人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「退け、ナマモノども。我が歩みを阻むな」

「へいっ!あら○ですかニャ?どーぞどーぞお通りくださいニャ。止めねぇですぜヘヘヘ・・・はぁ・・・」

「門番の威厳が欠片もないなネコアルク。ネコ缶もらってその様とは同じネコ的にカオス的に哀しい」

「だーってあちらに行く前の英霊本体なんか勝てるわけニャいし。ギャグ時空にも限度があるニャ・・・」

「ギャグキャラが受けに回ってどうする。だからお前はタイプムーンの顔になり損ねたのだ。見ていろ私はオマエとは違う。きっちりばっちり・・・」

「うふふ♥通らせてくださいな、渋いネコちゃん?♥」

「はい、どうぞ♥」

「おィイ!!」


召喚編--引き際は肝心

「そろそろ、流れが来ているのではないか?」

 

休憩を挟み、再び召喚の儀に挑む王。変わらぬ戦いにて呟いた言葉がそれであった。聖杯もチケットも使わずアルトリア・・・種別に目を瞑れば望みのサーヴァントを引き当てている。この事実を鑑みれば、縁を以てアルトリアが来るのではないかと王は見たのだ。王的にはそれなりの理があると見たのだが・・・

 

(はははははは!愉快な事を言わないでくれよギル!それは破滅に向かうものが最後に陥る思考さ!財を擲って、確証のない散財でまだ苦しみたいのか?いつかは、やがてまたいつかはと!そんな甘い毒に踊らされて一体オマエはこれまでどれだけボクの悪友達のワインを潤してきたんだい!)

 

その手垢がついた妄言に元比較の獸、大爆笑であった。ケモノは嗤う。次は来る、次はきっとくる。だから次は最後だ・・・そう言う、崖っぷちからの逆転を夢見る者達のなけなしの希望にすがる者達が、当然のように転がり落ちるその様を

 

(ギャンブルに陥ったもの、自らの射幸心を制御できないものは必ずオマエがさっき口にした台詞を吐くのさ。例外無く破滅がオチだけどね。彼等は崖っぷちにいると、当たりを引け自分は逆転が出来ると思い込んでいるのだろうが・・・逆転など出来るものかよ。『もう奈落に堕ちている』のだから。その事に気付いていないのは、奈落にいる本人だけなのだから!あぁお腹が痛い!此処で帳じりを合わせておけよギル。完全無欠の結末への負の因果は、此処で総て精算しておいてくれよ?)

 

BBによってたがが外れたのか、見てきた人間の悪性を思い返す発言への嫌悪かいつも以上にキレッキレな王への罵倒。笑いはしているがフォウの目は微塵も笑っていない。これは、フォウなりの真摯な警告であるのだ。『引き際を弁えないヤツは例外なく破滅する』と

 

 

――な、なんだかフォウが物凄く真面目に王を諌めています!どうしたのフォウ!?

 

(パチンコ屋やカジノに飼われたらボクは一ヶ月も立たないうちにプラミッツ・マーダーだ。あまり泥沼には行って欲しくないんだよ。嗜む程度で止めておけ。エアも見ているんだからな)

 

 

真摯であるが故に辛辣な警告――だが。我等が王は違った。一味も二言も違ったのだ

 

《たわけめ、我を其処らの貧しき雑種と同列に語るな。――次で我は出すのだ!必ずな!

 

ポジティブさ、不屈さにおいてもゴージャスに並ぶものはない。というかいくら爆死しようが戦力は充実していく、最悪王の心がとてもつらい事になるだけであり。そしてそのつらみはとうの昔に背負ったこの世の総ての一部にすぎない

 

王の戦いに、絶望は無い――最悪愉悦によって部員どもの肴となるのだ、我が尻込みし奈落に落ちることに、地雷を踏み吹き飛ぶ事になんの躊躇いがあろうか!彼方にこそ栄えあり!届かぬからこそ挑むのだ!絶望に挑むのは誰だ!王か!ゴージャスか!勿論我だよ!

 

――流石の矜持!流石のオーラ!流石は英雄王!ですがそれはまたの名を禁忌のバンザイアタック――特攻と言うのでは!?玉砕と何も変わらないのでは!?

 

《王とは見えている地雷は踏み抜き奈落には落ちてみるものだ!案ずるな、今の我には友も、お前もいる!なんの憂いがあろうか!ファイトだ友にエア!頑張って我を助けよ!!》

 

――それは勿論ですが!あぁっ召喚を!?

 

王は言うが早いか、召喚サークルを回す。この戦いは、愉悦を求める戦いである。天上天下に在って英雄王に不可能なし、時の果てまで世界は我が手中にあり!

 

「さぁ来るがいい!流れがあるならば――勝ち目があるならば当然のように勝つのが我の王道!さぁ、現れ、招かれよセイバー!別れは告げたが――それはそれだ!」

 

輝き、収まり。高次の次元より招かれるは新たなるサーヴァント。その全容が・・・今、現れる・・・!

 

「さぁ、来たか、セイバーよ――!」

 

「ランサー、アルトリア・ペンドラゴン。ロンドン以来だな、英雄王。楽園に立ち塞がる障害・・・嵐となりて、私が総て粉砕しよう」

 

甲冑に身を包み、漆黒の馬に騎乗したライダーめいたランサー・・・アルトリア・ペンドラゴンのifのオルタが現れたのだった

 

「――――流れは、来ているな・・・流れは」

 

口の中に広がる血の味を抑え、静かに呻く英雄王。違う、そうではないのだと言った言葉は吐かない。自らが招き、応えられ招かれたサーヴァントに呪詛をぶつけるのは筋が通らぬ。故に・・・堪えねばならぬ。王として、堪えねばならぬのだ

 

「騎士王のオルタ!?よろしくお願いいたします!槍の騎士王には、御世話になっています!」

 

「はい、よろしくお願いいたします。序でにジャンクな栄養補給を所望します。いつか、あなたが無慈悲に敵を倒さねばならぬ時・・・我が槍は輝く事でしょう」

 

オルタと言えど、誉れも高き騎士王・・・いや、聖槍の所持のためにあらゆるものを使用した理性を律する槍のオルタなため、他のオルタよりも厳格であるのだ。礼儀正しく一礼し、去っていく。・・・馬に乗って

 

(流れはあったな。フラグ回収乙)

 

《中々につらい》

 

二連続におけるオルタ・・・流れは流れでも負の流れに目頭を抑える英雄王

 

――大丈夫!大丈夫です英雄王!まだ、まだ行ける筈です!ワタシは絶対に屈しません!ワタシ達が三人総て屈するまで、負けたわけではありません!ワタシは屈しませんよ!

 

流れを打破するように願いを込め、新たなる風を吹き込まんと進言し英雄王を励ますエア。王は屈しない。自らを苛む爆死の運命にさえも!

 

《――そうさな。途中で屈する軟弱な王など、お前の敬愛の対象に似つかわしくはあるまい!》

 

例えつらみのどん底であろうとも、姫の言葉があれば王は立ち上がる。それこそがゴージャスの矜持にして、精神と魂の絶対性にして根底である

 

(なんでこいつカルデアでエアの声で復活するくらい瀕死になってるんだろう)

 

フォウの疑問すらも捩じ伏せて、王は立ち上がる。勢い余って物理的に玉座から立ち上がったが気にせず号令を告げる

 

「回せ!!中途半端に飛び立つから奈落へと落ちるのだ、我は飛び立つ!大いなる空へとな!」

 

サークルが回り、光が満たされ王の願いと矜持を乗せて、皆の視線を集めながら・・・届かぬ星に手を伸ばしながら

 

「さぁ――如何に!」

 

光が収まり、収束し・・・現れたのは

 

「こんにちは。アサシン・マタ=ハリよ。直接戦闘は残念だけれど・・・それ以外の事なら、ね?甘えたいとき、辛いとき・・・私の眼を見てちょうだい?私の名は・・・そう『陽の眼』を持つ女なのよ--」

 

マタハリ。運命の女とされる伝説のスパイ。その美しき肢体にて将校達を翻弄した美しき女。その眼に見いられた人間は、全てをつまびらかに暴かれる事となるのだ。それは、男女共々共通する事項である。故に――

 

「セクシー、エロイッ!!」 

 

ムニエルが貫かれ

 

「バブみを感じておぎゃる。最高に尊い」

 

人理を臨む龍心が発動していないリッカに突き刺さる。それらは全てに等しく降り注ぐ太陽の如く・・・だが、しかし

 

「あ、綺麗な目だね。宜しくね」

 

全ての魔術を納め、支配下に置く魔術王たるソロモン、そして確かな幸福を掴み始めたロマンには一切の判定が効かず

 

「ほう。外来から訪れる雑種の諜報に使えそうではないか。重宝してやろう、運命の女の名を冠するものよ」

 

――綺麗な瞳ですね・・・美しい人です!

 

(分かるフォウ。ここすき)

 

至尊の理にて自らに対する精神干渉を当然のようにはね除ける英雄王、単純にスケベな女性に弱いフォウ。此処には、自らの理性を手放すものはいないのだ――!

 

「あらあら・・・少し自信が無くなってしまうわね。ですが嬉しい、頑張りますから、よろしくお願いいたしますわ。皆さま方」

 

笑いながら、蠱惑的な投げキッスを残し優雅に退出する華やかなマタ・ハリ?その後ろ姿からして、ムニエルとリッカは語り合う

 

「見たかリッカ。サーヴァントになる美貌だけあってすげぇ美人だよな。見ろよあの身体を、まるでたわわみてぇだ。こいつは随分男性に貢がれたんだろうなぁ・・・」

 

「だね。それが望みの、価値ある宝かどうかは別として・・・ね」

 

静かに、マタハリの立ち振舞いを見抜くリッカ。あのとき、王二人に自らの眼が効かなかったことに対する感慨と感覚は、無念では無かった。あれは・・・自らの秘めた願いに手が届いたかのような、そんな笑みであったかのように思う

 

《――よし、今日は此処までにしておくとするか》

 

やり場のない焦燥と意固地が、マタハリの美しい所作により冷静となり静かに玉座に腰を下ろす。アルトリアの流れが断たれたことを痛感し、一息つく英雄王。フォウも静かに肩に乗り、あくびを漏らす

 

――はい。アルターエゴ二人、ムーンキャンサー、新たなるサーヴァント四人・・・これ以上の招集は、王のお身体に障ります。此処が止め時かと。賢明かつ聡明なりし判断です、英雄王

 

エアもその言葉に賛成する。呼んだならば、招いたならばその個室の用意をもしなくてはならない。楽園を維持するための王の奮闘は、常人の労働数千人に匹敵する

 

(明日から疲れるだろうし、今日はもう寝ようぜ。妥協を赦さないオマエだ、明日から建築詰めだろ?)

 

心より王を思いやり、労るエア。引き際を弁え、泥沼に嵌まらぬことを安堵せしフォウ。二人の思慮を受け取り、笑いながら王は席を立つ

 

「よし、では今日の召喚の儀は此処までとしよう。各自自らの持ち場に戻るがいい。明日からは久方ぶりの建築だ、我に伝えるべき用件は今日のうちに告げておけよ」

 

「「「「はっ、ギルガメッシュ王!」」」」

 

号令を告げ、一同は退出を始める。今回はアルトリア顔が二人も来たな。オリジナルは来ないな。王はガチャ運を犠牲に楽園を維持してくださる、英雄王万歳と、様々な感想と所感が入り交じり所感と感想が波を引くように遠ざかるなか

 

「・・・――」

 

――マスター?

 

《・・・――》

 

王と姫は、見逃さなかった。リッカがサークルの前で、立ち尽くしているのを

 

「・・・」

 

その首に下げられた、勾玉を握りしめて立ち尽くす自らのマスターの姿を。決意と意志を以てじっと、とある英雄に思いを馳せるのを・・・二人は、見逃さなかった

 

「――今呼んだら・・・誰が来るのかな。・・・将門公」

 

その眼には、揺るぎない確信が・・・召喚への意志が。確かに揺らめいていた――

 




NG召喚・地

「童貞のセイバーです。あの、何か食べ物を」

「ドウテイ・・・?だ、大丈夫ですか?フラフラしていますが・・・?」

「なすび・・・?あ、すみません。食べ物には、調味料を全部」

「え?」

「全部」



「・・・(ブリュリュリュリュッブチチチチッブリュリュリュリュッ)」

「あぁ・・・エミヤのカレーが、ハジュンカレーが大変な事に・・・」

「君は料理をなんだと思っているのかね・・・」

「エミヤ!エミヤ抑えて!味覚が、味覚が鈍感なんだよ!」

「土方さんに声がそっくりです・・・」

「とうと~~~い!!!」

「えぇっ!?」

「いや、本当旨かったです。なんていうか、生き返りました。お代・・・あ。裸一貫だった・・・」

「・・・放浪者か?行き倒れの英雄とは聞いたことがないが・・・堪能してもらえたならかまわない。今回は店の負担で・・・」

「あぁ、じゃあ・・・質に入れてください」

「え?」

「--目標も復讐もやり遂げちまった俺には、もうこれしか無いもんでな(クルッ)」

「え?帽子クルって・・・まさか・・・」

「活字じゃ分かりにくいから一足先に--質に入れ(ウェイクアップ)・ダン」

「ブイ字に刀を振って--まずい!!皆伏せて--!!」

『衛生軌道より物体が飛来!真っ先にこちらに落ちてきます!!』

「何がですか!?」

「ヨロイ--!!!」

食堂目掛けて飛来し、全てを突き刺す十字の剣が、レジに突き刺さる

「代金は、これで」

「いらん!持って帰りたまえ!」

「--すみません」

『傍迷惑のセイバー、退出』



「アルターのバーサーカー。世界を救ったアルター使いの女ってのは誰だい?」

「アルター・・・邪龍の鎧のことかな?」

「アンタか。・・・わざわざ来た理由は他でもねぇ。何も考えないで・・・喧嘩しようぜ!!」

「--あいよ!!」


【抹殺のォ!!ラストブリットォオ!!】

【がはぁっ--地獄の九所封じその一!大雪山落としーーーッ!!!

【ぐがあぁあぁっ--!!】

~12時間後

「へ、ヘヘヘ・・・やるじゃねぇか、--俺ァ、⬛⬛⬛だ。お前・・・名前、教えてくれよ」

「リッカ・・・藤丸リッカ」

「オッケー・・・刻んだ。んじゃ、リッカ、決めるか」

「--あいよ」

【--こいつがァ!未来を掴む力だァアァッ!!!】


【これが--世界を救う姿だッ!!】


【リッカ!こいつが俺のぉ--自慢の拳だァアァァアァァアァァ!!】

【私が--世界を救う悪だ!⬛⬛⬛ぁあぁあぁあっ--!!!】

『シミュレーションルームごと、能力の反動とダメージにより霊基消失』

「--・・・・・・」

リッカ、全治一日の重傷--



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