人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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午前4時

「むにゃ・・・ん、空の白み・・・そろそろ、朝・・・」

むくりと起き上がり、尻と腹をぼりぼりかきながら歩き出す

「ふわぁーあ・・・身体に染み付いた習慣って、抜けないなぁ・・・」

装いを整え、着替え、素振りの一つでもしてやろうかとしたその時・・・

「え、なんだか穴空いてるじゃない!え、気になる・・・」

時代移動の証たる穴を見つけ、ちょっと興味が刺激される武蔵ちゃん

「え、でも待って。私もう城在るし。もう行き先此処でいいんだけど、切実に」

穴の前で、思い悩み・・・

「・・・まぁうどん食べてからでいっかぁ!」

とりあえずうどんな武蔵ちゃんであった


旭光

下総、平将門公の首塚。ルーラーたる彼が告げるには、其処こそが魑魅魍魎、百鬼夜行の総本山にして要、全ての怪異を束ねる何かがあるという。そして同時に、藤丸リッカが目指すべき場所であるとも・・・かの新皇は告げる

 

『ますたぁの帰還の門、同じく我が首塚に在りし。我等が目指す始まりと終着、命運は其処に帰結するもの也』

 

 

将門公の言葉を耳にしながら、遥か速度で空を駆け抜けるリッカ。紅き残光が、一直線に空を駆け抜ける

 

【・・・母上も、必ず其処にいる】

 

妖刀が、怨獣斬が告げている。因果が、宿業が。喰らうべきモノが其処に在ると。

 

同時に、多くを語らぬ童子切。・・・母上、丑御前の気持ちを察し、あえて問い掛ける事はせずぐっと柄を握る

 

【――見えてきた】

 

怨恨渦巻きひしめくドーム状の空間を目の当たりにし、転身加速にて一直線にその空間へと突入を果たす。其処に何が待っていようとも。其処に如何なる何者が待っていようとも

 

覚悟を奮い立たせ、決意を露とする。新皇と共に、下総に平穏をもたらすために。おぬいや田助を護るために。そして――

 

【・・・待っていて、母上。貴方を必ず・・・】

 

この手で・・・その身の宿業から解き放つ為に。リッカは両刀の柄を握りしめ、翼をはためかせその渦中へと殴り込むのであった――

 

 

 

 

【母上!!】

 

突き抜けた先には、無音の静寂が辺りを満たしていた。四方を囲う、暗闇の帳。辺りに生命なく、辺りに人影なし。それらは切り取られたかのような暗闇に包まれ、不気味に静まり返る

 

【――母上・・・】

 

【おや、此処に至って母を求むるとは。未だに乳離れ出来ぬとは愉快愉快。人類史を救い上げたマスターにしてはあまりにも幼稚と言うものですなぁ!】

 

一切、万物を嘲弄するかのような声が空間一体に響き渡る

 

『根幹、姿を曝すべし』

 

【無論、無論、無論ですとも!偉大なりし新皇、平将門公!その前に我が姿、晒す無礼を許されよ!】

 

高らかに謳い、現れしは・・・

 

【――母上!】

 

【・・・】

 

傍に母上・・・その躯を侍らせし、美丈夫。葱色の法衣に身を包み、奇抜な長髪の髪型を取りし左右非対称の装いを取る美貌の陰陽師

 

【御初に御目にかかりまする。私、キャスター・リンボ。この下総に混乱と動乱、まさに天変地異をもたらした張本人】

 

【・・・】

 

【そして此方、『あなたさまの母上』を使い拵えた英霊剣豪が一騎、黒縄――】

 

瞬間、凄まじい勢いでリンボの眼前に【刃】が投げられていた。脳と頭蓋を砕かんとする、絶後の一刀

 

【――チッ】

 

舌打ちと共にリッカが吐き捨てる。分かりきってはいたが、結界が貼られている。刃が触れないように阻まれ、リンボに届かない。切っ先を向けて返る妖刀を掴む

 

【――黒縄地獄と云うものです。あなた様の、藤丸リッカの存在を身に刻んだいじらしき英霊を材料に、丹念に魂を砕き、肉体を犯し、精神を歪めに歪め作られし一つの刃。未だ殺戮は犯しておらぬのですが・・・如何でしょう?】

 

ニタリ、とリンボは嘲笑う。リッカの心と信念と絆を踏みにじる

 

【『あなた様の母上が蹂躙されたご感想をご聞かせ願いたいものですが』。さて、さて、さて。所感は如何に?】

 

【――・・・・・・・・・・・・】

 

頭の中が一瞬で弾け飛びそうな爆発とたぎりを、すんでの所で踏みとどまる

 

『怒り、憤怒、抑え込む必要非ず、しかして挑発に乗ることなかれ。真に、母を救うと欲するならば』

 

新皇の大きな手が、暖かい気遣いが。リッカの猛る心を、身体を静かに平静へと戻してくれる

 

【ありがとう、新皇様。・・・あの手合いはスルーが一番だからね。私のやることは、あいつを喜ばせる事じゃない】

 

すぅ、はぁと息を吐き、整え、ゆっくりと向き直る

 

【少しだけ、待っていてください。母上。この騒動を収め、必ずや母上を解放します】

 

龍哮獣怨斬を握りしめ、深く頷く。黒縄地獄もまた、その決意を受け止めるように、微かに頷く

 

【決着を、お望みですか。良し、良し、その意気や佳し!ならば望むように、望みのままに!この下総の争乱の『始まり』、高らかに告げましょう!】

 

瞬間、辺りが空間ごと打ち震え、そのまま大気が鳴動する

 

【平将門公!その霊基、その偉容流石の一言!だがしかし!しかし!しかししかし!!『それは怨霊たる貴方も同じこと』!】

 

『――・・・』

 

【この首塚に封じられし、平将門公!その土地に澱み吹きだまりし無念に後悔、その憎悪!唯今充ちるこの魑魅魍魎、百鬼夜行の群れに勝り余りあるが如しおぞましき怨霊にてェ、我が形代となりしィ、下総相馬の大怨霊!】

 

高らかに歌い上げながら高まり、束ねられていくそのおぞましき霊達。首塚より立ち上ぼりし、あな恐ろしき聞くもおぞましき霊の塊が天を衝かんと立ち上る

 

【で、でかぁ~――!】

 

その偉容、見上げるが如し。空の月にすら手が届かんと、手を伸ばさんと造り上げられる、三頭巨大なりし、あまりにも偉大なりし大霊の中の大霊。オルレアンの海魔よりもなお巨大、山を越えんとするほどの、恐気の走る下総の怨霊・・・!

 

『――・・・』

 

【これぞ!これぞ!これぞこれぞこれぞ!!下総の誇る、日ノ本に巣食いし怨霊絵巻!『平将門怨霊譚』!魑魅魍魎、百鬼夜行を従えし、怨霊怪異の総本山也!!】

 

【――⬛⬛⬛⬛⬛⬛!!!!!】

 

聞くもおぞましき、耳を魂を犯し抜く怨霊の絶叫。日ノ本総てを震わす偉容にてリッカと平将門を睨む

 

 

同時に――下総の魑魅魍魎、百鬼夜行の排出が活性化され、その勢いを増す。あまねく悪霊共が、その大怨霊に呼応する

 

あやかしの唸りと、英霊の鬨。下総は正に、天下分け目の決戦の呈を示すものなり――!

 

【貴方達の目論みはたちどころにィ!拙僧は心得ておりまする!この首塚にてカルデアに、人類最悪のマスターを帰還せしめんと!その為の行軍を果たすために此処まで至りますれば!ンン、ンン、平定するために現れしその魂、美しき絆!真素晴らしき!しかし!しかし!その本懐は果たされず終わるのです!この、怨霊、平将門の前に!阻まれ!朽ち果て!終わるのです!】

 

『――・・・』

 

【その輝き!その威光!阻めぬならば、あなた様自身をぶつけるほかありますまい!さぁいざ、いざ、いざいざ覚悟召され――】

 

瞬間

 

【――、ぁ?】

 

吹き飛んでいた。リンボの首が。見えざる一閃にて撥ね飛ばされ、遥か彼方に首が飛来する。血を吹き出す噴水となりて膝をつく泣き別れし胴体

 

『呪詛、訊くに堪えず。暫し口を閉じるが良し』

 

脇差しの軽い一閃にてリンボを沈黙させ、巨大なりし霊に向き直る。リッカを庇うように腕を組み、大怨霊に向き直る将門公

 

『別段、畏れる必要は無し。大儀なく、使命無く。叩き起こされしのみの依辺なき地縛なりし怨霊なれば。偉容、如何な物であろうと調伏が定めなり』

 

泰然と見上げるその大きな背中を見つめるリッカ。分かっている。こんな『大きいだけ』の怨霊なんて、将門公の足下にも及ばない

 

だって・・・将門公は『優しく、深い』のだ。この僅かな旅路にて、その優しさにとても助けられてきた

 

おむすびを一緒に食べて、おぬいや田助をすぐに助けてくれて、二人のために食材を恵んでくれた。おしめも嫌な顔一つせず変えてくれたし、母上の正体を知りながら、何も言わず金子をくれて団欒を見守ってくれた。こうして、一緒に戦ってくれて、肩を並べて、私をも護ってくれている

 

この大きさに比べたら・・・今目の前にある、ただ大きいだけのガイコツなんてチンケな見かけ倒しにすぎない。余すことなく、新皇の威厳と威光を目の当たりにした今ならば、はっきりと言える

 

【どんな姿であろうとも、何者が立ち塞がろうとも。私の貴方様への敬意と感謝に揺るぎなし!最後まで、傍にて戦いましょう!将門公!】

 

その答えを聞き及んだ将門公は、小さくこちらを振り替える

 

【――】

 

・・・瞬間、その表情が見てとれた。黄金と漆黒の鎧姿であり、真紅の篝火のような丸い眼光が浮いているかのような風貌であるが、確かに

 

『――我、佳きますたぁを得たり』

 

穏やかに、慈しみを湛えた優しい表情にて微笑んでいた・・・そのような表情を。確かに、リッカは垣間見たのだ。或いはそれは・・・将門公の暖かき決意なのかもしれない。己が不始末、己が怨霊を土へと還す事を真に決意した事象への

 

【⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛!!!!!】

 

おぞましき怨霊、その身に宿りし怨嗟と悲哀を叩きつける。大瀑布が如し奔流、サーヴァント数騎をも押し流すその怨念を、その魂のみで無効化し、確かな在り方それのみにてはね除ける

 

『我が召喚の意義、此処に果たされし』

 

静かに見上げ、金色の輝きが辺りを満たし、黄金の神気が立ち上る。怨念を悶え苦しませるその煌めき、リッカを暖かく包む優しき旭の瞬きが将門公を中心に放たれていく

 

『剪定なる世にて眠りし我が怨霊、鎮魂調伏にて収め、還すが為に我、世に喚ばれし。人の手に剰りし我が妄念、永劫の闇に葬らんが為に。我が身、平定者として招かれし意を受けし者也』

 

彼は、異世界の眠りし自らの怨念を消し去るために喚ばれたと言う。そのままでは世界を呑み込む暗き悪霊となりし自らの半身を、自らの鎮魂にて調伏するために

 

『そして――使命の他に、かけがえのなき宝を得たり』

 

それだけではないと。使命だけでなく、かけがえのなきモノを手にしたと新皇は語る

 

『我が身、強く生きる日ノ本の娘と縁を結ぶこと叶いし。佳き魂、強き娘。優しき女子。我が身、初の主従の想い出に相応しき――佳き刻の出逢い也』

 

【――・・・】

 

過ごした時間、重ねた時こそが。此度の召喚の報酬に相応しき報酬であると。それこそが、我が身に与えられた報酬であり、それだけで充分であると。平将門公は告げるのだ

 

それだけが――この召喚を、良きものとするに相応しき、宝であると。時代を生きる者の助力となりし事こそが本懐であると。それだけで良かったのだと、彼は、そう告げたのだ

 

その、暖かい肯定に・・・鎧の下で顔を綻ばせ、照れ笑うリッカ。そんな様子を目の当たりにし、満足げに頷く

 

『――我が分け身、我が怨霊よ。自らの不徳を嘆くは良し、自らの怨嗟を謳うは良し。不敬を憎むも良し』

 

怨霊を、一睨みする。ただそれだけ、ただそれのみの威圧にて。山をも凌駕するその偉容を怯ませ、威厳にて縛る

 

『されど――今と未来を生きる者達の明日を閉ざすこと、断じて赦さず。我が不徳が成す怨霊、地にただ還るべし』

 

そして――その決意を顕す宝具を、此処に成す。あらゆる悪霊を鎮め、あらゆる願いを受け止め、あらゆる信仰を集め、未来への祈りを明日へと運ぶその宝具

 

『人は神を畏れ、敬う。神は人を慈しみ、言祝ぐ。それらは陰陽が如くに循環し、あまねく世を紡ぎし万象変化の理と成らん。我が身に充ちる信心、世に充ちる艱難辛苦。共に背負い、共に担い、共に未来の輝く道標とせん』

 

地響きと共に、辺りをあまねく照らし尽くす輝きと共に『それ』が姿を顕す

 

下総に充ちる魂達が一斉に、将門公の抜き放ちし大太刀に集う。放たれし旭の輝きが満ち溢れ、魑魅魍魎、百鬼夜行を照らし、消し飛ばし、消失させ調伏を成す

 

柱の如しその暁光、金色の明けとなりて輝きを為す。その神々、真なる姿を此処に顕しは、古今にて願いを集わせし、自らの鎮座する社――

 

『来れ。我が威が一つ。『新皇座臨総鎮守(しんのうざりんそうちんじゅ)()旭光顕現(きょっこうけんげん)()神田明神(かんだんみょうじん)』』

 

【ほ、わぁ・・・!】

 

将門公とリッカの背後に現れし、巨大なりし神社。神のおわす社にて、全ての願いを受け止める場所

 

かつての将門公の威光を畏れた者達が、畏敬と畏怖を以てかの魂を奉った逸話を所持せし伝説の下、当然のように所持し、顕現を可能とす。平将門公の力の総本山にして、東京、江戸を守護せし日ノ本の誇る巨大なりし社也――!

 

【――⬛⬛⬛⬛⬛⬛!!!】

 

突如降臨せし神々の社にて、身を悶えさせ苦しみ抜く大怨霊。この社在る限り、平将門公は仮初めの不死すら獲得し、日ノ本そのものから魔力のバックアップを受け、日ノ本のあらゆる英傑から受けるダメージを零とする

 

同時に・・・悪意、怨霊、魔の類いに対する絶対特効を獲得する。――それ即ち、自らのダメージ値に、『日ノ本に敵対する者に、現段階における日ノ本の総人口分の加算ダメージを追加する』という副次効果に他ならない――!

 

『我が迷える半身、この一刀にて鎮まるが良し。魑魅魍魎、百鬼夜行。それら総て――我が威にて潰え、黄泉に、地獄へと帰参すべし』

 

掲げた刀に集う古今無双の魂達。全てが、『日ノ本を守護する』という偉志の下に、空前絶後の一刀を抜き放つ――!

 

【⬛⬛⬛⬛⬛!!】

 

その拙い抵抗ごと、新皇の威厳と総軍を重ねし、日ノ本を背負いし覇権を担う一斬。『神そのもの』たる威光を示すその銘は――!!

 

 

 

『『将門示刀(まさかどしとう)――』

 

 

その天を衝く一刀が、下総相馬の大怨霊を過たず飲み込み--

 

 

新皇顕現(しんのうけんげん)』――』

 

【⬛⬛、⬛⬛⬛――!!!】

 

その、日本を照らす旭の輝きに過たず飲み込まれ、光となって霧散する、眠りし大怨霊。総てを照らす煌めきに、粒子となって昇華され、完膚なきまでに消え去る

 

【・・・凄い・・・!】

 

ゆっくりと刀を収め、神田明神もまた、ゆっくりと役目を終え帰参する

 

『――我が身、役目を果たせし。しかし未だ、見届けねばならぬ者在り』

 

ゆっくりと顔を見合わせ、頷く

 

【・・・見ていてください。新皇様。私の・・・業の清算を】

 

――下総を襲う、魑魅魍魎、百鬼夜行はあまねく消え去った

 

そして、此処に残るは。剣豪に堕ちし母を想う一人の少女

 

・・・――英霊剣豪、七番勝負

 

その因果と宿業に・・・藤丸リッカが挑む--!




【母上・・・!】

ふと辺りを見渡す。--いない、母上が。何処に--

瞬間--

【藤丸リッカァ!!!】

リッカの身体、五芒星が自由を奪う--!

【!】

『--往生際、畜生にも勝る悪なり』

苦々しげに呟く将門公。現れしは--

【無駄!無益!無為!無意味ィ!この瞬間、この瞬間をこそを待っていたのですよ拙僧は!藤丸リッカ!人類悪なるその魂!!ンン、ンンンンンン
!宿業にてェ!!悪逆に堕として御覧に入れる!!】

首を繋げてやってきたのか、くっついて喚き立てるリンボ。その様に、リッカは呟く

【宿業・・・自分にも埋め込んでるんだ】

【然り!神秘の刃、超常なる力共に我が身には届かず!我等は躯!宿業に添うからくり なれば!!】

『--ますたぁ。助力は必要なるか?』

首を振る。--正直な処、腹に据えかねていたのだ

私の母上を弄び

新皇様の怨霊を呼び起こし

田助君とおぬいちゃんを怖がらせ

村正じいちゃまに心配させた、このキャスター・リンボとかいう存在の

【特別!そう特別なる宿業を貴方には埋め込んで差し上げる!!親を殺し、親に愛されず、悪逆なりし獣たる貴方には!そう、阿鼻地獄--】

その鼻っ柱を--へし折ってやらなきゃ気が済まない!

【はぁあぁあぁあぁあ!!!!!】

渾身の気合いを込めて、五芒星の呪縛に抗う。身体中の魔力回路を励起させ、身体中から魔力を放つ

【無駄ですよ無駄無駄無駄ァ!あなたの母上すら逃れられなかった宿業!英霊ならざる貴女に何故覆せましょうかァ!】

【ぐぅうぉおぉおぉおぉお!!!!!】

【かつての!かつての源頼光もそうでした!かつての頼光はこう告げた!『我が身如何に成り果てようとも。藤丸リッカへの思慕変わること無し』と!それが遺言!まこと、まこと、まことに滑稽!まことに愚か!血の繋がらぬ『ままごと』に傾倒する哀れな者共!その足掻きは我が身を昂ら、せ--】

その哄笑が、凍りつく

【刀】だ。『刀』が独りでに動き、リッカの辺りを浮遊し、軈てその身を翻し

【な、何故--!!!?】

リンボに襲い掛かる。片や、喰らいでの在りし、肥え肥った怨嗟と宿業を求め

片や、母の愛。純粋に--娘の窮地を救わんがため--!

【ぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ!!!!!!!!】

五芒星の呪縛を浸し犯せし人類悪の泥。たかだか束縛など、人類総ての悪性を縛るには生温し

何より--

【母上を、私は--解き放つんだぁあぁあっ--!!!】

変わらぬ望みの為に--その悪辣な束縛を覆す--!!

【なァっ--!!!!????】

力付くで束縛を犯し、浸し、付き壊した人間・・・いや、【獣】に、驚愕と狼狽を顕すリンボ

【き、さま--】

--その先を、口にすることは出来なかった

【--ガ、ギ・・・!?】

背後から、真っ直ぐ袈裟斬りに。何者かに真っ二つに斬られたためだ。理解できぬ、と言わんばかりに振り向くと、其処には--

【こ、くじょう・・・?な、にを--】

無感情で、一閃を放った黒縄地獄が冷たく見下ろす

【何をも、何も。先に申し付けていた筈ですが。お忘れになったのですか?】

【な、に--?】

【【藤丸リッカは私が討つ。阻むもの、等しく我が敵】であると。--私はただ、目の前にいる敵を虐殺したのみです】

その破綻しきった物言いに、怨嗟をぶつけることは叶わなかった

【----------ッッッッガァアァアァァアァァア!!!!!】

雄叫びのままに、リッカが翼を広げ飛び立ち、拳を振りかぶり全身全霊でリンボを殴り付けたからだ。リンボの首は捻れ、首が三回転ほど回り骨を折る

【----!!!!】

同時に、力の限り左手の、妖気に染まりきった左手にてリンボの股ぐらを掴み

【ひゅ、イッ----】

力の限り、股間の剥き出しの内臓を二つほど握りつぶし

【!!!!】

胴体に童子切り安綱を突き刺し、上下に一刀両断し

【--ッアァアッ!!!!!】

左手にて抜き放った龍哮怨獣斬村正にて--首を跳ね上げる

【--姫様なら、きっと貴方にすらも何かを見出だしたんだと思う、きっとあなたの魂にすらも、祈りを告げたのかもしれない】

刀を掲げ

【でも--お前は、姫様には逢わせない】

魔力を放ち--塵も残さず、リンボを消し飛ばす

【--誅罰、執行】

その身、余すことなく塵へと還り。キャスターリンボは、消え失せた--

【・・・・・・】

【・・・・・・】

そして、視線を交わすは、一人の人間、そして・・・一騎の、英霊剣豪のみ--

『・・・』

--その運命を見届けるは、ただ一人。平将門公のみである--

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