人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「うわーん!やっぱりダメです!あの王様を私の浅知恵で欺けるわけないじゃないですかー!!」


「どんな罰も受ける覚悟は決めましたが、カルデアの退去だけは・・・マスターから離れる事だけは・・・!」

「――はっ!欺けないなら・・・!」


突破

――目を擦る。魂をかけてあの黒騎士をみやる

 

 

 

――おかしい。『何も解らない』

 

 

器の眼でいくら見通しても、まともな情報が入ってこない――!隠蔽式の宝具を展開しているのか・・・!?

 

 

「騎士を名乗る割には姑息な輩よ……!よほど後ろ暗い過去があると見た!」

 

 

――だが、器が告げている

 

『無駄を放つな』と――。その意味を考えている時間はない

 

 

「Arrrr――――!!」

 

重機関車のような勢いと威力を以て黒い騎士が疾走する――こちらに距離を詰めてくる!

 

考えている時間はない。あの騎士は相当のやり手だ――!

 

 

無駄を放つな――放つことが出来ぬならば……!

 

 

「――はぁっ!!」

「!!」

 

自らのステータスを上げる『手甲』と『足甲』を装着し、格闘戦を展開する

 

 

「面食らった顔だな!我が原初の戦いを修めておらぬとでも思ったか!昔はヤツめと毎日覇を競ったものよ!」

 

――何が起こるのか解らない戦い、放つなという器の言葉……

 

いつもの射出では、分が悪い筈だ……!

 

「貴様の手垢で、我が財を汚させはせぬ!」

 

旋風脚にて黒騎士を突き離す

 

 

「英雄王!援護します!」

 

マシュが間に割り込む。助かる!ありがとうマシュ!

 

「気が利くな!よい嫁になろうな!貴様は!」

 

「Arrrrrrr――――!!!!」

 

 

――――信じがたいことが起こる。自分の目すら疑った

 

 

黒騎士は無造作に『木の枝』を拾い――

 

「ぅううぅう――!!!」

 

マシュの盾を、執拗な迄に打ち付けてきたのだ――!!

 

「マシュ!!」

 

「なんと手癖の悪い戌よ……!そこらの枝すら宝具にするとは!」

 

――読めた、そういう事か

 

あの騎士は、恐らく自らの宝具の効果で『つかみとった』ものを何でも制圧して宝具にしてしまうというわけか!なるほど、放てば取られ、敵に塩を贈ってしまうという仕組みだ……!

 

『宝具を奪う……――恐らくそれは、敵の武器を奪い倒した逸話から来ている!そんな武勲を持つ騎士なんて一人くらいよ!』

 

オルガマリーが声をあげる

 

『ランスロット……!恐らく湖の騎士、ランスロットよ!そのサーヴァントの真名は!』

 

「なんで騎士がバーサーカーなの!?」

 

『ランスロットは痴情の縺れや狂乱の逸話をいくつも持っている!バーサーカーの資格もあるんだ!』

 

「でかしたスタッフ二人!だがマシュを省みぬか!」

 

 

「うぅぅあぁあぁあ!!」

 

乱雑どころか精緻な枝捌きを見せるランスロットに防戦一方なマシュ

 

――触れられて不味いのなら、爆発する宝具や毒を浸した宝具を選別するまでだ……!

 

――と、そのときだった

 

「!?」

 

「――そこっ!!」

 

突如蒼いスパークがおこり、辺りがフラッシュする

 

そこにいたのは――

 

 

「沖田さん!」

 

「はい、沖田さんですとも!このランチキは引き受けますから、状況の打開を――!!」

 

言いながら、ランスロットの攻撃を完璧な太刀捌きで完璧に凌いでいく沖田

 

――まさか、自分から飛び込んできたのか!?

 

「セイバー擬きではないか!貴様独断で駆け付けたのか!」

 

「はい!――やっぱり座して待つなど私にはできません!」

 

「――――!!」

 

「私は新撰組!掲げた誠の旗は、戦場にてはためかせます――!!」

 

言うが早いか飛び込む沖田。ランスロットと打ち合い、火花を散らしていく

 

 

 

「――――――arrrrrr!!!!!」

「はぁあぁあぁあ!!!」

 

 

新撰組随一の剣客、沖田総司の剣さばきは決してランスロットにひけをとらなかった

 

いや……瞬間移動を繰り返し翻弄し続けるそれは、真な剣とよべるかは解らないが・・・!

 

 

「マシュ、ギル!沖田さんの頑張りを無駄にしちゃダメだよね!」

 

マシュとマスターが傍に侍る。

 

 

――思い返す。記憶がよみがえる

 

 

『事が済んだら、カルデアも財に加えてやるとしよう――』

 

――そうか……!!その手があったか!

 

「マシュ!マスター!耳を貸せ!」

 

 

「え!?」

「何でしょうか!?」

 

「業腹だが――ヤツと我では相性が悪い!弾丸を放った先から掴まれるなど面倒極まる!」 

 

――この作戦には、二人の力が必要だ……!

 

「我に力を貸せ!なんとしてもあの頭蓋、砕いてやらねば収まらぬ――!!」

 

慢心や油断をしないということは、何も財を選ぶ事ばかりではない……!

 

「はい!もちろんです!」

「私に出来ることなら!」

 

『誰かを頼る』事だって、油断なき選択の一つだ!

 

「よい返事だ!長引かせると不利だ、手早く決めるぞ!」

 

 

 

「身体が軽い……!こんな気持ちで戦うなんてはじめて!」

 

瞬間移動を駆使し太刀筋を読ませず縦横無尽に剣を浴びせる沖田

 

縮地――特殊な歩法により、瞬間移動すら可能な足運びの極致たるスキル

 

それが沖田の剣技を摩訶不思議なものへと変えていたのだ

 

――汚名は武勲で返上する!怠けたぶん働いて見せる!

 

少しでも、彼女たちの助けになれば――!

 

攻めきれぬランスロット、行ける!

 

「もう何も――こふっ!?」

 

突如、沖田の動きが止まる

 

(こん、な時に――!)

 

デメリットスキル、病弱――後世の沖田総司のイメージ『沖田総司は病を患っていた』という印象の付加によるバッドステータス

 

それが今、最悪のかたちで発動してしまった・・・!

 

 

「Arrrr――――!!!!」

 

振り上げられるアームハンマー。――頭蓋を砕かれる――!

 

(――ここまでですか……!沖田総司、完っ――!!)

 

――フラグは折るものだ!

 

 

「やぁあぁあぁあぁあぁあぁあ!!!」

 

マシュが猛る気合いと共にランスロットにぶち当たる!

 

「――!!」

 

「マシュさん!」

 

「――今です!!先輩!」

 

盾でランスロットを押さえつけるマシュの声に、リッカが走る!

 

「うぉおぉおぉおぉお!!!女は度胸――――!!」

 

全力で走り、――マシュの肩を踏み台に跳ぶ!

 

 

「マスターっ!!?」

 

沖田が驚愕するのも無理はない。何をする気ですか!?

 

 

「チェンジ!『戦闘服――!』」

 

マシュとランスロットを飛び越えながら、ランスロットに狙いを定め礼装を変化させる!

 

「『ガンド』――!!!!」

 

空中で逆さまになりながら、ランスロットの背中に向けてガンドを放つ!

 

『Garrr――!!!!???』

 

直撃し、動きが完全に停止する――!

 

「沖田さん受け止めて――!」

 

 

「なんっ――はぁああっ!!」

 

気合いを振り絞り、縮地にてマスターを連れ離脱する

 

 

「今だよ!ギル――!!」

「今です!英雄王――!!」

 

 

――任せろ!!

 

 

「ハッ!思い上がったな狂犬!今や我の財は蔵だけにしまうものだけではない!」

 

 

満を持して開帳する財宝100門、その全てがダガーナイフ、短剣の類いだ

 

「人類の明日の為に奮闘する者達――それこそが、今の我の新たな財よ!!」

 

そうとも――マシュもマスターも――

 

 

自分の――宝物だ――!!!

 

 

「今こそ喰らえ――!!『王の財宝』――!!!」

 

 

無数の短剣とダガーが動けぬランスロットを徹底的に穿ち抜く――!!

 

「Arrrrrrr――――――――!!!!」

 

 

「油断も慢心もせねば、貴様に手を噛まれる道理はないわ、雑種が――!!」

 

 

地面が抉れるほどに放たれる無数の財

 

 

やがて――土煙が晴れる

 

 

「――――……アー……サー……」

 

 

末期の呟きを残し

 

 

ランスロットは消滅していった――

 

 

「ふははは!貴様の狼藉のツケ、確かに払ってもらったぞ!二度とその薄汚い面を見せるな!永遠にな!ふはははははは!!」

 

 

――高笑いする英雄王。そんなに嬉しかったのかな?

 

 

「マシュ、沖田さんもやったね!」

「はい!」

「……びっくりしましたよ!もう!」

 

 

――皆も無事だ

 

どうやら……異世界のリベンジを……無事、果たせたらしい

 

――少しは、自分も貢献できただろうか。そうだったら――嬉しいな

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