人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「はーい、皆大好きアルクェイドでーす!今日から門番に任命されました!よろしくねー!」


「ワォ、陽気な方ですネ!カルデアに行ってもいいですカ?」

「整理券はいけーん!はいどうぞ!」

「グラシアス!チャオ~!」

「あ、あの。私も・・・」

「はいはいどうぞー!」

「やったのだわ!」

「・・・私も」

「私もだ、ゼ!」

「まとめてごあんなーい!何よ、簡単じゃな」

「どいたどいた――――!!」

「ほぁ――――!?」


「ムーンセルも手こずる防衛とか金ぴかさん何考えてるんですかー!グレートデビルな後輩との青春フラグ、立たないじゃないですか――!いいんですか!こんな横暴、いいんですか――!?」

「良かった・・・あの性悪に溶かされる未来は、有り得ないのね・・・それが、私の救いとなります――」

「メルト・・・」


ビーストネット

「実際問題どうなのキアラせんぱい。リッカに勝てるの?」

「勝ち負けだなんてそんな。私はただ柔らかに、全てを愛するのみでございます。虫とは慈しみ、柔らかに潰すもの。・・・しかし・・・」

「?」

「・・・あのお方、『気持ちよさ』など何一つ持たぬ救われぬ魂。虫の潰し方は心得てはおりますが、龍の鎮め方は修めておりません・・・私と逢ったならば、自らの欲得をかなぐりすてて、『私を仕留めん』とだけに牙を剥きましょう。其処に在りしはただ地獄。獣の共食いに、随喜など在る筈もなく」
 
「つまり・・・」

「はい。二人目ですわ♥私が『関わりたくない』と思われる方と出逢うのは♥」

「リッカ、せんぱいから匙を投げられる。良かったねゼパル」

「あ、でも文字通り貪られるのは・・・素晴らしいと思います・・・♥」

「うわぁ」


召喚編――女神のえにし――

衝撃の事実!マーリンはネカマだった!からのカミングアウトにより、ロマンの精神がアルス・ノヴァした召喚の儀から数時間後・・・

 

 

 

「くすん・・・」

 

ケモミミをしなだれさせたシバにゃんが戻ってくる。一同はそれを暖かく迎え入れる

 

 

「ロマニの様子はどうだったかな?シバにゃん・・・」

 

「はい~・・・相当ショックだったらしく・・・「大きな星がついたり消えたりしている・・・ギルの宝具かな?いや、違う、違うな」とうわ言のように・・・」

 

(ガチで精神崩壊案件じゃないか・・・)

 

 

・・・無理もない。十年の激務を乗り越える癒しであった概念が、ちょっと、いやかなり、物凄く望まぬ形であったのだから

 

――ですが、マギ☆マリがあなたを愛し、勇気づけ、元気付けたという事実は、現実は。けして覆らず、何者にも犯されぬ真実です。だから・・・せめて・・・マギ☆マリという概念を否定する事に至らぬ事を・・・及ばずながら、祈らせていただきます・・・

 

どんなものも無意味、無価値なものはない。たとえバーチャルでも、存在しないものでも。それを見て、感じて、触れて、生まれたキモチは真実なのだから

 

 

だから・・・ロマンの愛したマギ☆マリは、変わらず美しいものであると・・・ワタシは、信じております・・・

 

「ちなみにソシャゲデビューしようかなと思ってるんだけどどうかな?」

 

(死ね)

 

 

エアはせめて、ロマンの鎮魂の為に祈るのだった・・・

 

 

「訣別の時、来たれり・・・か。よもや全てが片付いた後に目の当たりにしようとは・・・うむ。まぁそれは後で見舞いに行くとして今は忘れよ。我等の戦いはまだ始まったばかりなのだからな」

 

気持ちを切り換え、英雄王はサークルを回す

 

 

「セイバー・リリィは確かに可能性の具現、ともすれば本人より輝かしいやもしれぬが・・・手を伸ばす事を止める理由にはならぬ」

 

「こうやって英雄は前に進むのかぁ・・・勉強になるなぁ・・・」

 

山程積み上げられたファッション雑誌を読み進め、リッカが英雄王をリスペクトする。様々な雑誌から教わる、着こなし、組合せ

 

「カスタムロボみたいだね、ファッションって」

 

「ワンピースとか、おすすめですよ先輩!」

 

「私みたいなゴリウー系をカバーしてくれる雑誌はあるんだろうか・・・」

 

「案ずるな、なければメディアに打電してやろう。そら、来るぞ」

 

光が収まり、現れたのは・・・

 

「ハーイ!翼ある蛇、ケツァル・コアトルデース!呼んでくれてありがとうございマース!なんとしても来たかったネー!人理修復、グラシアス!」

 

陽気なお姉さん。真なる金星の女神。慈愛と知性を抱く情熱のルチャドーラがカルデアインしたのであった

 

「ケツ姉!いらっしゃーい!」

 

満面の笑みになり、ビジネススーツ&眼鏡のリッカが歓待する

 

「チャオ!リッカ!あら、自らを磨く研鑽かしら。その眼鏡、チャーミングネ!」

 

「ありがとう!とりあえずメイヴが「毎日違う服を着なさい。着たきりスズメは斬首よ斬首」っていうからさ」

 

「えぇ、その通り。月の満ち欠けは流転するもの。太陽も時には翳るもの。――でも、忘れないでね、マスター」

 

優しく頭を撫で、額に口づけを贈る

 

「『明けの明星輝くときも、果てに太陽は輝く』。どんなあなたも、その本質を否定するものにはなりません。変わることを、変化を恐れてはダメよ?素敵な女の子は、ただ在るだけで美しいのだから」

 

「ケツ姉・・・」

 

優しき暖かい肯定に、リッカは力強く頷く

 

「これが女神の姿・・・メソポタミアの自然現象の擬人化とは違う、優しき神・・・」

 

「ははは、治めた王として恥が高いな。オルガマリー、然り気無くメソポタミアを評価するのは止めよ、恥じ入るばかりなのだからな」

 

「す、すみません!」

 

(ケツ姉・・・いいよね、エア)

 

――ぽかぽかします・・・

 

二人揃ってほっこりする

 

『ヤ!エアちゃんもお疲れ様ネ!長い研鑽の旅、皆を護るために、未来のために全能や冠位を手放したあなたに、深い敬意を表します』

 

――はい。ありがとうございます。ワタシの選択は、間違っていなかったと信じております

 

『グラシアス。いつか私とルチャりまショウ!チャオ☆王様に姫様に、可愛らしい獣さん♪』

 

陽気に投げキッスを残し、オルガマリーとマシュ、シバにゃんを抱えあげた後、朗らかにケツァル・コアトルはカルデアの散策に向かいましたとさ

 

「まさに女神・・・!太陽のごとき女神ですね、先輩!」

 

「アルテミスを信仰していなかったら信者になっていた・・・」

 

「ヤツはティアマト神すらも抑えきった怪力、戦力としては申し分無い。・・・女神にもマシなものはいると、賢しき我は痛感しただろうよ」

 

静かに頷く英雄王。最早否定すべきはイシュタルのみであったとさ

 

「よし、次だ。さぁ、何者が招かれるのやら」

 

召喚サークルが回転し、回り出す

 

「やっほー。差し入れしに来たよー」

 

同時に、髪をツインテールにし、エプロンを着用したエルキドゥがバターケーキ片手にログインする

 

(エルキドゥ!やっほー!あ、バターケーキちょうだい、ちょうだい)

 

「勿論いいとも。はい、あーん」

 

(あーん)

 

――こんにちは!フォウを大切にしてくださってありがとうございます!

 

「随分と洒落た髪型ではないか。イメチェンか?」

 

「気まぐれだよ気まぐれ。たまには外装変えなきゃね。あーんしてあげよっか?」

 

「構わぬ。その役目は取っておいてあるのだ」

 

「ふふっ、そうだね」

 

奔放に笑うエルキドゥに、リッカの目線が釘付けになる

 

「エルキドゥ読者モデル凄く似合いそう・・・」

 

「はい。とてもたおやかです・・・」

 

「でもああ見えて、動き出すと怖いのよね・・・」

 

「僕を怖がるのはだ~れ~か~な~?」

 

にゅるんと泥になりオルガマリーの眼前に移動するエルキドゥ

 

「すす、すみません!ごめんなさい!」

 

「あはは、からかい上手のエルキドゥさんだよ。ごめんね、楽しくて」

 

――自由ですね・・・!流石は王の無二の友です!

 

「うむ。いざとなればミミックに噛みつかれし友も見捨てられる度量持ちよ」

 

「嫌だなぁ、気にしてるのかい?」

 

「危うく胴体が泣き別れであったわ!まぁそれはよい!如何なる英霊か!姿を見せよ!」

 

やけくそ気味に呼び出し、現れたのは

 

「冥界の女神、エレシュキガル!クールに参上したのだわ!よろしくね!」

 

フレンドリーに現れし、冥界の女主人。ウルクのMVPが降臨したのだった

 

(?・・・おかしいわね、初めて会った気がしないわ・・・)

 

『あ、私なのだわ。うんうん。リッカの為に来るのは当然よね』

 

オルガマリーと電脳エレシュキガルが頷く

 

「エレちゃ――――ん!!!」

 

『GAAAAAAAAA!!』

 

『あぁ、良かった・・・』

 

『エレシュキガル様も来てくださいましたか。ますます賑やかになりますね』

 

 

エレシュキガルの来訪に沸き立つリッカに英雄神、母、シドゥリ

 

「こ、こんなに歓迎してもらえるなんて・・・嬉しいのだわ・・・」

 

顔を赤らめ、もじもじするエレシュキガル

 

(エアとはまた違う属性を手にしている女神だ。エアのように染み入る尊さではない、されど可愛いと称賛を受けるその振るまい・・・それは)

 

――それは・・・?

 

(あざとさ!アイドル向きだね、実にあざとい。だが、僕に比べればあざとさレベルはたったの5。ゴミだね。帰っていいよ)

 

ハン、とフォウが鼻をならす

 

 

「はいそこの美しくなってる獣!あることないこと言わない!私、こうみえてクールでビューティーなんだからね!」

 

「ショウシ、フォーウ!ワラワセルフォーウ!」

 

「ぐぬぬぬ、私に妙に辛辣なのだわこのケモノ・・・!」

 

――ま、まぁまぁ!エレシュキガル様。ウルクの戦い、本当にお疲れ様でした!貴女の助力なくば、ティアマト神を静めることはできなかったです。本当に、ありがとうございました!

 

ぺこり、と頭を下げ、お辞儀をするエア

 

『いいえ。皆が頑張ったからよ。お疲れ様、エア。あなたにもプレゼントはきっちり用意しているのだわ』

 

そういって英雄王に、エレシュキガルは七つの贈り物を渡す

 

「一流の女神たるもの、持参金は忘れません。王たるあなたに敬意を表し、これを」

 

それは、イシュタルから剥ぎ取った権能。七つの装束、神なりし貴婦人の虚栄の証

 

「収めるのだわ。私にはいらないし」

 

「ふむ、やはり冥界の方は善であったか。その調子でマスターの研磨にも付き合ってやれ」

 

――い、いいのですか!?

 

これは紛れもなく神のものだ。そんな、気楽に渡していいものなのだろうか!?

 

『勿論。本当の美しさがなんなのか、それはとっくに解っているでしょう?こんなものでは表せない、世界の美しさというものを、あなたはちゃんと解ってる筈よ』

 

ね?とウィンクをエアに届けるエレシュキガル。エアは、確かに頷く

 

――ありがとうございます!エレシュキガル様!

 

『うんうん。喜んでもらえて嬉しひゃあぁ!?』

 

エレシュキガルの顔にへばりつくフォウ

 

「アザトイフォウ!アザトイフォウ!」

 

「はーなーれーなーさーいー!マスターとエルキドゥとの挨拶が終わってないのだわ――!」

 

《フッ。エアよ。お前の獣は、ライバルをも手にしたようだぞ?》

 

――お互い高めあってほしいですね!

 

エルキドゥに押されながら、獣とエレシュキガルは退室したのだった・・・

 

「では次は――む」

 

瞬間、管制室に警報が鳴り響き、警戒体制が敷かれる

 

「この反応は・・・!ギルくん!」

 

「――懲りぬヤツよな」

 

うんざりげに吐き捨てる英雄王。玉座から立ち上がる

 

「邪神に目をつけられるのも因果なものよな。どうあっても我が財に手を伸ばすか」

 

「誰が邪神か!!美の女神だっての!!」

 

召喚サークルを抉じ開け、体をねじり混み、強制顕現を果たそうとする女神

 

――あ、あなたは・・・!

 

「いつまでも私を塩対応できると思わないことね・・・!私は女神イシュタル!逆境には滅法強い女神の中の女神!こん、な、呪いなんて――!!」

 

身体中に邪悪な黒き神代回帰の証を浮かび上がらせ、カルデアの召喚を果たさんとするは女神イシュタル

 

「私だって、プライドくらいは持ってるんだから――!虚仮にされたままで終われるもんですか――!!」

 

「知ったことか」

 

パチン、と指を鳴らす

 

『GAAAAAAAAAAAAA!!』

 

黄金の波紋から、マルドゥークの輝ける右手が現れ

 

「お兄様まで!?ちょ――」

 

『HOI』

 

イシュタルに、渾身のデコピンをかます――!

 

「嘘ぉ――!?ここまでやって阻まれるとかマジか――!?」

 

「貴様は要らぬ。敵より厄介な味方など願い下げよ。疾くエビフに戻るがいい」

 

「あ、諦めないわ!私が破れても、第二第三のイシュタルが、必ずあんたたちを助けに現れるわ!首を洗って待っていることね――!」

 

――凄まじいまでの世話焼き精神です・・・!!

 

「そうか。なら第一の貴様は問答無用で返品するとしよう。ではな、駄女神」

 

空間のゲートが、今閉じられる

 

「必ず、必ずカルデアに参加してやるんだから!!絶対諦めない!マジで覚えてなさいよ金ぴか――!!!!!!」

 

捨て台詞と断末魔と共に、イシュタルは消え去りましたとさ

 

「・・・何も言うことはない」

 

「イシュタル・・・グガランナで助けてくれてありがとう・・・」

 

余波でぐちゃぐちゃになった召喚室を、皆呆然と見つめる

 

「・・・少し休息とするか。片付け、気分転換としよう」

 

「そうだね。暇を持て余した神々の遊びはこれだから・・・万能の天才たる私も苦笑いしか出てこないさ・・・」

 

いそいそと片付けながら、やや簡潔に召喚を済ませる

 

「ランサー・メドゥーサ。よろしくおねが・・・」

 

惨状にすべてを察し、片付けを手伝うメドゥーサ

 

「あれは誰だ!?鳥か、獣か!?いや違う!野生に溢れ野生に生きる流れ者!それは荒野のジャガーマ・・・あー、これはいけません。空気は読めませんが疲労は感じ取れました。はい、ナワル的に御手伝いしないとニャー・・・」

 

ジャガーマンですら、縮こまり片付けに参加する

 

「やぁ皆!お待たせ!心配かけてごめんよ!」

 

そんななか朗らかに参列せしはロマンである。ニコニコ笑顔だ

 

「ロマン様!?大丈夫なのですか!?」

 

「うん、心配かけたね!大丈夫さ!」

 

「ロマン、マギ☆マリは、その・・・」

 

リッカがあえて、切り込みづらい話題を振る

 

「あぁ、もう大丈夫さ!しっかり区切りはつけたからね!」

 

「本当ですか!?ドクター、ついに・・・!」

 

「あぁ!マギ☆マリは実在するとも!」

 

「・・・え?」

 

「マギ☆マリは実在するさ!生きているんだ!ただそれをマネジメントしていたのがクズ野郎なだけで!僕を癒してくれたマギ☆マリは生きているよ!うん!」

 

「ロマン様・・・よよよ・・・」

 

「ちょ、何で泣くのかな!?大丈夫!なんか色々吹っ切れたから、ラクダの件も考えてみるよ!」

 

「ロマニ、それは一般的に・・・」

 

「言わなくていいよ、愛弟子。・・・彼なりの踏ん切りなのさ・・・」

 

「酸素欠乏症にかかったテム・レイみたいになってる・・・」

 

一同の労りの視線を受けながらも元気に笑うロマン

 

――彼はまた立ち上がる道を選びました。それは、なんと尊く、美しい決断なのでしょう・・・その強さこそ、ロマンが手にした、人間の強さなのですね!

 

《――うむ。そう信じてやれ。征服王めの言葉を借りるならば・・・痛ましく、見るに堪えぬわ・・・》

 

此処に、偶像崇拝の闇の深さを思い知った一同と、人間の無駄な頑強さに感嘆するエアであった・・・




NG召喚・地


【もしもし、私メリーさん。今、召喚されようと思ったの】


「えっ」

「メリーさんって、あのメリーさん!?」

「いやいや、そんなまさか・・・」

【もしもし、私メリーさん。今、召喚ゲートの前にいるの】

「来るー、きっと来るー」

「日本の伝承だからかな!?大丈夫!?これ大丈夫――!?」

【私、メリーさん】

「来るぞ――!」

【今・・・え?整理券?】

「・・・?」

【・・・私、メリーさん。今整理券を貰ったの】

「う、うん?」

【私、メリーさん。・・・整理券が、外れてしまったの・・・】

「!?」

【召喚失敗】

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