初投稿なのですが、嬉しいものですね!やる気が沸いてきます!
二人の足取りに合わせながら、焼け落ちた街を歩く。
ここは、フユキとかいう日本の街らしい。絶えず燃えている原因は不明、何らかの外的要因かどうかすらも不明瞭なようだ。
「ここが冬木かー。なんだかファスト風土化してるなー」
「先輩?その、気負わないのは先輩の人柄だと短期間で掴めるほどですが、周辺の警戒はあまり怠らないほうが…」
「平気平気!死んでるならもう既に死んじゃっているはずだし!私が生きてここにいるということこそが答え!」
「そう!私はスーパーヒーロー!世界に愛されたウルトラマスターなんだよ!多分!」
「根拠のない自信だなぁ……いや、悲観的になられるよりかはいいんだけどね?君はどう思う?英雄王さま?」
「さてな。平時ならばなんとでも宣えよう。人の本質とは、窮地に晒されてこそつまびらかにされるものよ」
「ギルは私がヘタレると?」
「それは此より計れよう。そら、アレは貴様らの知己であろう」
くい、と顎をやる先には
「所長!?」
骸骨の兵士に、必死に指向性の呪いを放ち抵抗する女性の姿があった。まだ生にすがり付いているところを見ると、魂は死んでいないのだろう。
――一瞥で看破してしまう。アレを助けるのは、より深い絶望をアレに与えてしまうのだと。
この器の能力か?一瞥するだけで、一目見るだけでソレがなんなのかを理解してしまう。
「あ、やっほー所長!元気ー!?」
「っ!?あなたたちどうしてここに!?生きていたの!?」
「つもる話は後!所長を助けよう!マシュ!所長を確保!」
「はい、先輩!」
助けるのは無意味だ、と答えを導き出してしまう自分がいる。
アレに還る肉体はない。恐らく残留思念がここに飛ばされてきた、霊の類いだろう。
――アレは、もう死んでいるのだ。
「ギル?ギルってば!」
呼び掛けられ、我に返る。
「なんだ、騒々しい」
「いよいよ金ぴかパワーを見せつけるときだよ!英雄王の!格好いいとこ見てみたい!」
「――――」
……無駄だ、と切り捨てることは容易い。
無理だ、と諦めることは容易い。
けれど、それを繰り返しては得るものは何もない。
益を求めるだけならばそこに意思はいらない。
効率を求めるだけならば、そこに感情はいらない。
無駄だと切り捨てるたびに、価値あるものも捨てていくことを、前世でよく知っている。
それに、自らの運命を知らないとはいえアレはまだ足掻いている。
まだ、自分の価値を定めていない。かつての自分と違ってだ。
ならば――見捨ててしまうのは、些か筋が通らない。
終わりは、自分の意志で定めるべきだ。生命の火が燻っているのなら、燃え尽きるまで。
「――ふん。持ち上げおだてても何も出んぞ?」
前世の無価値な自分ならともかく。
今魂を受け入れている器は、紛れもない英雄のものだ、ならば――
「下がっていろ、マスター」
自分も、弱きを助け強きを挫いてみるとしよう。
物語の、英雄のように――!
「魔力を回せ。お前の剣として振る舞うとしよう」
決意を固めた刹那、頭に戦闘のための情報が雪崩れ込む。
サーヴァント、ギルガメッシュ。クラスはアーチャー。宝具は……王の財宝。人類の知恵の原典を納めた宝の蔵。
息を呑む。なんだこの出鱈目な能力は。人類が生み出すものであらば遥か未来のものでさえ使用可能?
更に情報が流れ込む。天の鎖、神すら縛る至高の鎖。
エルキドゥ――そう読み上げた瞬間、器であるこの身体が僅かに震えた気がした。
思い至る、此はなによりも大事な物である。無駄撃ちは決して許されない、万感の思いが詰まったものであると。
そして――乖離剣・エア。
真名解放により、世界を切り裂く剣……
呆れ果てる。なんだこの規格外の英雄は。英雄王とは英雄である王だと思っていたが、とんだ思い違いだ。
ギルガメッシュとは、英雄達の王だ。あらゆる武具の原典を納めているのなら、必然的に英雄達の弱点足りうる武具を使用できる。加えて、世界を切り裂く力を持つなど、あまりにも途方もない力を、この器は持っていた。
自分ほど稀薄な存在でなくば、まさに制御不能の存在だろう。同時に、気を引き締めた。
慢心は許されない。これだけの力を、凡人の感性が振るうとなれば、容易に世界を滅ぼすだろう。
なるほど、そういうことか。あの声の主はそういった意味で転生先をこの英雄に定めたのだ。
あらゆる決断を、あらゆる裁定を己に課すこと。かつてのように流されていては、待っているのは破滅であること。
揺るぎなき自我をもって、この器を乗りこなさなくばこの世界に未来はない。
――気を引き締める。
新たに授かった第二の生で、なんとしても何かを為すために。
胸を張れる『痕跡』を、魂に刻み込むために。
さぁ、力を貸してくれ。英雄王。
貴方の強大な力を以て。
――死にもの狂いで謳って見せよう!
大地を蹴り、一息に跳躍する。骸骨の兵士の群れに一直線に飛び込んでいく。
「まずは肩慣らしだ。砥石代わりに砕いてくれる!」
骸骨が反応するより先に、握った拳で骸骨の頭蓋を砕く。
切りかかる別の骸骨の斬撃を、手甲で受けとめ、返す手刀でもぎ取る。
なるほど、サーヴァントは力が凄まじいな。確かに人間とは比べ物にならない。
恐怖する感情がない骸骨は、仲間がやられたところで怯みはしない。
カタカタと音を立てながら迫り、切り裂かんとしてくる。
「ふんっ!」
手近にあった骸骨の身体を掴み、群れに投げ込む。虚を突かれ、進撃が一瞬停止する。
身体能力に問題はない。ならば、宝具はどうか。
スッ、と手をかざすと、空中に波紋が現れそこからきらびやかな剣が現れる。その剣を掴み、無造作に振るう。
「はっ!」
軽く振るった剣先から、熱量の伴ったビームが放たれ、一直線に軌跡にいた骸骨どもをまとめて薙ぎ払った。
「す、凄い……これが、マスターを得たサーヴァントの力…?」
「あれが、英雄王の実力……」
「……」
「凄いじゃないかあの王様!原典どおりの怪力ぶりだよ!武具も出せる万能ぶり!評価に違わぬ凄まじい英霊だ!」
「……勝ったよロマン」
「え?」
「この戦い、私達の勝利だ……!」
「藤丸君!?」
――無事に骸骨を無力化した。
……だが、何かひっかかる。無性に違和感がある。
「……何かが、違うのか?今の我の戦い方は……?」
この違和感、どうやらこの英雄の真価を引き出せたとは到底言えないらしい。
……この底知れない英雄の真価なぞ、無銘の魂の自分に引き出せるのだろうか……?
ガトリングしないギル・・・それはギルと言えるのだろうか?
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