人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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召喚編になります、ゆるりとお楽しみください!

おこられ、あれこれ 男性編


「ハハッ、わざわざ謝りに来たってのか?かまいやしねぇ、むしろ惚れ直したぜ嬢ちゃん!つくづくいい女だなぁ、お前さんはよ!」

「ほ、ほんと?・・・でも兄貴・・・私・・・」

「いいんだよ、それくらい言ってくれなきゃ男としても抱きがいがねぇ!女が強けりゃ男も猛るってやつだ!今度は中指でも立ててやれよ、『一昨日来やがれ、玉無し野郎』ってなぁ!ハハハハ!・・・だがまぁ、溜め込むなよ?なんかあったらオレに言え。なんでも、受け止めてやッから。な?」

「うん!ありがとう兄貴!やっぱり兄貴は頼れるぅ!」




「・・・・・・」

「え、エドモ・・・へぶっ!」

「馬鹿め。二度と軽はずみに己を切り売りするな。その軽い平手打ち・・・次は無いと思え」

「--・・・・・・うん。ごめんなさい」

「・・・反省したなら、構わん。コーヒーの一つも入れてやる。・・・とびきりのビターをな」

「ううっ!・・・はい・・・飲みます」



「ばぁっ--かやろぉ!!カッコ悪い!カッコ悪いぞマスター!憎しみ、恨み!それもそうだが!一番カッコ悪いのは!『自分を蔑ろにした事』だ!好きにしていいだとぉ!?軽々しく自分を投げ売るんじゃねぇ!」

「ううっ・・・!ごめんなさいシャルルマーニュ!」

「いーや、許さねぇ!罰として--俺の焼肉に付き合え!反省するまで完食するまで逃がさねぇぞ!何が悪かったのか、何を改めるべきか!焼肉食いながら反省してもらうかんな!」

「--解った!残さない!」



「まぁまぁ、言いたいことはあるでござるがこれを見でござるよ」

『リッカフィギュア』

「これ・・・」

「手に取ってみて解るでござろ?リッカたんはこのように最高の素材なのでつ。何処ぞの糞野郎には勿体ない宝なのですぞ!だから--そうですな」

「わぷっ!」

「馬鹿な事を言うもんじゃねぇぜ?黒ひげのマスターが、其処らの娼婦みてぇな真似をするもんじゃあねぇよ」

「・・・うん。うん--」

「--反省したでござるか?」

「うん!」

「なら一緒に!アニメを見でござるよ!拙者、リッカたんとアニメを見るために全裸で」

「勿論!--あ、呼び出しだ!ごめんくろひー!また今度ね!」

「なんとぉお--!?」

「いつも、ありがとう!--くろひー!また徹夜アニメ鑑賞しようね!」

「・・・・・・・・・尊い・・・・・・(涙ドバー)」


召喚編――楽園だよ!全員集合!
英霊召喚・?番勝負!~ひ~


下総の動乱、その総てを治め悠々と帰還せしカルデア一行。ゴージャスたる王はけして目立たず、けして主役とはならず極めて控えめ、一歩引いた立場にて冷静にて的確な判断を行い戦略的完全勝利を納めた結果を抱き、そして大量の戦果を手に入れ帰還を果たす

 

(控えめ・・・?)

 

《控えめであろう。王の財宝も振るわぬ、乖離剣も振るわぬ、滅びの火も放たぬ、英雄神も召喚せぬ。これを控えめと言わずしてなんという。全く日本という国は・・・我が本領を発揮するには狭苦しきに過ぎる》

 

──おおむかっ・・・い、い。いえ。記憶に、ございませんね。ございません

 

その報酬や報奨、戦利品は多岐に渡る。有形、無形に関わらず多彩だ。マスターたるリッカの槍の腕前が開眼し、武蔵が空の座に至る。段蔵を拾い上げ優秀な密偵、忍を弄せず確保する。散財した財など及びもつかぬ収穫に王は口許を緩める

 

そう、勝利、君臨こそが最上の報奨。それこそが至上の成果。形に拘るばかりでは掴めぬ真の財宝。楽園を強固とし磐石とする因子の回収。それこそが肝要にして真理たるゴージャスの狙いだ。それは目に見えず──しかして、確実に存在せしものである

 

《フッ──さて、では始めるとするか。出番が少ない、だと?フッ、当然であろう!最近気が付いたが!我の苦難と困難は特異点なぞには無い!!そう──我が労働は!この楽園にこそある!!

 

上半身を惜し気もなく晒し、高位たる絶対者の証である真紅の瞳を輝かせ、王が告げる。そう。王のたのしい労働は、此処に集約されている。雄々しく戦うことなど戦士の役割。その存在は、自らの手に届く・・・目に届く総てに磐石な統治と生活を保証する為にこそ在るのだ

 

──では、いつもの号令をお願いいたします!ビシッと、どーんとお願いいたします!

 

(はい、せーの!)

 

「我が声を聴け!!全職員!!集合ッ!!」

 

そう、その為にこそ──王は自らに課した責務より逃げはしない。王が納得の行く仕事を求める。それはまさに──磐石、完全なる君臨を完遂することに他ならぬのだから

 

時は冬も深まる11月の末、そろそろサンタさんが恋しくなる時期──楽園に、熱き王の雄叫びが響き渡る──!!

 

 

こたつより ひとはだがすき けものかな

 

 

「せんぱい!せんぱーい!召喚ですよー!おしかられロードから、帰ってきてくださーい!」

 

マシュ・キリエライトが召喚サークルの前にて手を振る。先輩たるリッカを、満面の笑みで呼んでいる

 

「分かってるよー。皆、おはよー!」

 

フォウくんスタンプカードを首に垂らし、リッカが入場、エントリーする。一人一人にしっかりと対話、対談にてスタンプを貰うカルデア巡りを続けているリッカがマシュの満面の笑みに誘われて召喚室へ足を運ぶ。ちなみにフォウくんstampはエアたちプレシャスフレンズの協力で、表情が一つ一つ違う拘りの品である

 

「皆さんに心配をかけていけない先輩ですね!まったく、先輩には私がついてないとダメなんですから!いつでもあなたのおそばにある盾を持たないからそんな風になってしまったんです!もっと私に頼ってくださってもいいんですよ先輩!」

 

「徹頭徹尾受け身のマシュマロが何をほざく!『マスター、指示を!』『お疲れ様でした、マスター』以外の気の利いた洒落た言い回しに挑戦してみてからほざきなさい!」

 

「先輩には分からないのですか!白米が如くに変わらない、食パンのように変わらないただそこにあるものの有り難みが!まだまだ後輩の大切さや有り難みが分かっていませんね!もっと大事にしてください!もっと私を可愛がってください!」

 

「ほざいたななすびぃ!!望み通りにしてやるぅ!!」

 

獣のように飛びかかるリッカ、無抵抗で成すがままのマシュ。なんだか久し振りな触れあいにオルガマリーとロマンが顔を見合わせる

 

「これが足りなかったのよね、これが」

 

「うんうん。『しぇんぱい・・・アーツの魅力に帰ってきてください・・・私は出来る後輩です・・・』なんて譫言呟いてばっかりだったしね」

 

馬乗りになりマシュを征服しきったところで、ダ・ヴィンチとシバにゃんが、手を交差しブレイクさせる。高ぶり金色の目を血走らせ笑っているリッカと、満面の笑みでリッカに成すがままのマシュを穏やかに引き離す

 

「はーい、キャットファイトというか一方的な蹂躙はそこまでー。召喚、始まるよー」

 

「治療費はおりませんよー。睦み事は、御部屋の中でーす♪」

 

「ロマンやシバにゃんみたいに?」

 

「はいっ♥」

 

「そのような事実は確認されていないから!シバ!ダメ!いたいけな青少女にあることないこと吹き込んじゃダメだから!」

 

「行くよ、皆!せーの!!」

 

「「「「「「えぇ~?本当にござるかぁ~??」」」」」」

 

「本当なんだってばぁー!!」

 

そんな、顔を見合わせて行われる歓談の一時。互いに気の知れ、気心に満ちたそのやり取りに、エアとフォウは顔を見合わせ笑い合う。王もそのやかましい喧騒と絶えぬ笑顔に酒を進めながら、やがて場を引き締める

 

「さて、同窓の会合は一先ず区切るぞ。縁の清算を終わらせてSweetSじゃんぬにて奢り、皆で食そうではないか。──あぁ、禁止になっているマスターがいたな?」

 

「んぁあぁあぁ!!それが一番辛いぃい!!じゃんぬの『あなたに作ってあげたいのに』っていう泣きそうな顔が一番心を抉る!!ここぞとばかりにルチサタ麻婆を薦めながら走ってくるジャンヌが余計におっかないぃいぃ!!」

 

じゃんぬごめぇえぇん!!と顔を突っ伏すリッカに愉悦を堪能しながら、指をならして召喚サークルを起動する。是非も無し。罰は辛くなければ、反省を促さねば意味がない。次に活きぬ反省等に、価値はないのだ。それはそれとしてマスターのリアクションは酒が美味になって愉しい

 

──終わったら、バターケーキを作らせていただきますからね、リッカちゃん・・・!

 

(査定は厳しい!生まれ変われ!ネバギバ!)

 

《フッ、龍の目にも涙、か。随分と上質な宝よな。では始めるぞ。誰がこの楽園の扉を叩くか──さぁ、来るがいい!》

 

ダ・ヴィンチちゃんの鼻唄、シバにゃんのソロモンを讃える歌と共に回るサークル。突っ伏すリッカに寄り添い上着を被せるオルガマリー、マシュはリッカの肩をポンポンと叩く

 

そんな悲喜こもごもな空間の中、サークルの回転が収まる。光が収束するなか現れしは──

 

「ランサー、宝蔵院胤舜!では、よろしく!」

 

爽やかに挨拶を返す精悍なランサー、神仏穿つ宝蔵院が楽園に足を踏み入れ、槍兵に彩りをもたらすのであった。リッカからしてみれば、彼は力強い槍の師匠。未だ座に帰っておらぬが故、記憶はないだろうが・・・それでも

 

「よろしく!!胤舜さん!!槍の手解き、お願いいたします!!」

 

喜色満面の笑みで迎えることになんら異論はない。その腕前、人柄は余すことなく知っている。だからこそ、なればこそ──楽園への歓迎を果たすのだ

 

「む、元気がいいな!よし、それではお前の腕前、後に見せて貰うとしよう!」

 

「オス!!武蔵ちゃーん!胤舜様がやってきたよーぅ」

 

その言葉に飛び付くは武蔵。バトルジャンキーの一面のあるその素早さにて、槍の名手を迎え入れる。その目は輝いていた。新たなる強敵の来訪、無制限手合わせの相手の新顔に

 

「ナイスぅ!ささ、こちらへ!ささ!」

 

「む、忝ない、では・・・む!?武蔵!?武蔵といったか!?」

 

困惑を勢いで押しやり、そのまま召喚室から離脱せざるをえなくなる胤舜であったとさ。そのやり取りを見据えたギルガメッシュは、更なるサークルの回転を成す

 

《奴等のみ、積もる話や追憶があろう。それらは奴等だけの問題だ。さぁ、次は何が足を運ぶのやら》

 

回転し、サークルが回り、そして輝きが満ち。皆の視線が注がれる。そして現れしものに期待を馳せて視線を贈る。其処に現れしは──

 

「ライダー、牛若丸!此処に罷り越しました!誠心誠意、お仕えいたします!」

 

薄きに薄き、その鎧に下地、その姿を見て思い至りはせぬであろう、その真名。幼き義経、牛若丸が縁を辿り、やってきたのであった

 

「あ!凄い身軽な牛若丸!」

 

「あるじどの!お会いしとうございました!ウルク以来にてのご縁!ようやく結ばれ申した!王が治めしこの楽園、誠心誠意にて、お守り致します!お任せください!」

 

その、叫喚地獄とは似ても似つかぬ快活な姿にエアとフォウは目を丸くする。召喚の要素の有無にてこうも変わり、こうも朗らかとなる。その事実を、改めて痛感する次第となった状況に、王は鼻を鳴らす

 

「狂犬であろうと忠犬であろうと我は拒まぬ。存分に天賦の才を振るうがよい」

 

「はっ!楽園に侵入せし賊の素っ首を余さず並べたてますが構いませんねッ!!」

 

「あの、カルデアを血腥くはしないでいただけないかしら・・・」

 

オルガマリーの冷や汗の忠告を聞いてか聞かざるものか。即座に飛び立ち退出を果たす牛若丸

 

「それではっ!音に聞く楽園、わくわくが抑えきれませぬが故、失礼!あるじどの!また後ほど!」

 

「はーい、まったねー!」

 

そうして手を振るリッカ。どんな禍根や怨恨があろうとも。此処に来てくれたのなら全く以て問題ない。新たなる縁にて、絆を結び新たな時間を過ごす。それに勝る報奨は無いからだ。そして一区切りとなる三人目の召喚となるのだが・・・

 

「──────」

 

エアは見た。王の表情が・・・この上なく獰猛に笑みを浮かべている様を。その、最高の玩具を見つけたかのように笑う無邪気にして悪辣な笑みを。それは敵対者を嘲笑う、道化を嘲笑う笑み、嘲笑の笑みだ

 

──もしや、喚ぶ方は決めたのですか?王

 

《勘が良いな。流石は我が至宝よ。フォウ、我が醜態と苦難を与え愉悦に浸る者に心当たりはあろう?》

 

(えっ?・・・──あ)

 

《そう、そうよ!そのまさかよ!!》

 

満面の笑みで、微塵の躊躇いも見せずに王は蔵より『虹色の呼符』を取り出す。これは最高峰の霊基だけではなく、縁を結んだサーヴァントを自在に呼び出すことが叶うのだ。つまり──

 

《そう!霊基が足らぬ、未実装など知ったことか!!我がルールだ、我が法だ!!では呼び招いてやろう!さぁ来るがいい!──かの贋作者の胃に風穴を空けてやれ!!》

 

──なんという!この上ない醜態とジャイアントキリングを行われた屈辱の記憶さえ愉悦に転換を──!?

 

輝く光、虹色の輝き。ぶっちゃけどのような霊格(レアリティ)になるかはわからないので、虹色にしておく。フォウが腹を抱え、合点が行く

 

(なるほどな!だがそれは諸刃の剣だぞギル!いいんだな!本当にいいんだな!!)

 

「何処の紛い物とも知れぬアルトリアを引き当てるよりは遥かに良いわ!!」

 

(そこまでか──!?)

 

そして、その光が収まり──現れたのは・・・

 

 

 

~~~~

 

 

 

「千子村正だ。未だに霊基が安定しねぇんで、強さはいまいちだが・・・まぁ、よろしく頼もうじゃねぇか。あんたが・・・エミヤとかいうのかい?」

 

「ごっふっ────!!」

 

自らの過去、希代の刀鍛冶という謎のエボルマッチを見せ付けられ、エミヤは自らの城、厨房を血で染め上げるのであった──

 

「ふふはははははははははははははは!!その対応、その絶望を待っていたぞ贋作者ァ!!そら、目の当たりにするがよい!究極の一に至り、贋作者より羽ばたきし過去の貴様をな!あぁ──っははははははははは!!!ふはははははは──!!」

 

この上なき過去最高の絶望を目の当たりにし、最高の上機嫌にて、エミヤ特別メニュー『ゴージャス・ギルガメッシュランチ』の金色の旗を弄りながら笑い転げるゴージャス。貴様の絶望でご飯三杯はいけると言わんばかりのその愉快痛快ぶりに、エアとフォウは顔を見合わせる

 

──こ、今度は負けません、いえ!負けさせません!詠唱中に乖離剣、展開されれば終末剣!ヴィマーナなどを駆使し、必ずや勝って見せますからね!

 

(もうちょっと、もうちょっと手心を与えてもいいんだよエア!)

 

──英雄王ギルガメッシュを打ち破りしエミヤシロウ・・・!貴方には、全身全霊を以て挑ませていただきます!

 

その出逢いにて、何故か人格も見知らぬ少年にリベンジに燃えるエアであったとさ──




NG召喚

「『黄金の獣』・・・ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒと名乗った方が、通りがいいかね?かねてより待ち望んだ楽園への召喚・・・光栄の至りだ。正直に言おう。歓喜に打ち震えているよ。我が身、天に届く福音が如くに祝福を言祝ごう」

「獣どのだぁあぁ--!!さ、サインください!」

「御機嫌よう、黒曜の龍。楽園にて見えた事を嬉しく思う」

「ありがとうございまうわぁ!?(サイン爆発)」

「ラインハルトだって!?あのドイツぐんじ--うわぁあ召喚システムがダウンしたぁ!?」

「豪奢の王、白金の姫、虹の守護獣・・・拝謁の栄に俗し光栄の至り。かねての活躍は、常々目の当たりにしている。ツァラトゥストラに劣らぬ輝きの叙事詩・・・心が躍る想いにて焦がれていたとも」

--・・・ごくり・・・

「--それで?貴様の様な博愛主義者が、我が楽園に何用だ?もてなしが望みなら構わぬぞ?」

「召喚に応じた上、そう無粋な真似などする筈が無いさ。--私が望むものはただ一つ」

「あっ(察し)」
「先輩?」


「--万象の王よ。どうか目の当たりにして欲しい。我が覇道、我が信念--我が『愛』の全てを」

「--」

「楽園に名乗りを挙げられるほど、私と言う人間は鮮烈に、輝かしく生きてはいない。そんな私が招かれ、世界の終焉に立ち向かいし者達と肩を並べるものがあるのだとしたら・・・我が胸中に抱くこの想念しか有り得ぬのだ。故にこそ--私は顕そう、私が私で在る証を。私の全てが、この楽園の英雄達に並ぶに相応しきモノか。それを--此処に示したいのだよ」

「--・・・つまり、貴様はこう言いたいのであろう?」
「その通りだ、英雄王ギルガメッシュ」

「「『私は、全てを愛している--』」」

「え、ちょっと!?なんでそんな穏やかな結論からギルは波紋を展開してるんだい!?ラインハルト卿も何処から槍を!?」

「責めてやるな。こやつの性なのだ。『万物を破壊せねば、こやつは愛を示すことが叶わぬ』」

「なんて傍迷惑な!?」

「だが、良いのか?サーヴァントの域に押し込まれ、此処は貴様の世の法則ではない。貴様の威は見る影もなく、その上で本領を発揮すれば数分と保たずその身、抑止の輪にて砕け散るぞ?」

「無論承知しているとも。だが--万象の王に我が全てを垣間見せる事になんの躊躇いがあるというのか。それが僅かなる時間であろうとも、私の破滅が前提であろうとも。--この楽園の覇者に挑み、我が想いを刻むことを果たさねば奮闘し、輝きを放つ卿ら全てへの侮辱となろう」

「--無粋な問いを赦すがいい。良かろう。我が楽園に挑むが貴様ならば--強度や磐石を図るにはなんの不足も在りはせぬ!」

「所長よ。卿の全霊で固有結界を振るいたまえ。理の乱立、異界の屹立に対する此方の世界の修正力にて、私の退去が早まるだろう。恐らくは、だがね」

「は、はい!!」

「僕もいざとなったら神殿を出すよ!トップサーヴァントクラスの反応・・・!え、本気で!?本気でやるのかい!?」

「当然だ。--その傲慢なりし謙虚さ、我等が手ずから推し量るに相応しい!」

「心から感謝を。次の縁が在れば、是非再び招き寄せて貰いたいものだ--」

--つまるところ、楽園の防衛戦ですね!分かりました。全身全霊で王に助力します--!

財の全てを展開し、自らの全てを顕現させ、二つの黄金が睨み合う--



「『その男は墓に住み あらゆる者も あらゆる鎖も あらゆる全てを以てしても繋ぎ止める事が出来ない 彼は縛鎖を千切り 枷を壊し 狂い泣き叫ぶ墓の主 この世のありとあらゆるモノ総て 彼を抑える力を持たない ゆえ 神は問われた 貴様は何者か 愚問なり 無知蒙昧 知らぬならば答えよう 我が名はレギオン――』開戦の時だ、我が爪牙達よ。我らは原初の王に覇道を示す。瞬きの刹那の邂逅であれ、全霊の境地にて臨むのだ。そして涙を流し--この『交流会』に参ずるがいい!」

「躯、屍、雑念、爪牙!それら全てを用いて我等を楽しませるがいい!!--黄泉路を開く!存分に謳え亡者共!!」

「『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』--!!!」

「『創造(ブリアー)・・・フ。--固有結界(リアリティ・マーブル)--『至高天(グラズヘイム)黄金冠す第五宇宙(グランカムビ・フュンフュト・ヴェルトール)』!!!』」

『一分間しか許されぬ激突にて・・・シミュレーションルーム『粉砕』、『人理に寄り添う希望の華』崩壊。フォウのプレシャスパワーにて楽園の被害は防がれる。決着どころか、戦況が動く前に世界が堪えきれず、抑止力と自らの霊基の崩壊、そして『現界に必要な魔力すらも注ぎ込み』ラインハルト強制退去』

「・・・--久方ぶりに気合いが入ったわ。卑屈な物言いをしおって。だが、互いに良い運動となったな、ラインハルト。・・・しかし、全霊を出すことにより即座に崩壊を招くとは・・・森羅万象、貴様には些か脆すぎよう。それ故の創造、それ故の至高天、か」

--永劫にも・・・感じる・・・一分でした・・・--

(エア、しっかり!大丈夫かい!?)

『グラズヘイムの霊子を宿した破片を握りしめる』


「召喚システムが、シミュレーターがー!!マリー!しっかりー!」 

「止まるんじゃないわよ・・・」

「先輩!しっかりしてください!先輩!」
「--死ぬかと、思った・・・」

--お、恐ろしい相手でした・・・二人にとっては本気の戯れであったとしても。ワタシが・・・一手誤っていたら今頃は・・・

「フッ、僅かな手合わせでは戦況すら定まらぬ、か。ヤツこそ、我が楽園の挑戦者に相応しいな」

(二度と戦うなんて御免だ!)

--でも。とても・・・素敵な在り方でした。全てを愛している。なんの分け隔てなく。博愛・・・その具現を垣間見せて貰った気がします

(愛は本物だよ。間違いなくね。・・・超越者が見せる愛玩に、歪んではいるけどさ。固有結界・・・なんてリップサービスをしてくれた辺り、ジョークもいけるだろうし)

《もし、我等ではなくヤツと出会っていたならば・・・また違う姿となっていたのではないか?博愛と破壊の獣。実に『らしい』存在にな》

(・・・どうだろうね・・・)

「微塵も生産性が無いのが困り者ではあるがな。エレシュキガルめと話が・・・合わぬか、合わぬな

『私はあんなに物騒では無いのだわ!?』

「--どれ、次は酒を酌み交わす事を楽しみにするとしよう」

--黄金の獣・・・フォウとフレンズ・・・

(あんな物騒なフレンズ怖いよだよエア!在り方は素晴らしいと思うけどね!・・・今度ビースト組合に誘ってみようかな?)

『楽園召喚機能、シミュレーター、一日復旧にて休息。更なる改装と発展の余地あり』


・・・そして

『エア、貴女にお客様が来ているわ』

「ワタシに?」

扉を開けて、部屋に入ると--

『・・・--もう、大丈夫』

黄昏の砂浜にて、佇む少女が一人

『貴女は、もう--ひとりぼっちじゃないよね』

その姿を取りしは、何処の世界の女神

「貴女は--」

『良かった。ずっと、幸せでいてね。この楽園で。ずっと--ずっと。見ているから、遠いけど、傍で。見守っているから』

黄昏にて全てを慈しむ、その存在。瞬きの内に消え去った・・・儚く、そして確かな慈愛

『総ての想いに、巡り来る祝福を。貴女も、楽園の皆も、永遠に。幸せでありますように--』

柔らかな想いを、楽園に。転生を果たせし白金の姫に遺して

『--ばいばい、エア』

「--待って、貴女は・・・!」

黄昏の女神は、穏やかに楽園を後にした--

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