人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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私室

腹筋を無限に鍛える王《ふははははははは!!星を砕くときたか!高々探偵めに止めを刺さんとした作者の差し金風情がよくぞ其処まで思い上がった!》

目につく全てが楽しい姫――そ、そんな事が可能なのですか!?王の庭、この青き星を砕くなんて言う・・・ゲーティアですら出来なかった事が・・・!

《無論不可能だろうよ。星の、人の抑止が黙ってはおらぬであろうし、何より我が赦さぬ。だが――我がおらぬ星、星も人もおらぬ場所ならば別だ。世界に影響をもたらさぬならば、何者も止めるものは無かろうさ》

――それが、あの新宿・・・?

《然り。そしてこれは巧妙に隠した筋道、順序のまやかしにて成立する喜劇よ。よいかエア。此度の騒動はな『壊すために殺す』のではなく、『殺すために壊す』のだ。この差違、違いが解るか?これを知れば、この茶番の真相は自ずと見えてくるものよ》

――壊すために殺す・・・計画の成就の為の排除ではなく、誰かを殺すために世界を壊す・・・?それは・・・

・・・・・・――あっ!!それは、なんて――『酷い』・・・!

《悪党の面目躍如と言った処よな。だが、悪意の享受には丁度よい教材だ。腰を上げず見届けてやろうではないか。――フッ。宿敵に留まらず我等にも王手をかけんとするとは。水を得た魚のようではないか、教授?ふははははははは!!》

――ですが、それは同時に致命的な隙でもあります!マスター、皆・・・どうか、ご無事で・・・!

理性で本能を縛る獣(なになに、何の話だい?)

――あの人も星も大ピンチ!

(えっ!?)

――正解は、クライマックスの最中!



「ホームズさん、よろしくお願いいたし」

静かに(ジェントリ)

「!?」

「すまない。君を信頼しないわけでは無いのだが・・・君、つまりビーストifに対する情報と観察が不足している。対話の獣、人類史の癌細胞。有り得たであろう人類悪。君の言葉から発せられる、問答無用に心に潜り込み秘めたるものを暴かれるような危険性を考え、二人きりの会話はお楽しみとさせてくれ」


「(こくこく)」

「よろしい。では手短に話そう。まずは此処に私がいる理由は『英雄王が取り組んだ人理救済の後に、取り零しが生まれたのは何故かを調べるため』。私がこの場に立った理由は『新宿のアーチャーが私を知覚したため』。私が姿を現さなかった理由は『彼に善性があると推定するのに時間がかかったため』だ。・・・大丈夫かな?」

「(こくこく)」

「いい子だ。では、次は我等の敵の正体を暴きに行こう。君が最初に絆を結んだ新宿のアーチャーのね。案内を頼めるかな?」

「(こくこく)」

「よし。では行こう。・・・そして、君の印象だが・・・」

「?」

「・・・いや、確証がないうちは言わないでおこう!」

「~!?」

「ははははは!君はリアクションがひねていなくて面白いな!ワトソンはこれをやる度呆れ返ったものだからね!」




真名暴露ダンディ

ホームズ、シャーロック・ホームズと名乗る探偵に出会い、リッカはねぐら、アジトに確かに帰還を果たす。その悪を、邪悪の根源を目の当たりにし。戦う決意を強く固めながら

 

「と言うわけで、シャーロック・ホームズと申します。クラスはキャスター、どうか戦力としては期待しないでいただきたい」

 

笑顔で非戦闘員であることを念押しし一同に向かい合うホームズ。その知らぬものなき名探偵の登場に・・・あるものは驚き、あるものは距離を置き、あるものは興奮を隠しきれずにいる

 

「シャーロック・ホームズ・・・あぁ、探偵の。パイプふかしてるアレ?楽園の図書室で見かけたわ」

 

『シャーロック・ホームズと出会うことが出来るなんて!賢きもの、解き明かすもの!探偵の概念、永遠の金字塔!時に静かに、時にスマートに!時にアグレッシブに事件を解決に導く名探偵の中の名探偵!まさに、まさに奇跡の遭遇です!やりました先輩!勝ちましたよ先輩!私はホームズさんの大ファンなんです!』

 

「ふーん。名前しかしらない」

 

「おや、対極の反応だ。ミス・キリエライトは読書好きとすぐに把握できるが・・・君はワトソンの著作に触れた事、見聞きしたことは無いのかな?」

 

「中学生以前は教科書しか読んでなくて、高校生はひたすら運動だったもので」

 

「――成る程。君の力の土壌はテムズ川の底であったと言うわけか。君の身に如何なる奇跡が起きたか、いずれ耳にしたいものだ」

 

『せ、先輩!ホームズさんを知らない!?人生を大いに損してます!帰ってきたら読みましょう!読み聞かせてもよろしいですか!』

 

「ははは、私の後輩はこうでなくちゃね!今日も変わらず抜けてるよマシュ!」

 

「では私はリッカの膝枕役を請け負いましょう。子守唄がわりの朗読、期待してるわよ後輩?」

 

『ぐぬぬぬぬ・・・!』

 

そんな和やかな雰囲気が漂うなか、ホームズは鋭く注目する。その存在、新宿のアーチャー。縁浅からぬ、その男の同行を

 

「君は知っていたな?彼女が行動した時点で私が合流を果たすこと、此方に来ること、そして自分が何者か、ということを」

 

ホームズの言葉は彼の企みと目論見を暴く。この状況を把握して、リッカを本拠地に向かわせた。彼女なら必ず戻ると言うこと、そしてその過程にてリッカとの合流をホームズは果たすと言うこと、そして、それらをプランニングした自分自身の真名を。論理的帰結にて把握を完了していると鋭く追求する

 

「あー、まぁね。これだけシャーロック・ホームズに警戒をされまた、警戒をしているという時点で、一人しか心当たりはいないとも」

 

そう告げ、彼はリッカを見やる。自らの真名を見つけた自分への対処、その結論を隠していた事実、そして、自分自身への心の変化を読み取る

 

「・・・・・・・・・」

 

リッカは静かに待っていた。彼が真名を名乗るのを。聞き出すでもなく、尋問でもなく。彼の口から言葉にするのを待っている。自分がそれに比類し、比肩する存在であるのかという判断を、彼に仰いでいる

 

「同時に、それは我等が倒すべき敵の名である。暗躍を繰り返し、彼と部下の罠を潜り抜け其処に待つのは更なる罠と行き止まり。時には飛び込み、時には他人となりごまかし、時には作戦に便乗して尚、彼を裁判にて決定的な有罪に追い込むのは不可能だと思い知らされた」

 

『ホームズさんが其処まで・・・ならば、その人は、まさか・・・!』

 

「ジェントリ、ミス・キリエライト。その先は、彼から明かすのを待とう。その影響を恐れ、ワトソンの著作にすら明確な描写を避けざるをえなかった稀代の大悪党の開帳を」

 

彼はかつて、それをそう呼称した。『犯罪界のナポレオン』と。それらは自らの手を汚さず、すべてを支配する悪辣なる蜘蛛にして蝶。ホームズ、終生のライバル――

 

「・・・君は待っていてくれるのかい?」

 

「ん。いつでもどうぞ」

 

「・・・――そうか。ならばリッカ君、いやマスターリッカ。無礼と不心得を覚悟で、我が真名を君に預けたい」

 

その結論を見つけ、その真名を開帳する。信頼の証として、確かに共に戦う証として。その身を表す真名、サーヴァントの本懐なる名称を此処に告げる

 

「我が名、ジェームズ・モリアーティ。幻霊『魔弾の射手』を宿した変則サーヴァントとして此処に現界した。我がマスターよ。どうかこの名を、確かな信頼と共闘の証として受け取っていただきたい・・・!」

 

新宿のアーチャーは、此処にその驚嘆と驚愕の真名を、一同に託したのだ。『善』なるものとして。新宿を解決に導く、確かな仲間の一員として――

 

 

あくとうも くべつなどなき けものかな

 

 

「そんな訳でモリアーティです、シクヨロ!」

 

モリアーティ・・・かのシャーロック・ホームズの活躍する物語にて語られる、犯罪界のナポレオン。ホームズの口頭のみにて語られし犯罪コンサルタントの名手にして、情報社会を裏で牛耳った悪の親玉にして数学教授

 

かのシャーロック・ホームズですら、法的な勝利は望むべくもなく。果てには直接対決にてライヘンバッハの滝壺に共に落下し死に果てたとされしホームズ終生のライバルにして、永遠の宿敵。ホームズ最後の事件と言う通りコナン・ドイルは此処でホームズの作品の完結を目論んだのだが・・・それはまた別の話

 

 

そんな大悪党が真名を取り戻し開帳した直後の挨拶がこれである。一同は何とも言えない胡散臭さと怪しさを感じながらも彼を戦友として迎え入れる事にしたのだ。善なれば、放逐するわけにもいかないのだから

 

「リッカ、こいつアレよ。なんか余計にウザくなってないかしら。一、二回デュヘっておいた方がよくない?やる?」

 

「変わらずこの扱い!?真名が明かされようと明かされまいと群れにおける弱者はこんなもの・・・悲しい!悲しすぎるっ!」

 

「単純に貴様の存在が生理的に信用を得られんだけだろう」

 

「オルタズ!私に、私に労りをくれたまえ!」

 

「はははははは!この犯罪紳士、面白いな!」

 

「君には情というものが無いのかネ!?」

 

「君に関してだけは無いな。足を掬う事しか考えていないよ。・・・さて、モリアーティの嘲笑は続けつつ本題に入ろう」

 

「続けないで!?心が、心が軋むから!リッカ君、最早君だけが・・・」

 

『先輩!何処かに、何処かに滝はありませんか!?』

 

「楽園にはあったよね、確か滝」

 

「マシュ君にまで警戒されている――!おかしい、もっと私はフレンドリーでアットホームな空間になってほしいと願いを込めて真名をだね!」

 

その愉快かつ賑やかな雰囲気を崩さず保ちつつ、ホームズは言葉を紡ぐ。悪なるモリアーティ、本来の彼が行う大悪行を紐解いていく

 

「英雄王と、その楽園の使者である以上、もったいぶった意見は不興を買うだろう。だからこそ、今回は君達の特徴と特性に合わせ、徹底的に簡略概要を伝えよう」

 

「それ私たちがバカとかって意味じゃないわよね」

 

「ははは、御冗談を。・・・結論から言えば、この星の内側から生まれた存在がこの星を滅ぼすのは不可能だ。いくつもの安全装置、介入せし見えない力がそれを未然に防ぐからね。世界は、宙なる者でもない限り破壊の可能性はゼロと言っていい。しかし・・・この新宿は別だ。この新宿は、世界より切り離されている」

 

世界は存続する。星は生存する。それが世界と星であるならば。ゲーティアは人類を滅ぼしはしたが、それはあくまで燃料を欲したが故のこと。星の抹殺には至っていない。ならば、モリアーティの言葉は妄言か?いや違う

 

「ふむ、『新宿そのものが世界から切り離された空間』であるから話は変わってくるがネ。ここが無くなろうと、世界にとってなんら問題ない浮遊した特異点であるならば・・・」

 

『――あぁ!!成る程!そういうことか!其処は『聖杯によって切り取られた』もの!滅ぼうとなんだろうと、此方の世界に影響はない!抑止力、星のセキュリティ!其処には働かないんだよ!『世界とはなんの関わりも無い』のだから!』

 

ダ・ヴィンチちゃんが調べあげたデータを開示する。其処には確かに、この世界が浮いており、無関係であることを示すデータが記されていた

 

「新宿は星ごと殺され、サーヴァントは消滅し、全ては滅ぶ・・・この悪の私の計画が成就したとき、本当の意味で失われるのは・・・リッカ君だけということになるな」

 

「私?」

 

「そうだ、レディ・リッカ。サーヴァントは消滅するが霊基を喪うわけでなく、この星とは関係ないこの場所は、滅びようとも影響をもたらすことはない。・・・放置し、見て見ぬふりをし、脱出しようとも。なんら問題はないのだよ」

 

それは、悪のモリアーティが言っていたこと。『カルデアは関わるな』と。それはホームズのために整えられたが故の言葉か。全てが、ライバルの為にあつらえたがゆえの邪魔者の排除か

 

『ホームズ、モリアーティの言う通りだ。言い方は酷いが、其処は全く攻略する意味がない。放っておいても消えてしまう、本当に全く本筋に関わりのない場所なんだ!』

 

告げられる、無意味や無価値という、帰っていい、無視していいという甘い誘惑。だが・・・

 

「アルトリア、ホームズ、モリアーティは消えちゃうんでしょ?」

 

縁を紡いだ者達を見捨て、楽園に帰る。取り組んだ難題を放り投げ、マスターを名乗る。試練たる死地に挑まず、逃げ戻る

 

そんな戦いは――断じて。楽園のマスターである自分が。ギルやじゃんぬのマスターである自分が取るべき戦いではないのだ。選択に迷うことすら愚かしい

 

「悪のモリアーティに言った通り、例え何の見返りが無かろうとも。私はこの新宿から逃げるつもりはない。『挑みに来て』『紡がれた縁』をほっぽって逃げ帰るなんて、ギルに顔向けできない選択をするつもりはない」

 

「――リッカ・・・」

 

「生命を助けたいだとか、放っておけないだとか言った気持ちも勿論あるし、それは正しいと思う。だけど私は『この世に無価値や意味の無いものは無い』と言ってくれた姫様の言葉を信じてる。だからこそ、この新宿にだって絶対に意味と価値があると思うし、何より――」

 

そう、何よりこれは自分自身の信念の問題だ。意味や価値だけを求めて行動するのなら、人間として生まれた甲斐がない。効率や理屈ではなく、意地と本能で動くのが人間なのだ。だからこそ

 

「このまま尻尾を巻いて逃げるというやり方は、私自身の心に後味の良くないものを残す!だから私は逃げないよ。終わらせるまで帰らない!それが、楽園のマスターとしての意地と覚悟だから!」

 

それ故に、向こう見ずで困難に命を懸ける。この新宿にて、楽園カルデアの在り方を証明して見せる。それが、リッカが新宿にて選んだ戦いの理由、『楽園の誇り』という、戦い抜く動機であるのだ

 

「・・・正直私は世界などどうでもいいですし、こんな薄汚い都市、滅びようと関係は無いです。リッカには一刻も早い帰還をお勧めするべきなんでしょうけど」

 

じゃんぬは偽悪的に笑ったあと、リッカの隣にて、けらけらと笑う。大切な存在の意志。向こう見ずなその、まっすぐな決断を尊重するように

 

「リッカが救い、立ち上がり、戦うと決めたなら。私はその行く道を隣で一緒に進み、切り拓くだけの事です。死ぬ?無意味?それがなんだというのですか。意味がない程度で歩みを止めるはずが無いでしょう。私達は『完全無欠の結末』を目指してきた。なら、今もそうするだけよ。リッカが世界を救わんとするなら、私はリッカの前に立ち塞がる全てを焼き払うまでの事よ。光栄に思いなさい。ついでに助けてあげるわ。リッカのパートナーとして振る舞った結果ね」

 

リッカが行くなら、自らも殉じるのは当然の事。死も、消滅も怖くない。本当に怖いのは、リッカの力になれないこと、リッカが消えてしまうこと。それだけは、それだけが、じゃんぬが心の底から憎悪する結末なのだ

 

だからこそ・・・リッカの判断、リッカの決断に、笑顔で乗れる。それは、憎悪ではない確かなる決意。パートナーとしての当然の選択であった

 

「ありがと、じゃんぬ。――そう言ってくれると思った」

 

「王様に伝えてやりましょうよ。意地を通すついでに世界を救いました、とね」

 

「フン、マスターもマスターならサーヴァントもサーヴァント。揃いも揃った猪武者だ」

 

アルトリアオルタもまた、同じ様に笑っている。小賢しい賢者より、向こう見ずな愚者が力を貸すには相応しいと言った笑いだ

 

「あんたも同類よ、馬鹿女」

 

「田舎娘だけでは心許ない。誉れ高き騎士の王も生命の担保にかけておけ。必ず、決め手となるだろう」

 

 

「アルトリア・・・!」

 

「退廃の土地だろうと在り方を損なわぬならば、それもまた騎士の有り様だ。それにな、今の貴様は、見ていて面白い」

 

「ちょっと、あんたの場所なんて無いわよ。リッカの隣は満員ですから」

 

「なら私は前に立ち手を引くとしよう。導く役割はいただいていくぞ」

 

「はぁ!?私達は地図を見て走るのよ!あんたみたいなナビはいらないわ!チェンジ!チェンジ!」

 

「任せておけ、マスター。そして御機嫌王に伝えるがいい。『大量のハンバーガーを用意しておけ』とな」

 

「あんた楽園に来る気!?似たようなメイドいるんだからね!?」

 

「よーし!両手にオルタでみなぎってきたぁ!!皆の生命、私が預かる!頑張ろー!!」

 

「リッカ――!?」

 

変わらぬ闘志、変わらぬ決意。人類悪たる彼女がけして揺らがず在る由縁が此処にある

 

 

「フッ、悪の私は厄介な相手を敵に回したモノだネ。計算や理屈で動かない相手はやりにくいことこの上ない」

 

「彼女は紛れもない悪だ。人類が産み出した癌細胞、ゲーティアが造り上げたifの獣。だが・・・【悪を以て悪を制す】為の存在に昇華されたのは、人類にとって嬉しい誤算と言えるだろう」

 

『はい!先輩はとにかく、カッコいいんです!』

 

新宿の攻略、中断せず。楽園カルデアの行進は、未だ止まることを知らぬのであった――




そして、決意を改めた一同を惹き付ける音が鳴り響く。そう、いつもの、恒例のものだ

憎悪の炎は甘美なスイーツに変わる「リッカ、希望の華よ」

子供はたくさんほしい「はいもしもし!」


『・・・無警戒に過ぎるわよリッカ。もう少し用心なさい』

「あなただと信じてた!」

『~、もう。・・・戦う意志を決めたあなたに、情報を提供させてもらうわね。いい?魔人同盟、その計画を支えるスポンサーが存在しているわ。数時間後に、それらを歓待するパーティーが行われる。それを取り仕切るのは・・・新宿のアサシンよ』

「・・・倒す、チャンス?」

『えぇ。誰かに紛れ、誰かに扮装はしていても必ずいるはず。ホームズ、モリアーティにプランニングしてもらい、潜入の後に排除なさい。彼がいては、迂闊に背中を預けることもできないのだから』

「・・・解った」

『準備は一任するわ。それと・・・』

「?」
 
『『この新宿にいる人間は、人の皮を被っただけの存在』よ。真っ当に人間と呼べる人格はあなただけ。――故にこそ、躊躇わずに戦いなさい。どれだけ姿形が人であろうとも、心が歪み果ててはそれは別の生物。今のうちに、慣れておくようにね』

「・・・ありがとう。フリージアさん。それじゃ・・・」

作者すら殺せなかった男「すまない、少し代わってもらっていいかな?レディ・リッカ」

「?フリージアさんに?」

「あぁ。・・・始めまして、ミス・フリージア。シャーロック・ホームズ。探偵です」

『稀代の名探偵。会話できて光栄よ』

「本来なら貴女にもお聞きしたいことが山ほどあるのですが、今は――」

『『アルセーヌ・ルパンが探偵に討ち果たされるとき、バスカヴィルは高らかに再演を謳う』』

「・・・?」

『ふふ、シャーロキアンの頭を捻った謎解きとでもお考えください。それでは、御機嫌よう』

「・・・切れてしまったか・・・」

(フリージア・・・藤丸リッカの個人的な協力者。だがその行動は不可解極まる。リッカ君を支援しておきながらかたくなに姿を現さず助言のみを送る。それらは恐ろしく信憑性の高いもの。真っ先にモリアーティの部下か幹部を疑ったが、これらはモリアーティの首を絞めるようなものばかりだ。スパイか?いや、そうだとしても何故此方をリスクを恐れず助力するかの理由には弱い。だからといって、与えられた情報に待つのはサーヴァントとの戦闘だ。こちらが死ぬ可能性もある危険なもの・・・こちらが手違えば終わる指示を繰り出している。・・・不明な点が多すぎる。モリアーティ、カルデアチーム・・・双方に働きかけ、何を企んでいる・・・?)

「ほ、ホームズ?」

「面白い・・・!」

「えっ!?」

実は原作ぽっと出のライバルおじさん「受話器持って硬直している君の今の絵面の方が余程面白いがネ!」

「バリツ!!」

「アウチッ!!!」

「はいはい喧嘩しない!よーし、作戦会議するよー!ところで、具体的にどうやって世界を壊すんだろう」

「理論的に言えば、この魔弾の射手を取り込んだモリアーティが・・・『隕石』を呼び、それをあの『銃身』に打ち込めば可能だ。魔弾は六発は狙い通りに飛来するが、最後の一発は悪魔が臨んだ場所に放つからね。その力を使い、隕石を呼び寄せあのバレルタワーに打ち込めば・・・」

「成る程・・・道理でこの棺桶から撃つ弾は外れないわけだ」

「気付きなさいよ其処は!?」



『さてと、アサシンを倒せたならいよいよ終わりが近いわね。・・・ホームズならこれくらい解くでしょう。えぇ『解いてもらわなくては困る』のだけれどね』

(全ては収束する。最後に笑うのは・・・誰かしらね)

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