人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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「ふんふん、これが将門公の刀剣かぁ。凄まじいものを貰ったねぇリッカ君!解析しがいがあるというものだよ!」

「丁重に扱わなければ、呪われますよ師匠」

「勿論、わかっているとも!ミスター・エミヤも呼んで解析しなくては!」




「将門公の刀か・・・ストックして呪われないかね」

「そのときはそのときだよん」

「くっ、西洋の人間は霊魂を甘く見すぎている・・・!将門公など、日本の人間にて畏怖せぬものなどいない程だと言うに・・・」

「ほらほら、解析して敬わなきゃ!」

「・・・恨むぞダ・ヴィンチ。・・・む?」

「?どうしました、エミヤ」

「・・・何かが彫ってあるな、これは・・・、レイシフトの座標か?」

「レイシフトの・・・?」



ムニエル・ゴー・カルデアス・ブートキャンプ

やぁ皆、久しぶり!いつ以来かな。楽園カルデア所属、ムニエルだ!この楽園に骨を埋め、最後の最後まで戦うことを決意した熱いギーグ、つまるところただのオタクだ!周りには親しみと敬意を込めて『怨霊』と言われているぞ!なんでだろうな!

 

いつも俺達の活躍を楽しんでくれてありがとう!ゴージャス王を始めとした愉快痛快な大冒険の活躍は、皆もよく分かっていると思う。何せサーヴァント、過去の英雄の力をお借りした姿に引っ張って貰ってるんだ、凄まじいのは当然だろ?上に引っ張られるのが組織の常だ。自分みたいな底辺でも、あの輝きに追い付け追い越せと奮闘して毎日を過ごしているのさ。これは劣等感や屈辱とかじゃない、楽園にいるものとして最低限の義務だからな

 

何せ、前にもいったように俺達とは歳も離れた女の子達が誰よりも先頭を走っているんだ、俺達人生の先輩がヒーコラ音をあげていられるかっていうのもあるんだけどな。でも、彼女達が強くならなきゃいけないのも、きちんとした理由と動機があるから、一概に比べられはしないんだけどな

 

今じゃリッカはカルデアを代表する唯一のマスターで、マシュは英雄王に並ぶ二人のメインサーヴァント。基本他のサーヴァントはカルデアが維持するサブサーヴァントなんだが、英雄王はリッカの魔力で維持されてるんだ、知ってたか?そしてオルガマリー所長はカルデアを代表するだんちょ

 

「何よ・・・」

 

所長!所長だから、外交や荒事には対応できなくちゃいけないしな。それぞれがそれぞれの目的の為に戦わなくちゃいけないから、どこまでも上を見なくちゃあいけないんだ

 

・・・大人としては情けない話だが、自分達も彼女らに任せきりではないよう色々やってるんだぜ。リッカやマシュのメンタルケア、所長の仕事を自主的に受け持ったり休日返上したりな。当然だろ?休みなんかより楽しい仕事があるなら休日くらい喜んで返上するさ。何せ・・・

 

「ありがと、ムニエル!いつも助かってるよ!」

 

「ありがとうございます、ムニエルさん。いつか素敵な人を見つけてくださいね」

 

「感謝しているわ、ムニエル。皆にもね。カルデアがあるのはあなたたちのお陰よ」

 

・・・な?いいだろ?あの笑顔の為に頑張ろうって気になるんだ

 

「ロマン様ぁ♥あなたにいつでも構ってほしい、いつでも側にいてほしい人、だーれだ?♥」

 

「そうだなぁ、ヒント。ヒントをくれないかな?」

 

「はぁーい♥ヒントはぁ、○○にゃんでーす♥」

 

「あはは、簡単じゃないか。君の事だろう?シバ」

 

「せいかーい♥ささ、お仕事パパッと終わらせちゃいましょー♥」

 

 

・・・お前らは、そんなにも・・・

 

そんなにも幸せがいっぱいか!そうまでして幸せを満喫するのか!この俺が、そんな二人を見ながら一人寂しく布団の中に潜り枕で涙を濡らしている事実を知ってまで(不申告)・・・お前らは!何一つ!恥じることも無いのかッ!

 

赦さん・・・断じて破局は赦さん!困難と地獄を越え、巡り会えた二人よ!俺達の胸を甘ったるい砂糖で充たすがいい!

 

シバにゃんに祝いあれ!!

ロマンに幸福あれ!!

 

いつかヴァージンロードを歩みながら――このムニエルの祝福を思い出せぇえぇえぇえぇえ!!!

 

・・・失礼、取り乱した。だが覚えておいてくれ。ギーグはきちんと他人の幸せを喜べる存在なんだ。爆発してほしいというのはそういうことだ、爆発しろ

 

本題に入ろう。カルデアの人員の成長はリッカやマシュ、オルガマリー所長ばかり目立つが・・・

 

「ムニエル、行くぞ。今日も特訓だ」

 

「あいよー」

 

俺達も・・・きっちりばっちりやっているんだ。俺達に怠惰はない、王の怠惰を赦さぬ在り方、そして・・・団長の最後の言葉を胸に生きていくんだ

 

『だからね・・・止まるんじゃないわよ・・・――』

 

ありがとう、団長・・・俺達は止まれないから・・・団長のモットーは、俺達の中で生きているから・・・!

 

「ムニエル・・・団長と私は別人だから・・・混同するんじゃないわよ・・・」

 

見ていてくれ、団長・・・!

 

「何よ・・・全然伝わってないじゃない・・・」

 

団長の・・・所長の命令を胸に、今日も自分を磨いて、強く立派になっていくのだった・・・!

 

さいごまで(それ) とまるんじゃねぇぞ(から) けものかな(どした)

 

 

俺達も、けしてデスクワークだけではない。リッカ程じゃないが俺達も自らを鍛え上げている。リッカ程じゃないが。男性は常日頃から肉体を、女性は情報処理力を鍛えていている。そう、非常時に備える為に。

 

『平常時に職務が堪能など当然だ。万全な時に万全なパフォーマンスを発揮し、異常時に指示を待つような蒙昧は楽園には要らぬ。予期せぬ事態にこそ完璧な性能を我に見せよ』

 

と言った理念のもと、常に非常時を想定した訓練を行っているのだ。此処では、俺達が取り組む訓練の一端を、君達だけに公開しよう

 

何、そんな大した事はしていないさ。君達もすぐに出来るようになるものばかりだ。さぁ、行ってみようか!まずは――

 

「それではァ!!熱く、激しく、計算され尽くした訓練!ゥレオニダスゥ!!ブートキャンプを始めましょう!!」

 

「「「「おぉおぉおおぉおおぉお!!!」」」」

 

「それでは計算的に――カルデアにぃ!!キメラが現れた時の対処法ッ!皆様!!筋肉を燃やすのです!!」

 

カルデアに、突然キメラが現れた時!俺達は即座なる陣形を組み、対処と鎮静にあたる!

 

【グガァアァアァオォォ!!】

 

シミュレーションで召喚されたキメラが吠えたける。そんなワンちゃんに俺達は屈しない!スクラムを組んで、一直線に突撃する!

 

「「「「ディスイズ!!スパルタァアァアァ!!!!」」」」

 

気合いと共に、同胞とむくつけき筋肉をはち切れんばかりに重ね合わせたスクラムにてキメラに突っ込み叩き込む!

 

【ギャウンッ!!】

 

「今だ!!首を折れ!!突撃ぃいぃ!!」

 

「「「うぉおぉおおぉおおぉお!!!」」」

 

もちろん、本来のキメラになど俺達が束になったところで敵わないだろう、だが――これは『恐怖を克服するため』の戦いであるのだ。怖いものを恐いとしていては何もできない。自らの恐怖を克服することこそ、生きることなのだと。俺達は既に知っている――!!

 

「ぅ其処まで!!お疲れ様でした皆さん!次なるカリキュラムを行うまで、しばしの休憩です。休みましょう。よろしいですね」

 

「「「「はっ!」」」」

 

 

 

「退くな、斬れ。進め!!斬れェ!!」

 

「「「「此処がカルデアだぁ!!!」」」」

 

またある日は、ポン刀構えて突撃する。不逞浪士がカルデアに進入したときに備えて、俺達は屋敷に入った敵エネミーを皆殺しにしていくのだ

 

王に仕える誇り、楽園に在りし矜持!それらを胸に懐き、徹底的に抗戦するのだ!そこにギーグもナードも関係無い、ただ斬り、ただ進むのだ。王の財という誠の旗を、倒すわけにはいかないのだ!!

 

「「「「「斬れ!進め!斬れ!進めェ!!!」」」」」

 

「そうだ!まだだ!まだ終わらん!!俺が、俺達が!!新撰組だァ!!」

 

土方の兄貴に見守られながら、俺達は前に進みつづける覚悟と気迫を身に付けていったのである!コミケで邪魔する奴等を蹴散らしていくぐらいはできるようになったぞ!

 

 

「そら走れ走れ!草原を突っ走り、七つの海を渡れ!トライアスロンケルトはフォームだ!フォームをきちっと叩き込め!!」

 

「「「応!!!!」」」

 

走る、走る、ただ走る!心肺機能と自らのフォームを正しく身に付けてひた走る!

 

身体が資本、ひたすらにただ下地を整え駆け抜けていく。草原を走り、海を走り、自転車をこぐケルト式トライアスロン。身体を限界まで酷使し、その先にあるランナーズハイを求め、その先へと駆け抜ける

 

息はきれ、目は霞み、それでも男は走る、走り続ける。流れるエーテルもそのままに。走る走る、職員達

 

何故走るのか?何故辛い思いをしなければならないのか?何故このように駆け抜けるのか?こうした心身の弱音を超越するために、自らを鍛え上げているのだ

 

女の子にばかり走らせて、自分達が挫けるわけにはいかないと・・・意地があるのだ!男の子には!いつもリッカが言っているように!

 

「「「「「うぉおぉおおぉおおぉお!!!」」」」」

 

男たちは・・・熱く血潮をたぎらせる――!

 

 

「よし、程よくいたぶられたな?今は心身共に疲弊しきっていよう。本来ならば休息だが・・・だが、真なる鍛練は此処から始まるのだ!心せよ、者共!」

 

最終カリキュラム、黄金のジャージに身を包み竹刀を持った英雄王が声を上げる

 

「限界とは挑むもの!困難とは乗り越えるもの!試練とは打ち克つものだ!貴様らなら出来よう、我が財たる矜持を見せるがいい!!覚悟は良いな、者共!!」

 

「「「「「英雄王!万歳!英雄王!万歳――!!」」」」」

 

王の激励を受け、疲れ果てた心身に魂が檄を入れる。例えどれ程疲弊しようと、例えどれ程困憊であろうと――

 

――皆様にエリクサー、秘薬の類いを御用意しています。どうか、最後までその生命の輝きを、王に魅せつけてください!

 

「「「「「うぉおぉおおぉおおぉお!!!」」」」」

 

姿は見えねど明らかとなった、王に寄り添う『姫』へと勇姿を目の当たりにさせるため、男達は疲れ果てた身体を、魂を鼓舞し奮い起つ

 

総ては王のため、総ては財たる誇りの矜持のために。自らを、限界の遥か高みへと導いていく――!

 

「では貴様らに魔獣を差し向ける!ムシュフシュ、ウリディンム程度容易く葬って見せよ!!」

 

王のシミュレーションにより現れる、下級魔獣を、徹底的に打倒するため咆哮する――!

 

職員はこのように各種の英雄たちに鍛え上げられ、毎日を過ごしていく。怠惰なく、慢心なく、毎日を過ごしていくのだ

 

楽園の先頭を走る者達を、少しでも支える事ができるように。楽園を維持する財として、毎日を輝かしく生きるために

 

「ムシュフシュがそっちに行ったぞ!!」

 

「ウリディンムを先に始末しろ!三人を回し食い止めるんだ!」

 

「いいか、背中を預けろ!俺達は楽園の絆で繋がった仲間だ!!」

 

「「「「英雄王!万歳――!!!」」」」

 

雄叫びを上げながら、困難に挑む職員達を、愉快げに酒を鳴らし眺める英雄王。その顔は嘲笑ではなく・・・心から、楽しげな顔だ

 

《我が財には至高の物しかありえない。人員、物体あらゆるものもな。――どうだ、エア。我が財の輝き、中々のものであろう?》

 

王の言葉に、力強く頷き輝かしい視線を贈る。今を懸命に生きる者たちに、心からの敬愛を贈る

 

――はい!誰も彼もが、王の財に相応しき人々です!

 

(ふふ、それはそうだろう。何せ――)

 

自慢気に、誇らしげに。フォウは胸を張る

 

(一度、ボクを倒した善き人々なのだから――!)

 

王、姫、そして星の獣に見守られながら・・・カルデアの職員達は、毎日のように自らを高め、極めていくのであった――

 




シミュレーション終了


「御苦労であった!今日の鍛練は此処までだ。我が楽園に在りし勇者どもよ、存分に休息を堪能するがいい。そら、エリクサーだ。我にはいらぬものだ、とっておけ」 

「「「「・・・・・・」」」」

「・・・--ギルガメシアのバターケーキも順次くれてやろう」

「「「「「うぉおぉおぉおおぉおおぉおおぉおおぉお!!!!!!」」」」」

--皆様、バターケーキが大好物なのですね!分かりました!腕によりをかけて作らせていただきます!

(ふふっ、ボクには分かる、分かるぞ君達の歓喜が・・・!プレシャスみ、プレシャスみを感じる・・・)

「ふっ、現金な奴等よな」

「ムニエル、お疲れ様」

「ドクター、お疲れ様です!」

「今日も大変だったねー。でも僕も、なんとかなってきたような気がするよ」

そういって、スポドリを渡していくロマン

「これからも、頑張ろうねムニエル。僕たちが、カルデアを支えていくのさ」

「・・・!はい、ドクター!その、これからも・・・」

「はーい♥皆様お疲れ様でーす♥ムニエル様もかっこよかったですよー♥でもぉ。私は・・・ふふっ♥」

「あ。ありがとうね、シバ。じゃあ部屋に戻ろっか」

「はーい♥ムニエル様、特注のスポーツドリンクをどうぞー♥」

「・・・・・・」

「じゃ、また明日ね。ばいばい!」

「・・・・・・」


クソァアァアァアァア--!!
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