英霊剣豪編!お楽しみください!戦闘ばかりで無骨でも、赦してね!
いざ、二度日ノ本の地へ
「はい、将門刀をお返しするよん。これは君のものだ。かの守護神が渡した、ね。大切にしておくといい」
ダ・ヴィンチちゃんのラボに招かれたリッカは、そうして刀を丁重に受け取る。手にしただけで身体中を貫くような圧倒的な威厳、そして日に照らされているような暖かさを持つその刀をしっかりと握りしめる
「ありがとう、ダ・ヴィンチちゃん。どうだった?何も無かった?」
「それが祟りやおぞましい系列のものを指すのならなーんにも。むしろ、頭が冴えたりインスピレーションが沸きわきだったね!それは一種の概念武装、守護や平定、辺りを良くする事に特化したものだ。持ち主の性格が多分に出たんだろう。君宛の贈り物だ、大切にね」
将門公らしいやとリッカは思わず笑ってしまう。とことんまで自分や皆を大切に思ってくれるその一面、祟りや呪いにも負けないほどの祝福と威光をもたらしてくれる。日本の生まれとして、誇らしくまたとても嬉しい
「ありがとうダ・ヴィンチちゃん!じゃ、私早速――」
「ちょおっとまった!この刀へと刻み込まれたのは概念的な祝福だけじゃないよん。しっかり実益を残してくれてるのさ、将門公はね」
リッカはキョトンとし、思わず聞き返す。ダ・ヴィンチはその反応だ、いい!と言わんばかりにモニターを出し、説明を開始する
「刀には銘、ようするに自分の名前をいれる場所があるんだけどね?それを昨日解析したところ、気になる情報が提示されていたんだよ。不思議なことだが・・・これは君に向けて充てられた情報だと睨んだ」
自分に充てられた情報、と聞いてリッカは思い返す。将門公が自分に向けられて放つ情報といったら・・・一つしかない筈だ。あの、下総の日本の日々。そして・・・
「――・・・」
妖刀と一体化し、鞘の呪法をかけられた左腕を掴む。彼処は、私が母上を斬り・・・極みに達した場所。其処で絆を結んだ人達。おぬいちゃん、田助くん、村正のじいちゃま。そして、将門公・・・
「おーい、リッカ君?もしもーし」
ハッと顔を上げる。心配そうに覗き込んでくるダ・ヴィンチちゃんと顔が接近していた。目の前にルーブル美術館の絵画の顔がある事実に驚愕してしまい後ずさる
「おいおい、そんなお化けを見たみたいなリアクションは傷付くなぁ。感嘆と驚嘆は大歓迎だが、びっくりどっきりは騙し絵の評価だろう?」
「あぁごめん、ちょっと魔境ZIPANGの事考えてた」
「なんだ、もう察したのかい?やるじゃないかリッカちゃん?そう、これは『座標』だ。レイシフトを行う為に、滞りなく記されたとある国への座標。その勾玉と一緒にカウントすれば、ほぼ間違いなく望みの場所に行けるだろうね」
ダ・ヴィンチちゃんの言葉に身を乗り出すリッカ。思い出が現実へと出てきたような感覚に、総身が沸き立つような感覚を覚える
「それって日本!?下総!?東京らへんの昔の日本!?」
噛みつかんばかりに迫られたその剣幕に眼鏡をずり落ちらせながらもダ・ヴィンチちゃんは肯定を返す。其処は昔の日ノ本、下総の座標が刻まれており、レイシフトを促すかのように刻印、残留霊子が宿らされていた。確実に望みの場所に辿り着くことが出来るだろう。その細やかな気遣いにリッカは確信を得る
「将門公が呼んでる!」
間違いない。これは招かれている。下総に、あの地に蔓延る不穏の種を共に祓わんと将門公の呼び掛けなのだ。座標からして、この贈り物として間違いないはずだ。そういった確信が総身を駆け抜けたのだ
毎日のように特訓している槍の研鑽を含め・・・これはいよいよ、『武蔵ちゃん』の剣の腕が一つ高みへ登る事への示唆なのかもしれない、いや!そうに違いない!
「ありがとうダ・ヴィンチちゃん!早速準備してくるから!武蔵ちゃんにも声をかけてくるね!よぉし!!日ノ本を救うぞー!!」
「ああっ、ちょっと!」
気合いをみなぎらせ、机を叩き駆け抜けていくリッカ。目はキラキラと輝き、身体には覇気がみなぎっている。こんなに心躍りレイシフトに挑むのははじめての経験ではないのかな、とダ・ヴィンチちゃんは一人笑う
「余程素敵な時間だったんだねぇ。エネルギーに溢れてる!そうだ、励め少女!世界というキャンパスはいつでも君を待っているとも!うぅん、私良いこと言ったなぁ!じゃあそんな訳で、ギル君に連絡連絡、と」
そんなリッカを見送り、若者や生命の輝きを眩しく思いながら・・・ダ・ヴィンチちゃんはレイシフトの準備を促すよう楽園の王へと連絡を取るのであった
「いよいよ来たわね!リッカさんが行ったとされる将門公おわす日ノ本の地!気運高まって参りました!」
武蔵ちゃんに告げ、お互いハイタッチをかわしうどんをすすりまくる。まずは腹拵え。何事も食がなくては始まらない。腹が減っては戦は出来ぬのだ
「ずずずぞ、ずるるるる?(やっぱり楽しみだった?日ノ本巡り)」
「じゅるるるる!ずずずぞ!(そりゃあもちろん!リッカさんが至った雷位の発祥の地!まだ見ぬ強敵がおわす宝庫!鯉口が騒ぎまくるってもんよ!うどん美味しい!)」
「ずずず・・・(そっかぁ・・・)」
リッカからしては、色々と濃密な時間を過ごした場所である。短いながらも。平定者との団欒、暖かな時間、母との邂逅、そして、一騎討ち・・・
「ずずずぞ(また行けるんだね・・・あの場所に)」
「ずるるるる!(案内お願いしますよーリッカさん!きっとか弱い女の二人旅なんですから!ちゃーんと、マスターにリードしてもらわなくちゃね!)」
「ちゅるんっ!(うんっ!)」
「「ごちそうさまでした!!」」
勢いよくうどんをすすり上げ、同時に台所に皿を放り込みそれぞれ準備を開始するか弱いの定義を何か致命的に勘違いしている二人
「私は槍でサポートに回るから、武蔵ちゃんは強敵との戦いに専念して!皆から教わった槍の技、見せて上げるから!」
「頼もしい~!背中は任せた!・・・んふふ~」
「?なぁに?武蔵ちゃん」
「(チンッ、チンッ)・・・行く前に、景気付けで、やってかない?て、あ、わ、せ♥」
「――・・・槍がまだまだだからって調子こいてると痛い目みるよ~?」
そう言ってリッカは指を鳴らし、泥の中から漆黒に染まった禍々しい槍を持ち構える
「あ、ちょ!?いつもの紅い練習用の槍は何処に行ったんです!?」
「皆で練習と組手してたらべきっと折れた!怒濤の連続組手は無茶だったよ・・・その時に槍を新調しました!槍は万能の武器だと触れ込みなので・・・名付けて【混沌武槍アンリマユ】!」
「見るからに禍々しさ満点!あ、いたたたた急にお腹が・・・!」
「位置について~ヨドンッ!!」
「ヨドンッ!?何それ!?」
「省略した!!しねぇ新免武蔵ぃ~!!」
「待った待ったァ!私、勝てない勝負はしたくないです~!!」
じゃれ合いながら。いつものようにはしゃいでいる二人。・・・――その時だった
「!?」
将門公の刀が、にわかに輝き出す。勾玉も同時に煌めきを増し、辺りを包み込んでいく
「え、ちょ。どうした、の――!?」
武蔵もその感覚と同時に顔を弾かれたように上げる。この感覚、この気配、間違いない――
「観音様の加護!?え、嘘、またこんな急に!?」
空間が引き裂かれる。此処ではないどこか、尋常ならざる異界へと二人の身体は招かれる
「準備は出来てるけど!出来たけど!この慌ただしい出立だけはなんとかなりませんか観音様――!リッカさん!私に掴まって!」
「おうっ!!」
「ゃんっ!?ちが、胸じゃなくてお腹とかに!離ればなれになると、何処に飛ばされるか――!」
「何処だろうと私たちは止まらないからよ・・・!だからよ・・・止まるんじゃねぇぞ・・・――ッ!」
とっさに、自分のカルデア制服の上着を脱ぎ、泥で『てんいしました』と殴り書き城下のうどん屋に投げ捨てる
「皆!気付いてね!いってきまーす!!」
観音様、仁王、まだ見ぬ強敵・・・そして、将門公に導かれ。二人は異なる世界へと足を踏み入れ・・・いや、吹き飛ばされるのであったとさ
~
「マスターめの生体反応が失せたと思えば・・・やはり神隠しに逢っていたか。武蔵めの体質も難儀なものよ」
数分後、異変を察知した英雄王、オルガマリー、マシュ、ロマンが駆け付ける。そこにあった制服の見て、王は真実に至る
「強制レイシフトに招かれたみたいだね。前々から言ってた、日本の特異点かな」
「であろうよ。レイシフトの手間が省けたと言うものだ。元よりかの地には奴等のみで行かせるつもりであったからな」
「本当かい!?スパルタだなぁ!?」
「かの地に巣くう企みなど興味もないが・・・預り知らぬ世界の生命を我らが背負う義理もない。討伐と駆除は奴等に非戦闘員の民草どもの被害を抑える為に立ち回るとするか」
「分かった。じゃあサーヴァントの霊格に魔術干渉をシャットアウトする術式を組み込んで、リッカちゃんたちを観測しようか。二人とも、いいね?」
「分かったわ。マシュ、オペレーションの席はいる?」
「はい!先輩を的確にサポートします!任せてください!」
不測の事態に微塵も揺らがず、的確に指示を飛ばしていき、成すべき事を為し遂げる。リッカを、武蔵の研鑽を目指して
――鬼ヶ島に続き二人の女の子が行く、二人旅・・・素敵な旅路になりますように!
(血腥くないといいんだけどなぁ。此処から先は、ボクも知らない領域だ)
・・・其処にて。天眼の剣士は空へと臨む――
そして、縁は結ばれる
「へぶっ!!」
「あぅっ!」
青き空、白き雲、穏やかな風。導かれし場所は二人の故郷
「あいたたた・・・大丈夫?リッカさん」
「鍛え抜かれた肉体が無かったら即死だった・・・」
尻に敷かれたリッカを助けおこし、二人は辺りを見渡す。辺りには、静けさと穏やかなる場所
「ここ・・・!」
わすれない、忘れられるはずはない。此処は、間違いない・・・!
「将門公の首塚だ!!」
将門塚
「なるほど、此処に招かれたのは守護者の縁でしたか!・・・ん?」
武蔵は、とあるものに注視する。『乗せられたものが無い台座』を
「・・・狛犬でも乗ってそうな台座なのに。変なものもあるものねー」
とりあえず、二人は顔を見合わせ、方針を定める
「とりあえず、村正じいちゃまがいる庵を目指そっか。拠点はいるしね!」
「村正じいちゃまかぁ・・・よし!では早速参りましょう!」
--その時
「ワフ!ワンワン!」
二人の前に走り寄ってくる、雪のように白い犬。いや、犬にしては大型だ
「わぁ!可愛い!しろーい!」
「ワン!ワン!ワフ!」
これは・・・狼だろうか。人懐こく、リッカにすりすりと身体をすりつけていく
「狼なんてこの時代にも珍しいと思うけど・・・へぇ、白い狼さんはもっと難しいわ!それに」
「ワン?」
「すっごいおとぼけた顔!餌をあげたくなっちゃうわね!何処から来たの、狼さん?」
それに応えるように、狼は後ろを振り返る
「待ってよ、
「きゃう!きゃう!」
「--この声!」
「ワンワン!」
「--あんれまぁ!?りゅうじんさま!?りゅうじんさまだぁ!」
「だうー!」
「ぬいちゃん!田助くーん!久しぶりー!」
「・・・もしかして、出迎えしてくれたの?」
「ワフ!」
謎の狼。首塚の出逢い。龍と、天元の華。此処より歩む--
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