夜の森、皆が寝静まり静寂に満たされる空間
自分――英雄王は眠らず、周辺の警戒をかねて、ハンモックで横になっていた
今日は器に頼りきりだったので、少しでも休んでほしいという思いのもと、自分の思考を半分眠らせている。今は口が一人でに動いているのを、眺め、聞いているような所感だ
――自分は、愉しむことはあまりうまくないから、余計なことをしないようにしている
手持ちぶさたになった際の過ごし方など、無銘の自分には何も解らないのだから
「フッ、ウルクを駆け回った時を思い出すな。多少濁ってはいるがよい月よ」
所感を一人こぼす器
――自分も同感だ。戦いはそんなに好きではない。護るものを護るために、躊躇うつもりはないが、好き好んで敵を害したいとは思えない
そんなものより、こういった穏やかな時間を過ごす方がずっといい。夜風が頬を撫でる。素敵な余暇だ
「こういった月に合う酒があったはずだが……」
酒を取り出そうとする器
――呆れた頑丈さだ。あれほどの大立回りをしたというのに、まるで応えてはいないらしい
――酒の味は苦手だが、こうした穏やかな時間に飲むのは好きだ。
自然を感じながら飲んだ朝の一杯は……本当に美味しかった
「月見酒……我ながら粋よな。贅沢を言うなら注ぎ手が欲しいが、まあそれは言うまい」
――日頃の感謝からも、立候補したいのだが、残念ながら魂となった身では叶わない
できるのは、英雄王の邪魔をしないことであると思ったが……
「もし、ゴージャスな王様?よろしければ、私にお相手をさせてくださらない?」
華のような声がかけられる
「うふふ、マリーさんです!夜分に見かけたもので、つい」
「王妃か。どうした。厠か?」
「いいえ、先程までジャンヌやマスターとお話ししていたのだけど、皆眠ってしまっていたので。けれど、友達が増えた昂りがおさえきれなくて……」
「なるほど、身体の火照りを冷ます相手を探していたと。我を選ぶとは見所があるな」
いやらしい言い方だが、寂しげな器の相手をしてもらえるのは嬉しい
「許す。近うよれ」
「光栄ですわ、ゴージャス様!」
――酒盛りを楽しんでもらおう
~
「それでね、砦の皆様が言っていたの。金色の旅人に助けてもらったって!薬を分けてもらい、竜を退けた王様一行。そんな素敵な方がいるのなら、会いたいと思うのが普通でしょう?アマデウスを引き回して探しに探したの!」
「なるほど、我等の同行を望んだのはそれか。我は思うままに振る舞っただけ、それがたまたま民の助けになっただけの話よ」
朗らかに笑うマリー、自慢げに笑うギル。心地よい、穏やかな空間
「素敵な時間ね!永遠に続いてほしいとまで願うわ!豪気な王様と一緒だなんて、王妃になってみるものね!……ジャンヌにも、同じことを言ったのだけれど、ふふふ。私は幸せね!死んだあともこうして、かけがえのない時間が増えていくの!それって幸せな事じゃないかしら!」
「所詮は夢ではあるがな。愉しみとしては、当事者になるのもたまにはよい。我は基本、暇潰しだからな」
「そうなの?……ね、次は私の番ですわね?」
「何?」
「ね、ゴージャス様。私は貴方の話を聞きたいわ。マスターとマシュが、貴方の話を目を輝かせて聞かせてくれたの。あなたの活躍を」
――安心する。マシュとマスターの中で、嫌われてはいないみたいだ。器、ギルガメッシュは
「我に語り部になれと申すか、まこと身の程知らずな娘よ」
「お嫌かしら?」
「――フン。酒も回った、口を滑らすのも一興か」
「しかと聞け、王の言葉をな」
「はい!」
――
それから、色々な事を話した
召喚されたこと
サーヴァントと戦った事
死にそうになったこと
カルデアの事、マスターの事、マシュの事。ロマンやオルガマリーの事……
短い時間に、たくさんの事を過ごしたようだ。色々な思い出が浮かんでくる
「――そしてカルデアは、第二のウルクとなったわけだ」
「まぁ……!そんなに素敵な場所なのね!人も設備も、輝くばかりの場所、カルデア……!」
「当然だ、我が監修したのだからな!今や彼処より豪奢な建造物はあり得まい。ゴージャスな我のゴージャスな根城だ!」
ふははは!と笑う器。始まりは不満爆発な事を思いだし、笑ってしまう
――思うがままに振る舞うことで、辺りを振り回し幸せにする。それが、この愉快な王様だ
「えぇ、とっても素敵!……行けるかしら?」
「む?」
「私も、カルデアに行けるかしら?行ってみたいわ!どうしても!」
――どうなのだろうか。英霊ならば、きっと召喚に応じれば……
「それは貴様次第よ。まずはこの特異点を乗りきるのだな。カルデアは我に並ぶ一流の英霊しか招かん。贋作者は知らぬ、どうでもよい」
「できるかしら……?うぅん、キラキラ輝くのは負けない自負はあるけれど」
「連発はよせ、攻撃が通らぬ。……だが、まぁ」
カラン、とグラスをならす
「――我の夜伽の相手をした縁に招かれるやも知れぬな。そのときは胸を張り招集に応じ、参ずるがよい。我の名の下、カルデアに足を運ぶことを許す」
「――まぁ!ありがとう!王様!」
――柔らかいものが、頬に触れる
「――」
「――あ、ごめんなさい王様!私、つい癖でベーゼしてしまうの。無礼でした、ごめんなさい」
――その行為に、どんな思いが込められたのかは掴めないが
「――はははは!奔放な娘よ!我に接吻にて不意をうったか!一本取られたな!」
「お嫌でしたか……?」
「いや、酒の席だ、無礼講とする。マスターとマシュには黙っておけよ?我は後で『セイバーに行わせる108のシチュエーション』表に記載しておく」
「まぁ、貴方の后ね!いつか、私にも会わせてくださらない?」
「いいだろう。我の嫁の麗しさに腰を抜かすなよ?はははは!愉快な夜だ!酒がうまい!」
――絵にかいた餅と言うお言葉をご存知か。英雄王。空手形は地獄を見ますよ?
「えぇ!私、召喚されて本当に良かったわ!ゴージャス様と同じ英雄であること、誇りに思います!明日から私も、正義のために頑張ることを誓いますわ!」
「よい、励め!我は総てを許す!ゴージャスだからな!はははは!ハーッハハハハハ!」
――夜の闇に、王の笑いがいつまでも響いていた
――が、平穏な夜は終わりを告げる
「!」
「――敵襲か、サーヴァントもいるな」
「私、皆を起こしてきますわね!」
「迅速にな。――さて、仕事か」
――本当は、英雄王には休んでほしかった。あれほど立ち回ってまた戦いとは、忙しないにも程がある
――だけど、自分の使命から逃げるわけにはいかない
「どんな雑種かは知らぬが、適当に蹴散らすとするか」
――これは、自分の旅でもあるのだから
「我のセイバーへ求めるシチュエーションは108式あるぞ!一位は当然、単発引きからのその日、運命に出逢う、だ!」
――まずは引こう。話はそれからだ
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