「私はフルハウス。ううん、負けてしまいましたね」
「ネフェルの仇はワタシが討つ!マリー!ロイヤルストレートフラッシュ!」
「まぁ!凄いわ、シャナ!最高の手ね!」
「さぁ、式ちゃんの手は~?」
『ふふ、惜しいわね。ファイブカードというのね?これは』
「負けた~!?さ、流石は式ちゃん・・・!何でもできるスーパーお姉さん!」
『ありがとう。あぁ、本当に楽しいわ。次は何をしましょう?』
「ラーメスから貰った、人生ゲームというのもあるわ」
「民の生活を味わえるゲームね!私は好きよ!宇宙飛行士になりたいわ!」
「じゃあじゃあ、その次はフォウメンコやろうよ!フォウが、裏返る!フォウが!裏返る!」
『ふふっ、フォウくんの事になると本当に楽しそうね。エアちゃん』
「もちろん!フォウ大好き!式ちゃんは?何かやりたいことある?」
『そうね・・・私は――』
「!・・・あ、ごめんね皆。ちょっと行ってくる」
「まぁ、誰かから呼び出し?」
「うん、ちょっとアンデルセンさんとお話ししてくるね」
「気を付けて、シャナ。また続きは後で」
「ヴィヴ・ラ・フランス!チーッス!」
「ちーっす!ネフェル、マリー、式ちゃん!また後で!」
『行ってらっしゃい。転んじゃダメよ?』
「成る程。お前が英雄姫。英雄王が上機嫌な要員、この物語の中核だったというキーワードか」
書斎にて、エアの入れたコーヒーを飲みながら机を挟んで対面するアンデルセン
「はい。『あなたの為の物語』を書き上げてくださり、本当にありがとうございました」
頭を下げ、お礼を告げる。――かの『冠位』に至れたのは、アンデルセンの宝具の要因が極めて大きい
『完全に書き上げた宝具は、対象者を望みの姿とする』。この効果を主軸に、さまざまな宝を使用し、あの力を手にするまでに至れたのだ。この人の創作の手腕なくば、この結末は有り得なかった
「礼などいらん。俺は仕事を果たし、お前は出来上がった作品を受け取った。読者と作者との関係はそれだけでいい。作者に価値なんぞ無いが、作者が産み出した作品には価値が生まれる。お前は礼を告げるのではなくこう言うべきだ。『さっさと次のハッピーエンドの布石を作れ』とな」
「いいえ。作者なくば物語は生まれない。作者と読者に隔たりがあろうとも、一つの作品を元に心を繋ぐことは、けっして不思議な現象ではないと信じております。――ですから、お礼を告げさせてください」
アンデルセンの痛烈な皮肉などどこ吹く風。笑顔と感謝を語らせれば、エアの右に出るものはいない
「――敬愛と感謝。お前の見つけた答えがそれか」
「はい。これが、私の懐く大切な指針です」
それを聞いたアンデルセンはしばし考え込み、やがてとあるものを取り出す
「それは――」
それは、かつてのロンドンにて英雄姫が書き上げた、一枚のファンレター
英雄王にロンドンのアンデルセンが渡し、保管させ、また手にしたものである
「愛読、感謝しておこう。いつもなら皮肉の一つも告げてやりたいところだが、愛読者の言葉を無下にするほど俺も腐っちゃいない」
その封筒を空け、中身を取り出し
「悪いが、お前の魂に見合うものなぞ持っていない。そんな目で見られても俺にお前がしてやれることはこれくらいだ」
『名無しの封筒』にペンで直筆のサインを書き
「そら、持っていけ。姫の憧憬にこんなものしか返せないのが物書きという人間だ。精々失望するがいい」
その中に『愛用のペン』を入れ、エアに手渡す
「――よい、のですか・・・!?」
目を白黒させるエア。だって、作者にとってこれは・・・
「構わん。それは書き終わった筆だ。脱稿するまでそれ一つで書き上げた筆、お前に持っていてもらう方が冥利に尽きると言うものだろう」
サインはおまけだ、と笑うアンデルセン。どうせ破棄するならばくれてやる、とも
「基本俺は人間嫌いではあるが、お前は多少風変わりしているからな。サービスくらいはしてやるさ。・・・英雄姫といったな」
「は、はい!」
眼鏡を上げながら、アンデルセンは真摯に告げる
「お前に読まれるのを心待ちにしている物語がある。お前に何かを受け取ってもらうのを楽しみにしている物語がある。お前と共に在ることで紡がれていく物語がある。それを忘れるな。お前は読者であり作者。学びながら、誰かを惹き付ける特異な存在だ」
「――・・・」
「お前を待っているものは数多ある。それを忘れず進むといい。お前という物語は、一冊で終わらせるには惜しいものだ。つぎなる物語をどうするかは・・・お前自身が決めていけ」
それは、アンデルセンの指針と、人生のアドバイスだ
『生き方は、自分が決めるもの。満足せず進め』と・・・歩み、紡ぐものへの激励であった
「――はい。アンデルセンさん」
「よし、言いたいことは言った。仕事の時間だろう?あくせく働かせてこい。また暇なら本の一つも書いてやろう」
「いいんですか!?」
「あのメロン峠とは筆のノリが違うからな。扱き下ろしができないのが残念だが、たまには歯の浮くような結末というのも悪くない!何よりお前とソイツの物語は悪くない!何を書こうと、何を描写しようと説得力が後から付いてくるのは良いものだ!」
それだけを告げ、手を振るアンデルセン。その顔は、楽しげに笑っていた
「あるがままに生きろ。面白おかしく記してやる。――それが許されているうちは、ただ進め。かけがえのない人生を歩み、俺のネタになるがいい。独占記事の一つ、また書いてやらんこともない」
「――はい!アンデルセンさん!」
もう一度、深々とエアは頭を下げ、静かに部屋を出たのだった・・・
「・・・春を擬人化したようなものだな。まったく。魔神どもも骨抜きにされるは詮無き事か。・・・だがそれはそれで問題だな、次は誰がアレらに立ち塞がるのか・・・やはりあの性悪クラスでなくては・・・」
ぶつぶつと筆を走らせ、笑うアンデルセンの執筆は止まらなかったという――
「~♪」
《よもやサインと筆まで渡すとは。かの毒舌もお前の前には形無しであったな》
愉快げに英雄王が封筒と筆を見つめる。エアの傍にいたのを、アンデルセンは気付かなかったようだ
「本当に、素敵な事ですね!きちんとお礼を言えるって!」
《うむ。労働には労いが必要だ。それを読者から告げられたのだ、さぞ光栄であろう》
「英雄王。外出許可をいただき、ありがとうございます!さぁ、ワタシ達の労働に向かいましょう!」
笑顔を絶やさず、スキップしながら歩むエア
《フッ、我等の日常に退屈は無縁だと言うことを示さねばならぬからな――!》
「はい!後でフォウとエルキドゥさんにも自慢して、マリーやネフェル、式ちゃんやアルトリアにも――」
二人の、賑やかな毎日は紡がれていく――
山の翁 霊廟
【礼を言う】
「変わらぬ本拠地、か。少しばかり遊び心を入れてもよいのではないか?」
【怠惰、堕落、劣化は忌むべきもの。俗世の欲徳は我が身には不要なり】
「厳格な事よ。初代の名は伊達では・・・」
その時、インターホンが鳴らされる
『じぃじー、いるー?』
【何用だ】
――あっ、きちんと対応の設備はあるんですね
「中々にシュールよな」
巴 最新鋭ゲーム環境完備部屋
「こ、これを巴全てが!?よいのですか!?」
「うむ。古今東西あらゆるゲームを取り揃えた。存分に楽しめ。我は、あらゆる欲望を肯定せし王である!」
「あぁ、巴は感激しております!本当に、ありがとうございます!」
「ただし課金は3000迄とする!」
「なんと――!?」
――ソーシャルゲームへの制約がとても厳しい!?
風魔小太郎 オリエンタル・メンテナンス・ルーム
「僕にまで、こんな・・・ありがとうございます。精一杯、頑張ります」
「これといった装飾もないが構わぬのか?」
「はい。静かに、穏やかに。日がな一日武器のメンテナンスが出来ていたなら、僕は幸せですから」
「身体に見合わぬ謙虚さと覇気のなさよな。だがまぁよい。貴様の素質は本物だ。精々役に立つがいい」
「はっ!では、お近づきの証に、クナイを一つ・・・」
「・・・やはり武具を重んじるのだな」
マーリン ガーデン
「やあ、ありがとう。私の願いまで叶えてもらえるとは光栄だ」
「我が召喚に応えたのだ。それなりの自由はくれてやる。あまり面倒ごとを起こすなよ」
「勿論さ。ロマニの件は、嫌な事件だったね。それにしても・・・ふふっ」
「・・・?」
「いや、失敬。似ているなぁ、君達は」
「君達?我とエアの事か?」
「その通り。『誰もが望むものを、あっさりと手放す』贅沢ぶりがね。不老不死、全能。誰もが追い求めるものを打ち捨て、本当に大切なものを手に入れた。――その選択に、華の祝福を。その果てに導かれた旅路が、これからも続くことを祈っているよ」
「フン、貴様に祝われるまでもない。――が・・・」
《下らぬ処で我に似おって。真理に至ったのはいいが、水浴びに夢中になりすぎるなよ?》
――はい!えへへ、嬉しいです!英雄王に似ているなんて!これからも、よろしくお願いいたしますね!
《――成る程。これが子の成長を見守る、というヤツか・・・》
ケツァル・コアトル リング
「自室にリングがある・・・!カルデア最高デース!グラシアス、英雄王!いつまでも退屈しないわ!」
「構わぬが、相手は自ら探すのだな。人形や作り物など肩慣らしにもなるまい」
「もちろん。その為に・・・」
「待っていたわケツァル!さぁやるわよ!女子力を極めるんだから!メイヴパワー、見せてあげる!」
「挑戦はいつでも受け付けてマース!王様のウルクアーツ、いつか見せてくだサーイ!」
「フッ、無様に地を舐めたいのなら止めはせぬぞ?」
――女子力、今度辞書で引こう・・・
エレシュキガル シックでモダンな執務室
「ありがとう。あなた、本当に別人みたいね。こんなマイルームまで用意してくれるなんて」
「妥協は許さぬまでの事。我は己に対して満足のいかぬ仕事は行わぬ。それだけの話よ」
「ふぅん・・・――エアに格好いいところ、見せたいんだ?」
「ぬ――」
――もう充分かっこいいのに、まだ上を!?流石です!やっぱり英雄王は凄いです!見ましたかエレちゃん!これが、ワタシの敬愛する英雄王です!
(うわぁ、尻尾をふりふりするわんこみたいなのだわ・・・これは確かに、へまは出来ないわね・・・)
「それはまぁ、ともかくとしてだ。責務は忘れ、しばらく羽根を伸ばすがいい。マルドゥークもそれを望んでいるぞ」
『SORENA』
「ありがとう。あ、じゃあ紅茶を飲まない?素敵な銘柄も取り寄せて、お菓子もあるから、一息つきましょう?」
「お菓子と聞いて」
「テンネンアザトイフォウ!」
――エルキドゥ!フォウ!
(お疲れ様エア!これからも頑張ろう!)
――うん!
「気楽なものよな。だがまぁいい。ゆるりと過ごすか・・・」
メドゥーサ(ランサー)形のない島
「ありがとう、ございます・・・」
「声がちいさーい!」
「ありがとうございます!」
「構わぬ。蛇同士、仲良くやるがよい」
「可憐、可憐です・・・なんと可憐な・・・」
「めどぅーさ、なんか、へん」
「はっ――!?こほん。分からないことがあったら、私に」
「ありがとうございます。大きい私」
「大き――」
「ふふ、自分に事実を突きつけられるのは残酷ね。でも、耐えなさい。こんな時間、此処にしか無いのだから――」
「かつてのように迫害の目はない。いつまでも、流れる時を噛み締めるのだな」
ジャガーマン 道場
「はい来た!私の固有結界!まさに実家のような安心感!ここにー。体を真っ二つにされたりー、人形にされたりー、どろに呑まれたりの生け贄が集まるんだニャー・・・ハッ!?」
「なんだ騒々しい。まだ何かあるのか」
「たりねぇものにジャガーは気づく・・・右枠!なんか!足りない!ブルマが足りない!これでは私のジャガー突っ込みが冴え渡らないじゃねーですか!?ジャガー、アイディンティティー・クライシス!カレーライスにライスがなきテスカトリポカ的所業!!」
「はぁ――せいぜいそれくらいにしておけよ、ジャガーマン・・・」
――これが、野性・・・
ブーディカ かつての部屋
「ん、ありがとう。王様。これで私は、忘れない」
「それは、幸福な記憶か?ローマへの憎悪か?どちらだ?」
「どっちも、かな。でも、どっちも抱いて、私は『こっち』を選んだ。だから――最後まで、私は『こっち』でいたいから、ね」
――ブーディカさん・・・
「あはは、辛気臭いのはナシナシ!せっかく来たんだから、何か食べる?ガレット、美味しいよ?」
「貰ってやるか。うむ、これぞ役得というヤツよな!」
――どうか、穏やかな時間を・・・
パールヴァティー お屋敷
「ありがとうございます。私の中の少女が、どうしてもと・・・」
「ふむ。どんくさいようでけして己を譲らぬ女であったか。――あまり言及は避けるか。貴様の面貌を見ていると背中が気にかかるのでな」
「風邪でしょうか?怖いですね・・・よもやそこま、なんてならないように気を付けてくださいね・・・?」
「えぇい、確信犯か貴様――!!」
――いったい王と彼女に、どんな確執が・・・?
アストルフォ・シャルルマーニュ プール&焼肉シャルル
「やっふぉーう!!ばたふらぁい!!」
「ありがとよ、英雄王。自慢じゃねえが俺は泳ぎと焼き肉に目がなくてな。暇がありゃ泳いでたし、会議にはいつも焼き肉食ってたのさ」
――物凄くフランクな集まりなのですね、十二勇士!
「偉人に数えられし者の意外な一面よな。確か、娘も溺愛していたそうだな?」
「おう!目に入れても痛くねぇってのは本当だぜ?結婚の相手の条件は『俺より格好いい』ってことだ!身分も役割も問わなかったんだが・・・誰一人、娘をもらうこたぁ無かったなぁ・・・」
――カール大帝より魅力的な方を問うのは大変、いえ、不可能なのでは・・・?
「まぁそんな訳で!俺は焼き肉が大好きな訳よ!お疲れさんだ、じゃんじゃん食べてくれ!任せろ、格好いい俺の奢りだ!」
「豪奢なことよ。ならば早速――」
「あ、ボクも食べる食べる!シャルルの焼き肉すっごくおいしうひゃっ!?」
瞬間、アストルフォの首に剣が突きつけられる
「焼き肉食いてぇならマナーは護れ。王の御前だ、ダセェ真似はすんじゃねぇ」
「わ、解ったから!もう、すぐ焼き肉の事になると怒るんだからなぁ!」
「ったく、悪い悪い。じゃ、まずは何から行く?片っ端から焼いてやるぜ!格好いい肉の焼き加減は任せろ!」
――フランクさと威厳。これが、シャルルマーニュという王・・・
「中々に特異な王よな貴様は(もぐもぐ)」
「自分でも向いちゃいねぇとは自覚してるんだがなぁ(もぐもぐ)」
「ボクの分!ボクの分残しといてよ――!」
・・・そんなこんなで
今回の改築もまた、恙無く完遂されましたとさ
「次は民間用にシェルターを手掛けねばなるまい。20人余りの家族程度手間ももかからぬが、組織に狙われぬうちに保護しなくてはな」
――オルガマリーと百貌のハサンの皆様にて回収を迅速に終わらせ、シェルターに保護するべきでしょうね。三日ほどあれば完遂するかと
「うむ。カルデアの地下空間も検討するか・・・む」
――?
「・・・エア、代わってやろう。楽しむがいい?」
――え?楽しむ?
マイルーム
「ただいま~・・・」
「お帰り~!」
「!?」
「ごめんなさい、不躾にこんな・・・」
「マスター、マシュに、オルガマリー・・・?」
「ここを女子会の地とする!」
「先輩と皆で話したんです。英雄姫さんの歓迎の挨拶を、きちんとやりましょう!と」
「あなたがいてくれたから、ギルは私達の味方であってくれた。あなたの存在なくして、人理修復は有り得ませんでした」
「皆・・・」
「間に合ったかな!?大丈夫だよね!?」
「ギル君が招いたんだ、もっと余裕を持ちなよロマニ」
「はい~♥買い出しもばっちりでーす♥」
「せっかく未来を取り戻したんだから、皆でパーっと騒ごうよ!そんなわけで歓迎会!私達のお姫様、ギルガメシアちゃんとパーティーだー!」
「――・・・」
《何恥じる事はない。称賛と好意は受け取っておけ。事実なのだからな》
(あぁ。ボクは、こんな日を夢見て、待ち望んでいたのさ)
「皆・・・――っ・・・はい!喜んでお受けいたします!」
「よーし!注げ注げ~!コーラとビールで乾杯だ~!」
「ロマニ、音頭を取りなさい」
「僕ですか!?じゃ、じゃあ・・・僕たちの、長い長い旅の締め括りと、姫様の尊さに、乾杯!」
「「「「「「「「かんぱ~い!!!!」」」」」」」」
打ち鳴らされる、器の快音
《ようやくまともな交流が叶ったか。長いようで一瞬なものであったな》
(たった半年で、こんなに尊くなれるのか・・・あぁ、素晴らしいよエア・・・)
《試練は乗り越えるもの。その報酬がこれならば、完膚なきまでに蹂躙した甲斐があるというものだ――》
笑顔に満ちたパーティーを眺めながら、王と獣は細やかに酒を酌み交わした――
どのキャラのイラストを見たい?
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コンラ
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桃太郎(髀)
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温羅(異聞帯)
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坂上田村麻呂
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オーディン
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アマノザコ
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ビリィ・ヘリント
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ルゥ・アンセス
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アイリーン・アドラー
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崇徳上皇(和御魂)
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平将門公
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シモ・ヘイヘ
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ロジェロ
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パパポポ
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リリス(汎人類史)