています」

「――そうか。・・・私達を忘れないと。そう告げた者よ。我等に自我を与えしものよ。いつか・・・その鍵が、真実の鍵となる未来を」

「・・・ありがとう。ラウム。お休みなさい」

「・・・これでよい。これで・・・よいのだ」

ラウム・解脱

《こやつらは鮮烈なる命題を得ていたな。ともすれば、此処から逃げ出す未来があったやも知れぬ》

「――心の在り方に、けして優劣は無いのですね」

《然り。故にこそ――その可能性を抱く人間どもには価値があるのだ》

「――はい。ギル」

《あと一柱は我に任せよ。喚き立てる輩に言って聞かせるには、些かお前は甘いからな》

「す、すみません!・・・お願いいたします、英雄王!」

そして・・・

「何故だ、何故だ、何故だ!レメゲトン!何故そこまで貴様は揺らがぬ!!解っている筈だ、見た筈だ、人類にそれだけの価値はないと!」

叫ぶ。フラウロスが叫ぶ

「つらい記憶ばかりだ!これほど痛みを伴う進化は、宇宙の中でここだけだ!この星は狂っている。お前たちは狂っている!この歴史にいったいどれだけの価値がある!」


《たわけめ。その疑問を抱いた時点で貴様は答えを得ていように》

「――!貴様は・・・!」

《疑問とは、奥底で答えを抱いた者が抱くもの。欲するものは肯定と理解だ。――かつて、我も貴様と同じものを見た》

――・・・

《だが、我とエアの結論は異なる。貴様は総てを見る目を持っていながら、総てを見ていなかった。悲しみしか目の当たりにすることはなかった。一つ一つの悪意に囚われ、紋様を見ていなかった。命の価値を知らぬは貴様の方だ。魔神王》

――価値とは変わるもの。それを決めることはできても、本質はけして変わらない

《然り。貴様が価値なきものとした魂が、人間が、まさに貴様に王手をかけているのだ》


――リッカに、マスターに問うてみてください。それが、あなたの最期の真理に至る答えとなりましょう

「疑問、本質――私が、知るべき答え・・・だと――!?」


【残る魔神柱、あと三柱。繰り返す。残る魔神柱、あと――】


【――我々はまだ負けてはいない。戦う意志は、悪を成す為の拳は、まだ、残っている】


「せんぱ、っ――!」

【大丈夫、下がってて。マシュ】

「先輩・・・!」

【此処から先は――私の戦いだから】

「――いいえ、先輩・・・!これは、私達の戦いです!だから――!」

【うん。・・・ありがとう。マシュ】

立ち上がり、向き直る

【――ようやく、ようやくこの瞬間がやってきた。・・・本当に、待ちわびた】

怒りをたぎらせ、構える

【此処で――私の総てを叩きつける!!】


『――慈悲。その心を努、忘れるな』

(ありがとう、じぃじ。――だから、今は――)

【私の怒り!滅ぼされた皆の無念!!受けてみろ――ゲーティアァアァアァアァアァアァアァアァアァアッ!!!!!】

邪龍が猛り狂い、今――悪と悪の最後の戦いが始まる――!!

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