人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「正直な話、どうやってカルデアとコンタクト取りましょう・・・あちらの世界ではもう殺生院キアラは覚醒しないようですが、他の世界では分かりませんし・・・人類悪のマスターなんて彼処だけしか知らないのでコネクションを作りたいというか・・・」

「普通に頼めばいいんじゃないの?小細工に頼るから機能に引っ掛かるんでしょう?」

「ぐうの音も出ない正論、ありがとうございまーす・・・最悪、セラフからSOSコールと言う形しかありませんか・・・うむむ・・・グレートデビル後輩の立場が・・・」

「・・・私としては楽園に興味があるから行ってみたいけれど。まだ見ぬガレージ、キット、ドール・・・!あぁ、たまらないわ・・・胸が昂ってしまう!」

「何処に昂る胸があるんですか?」

「八つ当たりは止めてくれる?」

「・・・~」

『カルデアに いきたいです』

(ちゃんと、届くかなぁ・・・私も、優しいマスターと、女の子らしく・・・)



電脳空間

「?」

『メッセージが届いています』

「あら、誰かしら?わざわざ丁寧に贈ってくるなんて」

「エレシュキガル様、スパムにお気をつけください」

「分かっているのだわ、安心して・・・ん?」

『カルデアに いきたいです』

「・・・差出人の名前が無いのだわ・・・」

「・・・い、イタズラ・・・?」

「大丈夫よお母様。・・・これは・・・どうした方がいいのかしら・・・」


私の女子力が無いのはどう考えても私の努力が足りない!

女子力──

 

 

それは女子が女子として華やかなる生き方を贈るために必要な力。女子が華やかなる生きざまを紡ぐために必要なパワー。この世の総ての女子に与えられし『女の子が、女の子らしく生きるためにいられる力』と言い換えてもいい不可視、しかし必ずある力。XX染色体のDNAに刻まれた、古来より備わりし力の総称である

 

女性はこの力を備え、磨き、自分を魅力的な存在へと昇華する。より輝かしい人生を。より素晴らしい生き方を。より美しい自分を手にするために日々を生きる

 

この力が足りないもの、あるいは備わっておらぬものは女性としては特殊な存在へと名を挙げる事になる。『野武士』や『おっぱいのついたイケメン』など、様々な称号を手にすることとなる。あるいは賜ることとなり、中々外れない呪い装備めいた勲章を掲げて生きる事となる

 

男性に護られ、可憐なことを女子という。快活に生き、皆を引っ張ることを女子という。家庭を支え、たおやかに芯の強い生きざまにて夫を支える事を女子という

 

それらこそが女子たる生きざま、総てにおいて輝かしきもの

 

──しかし。此処に例外が存在する

 

自らの生きざまに、あらゆる女子力をそぎおとした者がいた。世界を救わんが為に、あらゆる平穏な生活を投げ捨てた者がいた

 

世界に──平穏なる生き方を、生きざまを望まれぬ少女がいた

 

必要悪から生まれた人類悪。人格と存在を否定され、閉じたコミュニティにて総てを押し付けられた者がいた

 

その果てに──悪となり、人類悪を身に宿した女がいた。その力で、世界を救った者がいた

 

その名──藤丸龍華。『女ヘラクレス』『性別を間違えて生まれた女』『おっぱいのついた邪龍』『女子力/ZERO』の称号を欲しいままにする人類最悪のマスター

 

彼女は救われた世界で懸命にもがき、足掻き、自らにないモノを取り戻そうと身をよじっている

 

その自らにないもの・・・それは『女子力』

 

そう、世界を救った龍たる少女は、次は自らを救うために奔走するのだ!

 

今回は、カルデアの中核が一人。皆が認める女子力足りてない系女子たる彼女の奮闘を此処に紐解いていこう!

 

リッカの戯れに放った一言が、カルデア一同(そして平行世界の観測者)を女子力改善に駆り立てた!

 

『カロメと野菜ジュースで平気平気』

 

人理焼却に打ち克ったカルデアは、リッカの女子力を育てる道へ突き進む!

 

これはまさに──女子力を取り戻す物語!

 

 

かわいいと(それ) よばれるひまで(から) けものかな(どした)

 

 

 

「おはよー!母上ー!」

 

邪龍の朝は早い。半裸で寝ているアルクを侍らせたベッドからするりと抜け出し、リッカは着替えて頼光の部屋に顔を出す

 

「はい、おはようございます。リッカは今日も元気ですね。母はとても嬉しいです!」

 

リッカの考える女子力・・・それは身近にある絆を大事にすること。魂が繋がった母である頼光のご飯仕度を手伝うために早起きしている。起床時間5時という超早起きである

 

「母上を手伝いたいからね!」

 

そう、リッカは頼光が笑ってくれる姿を見るのが好きなのだ。これは他の皆にも言えることである。誰かが幸せそうに笑うこと、幸せであること。その幸せを護ること。そう言ったことにリッカは喜びを感じるのだ

 

「あぁ・・・母は嬉しすぎて、泣いてしまいます・・・あなたのように真っ直ぐに私を求めてくださったのは、それはもう娘としてはじめてで・・・よよよ~・・・」

 

「あーほらほら、泣かないで母上~。ほらほら、金時兄ぃが心配するでしょ~」

 

ぐすぐすと泣いてしまう母上をなだめ、二人で朝御飯の準備をする。母上の料理を並べるのを手伝ったり、皿を洗ったりする簡単な手伝いだけれど・・・

 

「リッカ」

 

包丁を振るいながら、頼光はリッカに、満たされた声音でその胸の所感を静かに告げる

 

「母は、幸せです」

 

その万感な思いを込めた言葉に照れながら、リッカも笑顔で母の思いに答える。その胸の内に、叶う言葉を選びとる

 

「娘はもっと幸せです!」

 

そう言って、隣り合った身を静かに寄せ合い朝御飯の仕度を続ける。少し遅れて起きてくる金時の為の食事を、だ

 

・・・リッカの朝、女子力を磨く一日はこうして始まる。身近な人、身近な存在を大事にすることもまた、大切な女子力であるとリッカは信じているが故に

 

そして、この食事時は、これより始まる女子力を求めるハードな一日を乗りきるための不可欠な道筋なのだ・・・!

 

 

そして、ご飯を食べたリッカを待ち受けるのは更なる研鑽──

 

 

 

女子力とは、今をトキメク力である。それらは一人では手に入らない。気心の知れない、素敵な友達がいなくては始まらないのだ

 

故に、リッカが足しげく通う場所は自ずと見えてくる。それは今、華やかな声に満たされし乙女の園・・・

 

「でさー、センコーな癖して生徒エロい目で見るとかマジありえなくなーい?教育者失格っていうかさー。なんつーかマジでヤバいっていうかー」

 

「あー、でもまぁ先生も人間だしー。権力持つと人間って変わるしー」

 

カルデアに接されている美容院スズカにて、ネイルとアイライン教室に通いながらキャピキャピ言語で語り合うのは鈴鹿御前とリッカである

 

女子力を上げるには、やはり見た目と化粧を学ぶべし。恋をするため女子力を上げるスズカ、輝かしく生きるために女子力上げるリッカは相性抜群なのだ

 

「なんで妖怪がいないのにいるときより世が混乱してるのかマジイミフっていうか。お先真っ暗ってカンジー?はい、ネイル完了!」

 

世の愚痴を溢しながら手慣れた風味でリッカのネイルを終わらせ、メイクアップさせるスズカ。狐のデフォルメをあしらったピンクのマークが可愛らしい

 

「おぉ、ナイスぅ!ありがとスズカ!やっぱ真面目なジェーケーは違うね!」

 

「えっへへ、だっしょー?私よりジェーケーしてるジェーケーとかいないかんねマジ!何て言うの、憧れを追い求めるからこそ手抜き無しっていうかー。マスターが頑張ってるのに手を抜けないっていうかぁー」

 

「・・・スズカって根っこ物凄い真面目だよね。なんていうか超インテリで思慮深いイイトコのお嬢様が彼氏作りにジェーケーやってるっていうか?」

 

「ちょ、マジSGぶっこ抜くのやめやめ!ナシ!私は身も心もジェーケー!ジェーケーだから!」

 

リッカに確信をえぐられわたわたと慌てるスズカ。リッカとしては誉めたつもりだが、スズカ的には今の自分がいいらしい。だからもう触らないようにする

 

「ったく、鋭いんだからさー。これ上げるから皆にはナイショにしといてマジでー」

 

そう言ってリッカに渡すのはメモ帳だ。『ネイル手入れ、メイキング指南全書』と書かれ、スズカの顔が書かれている

 

「リッカ素材はグンバツなんだから、後は磨きまくるだけっしょ!だからそれ見て自主練自主練!私のマスターなんだし、よゆーっしょ!」

 

「いいの、貰って?」

 

「その為に書いたんだし?モチ、OK!ジェーケー力と女子力アゲアゲのマブダチ同士、これからも頑張っていこうじゃん!」

 

「ありがとスズカ!いいカレシ見つけてね!」

 

「ちょ、それはリッカもおんなじじゃんって!私だけ、じゃなくて二人で見つけるの!かしこまり?」

 

「かしこまー!」

 

「おっけおっけ!じゃあそのうちショッピングね!新宿辺りの場所でさ!」

 

二人の自分磨きの旅は続くのである。二人が望む場所に至るまで、何処までもゴールはない

 

ただ、あるのは前進と成長。いつまでも色褪せない、憧れの自分を掴むその日まで。彼女達は自分を磨くのである──

 

 

~そして、午前の頃。場は食堂へと移される

 

「それでは、家事、料理教室を行う。藤丸リッカ。──付いてこれるか」

 

ブーディカ、タマモキャット、そしてエミヤに周りを囲まれながら、キャットが編んでくれたエプロンをつけたリッカが声をあげる

 

「おう!!よろしくお願いいたします!先生!」

 

「あはは、気負いすぎだぞ~。どうせなら楽しもっか!ね?」

 

「この場合はな、はーい、やおー!の方が可愛らしいのだぞ御主人。ケルトはキッチンには不向きである」

 

ガタりと立ち上がるリッカを二人がなだめ座らせる。三人とも同じ、『家庭に必要なスキル』を完全に身に付けた自炊力の化身でもあるが故、リッカは三人の教室に足しげく通うのである

 

「さて・・・君の意思は解っている。女子に必要なものを手にするためには、いつものように凄まじい修行をこなさなければならない。泣こうが喚こうが決して、私達の講義が止まることはない」

 

「止まらんのだナ」

 

「どうかね?根を上げたくなってきたかね。止めるなら今のうちだが?」

 

定例となった問いかけにリッカは首を振り、真っ直ぐに見据え、三人を見つめる

 

「やります!私は逃げない。自分を磨くことから!絶対に私は魅力的な女性になる!」

 

「──フッ」

 

 

なりたいんじゃない、絶対になるんだ!

 

てめぇの方こそ、付いてきやがれ──!

 

 

「・・・がむしゃらさと意志は、若さ故の特権だな。荒野を目指すのは少年だけではなかったらしい」

 

此処ではあらぬ何処かにて垣間見た、古い記憶を思い、リッカと重なり自嘲する

 

「エミヤ?」

 

「いや、すまない。では行くぞ。君の期待に全力で応えるとしよう──!」

 

フライパンとフライ返しを投影し、今、バトラーがその絶技を振るう

 

「はいっ!お願いいたします!」

 

リッカの女子力を、奮い起たせるために──!

 

 

・・・・・・余談だが。エミヤの家庭料理教室に参加したものは、口を揃えてこう評する

 

『分かりやすく、懇切丁寧でとても楽しい。むしろ些細なことに気を配りすぎて過保護ぎみでは?』

 

と。──今日もエミヤ料理教室は、大好評である

 

 

 

・・・そして、女子力を求める一日は、更なる飛躍をしていくことになる

 

 

昼を回りし頃、リッカはとある部屋に足を踏み入れる。其処は確かなる女子力を磨く場所。そして、確かなる女子力を求められる場所・・・

 

「──来たわね!リッカ!さぁ、受け取りなさい!」

 

スポットライト、辺りに敷かれたリング。そしてその中央より手袋を勢いよく扉を開けたリッカにぶん投げる。その意味を理解し、右手で確かにキャッチするリッカ

 

「挑戦、確かに──受け取った!!」

 

お互いに言葉は要らず。ただ獰猛に頷きあい、互いにファーコートを、制服を脱ぎ捨て下着となり

 

「じゃあ行くわよ!上がってらっしゃい!私の生涯最高のライバル──藤丸リッカ!」

 

「──応ッ!!」

 

トップロープを飛び越え、身体を躍動させ一直線に──女王メイヴに飛び込む!

 

「メイヴゥウゥウ!!」

 

「受け止めてあげるわ!あなたの全て──!!」

 

 

女子力ッ──それはイキイキ乙女の必要不可欠な要素!

 

家庭を守り、子を身籠り、家庭を支え、産みの苦しみを味わい、男尊女卑の文化に晒される女子はけして軟弱であってはならない──

 

亭主関白な夫を尻に敷き、強靭な雄を組敷き、高らかにその肢体を躍動させ、男女ともに昂り、次代に子を残さなくてはならない

 

草食系男子、などと男性を馬鹿にするなど言語道断。その場合、男を奮い起たせられない雌にも問題があるのだと高らかにメイヴは主張する

 

肉食も、草食も、雑食も。全てを狂わせ昂らせケダモノにし、然るのちに自らが喰らう。それこそが女子の本懐。それこそがガールズパワーにして女子の・・・女王の素質!

 

「ぐぬぅうぅうぅう!!」

 

「どうしたのリッカ!?だらしないのね!そんなんじゃ真の女子にはなれないわ!歪みなく立ち上がりなさい!仕方ないなんて自分を甘やかしたら女は其処で終わりよ!」

 

「まだまだぁぁあ!!私は、絶対に女子力を手に掴むんだぁあぁ!!」

 

熱い肉体同士のぶつかりあい、魂の咆哮と咆哮がぶつかり合う無制限一本勝負。これを毎日決着がつくまで、互いが精魂尽き果てるまで行う

 

これこそ──真なる女子に至る戦い。真なる女子力を手にする戦い・・・女の戦い

 

 

ケルト流、花嫁修行である──!!!

 

「本当に、本当に残念!あなたが男であったなら、強くたくましい男であったなら!私はあなたにメロメロだったのに!」

 

「じゃあ、女の私は嫌・・・!?」

 

「まさか!全力で、全身でぶつかり合う女子・・・あなたしかいないわ!私の戦友たる女は!」

 

「メイヴちゃん・・・」

 

「さぁまだまだ行くわ!私を殺すつもりできなさい!あなたが女子になるなら、私を乗り越えなきゃ話にならないわよ!」

 

「勿論!──見せてあげる!私の女子力への願いを!!」

 

「!?」

 

完全に極められた腕を持ち上げ、力の限り飛び上がり──

 

「──大雪山落とし────ッッ!!!」

 

メイヴに技を返す──!

 

「がふっ──!いい、いいわ!もっと、もっとよ!!」

 

「その二と、三!」

 

「もっと見せて!あなたの輝き──!!」

 

真なる女子を目指し、究極の女子に至るため・・・乙女は自らを磨きあげる

 

その果てに──自らの理想たる自分がいることを信じて!

 

イメージするのは、常に最強の自分・・・二人は戦い続ける

 

 

「リッカ──!!」

「メイヴーっ!!」

 

同じ男を信じた者同士、自らの矜持と誇りを懸けて──!




・・・そしてその毎日行われる戦いは、午後の三時まで続き。それが終わった後でもリッカの一日は終わらない

スイーツじゃんぬにて、スイーツ作りをじゃんぬに懇切丁寧に仕込まれる。ケイローン一同と共に

「大丈夫ですか?毎日のように・・・少しは一日中休んでもバチは当たらないわよ・・・?」

「大丈夫、むしろ私は立つのがやっとくらいで丁度いいから!」

「身体から無駄な力が抜けています。細かな作業をするには、最適ですね」

「女王メイヴか・・・是非私も、組み合ってみたいものだ。強く叩き伏せるも、組敷かれるも。強き女は様になるからな」

「お前さん、ヒッポリュテでひでぇ目に逢ったじゃねぇか。懲りねぇな」

「・・・あの姑息な恥知らずは女ではない。リッカやかの女王に並べることが無礼だ」

「・・・ヘラクレス・・・」

「いえ、先生や皆が気にする事では無い。さぁ、いつもの仕込みを終わらせましょう」

「う、うん!」

「大変なのですね、大英雄は。・・・今日は皆で試食にしましょうか。新作、作りましょう」

「「「わーい!!」」」

「現金ねアナタたち!?」

「お気を遣っていただき、感謝いたします。店長」

「あ、その、・・・い、いえ。店員は大切にしなくては・・・」

そうして日が暮れるまで仕込みをしたあとは裁縫の教室に向かい、編みぐるみを編んだりする

「まだまだ手先に固さを感じるな。流れるままに針を動かせ、指を刺すでないぞ」

「はい、おじさま!」

「全く、体力も突きかけているのによくやるわね。・・・女子って、そこまで身体を痛め付けなくてもなれるものよ?」

「私は・・・自分を磨きたいんです。自分の限界を、自分で決めたくない。女子として生まれたなら・・・強さも、可愛さも。極めたいんです」

「あなた・・・」

「だって--私は、世界を救ったマスターだから。そんな私が、自分を疎かにしていたらやっていられないから。私は、私であることから逃げたくないから」

だから・・・リッカは目指すのだ。強い自分と同じくらい・・・可愛くて、素敵な自分を

いつか、自分を好きといってくれる人が・・・一生愛してくれるような。自慢の嫁さんだと言ってもらえるようなそんな魅力的な自分にたどり着くまで。生命の全てを使い、自分を磨き続ける

「それが・・・『人間』としての、私の生き方だから。私は、私であることから逃げたくないんです」

「--・・・そうか。全く」

ヴラドは静かに、羊のぬいぐるみを手渡す

「ならば惰眠を害する夢魔はこやつに担当させるがよい。休息は万全にせねばな」

「おじさま・・・」

「安眠の魔術くらいはかけてあげるわ。生きざまもいいけど、ちゃんと休むときには休みなさい」

「--はい!」

・・・その後も。

「今日も楽園に異常ナシ!」

カルデアの見回り

「カルナさん、燃えるごみ置いとくよー」

「任せるがいい。--アグニよ」

「カルナ!貴様、炎の神の力をそんなものに・・・!」

インド兄弟との清掃

「シミュレーションの動作確認、と」

シミュレーション調査とデイリーミッション

「マリー!模擬戦しよー!」

「いいけど・・・大丈夫なの?」

「今だからいいの!」

オルガマリーの武装テストを兼ねた模擬戦

「と、いうわけですよ先輩!裸の王様はたった一人の正直者を描いた物語なのです!」

「童話好きだね~。私も何か読もうかな?お勧めある?」

「はい!はいっ!えっと、えっとお勧めはですね・・・!」

マシュとのマシュパルレ

全てをこなし、やっとリッカの一日が終わる

「今日も女子力を求めた気がする!」

お風呂に入りながら、リッカは天井を見上げる

「--自分自身に、恥ずかしくない生き方を」

人類悪ではなく、自分が人間として生きることを決めた証として。自分は自分を磨くことを止めない

いつか誰もが、『リッカはいい女』と言ってくれるようになる日まで。自分は自分を磨き続ける

【--龍や獣が人の真似をしておめかしをしようが、人は決して龍には近づかない】

人類悪としての囁く声に耳を傾けながら、リッカは頷く

【藤丸リッカ。お前に寄り添う者など永遠に現れない】

精神でも、思考でもない。魂より響き渡る、人類悪としての言葉を受け止める

【お前のやっていることは--】

「間違いなんかじゃない」

きっぱりと告げる。誰もが私の傍にいなくとも、誰もが私に振り向いてくれなくとも。私の行いを私は否定したりしない

だって、私は私を信じている。悪になろうと、決して揺らぐことない自分自身を。世界を救った自分を信じている

自分が自分で有る限り、自分は自分であることから逃げない

例え、報われずとも。誰にも理解されずとも。自分に誇れる自分でありたいと思うことは、決して--

「--間違いなんかじゃ、ないんだから」

【--・・・】

・・・人類悪としての自分を捩じ伏せ、顔を上げる

・・・明日もきっと、私は自分を磨くだろう。誰にも恥じることない自分自身を追い求めるだろう

・・・それが藤丸リッカが決めた生き方。人の形をした人類悪が、選んだ生き方なのだから

「おはよーリッカ!今日も相変わらずムキムキで、女子っぽくないわねー!」

アルクの言葉に苦笑しながら、パジャマに着替える

「身体はちゃーんと柔らかいですぅ~!」

「ほんとぉ~?触っていい~?」

「どうぞぉ~?」

・・・これが、藤丸リッカの一日。女子力を求めんと足掻く、少女の何気ない一日である--

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