聖職者とは・・・まぁ聖書でも天使殴り殺してますし多少はね
「――眠りから覚めてみれば、まさかバーサーク・ライダーが自害するなんて。意志は強いものと思っていましたが。遅れをとるとは」
ジャンヌが呟く。ライダーの消滅を関知したゆえの所感であった
「理性と狂化がせめぎあい半端になってしまったのね、えぇ、きっとそう。自戒が強いのも考えものです。――とはいえ、彼女は全力で戦ったのでしょう。――あの金ぴか。油断なりませんね」
「おぉジャンヌ……あの黄金は忘れられたのでは?」
「忘れられるわけないでしょう!?今度こそ潰すわ!『彼』を連れていきます!新たに召喚されたサーヴァントも共に」
バサリと旗と、ファーを纏う
「バーサーク・アサシンにも連絡を、バーサーク・バー……えぇい面倒くさい!」
ガン、と靴をならすジャンヌ。どうやら煮えたぎる怒りは収まっていないようだ
「湖の騎士・ランスロット!処刑人、シャルル=アンリ・サンソン!」
黒い鎧に纏われし騎士と、ロングコートの出で立ちの青年
「――urrrrr……」
「ここに」
「ワイバーンを用意します、私に続きなさい。思うがままに狂乱し、皆殺しにするように」
「お任せを。王妃の首を落とす役目は、処刑人にこそ相応しい」
「特に、ランスロットには期待しています。――あの金ぴかを必ず、必ず必ず必ず必ず殺しなさい!」
「――――」
「ジャンヌ、どうぞ思うがままに振る舞われるがよろしい!貴方を裏切りしフランスに、世界に、神に!嘲りには報復を返し、怒りのままに焼き付くし滅ぼすのです!」
「えぇ、勿論よ。――ねぇ、ジル」
ぽつり、とジャンヌが呟く
「あちらとこちら、どちらが本物だと思う?」
「決まっていましょう。裏切りに憤怒を、蔑みに憎悪を、神の嘲りに弾劾を以て立ち上がられたあなた様こそがジャンヌ!ジャンヌ・ダルクに他ならない!」
熱弁するジル
「あなた様は当たり前の感情にて立ち上がり、当たり前の権利を行使しているのみ。滅ぼされたのだから、滅ぼす――そこに不純なものはありません。貴方こそが、正しきジャンヌ・ダルクなのです」
「――そうね。ジル。あなたはいつも私を助けてくれた」
「えぇ、ですから……」
「――『育ての親に慰めてもらえ』」
「―――」
硬直するジル、そして。ジャンヌ
まるで、フリーズを起こした機械のように
「……なにか私は、言いましたか?なんだかあの目障りな金ぴかが頭をよぎりましたが」
「――いいえ、いいえ。貴方を惑わせるような戯れ言は、何も」
「そう。――では、行ってきます」
「どうか、在るがままにあれ、ジャンヌよ……」
飛翔する竜の魔女・ジャンヌ・ダルク
「――気づいたと言うのか、英雄王よ……我が願いに、……ジャンヌ・ダルクの核心に――!」
ジルの絞り出すような声が、城の間に木霊していた
~
『ぐすっ、ううっ……ぐすっ……』
出立の朝、ヴィマーナのエーテル補充をしている時に、ジャンヌが連絡を入れてきた
「なんだ鬱陶しい。物乞いなら余所でやれ」
『聖マルタが……聖マルタが……』
マルタ――昨日のバーサーク・ライダーの事か
彼女の助言に従い、リヨンの町を目指す方針を固めた一行。竜殺しを探すのだ
「ヤツは忘れぬか。聖人ですらその責務を果たせるとは限らぬ。サーヴァントとはそういうモノだ」
『はい……ですが、哀しいです……そちらの私と拳で語り合ったならば、解り合えると踏んでいたのですが……現実は厳しいのですね、物語と違い……』
……物語?
「貴様、何を読んでいる」
『現代の小説と、漫画と呼ばれるものを少し!少年ジャンプ!ライトノベルですね!おかしいです……完全に和解できるとたかをくくっていたのですが……』
「――現代文化に手を出したか。ほどほどにしておけ。魂が腐るぞ」
『大丈夫です!自制には自信があります!……よし!こうなれば私が聖マルタの遺志を継ぎます!』
「ほう、聞いてやろうではないか。如何にしてあの豪腕を継ぐと言うのだ?」
『帰ってきたらボクシングジムを設立してくださいますか?筋力を活かして特訓します!目から鱗でした。祈りとは――拳だったのですね!』
――極めるつもりなのか、祈りを
「なるほど、そう来たか。まぁ魔が差したら考えてやるとしよう――あぁ、現代の聖職者は八極拳を嗜むのが通例のようだぞ?」
く、と堪えながら宣う器。そうだったのか……
『本当ですか!?召喚された際にそんな知識は……』
「我が言うのだから事実だろうさ。それと自らの忍耐の修行のために朝昼晩は毎日激辛の麻婆豆腐らしいぞ?」
『し、知りませんでした……流石は英雄王、博識ですね!早速エミヤさんに作ってもらいます!』
ブツン、と切れる通信
「これで暫くは喋れまい」
――現代の聖職者とは何者なんだろうか
「ギルー!皆ヴィマーナに乗ったよー!」
マスターの声が聞こえる。出発だ
「よし――反重力装置起動!玉座を起こせ!」
号令に従い、ヴィマーナが飛翔を開始する。翼を広げ、偉容を表す姿は黄金の大鷹の如しだ
「我等は情報収集の後にリヨンへと向かう!忘れ物はないな!よし、では行くぞ!空も我の庭の一部、踏破は容易きことと知れ――!!」
――聖マルタ。ジャンヌとしのぎを削った、拳の聖女
あなたの導きを胸に、自分達は進みます
どうか、次はもっと違う形で出会えますように
「英雄王」
出立の際、ジャンヌが声をかけてくる
「なんだ、どいつもこいつも似たような顔をしおって」
「大した用ではありません。……私」
「ん?」
「機会があれば、恋をしてみたいと思います。私の存在に焼き付くような素敵な恋を」
ジャンヌの顔は晴れやかだ。マルタとの戦いで、迷いは消えたみたいだ
「もう――恋知らぬ旗持ちとは言わせませんからね!」
……気にしていたのか……申し訳無いことをした
「貴様のような城塞女に追従できる男がいるかは知らんがな。まずは字の読み書きから始めるがいい。ミミズの這った恋文では幻滅されるが関の山だぞ」
「わ、解っています!貴方のその罵倒の種類はなんなのですか!」
「愉悦を嗜むもの、的確に心を抉るべしだ!――話は終わりだ、行くぞ!離陸せよ、ヴィマーナ!」
――恋、か
うん。きっと見つかるはずだ。強靭とはいえジャンヌも女の子
その強い魂に寄り添える、素敵な人と巡りあってほしい
サーヴァントでも、きっとそれくらいは許される筈だと……自分は願っている
「ジャンプ、ライトノベル・・・現代文化、凄いです!」
「でしょう?沖田さん一おしですからねー。こと娯楽において日本の右に出るものなし、です!」
「沖田さん!もっともっと知りたいです、私!カルチャーを!」
「いいですとも!じゃあ次はアニメでも見ますかねぇ」
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