人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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前書き

ゲリラ的に新宿編、始まるよー!

Q なんでこのタイミングで新宿?

A 計画していた12月クリスマスイベに時間が合わないため丁度よさげなイベントを挟みたかった


Q もう全部レムナントやるの?

セイレムが一日で終わりそうです・・・アガルタは評価が怖いです。いっそ全改築したオリジナルイベにする気概で・・・


ゴージャス王「さて、いよいよ奴めの披露の歓待が始まるわけだが。今宵も我等は観戦であろうな。結末を読み取れる者が暗躍と騙し合いの最中に割り込む訳にもいくまい」

『白金の姫』――丁度よろしいかと!改築で疲れて溜まった疲労を癒しましょう!

尊重讃歌ビースト(下総みたいに綺麗な世界じゃないしね。悪性なんてボクは近寄りたくない!)

――ゲーティアに人類のおおよそ総ての悪行はみせられましたが、それもまた人の一面。否定はしませんが・・・勧んで目の当たりにすべきものではありませんものね

《であろうよ。憐憫はヤツの獣性、共感など無用。在り、不可欠であると言うことを把握していれば構わぬ。汚物や痰壺を覗き込む必要など無いのだからな》

――はい。リッカちゃん、オルガマリーちゃん。お気をつけて・・・

《・・・よし。ならば更なるハンデをつけてやるとするか》



ゆるふわ智恵の覇者「え!?外出してもいいのかい!?」

「たまには良かろう。シバめと月にでも赴くがいい」

シバにゃん「わぁーい♥ホワイト企業最高でーす♥」

「フッ、当然よな。・・・時にロマン」

「え?転移魔術かい?レイシフトがあるのに何に使うのか分からないけど・・・人に使えるようにしておいたよ」

「フッ、御苦労であった。では、次の召喚までに帰ってくるがいい」




オルガ(♀)「ありがとうございます。では、手はず通りに」

「万全を期すがいい。期待しているぞ、オルガマリー」

「はっ。――ギル」

「?」

「私は『カルデアと貴方を勝者とするために動きます』」

「・・・――赦す。信を置いてやろう。何を行おうが、背信、謀反とは詰るまい」

「ありがとうございます。では、Mr.ダンディとの協同犯罪に赴きます」

――気を付けてね!オルガマリーちゃん!

(希望の華は咲かせないでね!)

「はい。――王。一つだけ、言伝てを依頼できますか?」

「ん?良かろう、言ってみるがよい」

「――アンデルセンさんに、歌舞伎町の一席を用意いたしました。『二次創作』の依頼をお願いいたします」

「二次創作・・・フッ、そういうことか。良かろう。――マリー、お前は正しくアレの生徒よな」

「・・・――ありがとうございます。それでは」

――?

《フッ。我には結末の筋道が読めたぞ。エア、フォウ。お前たちは知らずともよい。いずれ分かるのだからな》

――は、はい!

(染まらないでくれよー!悪と、加齢臭に!)




悪性アラフィフ披露新宿――蝶舞いし希望の華―― 証明完了
おいでませイヴィル・パラダイス


十二月初頭。そろそろクリスマスが近付き、浮かれたムードが漂う雰囲気。聖なる夜に想いを馳せるものたちが、ちらほらと現れ始める今日この頃。世界の平穏を取り戻したカルデアも、けして例外ではない。それぞれがクリスマス、聖誕祭に向けて準備、同時に楽しげな想いを募らせ・・・カルデアの面々が来る主の生誕を祝う行事の準備を推し進めていく今日この頃

 

サーヴァント達も様々に日々を過ごす。変わらず鍛練を行うもの。買い出しにレイシフトしていくもの。プラネタリウムで星を見るもの。伴侶と共に過ごすもの、去る年、来る年に想いを馳せるもの

 

スタッフもまた同じく。家族と連絡を取るもの。労働契約書の更新を王と相談するもの。恋人と共に過ごすもの。リア充に血の涙を流すもの。それは様々だ。それらが、一年最後の月にて想いを馳せている

 

そして、王の計らいにてカルデアのメイン中枢スタッフにも休暇が与えられる。好きな場所への休息、有給が認められたのだ。それぞれの時間を与えられたが故に、様々な場所へと各々が向かう

 

「じゃあ、ちょっとクリスマスの買い出しに行ってくるよ。皆の分も買ってくるからね」

 

「帳簿と出費の計算はお任せくださーい♪行ってきまーす♪」

 

ロマンとシバにゃんは共に、クリスマスグッズセットの買い出しに向かう。数日の間、月に行ってくるのだ。彼ら二人の生涯の思い出の場所の確認を兼ねた小旅行のようなものである

 

「じゃ、私も行くわね。すぐに戻ってくるわ」

 

オルガマリーは、時計塔にて認識魔術の確認に向かうと言う。滞りなく魔術は効いているか、問題なくカルデアの防衛は効いているか、マスター達は無事なのか。最低限これを確認しに行くという。管理と制御は、ダ・ヴィンチちゃんに一任するといった指揮と指示を残し、カルデアより姿を消す

 

「我も改築にて些か疲労を重ねた。暫く休息に専念するとしよう。如何なる問題が起きようと、残る貴様等で対応するがよい。その程度、我が財には容易かろう」

 

英雄王も暫くは楽園にて休息に専念すると宣言し、干渉はしないと言った言葉を告げる。それ故に、英雄王はカルデアに在れど労働は果たさぬ身となり・・・それ即ち、カルデアの火が落ちたかのような平穏をもたらすことになる。高笑いも、上機嫌な振る舞いも。数日の間聞くことが出来ぬことはカルデアスタッフの心に浅くない寂寥をもたらすが、けしていなくなった訳ではなく休息に徹していると言う認識にて奮い立つ。王や姫がおらずとも、恥ずかしくない姿勢を。それらを胸に、カルデアは穏やかなる休暇を過ごしていく

 

休息の日、安息の時。楽園は安寧に満ち、自由と平穏に満ち足りる。思い思いの日々を過ごすが故に、その安らぎは歓迎されることとなる

 

・・・が。そのような間隙に『糸』は忍び寄る。確かに、静かに。糸を伸ばし、カルデアに、楽園に自らの存在を知らしめんとするために

 

――完全犯罪計画は、すぐ其処まで完成を万全としていたのである

 

 

「はい、リッカ。お待ちどうさま」

 

SweetSじゃんぬにて、ワクワクしながら待機しているリッカに振る舞われるは一週間ぶりのじゃんぬのスイーツ。スイートポテト、シュークリーム、パフェ、チョコケーキ、マフィンなどの選り取りみどりな極上の甘味である。リッカの罰則から解き放たれ、ついに解禁となったスイーツである

 

「わぁーい!やったぁー!いただきまぁーす!」

 

リッカからしてみれば一日千秋の思い。喉をかきむしり発狂寸前なまでに恋い焦がれた最高の相棒の手作りスイーツ。あらゆる罰則より重かった気がするそれを乗り越えひたすらにもぐもぐと口に運び、涙を流してその幸福を讃える。ようやく、やっと口に運ぶことができたその極上の甘味を堪能し尽くす

 

「お代わりもありますから、たくさん食べてくださいね。リッカの為に作ったんですから」

 

エプロンをつけ、リッカのリクエストの分のスイーツを手際よく作り準備していくじゃんぬ。その顔は静かな微笑みが浮かび、マスターであり至上の運命たるリッカの幸福を祝っている。長い戦いの節目、一年が終わるこの穏やかな時間を共に堪能できる幸福に満ちている安らかな表情だ。其処に、復讐者が持つ苛烈さと憎悪は微塵も感じられない。暖炉や篝火のごとき、穏やかな火を連想させる振る舞いだ

 

「そのつもりだよー!あぁ・・・このために、このために生きてきたと言っても過言ではない・・・過言ではふぁい・・・」

 

「大袈裟ですよ、リッカ。これくらい、いくらでも作ってあげますから」

 

「一生、私のために!?」

 

「・・・そのつもりですが」

 

「じゃんぬ――!!ありがとー!やっぱりじゃんぬは私のヒロインー!」

 

「もう、自分のヒロイン適性を諦めちゃダメじゃない・・・」

 

「最悪受肉したじゃんぬと老後を過ごす!そんな未来も私的には全然あり!」

 

「そ、それは・・・私も望むところですけれど」

 

その忠犬の可愛らしさを兼ね備えた闘犬と化したじゃんぬに、独占欲と愛くるしさにて充たされつくし理性が吹き飛び抱擁を行うリッカ。そのマスターの跳躍を静かに受け止めるじゃんぬ。貸切りとなったSweetSじゃんぬにて二人きりの穏やかな時間が静かに流れていく。それらを邪魔するものはいない。行われる無粋な横槍は訪れない、筈なのだったが・・・

 

「「!」」

 

鳴り響く、非常事態のアラート。カルデアの平穏を切り裂くお告げにして、風雲急を告げる忌むべき警報。じゃんぬとリッカは顔を見合わせ、それぞれ舌打ちと闘志を燃やす

 

何故こうも運命はリッカを休ませたがらないのか。リッカへの平穏を阻もうとするのか。神があり、運命というものがあるとするなら引きずり出して焼き殺してやりたい衝動に駆られるじゃんぬ。せっかくこれからお風呂に入ったり一緒に眠ったり出来ると思ったのに!リッカ以外の全てに対する憤怒を燃やしながら耳障りな警報を聞き及ぶ

 

リッカ的には一難去ってまた一難なぞいつもの事なので気にしない。むしろスイーツを消化し、また食べれる口実が生まれるので望むところだと金色の瞳を輝かせる

 

「・・・とりあえず、管制室に行きましょうか」

 

「うん!マシュ達もいるだろうしね!」

 

頷き合い、以心伝心の後。二人は駆け抜けブリーフィングへ向かう。その困難や苦難を、解決する為にこそ。このカルデアにいる意味があるのだから――

 

ともにあり ともにいどみし けものかな

 

 

「あ、来たね二人とも!あぁじゃんぬ君、そんな噛み殺すような目で睨まないでほしい!こちらとしても歓迎できない報せなのだから!」

 

ブリーフィングルームにて待っていたのは、ダ・ヴィンチちゃんと数名のスタッフのみであった。皆一様に休暇にて外出を行い、最低限のスタッフのみで、機材を運用している。改良に改良を重ねて、最低三人さえいれば運用できるようになっているため問題無いと言えば無いのだが・・・

 

「そんな解りきった弁明は結構です。また下らない問題ですか?何が起きているんですか?さっさと説明してください」

 

「うーん、このリッカちゃん以外には靡かない孤高?闘犬?ぶり、清々しいなぁ!オーケぃ解った説明しよう!」

 

その眼光にこりゃ敵わないと知ったダ・ヴィンチはそそくさとモニターを展開する。其処にはリッカの故郷である東洋の島国、その一角が赤く染まった状態にて映し出されていたのだ。リッカがその地点に注視し、声を上げる

 

「・・・新宿?」

 

「そう!新宿なんだ!なんと言うか、こんな極小かつ手狭な空間に・・・あろうことか『特異点』が生まれただなんて、君は信じるかい?」

 

特異点――新たな聖杯、新たな企みや目論見が行われている空間が出来ていると言うことを悟り、リッカの表情が鋭くなる

 

「事実を前に、仮定や推測は無意味だと思う。要するに新しい未確認の特異点が生まれて、解決する為にレイシフトして欲しいってことでしょ?」

 

半年にて何度も経験してきた事象、その要望になど今更問われるまでもない。言われるまでもなく即決にて頷く。その為のマスター、その為の自分だ。それに――今までしてきた反省が、きちんと生きているか確かめるよい機会とも言える

 

「マシュ、じゃんぬ。行ける?」

 

ギルを除けば最も信頼を寄せるサーヴァントである二人に声をかける。問われるまでもない、そう言わんばかりにウィンクを返すじゃんぬ。それに続くマシュの返答は・・・

 

「あ・・・その、先輩、私は・・・」

 

「あー、マシュは今回もお留守番だよ。残念な事にね」

 

ダ・ヴィンチの言葉に驚きを隠せぬリッカ。まさか・・・ストライキを起こしてしまったのか!?心当たりが多すぎて思い出せない!スパンキングの力加減を間違えた!?あるいは手緩かったのだろうか!?

 

「いや、違うよ?どういうわけか『善属性』のサーヴァントは弾かれてしまうんだ。つまり、召喚不能・・・ということだね。だからマシュも例に漏れず、出撃不能というわけ」

 

「そんな!ようやくいつも自己主張がはげしいなすびの活躍が見れると思ったのに!口だけなすびになってしまうの!?先輩悲しい!」

 

「わ、私は口だけではありません!口だけでは無いのです!便利過ぎて出撃不能なだけです?本当です!」

 

「土壇場での役立たずほどの荷物はありませんね。オペレーターを頑張ってくださいね、後輩サマ?」

 

「ぐぬぬぬぬぬ・・・!は、はなっ、花を持たせますから・・・!」

 

悔しげなマシュ、勝ち誇ったじゃんぬ。やはり悪が大事よ堕天奈落!とばかりに口笛を鳴らす・・・が、ふと思い至る

 

「・・・地獄でも、月見でも一緒だった訳ですが。目新しいものは見せられません。なんなら、あのクハハマンと交代しますけれど・・・」

 

自分はしっかりと経験も積んだし、それに応えられる自信もある。しかし・・・リッカは何度も私を連れていくことに既知感や退屈を感じはしないだろうか。自分はそれほど強力なサーヴァントでは無いと自己分析はしているので、役立てぬと判断したならば下がるのも考慮するが

 

「何言ってるの!じゃんぬは私だけのサーヴァント!不足なんてあるわけないじゃん!さ、コフィンにいこっ!悪属性のサーヴァントの皆に、沢山フォローしてもらおうよ!」

 

リッカからしてみれば今更だ。彼女ほど頼もしいアタッカーは知らない。ギルは万能、マシュはディフェンダー、武蔵ちゃんはバスター剣豪。彼女に不満を感じたことなど、一度も無いと断言できる。かのローマにて奮闘してきた頃より一緒なのだから

 

「・・・・・・解りました。あなたがそう言うのなら。地獄の果てまでも、ね」

 

「そゆこと!よーし、オペレーター頼むねマシュ!出発だー!」

 

王もおらず、ロマンとシバにゃんもいない。オルガマリーも不在のカルデアにて起こった特異点解決事案

 

一体、何が待ち受けているのか。何者が待ち構え、変質した新宿にて邪龍と、魔女は何を見るのか

 

「はい!王やドクター、シバにゃん。マリー所長に恥じない戦い、恥じない活動を御見せしましょうね!」

 

「うんうん、やる気に満ち溢れているのは素晴らしい事だ!頼んだよ二人とも!人手が少ない分、きっちりこの万能の天才がサポートするからね!」

 

「リッカのパーソナルサーヴァントの役割・・・何度行ってもいいものですね」

 

 

暗雲立ち込め、邪悪が渦巻く日ノ本の都市へ。1999年の日本、新宿へ・・・一人のサーヴァント、一人のマスターが飛び込む――!




そして、レイシフトを終える二人を待っていたのは・・・清涼な空気でもなく、踏みしめる大地でもなく

ヘラクレスの女体化「またこのパターンかぁー!!!」

忠犬あべんじゃあ「何を適当な仕事してんのよダ・ヴィンチぃーー!!!」

遥か上空にて落下する、二人の女子であった。サーヴァント、マスター。この状況は危機的なのかも知れなくはない。何故ならサーヴァントがミスをすればマスターは一環の終わりだからだ

だが――

「今回もディエスっぽく!形成(イェツラー)人類悪見参(アジ・ダハーカ)!」

「リッカ、受け止めるわ!」

鎧を纏い、じゃんぬに抱き抱えてもらい、遥か上空から真下に着地する。阿吽の呼吸、ぴったり息の合ったコンビネーションにて、ビルの屋上にて着地する

【ありがと、じゃんぬ。――】

見渡すそこは、自らが知り得ている新宿、日本とは似て非なる空間であった

新宿の都市を、ウルクの城壁のようなものがぐるりと取り囲んでいる

万能の変人『あの壁の向こうには・・・何もない!人理焼却された状況と同じだ!』

真っ正直には、新宿には見たことがない、似つかわしくない、空に届かんが程の大きさの『塔』が建っている

誘い受けマシュけべ『あんな構造物・・・新宿にあったでしょうか?』

「私が知るわけないじゃない」

そして、人が人から奪う光景、黄色いヘルメットを被った者が射殺していく光景、ソプラノの歌声を響かせる人形が暗躍する都市部・・・

【将門公に怒られそう・・・】

そんな地獄と化した、新宿へ降り立った二人に――

「此処より始まる女子と女子の華やかな冒険譚!此処から君達は圧倒的な女子比率の中たおやかに、麗しく初々しく、一人圧倒的なパワフルさやストロングさで特異点を解決していくのだろう!ならば其処に付き添うは甘いマスクのイケメン、タキシードな仮面と相場が決まっている!だがしかし!だーがーしーかーし!」

その胡散臭さ全開の声音に、右腕に槍を顕現させるリッカ。静かに剣を抜き放つじゃんぬ

「だが残念!!此より君たちを導き、励まし、一緒に歩む男性は――胡散臭いひげのおじさんでしたー!!」

「『吼え立てよ、我が憤怒――!!』」

「あぁっつぅうういぃいぃい――――!!!」

哀れ、リッカが制止する数秒の間。怪しげな棺桶おじさんはその枯れ木のような身体を麗しき魔女に入念に焼かれたのでありましたとさ――

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