人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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「パールヴァティーたる私には関係のないことなのですが・・・あの赤マントさん、気になります」

(大きい背中、家庭力溢れるその振る舞い・・・私すら上回るその気遣いの細やかさ・・・私の密かな目標です!)

「今日も和食を教えてもらいましょう。確か今日は所長さんと一緒にいるとか・・・おや?」

(扉の向こうから声が?どれどれ・・・)

『頼むオルガマリー君!触りだけ!触りだけでいいのだ、一発、一発だけ!』

『え、あ、はい・・・どうぞ?』

『ありがとう!大丈夫だ、悪いようにはしないさ・・・!』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えぇ・・・・・・・・・?」

月の表、居住区

「はーい出欠取るよー!元気よく返事ー!出席簿に名前かくから・・・ん?」

(・・・ない)

「ない、ない、ない!!私の--タイガーペンが--ねぇえ--ぃ!!!!」

「またタイガーが発狂してるよ」

「懲りねえなぁタイガー」

「タイガーって!!言うな!!まさか・・・裏側に!?今日は自習!!どわいしゃあぁ--!!」

「「「先生--!?」」」


月の自我、快楽の分け身

愉悦の導きによる突然の邂逅──互いに全く意図していなかった出会いが別に奇跡を呼ばないこのエンカウントに対応は様々であった

 

まだスタジオとか交渉とか

 

《変わらぬな。根はやはり悪路に染まりきれぬ純潔のAIよ。しかし・・・上質の医者と来たか。持って回って核心を突きおって。何処までも性根の歪んだ男よ、言峰め》

 

互いに困惑を顕すもの、噛み締めそれでも笑うもの

 

──ハイ・サーヴァント・・・女神集合体。レベルは999ではないのですね、安心しました。念のため対神・ワカメウィルスを選別しておきます

 

「落ち着きなさいBB。ムーンセルの達しからしてこれはチャンスよ。向こうから来てくれたのだから、対処を間違えないように」

 

冷静に現状を把握し、選別と進言を行うもの

 

(なんだアレは!規格外にも程がある!90、100、110・・・120!バカな!まだ上があるだとゥ!!?なんてことだ、ボクの知らないおっぱいバレーが登載されているのか!?なんてことだ、彼女には是非とも楽園に来てもらいたい!!)

 

「あ、あの子・・・もの凄い興奮しています・・・大丈夫かな・・・?」

 

興奮するもの、困惑するもの。せめてもの幸運は、即座に殺し合いに発展しなかった事であろうか。

 

《さて、奴等はどう出るか?どうだ、エアに獣よ。汚物どもの集合体を目の当たりにした感想は》

 

王の油断ならぬ所感の問いに、二人はそれぞれ感想を告げる。それらは互いに、正反対なものであった

 

──あちらの上半身が特化したパッションリップちゃんは・・・ブリュンヒリュデ、ドゥルガー、パールヴァティーの集合体。あちらの下半身鋭いメルトリリスさんは・・・レヴィアタン、アルテミス・・・それと、弁財天でしょうか。強力な女神を掛け合わせたハイ・サーヴァント。油断はできませんね

 

真面目になったエアの対峙した者の分析が続く。フォウ的にはパッションリップは言うに及ばず。メルトリリスに注目する

 

(しかし根は真面目なんだなアイツ、見えそうで見えない衣装、チラリズムへの反逆・・・だが体つきとしては語るに及ばない。強く生きてほしい)

 

「・・・なんだか凄く失礼な視線を感じるわ。いつからあなたはペットを愛でるようになったの?冷酷無情な王様。あなたではくびり殺してしまうのだから、生命に対する虐待は止めておいた方がいいと思うのだけど」

 

容赦のない批評を笑って受け流し、あえてらしくない言葉を使って反応を伺う

 

「忠告、有り難く受け取っておこう。変わらぬ月下美人ぶり、嬉しく思うぞメルトリリス」

 

「──は、ぇ、・・・ぇえ・・・?」

 

王の再会を喜ぶ言葉・・・脳が理解を拒否し、メルトリリスはフリーズを起こし停止してしまう。そのありさまを見て酒を進めなお笑う。会話一つ取っても、ゴージャスに隙はない。彼を知れば知るほど、その魂に衝撃を受けることになるのだ

 

──王よ、話し合いの席につく前にやっておきたいことが

 

《赦す、述べるがよい》

 

エアは進言する。この場を荒立たせる事なく戦闘を行わせない手段を

 

《──良かろう。無駄な財を放つより建設的だ。では財をこちらに回せ。狂言回しは任せよ》

 

──はい。よろしくお願いいたします

 

姫の進言を受け取った王は、その行動を実行に起こす。この場を瞬時に制圧する、王の威光と気迫を全面に押し出した威圧を放つ

 

「さて、どうする癌ども。一戦交えるか?三体纏めてかかってこようが我は一行に構わん。躾が欲しいならば存分に歯向かうがいい。死なぬ程度に身の程を弁えさせてやろう」

 

酒器を高く投げ捨て、右手に乖離剣、左手に終末剣を構え背後に100門の波紋を展開し仁王立ちにて三人を睨む王。背後の砲台は、全て急所に向けられている

 

その様を見て驚愕したのは三人娘であった。躊躇いなく本気と至宝を開帳し、油断の一欠片もなく愉しげに笑い次の瞬間蹂躙を為そうとする彼のあまりにも『らしくない』姿に戦慄を覚える

 

(・・・信じられない。アレ、本当に英雄王・・・?油断も慢心も貪る隙の多いアイツとは別人じゃないかしら・・・)

 

(あわ、あわわわ・・・)

 

アルターエゴらの戦意は元より低いようだ。振るうことは無いにしてもこれで戦闘の抑止にはなるだろう

 

英雄王を知っているものにほぼ例外なく通じる方法、エア戦術『ゴージャス威嚇』。効いてくれたようで何よりだ。これで愚かでないならば戦闘は行わないであろう

 

《いささかやりすぎな気がしないでも無いが・・・滞りなく順調だな、エア》

 

──はっ。こちらの目的は話し合い。武力行使を消すためにも王の本気を垣間見せることは悪くは無いかと思われます

 

 

「・・・び」

 

その様を目の当たりにし、首領格たるBBは・・・

 

「BB作戦ターイム!」

 

「認めよう」

 

作戦会議時間を要求してきたBBを快諾する王。三人は円を組み座り込み作戦を立てる

 

 

(どうするんですかどうするんですか!?十の王冠も聖杯も没収されちゃいましたし!CCCでも勝てなさそうなんですがー!大体あのガチ本気装備はなんなんですか!見たことのないプロトな弓なんか持ってますし半裸族ですし!あーもうなんでこうなるんですかー!)

 

(落ち着きなさいBB。展開はしているけど、こちらを害するつもりで来た訳じゃないはずよ。アレが本気なら見た瞬間殺すはずだし)

 

(殺すつもりはない・・・じゃあ何しに来たんですか!?もうあの人の行動理念が訳がわからなくて大嫌いです!あのときも先輩に勝手についてくるし!契約切れって言ったのに!契約切れって言ったのにぃ!)

 

(泣かないでよ・・・とりあえず此処はあちらの情報を掴みましょう。リップに話を聞いてもらって、あっちの本意を聞き出すのよ)

 

(な、なるほど!あなたや私と違ってリップは擦れていませんからね!被虐体質が困り者ですが・・・穏便に済ましてくれるでしょう!ワンチャン即死もありますし!)

 

(あなたと同類にされるのはとても不愉快で不満なんだけど・・・背に腹は代えられないわ、我慢してあげる)

 

(どちらが腹なんですか?)

 

(張ったおすわよBB!脂肪がたくさんだからと調子に乗らないでくれる!?リップ、聞いていたわね?いい感じにアイツと話を・・・リップ?)

 

「この手紙を認めたのはお前だな、パッションリップ。その純真さと素直ないじらしさに免じ、参列を認めてやろうではないか」

 

「は、はい!よろしくお願します!私、精一杯お役に立ってみせます!」

 

((もうコンタクトしてる──!!というか楽園に内定決めてる──!?))

 

 

驚愕する二人を脇に起き、リップは自分の気持ちと想いを、正直に英雄王に告げることを選んだ。その言葉で、英雄王と対峙したのだ

 

「私、こんな手で、どんくさくて、わがままで。皆に迷惑ばかりかけてしまうけど・・・それでも、それでも・・・」

 

「・・・」

 

「『これも、私だから』。まだ、愛や、優しい気持ちは解らないけど・・・この気持ちに、ちゃんと向き合いたいんです。誰かと話したり、誰かと一緒にいたり、誰かとふれ合ったりしたいです!自分の異常性から目を逸らさずに・・・私は、自分を磨きたいです!だから、その・・・楽園に行って、

皆と仲良くできたらなって・・・私・・・手紙を・・・」

 

「よい」

 

その懸命な言葉を告げるリップの頭に、優しく英雄王は手を置き是とする

 

「お前の気概、あの日と変わらず本物だ。いや、更に成長を果たしたようだな。ならば認めよう。お前の克己心を以て、真に楽園の門を叩くことを赦す」

 

──はい。リッカちゃんも喜びます!その、女神サイズのもちもちなお餅に!

 

(飛び込みたい!是非もない!欲のない馬鹿にはなれない!それでボクはいいんだろう!叩きつけてやれフォーウ!)

 

「ひゃ!?」

 

飛び込んできたフォウを受け止める形になったリップ。フォウと目が合う

 

「・・・私に、怖がらないで触れてくれるの?」

 

凶器である自分に、害する意志なく飛び込んできた獣に目を白黒するリップ。フォウはほっこりする

 

「ファー・・・(すごぉい・・・)」

 

「・・・ぐすっ・・・ありがとう・・・これから、よろしくね、キレイな・・・ねこさん?わんちゃん・・・?」

 

「ファー・・・(ヤバァイ・・・)」

 

超弩級のブレストに『おすわり』しながらフォウはうっとりと、顔をほっこりさせるのであった・・・

 

──フォウが骨抜きに!しっかりフォウ!谷間には狼の死体しか転がってないんだよ!

 

(はっ!?・・・こ、これが被虐体質か!やるなリップ!まさにましょーの女だ!この不動の心を持つボクを惑わすとは!)

 

──フォウは不動の心だよね!自分の欲望が第一、という意味で!

 

(辛辣ゥ!)

 

《何処までも意志持つ獣は厄介なものよ。本能と野生の開放は程々にしておけよ。さて・・・》

 

契約を完遂し、同意の下パッションリップを持ち運び用のキューブに収納したあと、キューブで手すさびし王は改めて残り二人に問いを投げる

 

「さて、どうする?お前達二人の意見をきこうではないか。案ずるな、悪いようにはせぬ。こちらはもともとその為に来たのだからな」

 

からかうように告げる王を相手に、BBは再び待ったをかけ、高らかに声を上げる

 

「再びBB作戦ターイム!」

 

「認めよう」

 

二人でしゃがみこみ、顔を会わせて話し合いを開始するBB、メルトリリス

 

(コネクションを作れと言いましたが、これはどうなんでしょうか・・・私達が出張派遣するのはいいんでしょうか?どう思います?)

 

(知らないわよ、私に聞かないで。だけどまぁ・・・此処よりはましなんじゃないかしら。対応と待遇)

 

(い、いやそれはそうなんですが・・・でも、なんというか・・・おいでと言われてはいと返すなんて、何処かのエリちゃん並にチョロいと言うか・・・)

 

(はぁ・・・いいわ。じゃあ私がカマをかけてあげる。適当に情報を引き出して上げるからそれで判断なさい)

 

それだけを告げメルトリリスは立ち上がり、王に相対し自信ありげに気高く告げる

 

「ハッ、ちゃんちゃらおかしいわね英雄王。このプリマドンナ、完全なる存在のメルトリリスをパッションリップのお子ちゃまなんかと一緒に見ないで。楽園なんて甘い言葉で女の子を誘うのが上手くいくと思ったら大間違い──」

 

「貴様の趣味はモデリングやフィギュア収集であったな。そら」

 

パチンと指を鳴らし、エアが選別し今では手に入らぬ限定フィギュア、イベント限定モノ、限定受注生産、色ちがいやカラバリ違いの大量のコレクター品を用意しメルトリリスの前に積み上げる

 

「これを『手付金』としてくれてやろう。貴様の趣味嗜好を満たすのには十分であろうが」

 

「なっ──て、手付金・・・?この、オークションで揃えたら数百万は下らない宝の山が・・・!?」

 

本来の正規ルートでは最早絶望的な限定品ばかりを立ち並ばされ、メルトリリスの魂が地震めいて突き動かされる。

 

──王!畳み掛けてください!物欲を持つものは王に逆らえない筈です!

 

(覚悟しろアルターエゴ!買収してやる!!)

 

「それだけではない。我が楽園には上等のモデラー、様々な資料、話の合う同志、趣味に没頭が叶う環境の全てが完備されている。其処に来ればスケールフィギュアの収集は愚か──」

 

「お、愚か・・・?待って、まさか・・・まさか・・・」

 

ゴクリと生唾を飲み込むメルトリリスに、王は詰みとばかりに高らかに声を上げ、拳を振り上げる

 

「この世で唯一無二!たった一つの貴様の為のフィギュアなど作り放題!最新の技術にて精製し放題と言うことだ!収集家としてこれ程心踊る条件はあるまい!それとアルテミスがいるぞ(ボソッ)」

 

いい笑顔(グッドスマイル)ッ!!あなた最高ね英雄王!これからよろしくお願いするわ!私の踵、存分に使って頂戴!はぁあ、待っていてまだ見ぬ私のフィギュア・・・!全て集め尽くしてあげる!」

 

快楽のアルターエゴ、愉悦に屈する。あっさりと鞍替えし感覚の弱い手を懸命に出して握手する

 

「メルトリリス──!!?あなた節操ないにも程がありませんか!?私の言うこと何にも聞かないくせに!また裏切りですか!?」

 

怒りと困惑を露に涙目で叫ぶBB。それを悪びれもせず限定フィギュアをだきしめ御満悦にて産みの親に訣別を告げるメルトリリス

 

「ごめんなさいBB。私、アルターエゴである前にモデラーでありたいの(ドヤァ)」

 

「存在を根本から否定してこの笑顔・・・!凄くグーパンで殴りたいです・・・!ぐぬぬぬぬ・・・!」

 

ガレージキットを組みながら

 

──ある意味パッションリップちゃんより容易い相手でしたね。物欲を抱えている時点で王には叶わないのは自明の理ですが

 

(BB、アレ結構苦労してたんだなぁ・・・そうだ、二人とも。アレの説得はボクに任せておくれ)

 

フォウがふんすと立ち上がり、ピョイんと飛び立ち空中にてくるりと回って変身する。人型の・・・豆と酒の大賢者ウーフォの姿だ。女性型マーリンといった出で立ちである

 

《ほう?何か突破口があるのか、獣?あの愛憎反転を備えた面倒な月の(むし)めを調伏する手段があると?》

 

「無論だ、任せておいてくれよ。さて、BB。始めましてだね、ボクはウーフォ。尊さの獣さ」

 

天空にかかる虹は人類愛降臨の証。踏みしめる大地に七色の華を咲き誇らせながらBBに頭を下げるフォウ。その獣の存在にいよいよ以て眼を見開く。其処に、ムーンセルの伝えた獣が在ったからだ

 

「・・・人類悪!?そんな、その姿は・・・」

 

「ボクの事はいい。説明に一週間近くかかるからね。そんな訳で君だけ残すのも上手くない。意地でも一緒に来てもらうよ」

 

「ッ。ふ、ふーんだ。来てと言われて行くほど私はチョロくはありません!楽園へのコネクション作れとは言われましたが、あなたたちに尻尾を振れとは言われてないのです!」

 

あくまで反抗的な態度を取り続けるBBに、そうこなくてはと獰猛に、整った顔を歪ませ八重歯を見せ笑う

 

「その態度──いつまで保つか見物だね。ならば──これを見てみろよ」

 

スッ、と手にした虹色の杖を掲げ、空中にモニターを展開する

 

──フォウ?何を・・・?

 

「ボクはあらゆる尊さに繋がる事象を身体に溜め込むことができる。勇気、希望、未来、慈愛、寛容、尊重・・・それら全てがボクの力だ。エアがいる限り、人間のそれらの感情がある限りボクはけして滅びない、そしてそれはこんな風に・・・」

 

高らかに杖を掲げ、空に円を描く

 

「他者に見せる形にも出来る!」

 

その様となり、映し出されたのは・・・

 

 

【BBチャンネル!また次の放送でお逢いしましょう!・・・はぁあ・・・また、先輩に気持ちを伝えられませんでした・・・】

 

一人鬱になり凹んでいるBBの姿であった。

 

「なぁっ──────!!?な、なな、なななななななな・・・・・・!!」

 

「ほう・・・?」

 

──おぉ・・・!

 

その誰にも知られなかった姿に、ニヤニヤと共に告げるウーフォ。それは吐き気を催す美しさと可愛らしい笑顔であった

 

「『誰かを想う気持ち』など今のボクの最たるモノだ。保健室に残っていた君の想いを全て読み取らせてもらった。だが、敵対している以上ボクはこうして君のプライバシーを垂れ流すしかない。味方じゃないからね、残念だ」

 

【先輩のばか・・・どうして気付いてくれないんですか。こんなにいっぱい心配しているのに、想っているのに・・・私じゃだめなんですか・・・?】

 

「ああ、あぁあぁやめ、やめやめやめやめてくださ──い!!!それは楽屋裏、楽屋裏の秘密映像ですから──!!」

 

【先輩・・・私に声をかけてくれた優しい先輩・・・あの記憶を捨てて裏切った白いのなんかと・・・どうして、私じゃないんですか・・・あなたの隣にいたいのに・・・色々したいのに・・・私だって・・・】

 

──わぁ、乙女・・・

 

「──桜酒、か。ふはは、極上の肴だ。で、どうだ?まだ気持ちは変わらぬか?お前の驚異的なシステム掌握力は高く買っているのだがな。出来れば、ククッ、楽園に来てほしいのだが・・・」

 

【先輩、先輩・・・大好きです 先輩だけが 大好きです】

 

「きゃ────!!やーめーてーくーだーさーいー!!!!!」

 

「止めてほしいなら言わなくちゃいけない言葉があるよなぁ?さぁ、本当の気持ちを言ってごらん。画面の向こうの君みたいに。画面の向こうの君みたいに!」

 

「行きます!行かせていただきますから映像止めてくださ──い!!私が、私が悪かったですごめんなさ────い!!」

 

顔を真っ赤に精神崩壊寸前になり頭を抱えてしまったBBを見据え、心を痛め(笑)ながら映像をしまう

 

「手強かった・・・こんなクズい手段に訴えなきゃいけないなんて甚だ遺憾だが仕方無い。素直じゃないから仕方無いんだ。あぁ仕方無い仕方無い」

 

英雄王の背に乗り、ヒコヒコと身体を揺するフォウ。その外道ぶりに感嘆を示す愉悦部部長がついに名を呼ぶ

 

《やるではないか、フォウ。評価を訂正しよう。貴様は我が傍に侍るに相応しい獣よ》

 

(ようやく名前を呼んだか。当然だろ、人類愛だからね!どうだいエア。ボクの手並みは?)

 

──フォウを人類愛に出来て、本当に良かった・・・

 

比較ではなく、誰かの尊さの気持ちを力に出来る。そんな素敵な存在になった事実に、エアは改めて喜びを露とするのだった。その様に、フォウも満足げに頷く

 

(キミのお陰だよ。本当に・・・ありがとう。エア──)

 

上空の虹が弾け、七色の流れ星となって夕焼けを彩り。此処に契約と交渉は完遂したのだった──

 

 

「(今の情報、確かに記録したな店主)」

 

「(無論余すところなく。これはムーンセルの貴重な資料として厳重に保管せねばなるまいよ)」

 

それを余所に、新たな愉悦の種にホクホクな店主であったとさ

 

 

・・・本来の目的は完全に果たし。月の裏の探索は終わりを告げた

 

ならば次は表側。楽園と月を繋げる、外交の時間である──




「よし。ではよいな、BB。貴様の身柄、我が預かろう」

「はい・・・よろしくお願いします・・・月の裏側の座標は入力しておきますので・・・」

キューブに収納し、三つのデータを確保した英雄王。これで月の探索は・・・

「さて、では月の表に行くとするか。新王の面を拝みに行くとしよう」

終わる筈もなかった。右腕を高々と掲げ、移動を開始する

--月の外交。完遂出来ますように・・・

パチリと鳴らし、王の身体は月の表側へと瞬間的に跳ぶ--

同時に・・・

「私の!私のペンは何処--!!」

桜の木から、とあるタイガーの雄叫びが響き渡った・・・


そして、月の表側。月の新王のマイルームの浴場・・・

「よい湯だな!奏者もそうであろう!そうであろう!?」

「うん。でも薔薇の匂いがキツい」

「なーにを言うか!これが良いのだ!ローマを、余を表す情熱の薔薇!これを浮かべはじめて浴場と言い--ぬっ!?」

瞬間、謎の魔力が巻き起こり、浴場の穏やかな空間を吹き飛ばす。即座に戦闘体勢に移る赤き情熱のセイバー

「何者か!不届きものめ、姿を現せ!」

「--無論そのつもりよ。我が前君臨、如何なる防備、対処も対策も叶わぬ」

新王の居住に現れし、絶対なる存在たる英雄王。単独顕現によるその偉容、女子二人の浴場に半裸の王がやってきたのだ

--座標とファーストコンタクトを誤ったような・・・

それに対する、新王の対応は・・・

「あ、着替えますので少し待っていてください」

鋼鉄の精神であった

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