人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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――英雄王。月、とは心を狂わせる、といった言い伝えも伝承されていた、筈でしたね?


《うむ。月とは狂気の具現と定義されることもままある。それに依って堕ち果てた者も数知れぬ。――何か思うところがあるか、エア?》

――この騒動は、自らも他者も狂っているのだとしたら・・・

《――ほう?》

――自らの動機も狂っており、その為に、英雄の皆も狂わせた。お団子と月見を名目に他者も狂わせ、そしてワタシ達を、マスターを呼び寄せるためにこの騒動を演出した・・・

(ほうほう。いよいよ真相に近付いてきた感じがあるね!)

――自らを律する侍、聖人ですら物欲に狂わせるその御業・・・それはまさに――

《『神』の所業――フッ、真理此処に至る。最早実像はヤツしかおるまい》

――はい!あとは目的です!一体、どんな目的でお団子を奪ったのか!それを直接問い質さねば――!

カルデア

「落ち着け姐さん!暴れんな!暴れんなって!」

「離せ!離せー!私はいつだって子供の為に、子供の為に――!」

「発作ですか、アキレウス」

「先生も止めてくれ!ヤケになっちゃ何にもならねぇだろが!」

「何故私はこうも、試練ばかり・・・!アルカディア越えとはそう言った意味では無いのだ――!!」

「ノブブ、ノブ」

「ノーッブゥ!」

「ノブぅ!ノブブ!」

「どうじゃ童ども!わし、わし、わし、わしによる先鋭的バンド、全部ノブ!ロックじゃろ!ロックじゃろ!」

「ぐぬぬ、ロック・・・!ケルト的に侮れませんね・・・!」

「ものすごく騒がしいけれど、ものすごく楽しいのだわ!」

「かいたい、したくなる!」

「にぎ、やか」

「そうじゃろそうじゃろ!涙も焼けるこのソウルを!そなたらも感じるのじゃ!イェーイ!!」


「泣き止んだか・・・何よりだ」

「後は、落とし前だけかね?」

「ほーらネフェル、手品するよ~」

「まぁ・・・!」

「――フッ・・・」


憎悪と憤怒に匹敵するもの

「ウオォオォ、団子ォオ!!練ロォオォオ!!!!」

 

 

月下のフランス、とある荒野にて。月に愛されし皇帝、恐ろしき雄叫びがおぞましくも高らかに響き渡る

 

その名は、カリギュラ。賢帝と暴帝の両面を持ち、人類史に刻まれしローマ皇帝。まぁ偉大なローマ

 

「ふむ、そちらもローマに相応しき健啖ぶりだな。うむ、気持ちと動機は大いに理解できる!この、情熱の籠った団子!丸く、つるりとしていながらもっちりとした食べごたえ!うむ、うむ、素晴らしい!」

 

その隣で舌づつみを打つのもまたローマ。帝政の基礎を作り、その名を轟かせし偉大なるローマ、カエサルである。自動洗濯機の如く団子を次々と口に放り込み、団子を満悦する

 

傍らには大量、それこそ山のような団子が積み上がっている。これはまさしく、カルデアからの盗品。王の所有物にして、じゃんぬの憎悪と情熱の結晶に他ならない

 

「ウォオォオォオォオ、DEBUゥウゥウゥウゥウ!!!」

 

「デブではない、ふくよかなのだ!しかし、クレオパトラめも召喚されていないのは残念だ。些か以上にな。アレと見上げる月は、団子はさぞかし輝いただろうに・・・」

 

大量に積み上げられた団子、それらすべては即ち、本命の獲物・・・

 

 

遠方にて千里眼を使用し捉えたギル。その様子を告げ、話し合う

 

「あの連中に言葉の刃で語り合うのは止めておけ。アレはその弁舌にてローマを動かした男。同じ土俵に立っては勝ち目はあるまい」

 

王の忠告に、素直に頷くリッカ。言葉で仲良くなるならともかく、人を言い負かすことに関しては流石に英雄を出し抜く程には至っていないのである

 

『ギルの言う通りよ。彼の弁舌は一種の精神攻撃。証券の話をしていたらいつの間にか判子を押していたレベルの巧みな会話術。仲良くなるならまだしも、言い負かしあいは諦めなさい。ことカエサルさんは、自分が損になるような迂闊な真似は絶対に無いわ』

 

オルガマリーもそれを後押しする。講師の一人にてボキャブラリと扇動の腕前を知っているからこその忠告であるのだ。下手をすると、剣よりも厄介よ、と経験者は語る

 

「実害あり?」

 

『壺をいくつか・・・い、いえ。とにかく今回は相手が悪すぎるわ。カリギュラ帝に会話は通じる筈もないから、今回は野蛮に行きなさい』

 

「ふはは、弟子の言葉は含蓄に溢れているな。聞いたなオルタよ。力付くと問答無用は得意であろう?聖女から分かたれていようともそう変わらぬはずだ。存分に焼き払ってやれ」

 

「ムカつく!その言い方凄くムカつくわ!事実だけど!・・・いいわね、リッカ」

 

頷き合うリッカとじゃんぬ。今回は、舌よりも剣である

 

「行こう!ゲリラ作戦開始!せめて、せめて正面突破で!」

 

――挨拶は大事ですからね。とても大事です。戦争にもルールはあるのですから

 

(破ったら負けた時怖いからねー。ま。負けないけど!)

 

《なに、対応できぬ不手際こそ責められし手落ちなのだ。では、正当なる奪還と行くか》

 

三人は、団子を口にせし二大皇帝の前に躍り出る!

 

 

「そこまでよ!!そのお団子は、私が憎悪を燃やして作ったもの!あんたらなんかにあげるものじゃないのだから食べんな!!それとローマ関係無いから!!」

 

旗を掲げながら正当なる権利を主張するじゃんぬ。その言葉の一部にカリギュラが反応する

 

「――?ローマでは、ない?ローマは・・・・・・団子では、ない・・・だが、偉大なるカエサルは、丸い・・・これは・・・どういう事だ・・・?」

 

「どうもこうもない!私と円形のものを重ねるな!・・・幸福な食事を邪魔しおって。面倒だ。実に実に面倒だ」

 

やれやれと首を振るカエサル。油断なく距離を詰めるリッカにじゃんぬ。変わらず月を見上げる英雄王

 

「だが、やはり現れたか。諸君らの目的はこれ、この月見団子であろう」

 

「横領か?皇帝よ」

 

「うむ。これはな、私が悪鬼のごときライダーからうまいこと横領せしめたものではあるが・・・」

 

(横領って認めましたね・・・ギルティじゃない・・・)

 

(完全に確信犯だった!)

 

(良いでしょう。焼くのに躊躇いがなくなると言うものです。――リッカ。このデブの始末は私に任せてください)

 

(手があるの?)

 

(えぇ、ルール無用の残虐ファイトは望むところです)

 

ニヤリと邪悪に笑うじゃんぬに気付かず、カエサルは謳う。そのままひとまず、会話を促す

 

「それには正統な理由があるのだ。どうだろう、耳を傾けるかな王御一行よ。いや聞くだろう。なにあろう万人が聞き惚れるとも!この私の、価千金とも言える演説なのだから!」

 

「わーたのしみですねー」

 

「では語ろう。自己紹介も兼任しつつな。私こそ噂に名高いローマの花、深紅の剣士赤セイバーである!」

 

――ぷふうっ――!!

 

そのあまりにもあんまりな名乗りに噴き出してしまうエア。ネロとはこう、豊かさとまろやかさのベクトルがまるで違う。重ねるのはなんというか、とてもかわいそうである

 

「有り得んッッッッ!!!」

 

狂気を振り切ってまで断言せしネロガチ勢カリギュラ。カエサルの欺瞞に満ちた物言いを断罪する。

 

「むぅ、ダメか。わりといけると思ったのだが。そしてカリギュラよ、お前もか」

 

しゅんとするカエサル。カエサルが丸まる。丸いのに更に

 

「まぁよい。話の続きをするとしよう。私は肥沃なるこの土地にて、美味しい匂いに出会った。であれば――」

 

 

本来なら、ここで勝敗はほぼ決している。カエサルに弁舌を振るわせた時点で、一方的に判子を押す運命は決まったようなものだ

 

「――――」

 

英雄王もじゃんぬとリッカの奮闘を愉しむ方向にシフトしている為、無粋な真似はせず見守っているが故に、対話と言うテーブルにて此方に勝ち目はない

 

勝ち目の決まった戦い。だが――

 

 

『いい?カエサルさんはまさに口八丁手八丁でこちらを丸め込んでくるわ。それは敵対でも友好でも同じこと。いつの間にかこちらは負けているのです、でも、それ故に単純明快な真理は変わらないわ』

 

オルガマリーの言葉を、思い返す

 

『その変わらない真理、それは――』

 

 

「ああっと炎が滑ってしまいました――!!!」

 

うっかり手と炎が滑ってしまい、カエサルに業火が着火し燃え上がる。大炎上!炎のセイバー!とキャッチコピーが浮かび上がりそうなくらいによく燃えてある。東方の空くらい燃えている

 

「なんとぉおぉおぉお!?馬鹿な、ここからは私の詐欺タイムの筈では――!?」

 

「くくっ、ふははははははは!!!」

 

王もその痛快なちゃぶ台返しに声を立てて大笑いする。――詐欺のテーブルを、通快に蹴飛ばしたじゃんぬに笑いながら

 

そう、じゃんぬは更々会話を聞くつもりなど無かった。目的は団子、返すか返さないかに帰結する所有権の問題だ。問答など何処にも余地はない

 

オルガマリーの忠告通り――

 

 

『彼の弁舌は、『自らが得をし、相手に損をさせる』に終始しているわ!話す気がないのなら、対話のテーブルごと蹴っ飛ばしてやりなさい!』

 

不幸にも、交渉決裂を押し通す。幸い、じゃんぬは自分ならそれが出来ると確信している

 

何故なら――

 

「ごめんなさーい。事故です、事故。事故で手から炎が溢れてしまいましたー。反省してまーす」

 

自分は悪を成す反英霊。リッカの言葉しか聞き入れないアヴェンジャーなのだから――!

 

「おぉお、燃える!燃える!脂肪が燃える!クレオパトラの提唱していたダイエットとは大分違うな!痩せるとは苦痛を伴うものであったのか――!!」

 

ごろごろとのたうちまわるカエサルに、中指を立てながらてへぺろを行うじゃんぬ。勢いは弱いが継続的に燃える火焔だ、しばらくそのままだろう。――カエサルは無事無力化された。ならば次は――

 

「焼きDEBUゥウゥウゥウ!!転がりDEBUゥウゥウゥウ!!!!」

 

理性を失い(?)猛り狂うカリギュラのみだ・・・!

 

「吠えている暇があるなら消せ!戦え!助けよ!高速消化など面倒だ!実に実に面倒だ!」

 

「ウォオォオ!!自業自得ウォオォオォオォオ!!!」

 

「カリギュラよ、お前もか――!!!」

 

どちらもどちらだが、取り合えず戦うカリギュラ。そんな展開も織り込み済み、じゃんぬが戦闘体勢に入る

 

「ようやくこの戦いも終わるようですね。実に長かったです。――よいですね、リッカ」

 

止める理由はない、と言うようにウィンクするリッカ。団子に金箔を塗っている英雄王、ほふほふとハムスターめいて貪るフォウ

 

「――行きます!」

 

大義は我にあり。カリギュラに真っ直ぐ相対し戦いを始める――!

 

「ウォオォオォオォオ!!女神ディアーナが、許したもうた!食い倒れウォオォオォオォオ!!!」

 

躍り出るカリギュラの狂気が宿る四肢。肉を裂き骨を砕くその拳や脚を――

 

「るっさいのよっ!!」

 

一つの拳に狙いをつけ、クロスカウンター気味に殴り返す。筋力A+の力を利用した理性ある技術に殴り返されるカリギュラ。岩に全身を叩きつけられる

 

 

「ガハァッ――!!!」

 

ベッ、と唾を吐き捨て、旗を振るい掲げるじゃんぬ。ニヤリ、と笑い勝利を確信しながら

 

「全てのクラスに対応したじゃんぬ戦術、そのバーサーカーバージョンを御見せしましょう」

 

旗を振るい、左手を口に近付ける。その手に積もりしは――

 

 

――灰、でしょうか?あれは・・・?

 

もぐもぐと団子を食べる王とフォウ、戦況を見守るエアが怪訝さを見せる

 

「さぁ、現れなさい。【ピエール・コーションズ】!」

 

ふうっ、と灰に息を吹き掛け吹き散らす。辺り一帯に漂った灰を叩き起こすかのように、踵にて大地を踏み鳴らす。それに呼応せし灰が、形を成していき――

 

「ヌゥウ!?」

 

「これって――!?」

 

カリギュラの辺りを取り囲むように、灰が人の形を取る。灰の中に燃え盛る炎を押し込み、さながら不出来な屍として再現せしそれは――

 

 

【【【【【【タスケテー、タスケテー、タスケテー、タスケテー】】】】】】

 

煉獄にていたぶった、生前ジャンヌを焼いた司祭、ピエール・コーションの灰人形である――!

 

「さぁ、行きなさいピエールども!私に再び焼かれたくないのなら!再び私と地獄に落ちたくないのなら!」

 

【【【【【【タスケテー!!!】】】】】】

 

魔女の咆哮に恐慌に駆られ、助けを求めるかのようにカリギュラに殺到するピエールたち、の真似をする灰人形

 

「これは――!?」

 

「一歩も動かず敵を倒す便利な技です。見ていなさいリッカ」

 

ヤンキー座りにて経過を見守る姿勢となるじゃんぬ。その言葉通り――

 

「ラァアァアァアァア!!!」

 

力の限り振り払い、ピエール二匹を打ち倒す

 

「――かかったわね」

 

悪辣に笑うじゃんぬ。その真意と連動し――

 

【【タ、タスケッ――】】

 

打ち払われたピエールの灰が、真紅に呼応し・・・

 

「ヌグゥッ――!?」

 

【【タスケテ――――――――!!!!!!!】】

 

灰の中に詰め込まれていた火焔が、大爆発を起こす――!

 

「ヌグゥウアァアァ!!!?」

 

サーヴァントへの致命傷には至らない、いや、至らせない程度の弱い殺傷力。そう調整された爆発がピエールの灰にて巻き起こる

 

そう、これはじゃんぬオリジナル戦術。対ストレス用に編み出したピエール爆発戦法

 

「自らが焼いた灰に火焔を吹き込み擬似的な人形として起動させ敵に差し向ける。火炎にて駆動するその人形どもは刺激に極めて脆弱が故即座に崩れ去る。――刹那の衝撃に反応し、辺りを巻き込む爆発を遺し、な」

 

王が金箔団子を貪りながら解説する。フォウは飛び散る火の粉が毛に燃え移らないよう飛び跳ねている

 

――あの炎は宝具のもの!じゃんぬさん、こんなに応用を利かせられるのですね・・・!

 

じゃんぬの戦術や戦法の巧みさに舌を巻くエア

 

本来ならば、このような稚拙な人形などサーヴァントには及ぶべくもないだろう。距離を取るなり、振り払うなりすればいいからだ

 

だが――バーサーカーは違う。自らに襲い掛かる障害は排除するしかない。排除しか出来ない。だからこそ――

 

【【【【タスケテ――――!!!!】】】】

 

大爆発、大火焔がカリギュラを焼く

 

「ヌグググググゥウ!!!!」

 

【【【【タスケテー、タスケテー、タスケテー】】】】

 

じゃんぬが燃やした数だけ灰は生まれ、炎は補填され、新たなピエールボムが生まれる

 

排除、爆発、生産、排除、爆発、生産。その独り善がりの一人相撲を繰り広げるカリギュラを、嘲笑うじゃんぬ

 

「ふふふ、野蛮な畜生と私腹に肥えたブタの滑稽な躍りですね。さぁ、決めてしまいましょうか」

 

「じゃんぬ・・・カッコいい!!なんかこう、手段を選ばない、って感じで!」

 

リッカの称賛に顔を赤らめながら、左手に全てのピエール達の火焔をコントロールする心火を浮かばせる

 

【【【【【【【タスケテー!!!!】】】】】】】

 

救いを求めるピエールが、カリギュラに殺到する。単純に灰の数だけ現れるピエールに押し込められるカリギュラ。単純な熱量にも押し潰される

 

「ヌグググググゥウ――――!!」

 

「さぁ、爆散させましょう。おさらばです」

 

それを見たじゃんぬは、左手に握る心火を――

 

【【【【【【タ、タスケッ――】】】】】】

 

「『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュヘイン)』――!」

 

力の限り、握り潰す。ピエールが一斉に輝き、そして――

 

 

【【【【【【タスケテ――――!!!!!!】】】】】】

 

大爆発四散。きたねぇ花火が打ち上がり、胸を焼く火焔が辺りを多い尽くす。重力を振り切る火柱が立ち上り、夜闇を真紅に蹂躙する

 

「あははははは!あはははははははははは!御苦労様でしたピエール!素敵な自爆芸でしたよ!まぁ、もう少しだけ無様さがほしかったけれど!あぁ、スッキリしました!最高ね!またやりたいわ!」

 

けらけらと笑い転げるじゃんぬ。リッカはそんなじゃんぬをそっと労り、頭を撫でる

 

「形状はとりあえずおいといて・・・強くなったね、じゃんぬ」

 

「――はい。もう、あなたの足手まといにはなりませんよ」

 

憎悪を向けるべき相手を象ったナニカを見て猛っていた嗜虐心、狂った笑みは鳴りを潜める。リッカの静止と声が、如何なる狂気と嗜虐をも押し退け、理性と思考の安定の起点となる

 

――実のところ、リッカの存在は、じゃんぬという復讐者、全てを憎む暴走特急を抑えるブレーキとハンドルなのだ。本来ならば復讐者は止まらない。胸をかきむしる憎悪と、世界に憤る憤怒が燃えたぎり、疾走し、力尽きるまで辺りを焼き尽くすことでしか自分を止められないのだ

 

それがこうして、協調性を会得し、自我と感情を制御している。憤怒も、憎悪も、大切なあなたの誇りであると言う自負と自信が、それら全ての負の感情を捩じ伏せ、理性と決意となっている

 

じゃんぬにとって、リッカは『核』なのだ。彼女は、リッカの為にこそ己を燃やす。指向性を持った炎は、自らを焼くことはない

 

それほどまでに――じゃんぬにとってあの出逢いは、求める声は尊いものだった

 

 

「いつか、あのジャンヌも召喚したいな。――とっても、カッコよかったから」

 

 

そんな・・・竜の魔女を単純な理由で求め、呼び寄せた、思いっきりおばかなマスターの為に、じゃんぬはその炎を振るうのだ

 

「――・・・」

 

「?どしたの?じゃんぬ」

 

「――ふふっ。何でもありません」

 

地獄の底にだって、彼女は付いていった。これから先、どんな戦いにも。じゃんぬは誇りという自負を懐いて、全てを焼き尽くし、蹴散らすだろう

 

どんな戦いであっても、例え、全てを滅ぼす戦いであっても。ふざけたイベントでも。例え、全てがイヤになり、全てから逃げ出すための戦いであっても。じゃんぬは笑い、最期までリッカの為に戦うだろう

 

 

だって、それは当然な事。自分を求めてくれた、世界でたった一人のマスターのために生命を使うのは、当たり前な事

 

「――これで、妙な行進も終わりですか。残念です」

 

だって、世界への復讐よりも、理不尽への怒りよりも

 

「大丈夫!またイベントで一緒に戦おうよ!」

 

「――そうですね。いつでも、どんな時にでも私を呼んでくださいね?」

 

はにかみながら、笑うじゃんぬ

 

「私は、あなたの誇りなのですから」

 

・・・あなたの、誇りであることこそが。何よりも大事で、素敵な自負なのだから。じゃんぬはまた、そんな当たり前の決意を胸に抱き直す――




「勝負はついたようだな。では、この団子は回収するとしよう」


英雄王が袋の一つを手に取り、保管しようとする――が

「・・・む?」

重い、妙に重たいのだ。団子など容易く持てるはずだ、手間取るなど・・・

「・・・――どう、した・・・?袋、か・・・待て、確かめてやる・・・」

ずるり、とカリギュラが這いずり、袋に手をかける

「勝者には、栄光が与えられるものだ・・・それを阻むのは、よくない・・・」

開けると、そこには・・・

「――お団子はいい文明。故に、これは私のものだ」

「ぬ――?」

両断、真っ二つにされるカリギュラ。布ごと

「む、誤って布ごと斬ってしまったか。許せ、命は壊さない(むぐむぐ)」

「――アルテラ、だと・・・?」

あまりにもあんまりな乱入に絶句する、そんな中――



「来た!来たわよダーリン私達の出番!待っててリッカ!ピンチを助けるからね!」

「ピンチなのはお前の頭だけうおわぁあぁ話を聞け――!!」

なんやかんやで、クライマックス!
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