人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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戦闘はどうしても長引きます、スミマセン


奮闘

バーサーク……狂化を付加し、凶暴の化身となったサーヴァント達が襲い来る

 

「マリー、サーヴァントの真名を探れ。適当に時間を稼いでやる」

 

『解りました。ご武運を!全力を尽くします!』

 

 

槍、剣、波動。そして奇蹟

 

 

極まり、至高の域にまで昇華された無双の技が、全て自分に向けられる

 

 

ハルバードで剣をいなす

 

 

『そのサーヴァントの真名はまだ、情報が足りません……!』

 

「そうか。こちらで対応する。検索を続けよ、白百合がごとき騎士という点で検索を絞れ」

 

間合いを離し、剣先を放す

 

絶え間なく襲い来る槍、変化する身体が、無数の杭が器を贄と襲い来る

 

「血を求める――!!」

 

「血生臭い事よな」

 

ハルバードを薙ぎ払い、無造作に無力化する

 

『ヴラド三世――ワラキアの地方領主。凄絶な貴族への粛清と敵国に課した串刺しの逸話をもち、『吸血鬼』のモデルとされた、『悪魔』です』

 

「怪物か。取るに足らん、その手の武具はありあまっている。対処は容易い」

 

槍とハルバード、火花を散らしぶつかり合う

 

「ほう――我が委細を語るか、我を怪物と罵るか」

 

「事実であろう、血に狂った吸血鬼のモデルよ」

 

「――貴様」

 

視界外から襲い来る加虐の弾をハルバードを反転させ振り回し、総てを撃ち落とす 

 

「貴方のような存在は御呼びではなくてよ。私の潤いの邪魔をしないでくださる?」

 

 

『吸血鬼、カーミラ。真名をエリザベート・バートリー。ハンガリーにて数多の少女を拷問の果てに殺害し血を欲した、血の伯爵婦人』

 

「女の生き血を啜る殺人鬼――成る程、血に酔った者まで英霊扱いとはな。粗製乱造にも程がある」

 

ハルバードで斬りかかる。所持している棺桶に阻まれはしたが。力は大して強くは無いようだ

 

「――野蛮ね――!」

 

「女は男に組伏せられるが摂理、つまらぬ意地を張るとは下らぬ女よ」

 

「何ですって――!」

 

背中に飛来する光弾を、防弾の原典の壁で跳ね返す

 

「……――」

 

「十字の杖――聖人の類いか。キリスト教の関係者であろうよ。奴等が崇めし者に杖を賜った者など一人しかおるまい」

 

『聖マルタ――』

 

「滑稽よな。聖人が魔女に顎で使われようとは。貴様の信奉する神も――あぁ、貴様らの神は弾圧がお家芸であったな」

 

「――ッチ。何ですって――?」

 

全員をまとめて薙ぎ払い、一息に吹き飛ばす

 

 

「圧しきれぬとは――英雄王の名は伊達ではないか」

 

「苛立たしい、本当に苛立たしいわ。その眼、吐き気がする――まるで蛇のよう。目障りだわ……!」

 

 

「――」

 

「……っち……」

 

 

「――情報の開示はこんなものか。手柄だぞ、マリー」

 

 

『いえ、全員の全貌は、独力ではわかりませんでした……』

 

いや、充分だ。ありがとう、マリー

 

 

これだけの情報――敵の真名をセイバー以外は掴んだ

 

 

――様子見は終わりだ

 

まだ、仕留める気は無い。あくまで決戦はこちらの全力を束ねてからだ

 

 

ただ――街を護るための戦いだ

 

 

――始めるとしよう

 

 

「我の流儀は知っているか」

 

『え?』

 

 

「言っていなかったな――戦闘は効率よく。消費は後腐れなくだ」

 

 

波紋を展開する

 

 

「さぁ――次はこちらの番だ――!」

 

 

 

「おぉおぉおぉお!!!」

 

 

憎悪と憤怒を形にした乱打が、盾を打ち据える

 

 

「くうぅうぅ!!」

 

「マシュ!」

 

一撃が苛烈で、重い。一歩一歩と後ずさる。盾の向こうが業火に猛る

 

一歩でも避ければ、背中のマスターが焼き尽くされてしまう――!!

 

「死ね、死ね、死ね死ね死ねェ!!」

 

狂乱のままに叩き付けられる旗。吐き出される憤怒

 

「殺す、殺す!あの金ぴか――!殺してやる‼まずはマスターから、焼き尽くしてやる――!!!」

 

「マシュっ!」

 

「大、丈夫です――!マスターは、私が――!」

 

「はぁあぁあ!!」

 

「――!!」

 

マシュの盾から飛び出し、振るわれる聖なる旗

 

 

輝き潰えぬ証の旗――白きジャンヌが憎悪を阻む

 

 

「づぅぅうぅうぅう!!」

「あぁあぁあぁあぁ!!」

 

 

つばぜり合う旗と旗。白と黒、聖女と魔女――

 

「邪魔をするな!!オマエなんてどうでもいい――!!」

「マスターは、やらせない――!!」

 

「やぁあぁあ!!!」

 

転機を見付けたマシュが突撃し、黒ジャンヌを突き飛ばす

 

「邪魔だぁあぁあぁあ!!!」

 

吹き放たれる紅蓮の業火。辺り一帯を焼き尽くす魂の具象足る炎がマシュとジャンヌを包み込む――!

 

「焼かれろ、燃えろ――塵になれッ!!」

 

「マスター!!」

 

 

「――令呪よ!マシュとジャンヌを守って――!!」

 

マスターの右手が、赤く輝き光る

 

 

「死ねェエェエ――ッ!!!!」

 

 

 

「――ジャンヌさん!!」

「はい!なんとしても!!」

 

楯と旗、霊基を強化されマスターの前に立ち、暗黒の爆炎を遮り、主を守護する

 

 

「はぁあぁあぁあ――!!」

「やぁあぁあぁあぁあ!!」

 

「無駄なことを――!!無駄な足掻きを――!!」

 

 

炎が――更に勢いを増していく。いよいよ以て破滅をもたらさんとする鏖殺の凶炎――!

 

 

「「――――!!」」 

 

 

――やられる――!!!

 

 

「――来て!!『ジャンヌ・ダルク』!!」

 

空間が青く光り、魔術回路がカルデアに接続される

 

 

顕れるのは――

 

 

「招集を此処に承りました!カルデア所属・ジャンヌ・ダルク!」

 

 

「二人を助けて――!!」

 

「はい――!我が旗よ、我が同胞を護りたまえ――!」

 

 

焔に飛び込み、高らかに旗を掲げる

 

 

 

「『我が神は此処にありて――』!!」

 

旗が光輝く

 

 

此処に奇跡を

 

 

此処にありし同胞を、あらゆる障害から庇護せし旗の輝きを

 

「――馬鹿な――!!?」

 

――かつて前線にて兵を鼓舞し、士気を高め、武具に祝福を与えた偽りなき奇蹟

 

その逸話の具現――築かれし安全圏――!

 

「マシュ!――ジャンヌ――!!」

 

「「「はぁああぁああぁあ――――!!!!」」」

 

二つの旗と、一つの盾がマスターだけでなく

 

――街そのものも守護せしめる――!

 

 

――

 

敵が己より多ければ如何にする?

 

「ぬ、ぅう――!!」

 

敵を上回る財を用意すればよい

 

 

己より強い者がいれば如何にする?

 

「くぅっ……!!」

 

相手が苦手とする財を用意すればよい

 

 

己が技量が劣るなら如何にする?

 

「くっ!」

「この……!」

 

――多寡を覆す用心と、圧倒的な質量で押し潰せばよい――!

 

 

ギルガメッシュが攻勢に移った途端に、四騎のサーヴァントは反撃すら許されぬまま防戦一方を余儀無くされていた

 

己を捕捉した波紋から無数の『致死の武器』が飛来してくる。一撃当たれば霊基を砕かれる最悪の相性の武具達が

 

洗礼されし聖なる剣が

 

騎士を葬る刎頸の鎌が

 

邪悪を裁く至聖の槍が

 

神を冒涜する呪詛の弓が

 

――過たず飛来する。一撃もその身に被弾は許されない。当たるときが絶命の刻。霊核を砕かれ、現世より退出する時だ

 

一撃たりとも被弾は許されぬ死の雨が、バーサークサーヴァントを襲い続ける

 

「どうした?たかだか一人十の宝具も開帳しておらんぞ?上手くかわさぬか」

 

 

こちらも攻撃を緩めない。対応に追われる隙を見逃しはしない

 

「こちらは何もせぬとでも思ったか――!!」

 

 

ハルバードを縦横無尽に振り回し、徹底的にランサーとアサシンを切り裂いて行く

 

距離を離すセイバーとライダーには砲門を向け、近付けぬよう徹底的に牽制する

 

連携を寸断された敵など烏合の衆だ。恐れるに足りない

 

――ならば、念入りに戦闘不能に追い込むのみだ

 

 

ランサーの右手を吹き飛ばす

 

 

「ぐぬっ――!!」

 

アサシンの仮面が砕かれる

 

「っち――!!」

 

 

セイバーとライダーは回避に手一杯だ

 

 

「「――!!」」

 

多対一など、最早なんのハンデですらない

 

 

「ふはははは――!!蹂躙するとはこういう事よ!!」

――――容赦はしない。なんとしても退いてもらう

 

――この戦場は、最早完全にギルガメッシュが支配していた――

 

 

 

「はぁ、はぁ……はぁ……!」

「っ……!」

 

肩で息をするマシュとジャンヌ

 

「大丈夫!?」

 

マスターは、無事だった。令呪を使用し、限界まで守護を高まらせたのが功を奏した

 

「――お疲れさまでした、皆さん!」

 

 

カルデアに帰還するジャンヌ

 

ちらり、と、ギルガメッシュを見やりながら

 

「彼も、大丈夫なようですね」

 

微笑んで、消滅していった

 

「……まさかもう一人召喚できたなんて……全く。全く以て不愉快です」

 

ガン、と旗を突き立て吐き捨てる黒き魔女

 

「……興が削がれました。こんな街――どうでもいいわ」

 

ワイバーンを呼び出し、跳躍し騎乗する

 

「――あなたたちの惨めな健闘に、嘲笑を。よく頑張りました。あの金ぴかだけのようですね、厄介なのは」

 

 

大空へと飛翔するワイバーン

 

 

「――さようなら……虚仮にしてくれた礼は、必ず返してやる――!!」

 

 

そのまま、姿が見えなくなるまで……時間はかからなかった

 

 

――

 

「あちらも終わったようだな」

 

 

霊基をズタズタにした頃合いに、魔女ジャンヌの撤退を感じとる

 

「そら、敗走だぞ、尻尾を巻いて逃げるがよい。それとも――ここで無駄に死ぬか?」

 

 

「――情けをかけるか、下郎……!」

 

「無様に遁走せよ。そして小娘に伝えるのだな」

 

「『貴様の育ての親』に慰めてもらえ、とな」

 

「――この屈辱……忘れぬぞ……!」

 

「赦さないわ……必ず、貴方のマスターを糧にしてあげるから――」

 

次々と霊体化にて消えていくサーヴァント

 

……無事に、戦闘を完遂したようだ

 

 

『いやぁ!信じられない!本当に4騎に退かないなんて!』

 

『お疲れさまでした、英雄王……本当に』

 

「肩慣らしだ、案ずるな。……それよりも」

 

 

「おーい!ギルー!」

「英雄王ー!」

 

 

「――褒めるなら、奴等を褒めてやるがいい」

 

 

――初戦は、無事に乗りきった

 

胸に、安堵と――僅かな高揚があった

 

 

 

 

 

「――素敵、素敵!なんて素敵なのでしょう!まるでおとぎ話の勇者のよう!」

「一人滅茶苦茶なやつがいるなぁ……本当に会うのかい?」

 

「もちろん!お話ししたいわ!仲良くしたいわ!」

 

「だって――私の宝を、護ってくれたのだもの!」

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