人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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エピローグです!ゆっくりお楽しみください!


そしてFGOは三周年!めでたいですね!!沢山の情報、喜ばしいです!

この小説が、皆様のFGOをはじめとしたfate作品の愛の燃料、起爆剤となってくださっているなら幸いです!原作をもっと好きになる、原作に興味を持ってもらえる。それが叶うのならば、二次創作としての最大限の成果にして本懐を果たせたと胸を張って告げられます!

この小説も何処まで行くかは解りませんが、行けるところまでいってみようと思います!御気に入りがゼロになるか、評価がゼロになるか、はたまた作者が力尽きるかは解りませんが、頑張って皆様が楽しんでくれるような作品を目指します!

FGO三周年!おめでとうございます!どうかこれからもFGOを、そして出来ればこの作品も記憶の片隅に留めておいてくださいね!ありがとうございました!


フォウ「やったねティアマト!お茶の間デビューだ!」

ティアマト「お茶の間の皆様に今のうちから謝罪巡りをしたいと思うのですが・・・」

「うん、ラフムは・・・まぁね・・・」

「本当に・・・本当に・・・すみません・・・あ、でも・・・バビロニアが好きといってくださり・・・嬉しかったです・・・」


けんおー「ふははははははは!!エアよ刮目せよ!我が割りと難題と頭を捻りに捻ったバビロニアをな!愚かな我がどれほど無軌道か理解できると言うものだ!!」

シドゥリ「イシュタル様も大活躍・・・の筈です」

イシュタル「筈!?」

「イシュタルなぞいらんわ。エアを出せエアを」

「彼女は彼処だけだからいいんでしょーが!!アンタ覚悟しときなさいよ、絶望感スゴいんだからね!」

「ふははははははは!!叙事詩と原作、見比べ見返すも一興よ!!よし!向こう一年、過労死などしている暇は無いな!!どうだエア、我の超絶かしこいティザーPVはどうであった?我に、乗り換えても、よいぞ?ん?」

《もう一度麻婆で冥界に逝くか貴様!シドゥリと二人で職務に追われるがお似合いよ!》

――御布団を・・・かけてあげたいな、と

「――――――――」

ほんわか冥界ガーデン

「・・・・・・不意討ちであったわ・・・」

エレシュキガル「不用意にエアに話を振ってはいけないのだわ・・・分かったでしょう?」

「・・・今から不安であるな。藤丸めをラフムを討ち果たせるほどに徹底的に鍛えてやらねばならんか・・・」




円卓

トリスタン「私は嬉しく、とても悲しい・・・」

ガウェイン「我等は銀幕で、成すべき事を成すのみ」

ランスロット(マシュ殿に銀幕でお父さんと呼ばれるのか・・・)

モード「父上の裁きかっこいいんだろーな!」

獅子王「アライメント・秩序善のみ映画館に脚を運ぶことを許す」

「「「「「えっ!?」」」」」

(ベディヴィエール、そしてエアにチケットを贈らねば・・・)


大団円エピローグ・1

「あぁ・・・我が計画、完全犯罪。星の殺人計画も潰えたか。――認めるしかあるまい。この勝負。人の善悪を巡る戦いにて勝利を証明したのは・・・君達だ。カルデアの諸君」

 

 

漆黒の光、砕け散り呑まれていく塵芥。そして、魔力の迸りにたぎる轟音。それら全てを判断材料として・・・モリアーティは静かに敗北を告げる。この場における状況をくつがえせる手段など、最早何一つ残っていない

 

『境界面、安定!帰還レイシフト、いつでも行けます!』

 

『やったぜリッカ!!お前は俺達ギーグ、オタクの星だ!最高だぜ!!オルフェンズ全話、黒ひげと見返すからな!』

 

『先輩、所長・・・!お疲れ様でした・・・!!』

 

『泣くのは・・・ぐすっ、早いよ諸君!この勝利には大いに意味がある!英雄王、そして魔術王の介入が無くとも、君達は立派に世界を救える逸材だと言う証明が成されたのだから!』

 

『『『『『英雄王!万歳!英雄姫、万歳!!ロマン!末長く爆発しろーっ!!』』』』』

 

勝利の美酒に、ひたすらに酔いしれるカルデアの一同ら。この極限の状況を乗り越えたのは、リッカの武力ではない。サーヴァントの実力ではない。オルガマリーの計算ではない

 

ただ・・・自分に出来ることを行い、自らの最善を尽くした。一人一人の当たり前の奮闘。信じ、戦い抜いた。それこそが・・・悪を越える、善を謳う総ての勝利のきっかけとなったのだ

 

「・・・やけに静かですね、教授。負け惜しみや捨て台詞の一つも残さないのですか?」

 

オルガマリーも役目を終え、淑女から少女の姿へと戻る。アイリーン・アドラーの情報、記憶を。決して忘れないように聖杯に・・・自らの心に残しながら

 

「残さないとも。悪役であろうとタブーは存在する。それはね、『勝利にケチや泥を塗ってはいけない』・・・サ。勝利を称え、勝利を祝い、無様に消え行く。あるいは華麗に消える。それが・・・人気の出る悪役の秘訣だよオルガマリー君。再登場やスピンオフに呼ばれたかったら忘れないことだ」

 

「いいえ、すみません教授。私は悪役よりも・・・『主役を出し抜く、賢く聡明な女性』の方に魅力を感じるので」

 

「・・・ふっ、アイリーンめ。流石はホームズを出し抜いた女性だ。戦闘力の一つも振るわず、無二のファンと友人を作るとは」

 

その親しげな会話に、毒はもうない。互いのやりとりは軽快かつ、もう既に気心のしれた者同士の会話に他ならない。同僚であり、仲間であり、ホームズを越える同志であり、自らを滅ぼす自滅因子(アポトーシス)であった彼女に・・・大切な教え子達の勝利に。最早何一つ、悔いは残っていなかったのだ

 

「・・・あぁ、だが不思議だな」

 

否、一つだけ。一つだけ気がかりな事があった。この、胸の内の違和感・・・何故か沸き起こる感情の発露と、その暖かさだけが、解らない

 

「あと一歩が足りなかった。私は敗北した。教え子にこっぴどく裏切られ、出し抜かれ、貶められ、企みと目論見を覆された。あぁ、全然気にしてないよ?ノーダメ、ノーダメだとも」

 

「声が震えてますよ、教授」

 

「効いてないし!――だが、足りなかった・・・足りなかったというのに。『満ち足りた』という矛盾がある。全てが御破算だと言うのに『これで良かった』という感覚がある。・・・不可解、不可解だ。あぁ、何故なんだろうな――」

 

その・・・今更にすぎる疑問を聞き及び二人は、リッカとオルガマリーは顔を見合わせる。そんなもの、とっくに解ってる

 

「姫様だったらもうとっくに見抜いてて、ギルの愉悦タイムになるよ、モリアーティ」

 

鎧は、もういらない。苛む悪性は、もう此処には無いから

 

「呆れました。此処まで戦ってまだ解らないなんて。あの女性(あのひと)に出し抜かれたホームズを笑えませんよ、モリアーティ」

 

 

銃を仕舞う。もう、撃ち抜くべき相手は何処にもいない。モリアーティには、ただ言葉を告げるのみだ

 

「・・・君達や、カルデアの王や・・・英雄姫には、解るのかね?私には、解らないのだが」

 

「勿論」

 

「・・・それを教えてほしい。このままでは、死んでも死にきれない。問おう、裏切られし者。そして・・・希望の華よ。この・・・胸を満たす暖かさはなんなのだ・・・?」

 

リッカがまず、オルガマリーより先んじて告げる。何故満たされているのか、何故、こうも満足できたのか。それはもう、リッカには自明の理である。だって、自分がそうだったのだから

 

「だって――ねぐらや新宿で一緒に過ごした時、楽しかったでしょ?」

 

「・・・・・・!!」

 

それは、大切な時間。大切な記憶。決して消せない、消えることなく残っていた、大切に胸に宿りしもの。善なるモリアーティとして戦い、奮起し、奮闘した記憶。そして・・・

 

「いくら打算の上と言えど。あなたの行動に矛盾はなく、嘘はなく、悪を打倒するために、弱きを・・・弱きを??」

 

「えっ」

 

「――弱きを!助けるために、新宿を支配するモリアーティと、力を合わせて戦った。・・・悪役の貴方には馴染みのなく、ただの一度も味わったことの無いもの。――あなたは、間違いなく」

 

そう。彼は間違いなく――

 

「『正義の味方』、だったのよ。ジェームズ・モリアーティ」

 

そう。それが答え。リッカやオルガマリー、カルデアの皆に敗北した、心の機微にして・・・最後の解。モリアーティの思考に雷が落ち、そして天恵のように思い至るのだ。その意味に

 

「――――――――――あぁ。全力を出していたつもりだったが・・・私の心に巣食っていたコレは、あれか。記憶を取り戻す前に、私が君達と過ごした時間か。・・・そうか」

 

「えぇ。リッカの保証付きよ。それは、絶対に偽りじゃない、本物。貴方はそれを消すことが出来ない。それを消してしまえば、魔弾が認識する大切なものが消えてしまう事になる」

 

だからこそ、それは消せない。リッカと、じゃんぬと、アルトリアと。・・・まぁ、ホームズと。共に戦って、困難に立ち向かったその記憶と式は、絶対に消せなかった。モリアーティの論理の他にも・・・それが、本当に大切なものだから

 

「だが、どうせ私は記憶を取り戻して悪に立ち戻るのだ。私は自分の事をよく理解している。それが大切なものだと理解してもなお。私は、『それを』踏みにじることが出来る筈」

 

モリアーティはそう思っていた。モリアーティは、そう思っていたのに

 

・・・どうしても。この記憶だけは。消すことが・・・許せなかったのだ。彼女を、相棒と。そして・・・彼女を、教え子と呼んで。心血を注いで育て上げた時間だけは・・・真実だと。胸を張って告げられるから

 

「うん。よく理解出来たよ二人とも。負けて当然だ。・・・私は悪の味は知っている。悪の底知れない魅力も知っている。だが――『正義の味は一度も味わった事がなかった』。それは迷いもしよう、惑いもしよう。そして、正義の味と来たら!」

 

「計算を、緻密な作戦やプランを意志や気力で捩じ伏せ勝利を掴む。・・・そんな味は、如何でしたか。Mr.ダンディ」

 

「・・・存外悪くない!あぁ、これは・・・!負ける以外に、道は、無かったな・・・!」

 

それを理解し、モリアーティの退去が始まる。この歌劇、この茶番の終わりが来たのだ。これらは、王に捧げられる劇のようなもの。仕組みを理解しているものからすれば他愛のない、内輪の寸劇だ。だが・・・其処に在りし者、役者たちは全身全霊で戦い、生き抜き、知恵を絞り、立ち向かった。そのぶつかり合い、意地の張り合いからかけがえのないものが生まれる。其処から、それから生まれたものこそが、王と姫が愉悦し、楽しみ、何より愛する『財』。――財とは有形や理屈に非ず。感動、絆、縁、成長。それらもまた――大切な、大切な・・・王の蔵には収まらず、姫の胸に輝き続ける『たからもの』であったのだ

 

「・・・まぁ、敗れた後で言うのはなんだが。すまなかったね、リッカ君。私はただ、ひたすらに君を傷付けた。誠実さを利用し、快活さを悪用し、純真さを罠とした。――だが、これだけは信じてほしい」

 

そう、それだけは。悪として、けして譲れぬこれだけは。マスターには、相棒には信じてほしい

 

「あの瞬間・・・あのねぐらで語り合った時間、共に闘った時間。それは埋め込まれた正義とはいえ、ひた向きに正義を信じた(かれ)のものであり、(いま)ではない。――目の前にいる悪役は、ただ顔が似ているだけのテロリストだと思うといい」

 

あの善なるモリアーティは、虚構ではない。・・・確かに、君達の仲間であったと告げる。だが

 

「そんな区切りなんていらないよ。悪も、善も、人間にはあって当たり前だし。――そして、『どちらにも大切な意味と価値がある』。だから、あなたはあなた。裏切ったあなたも、一緒に闘ったあなたも。私には、同じモリアーティだよ」

 

「・・・ふはははは!そうか!それはそうだな!『尊い』答えだな、それは!」

 

「この世に在るものは等しく尊い。全てが、終わりを目指して進んでいる。・・・故にこそ。私達に捨てていいものなどないのよ、Mr.ダンディ」

 

その答え、言葉を贈る。それに満足げに頷き、やがてモリアーティは閉幕の言葉を・・・

 

「麗しき少女達の勝利に心からの乾杯を!そして名探偵諸君!大いなる助力に心の底からクタバレ!と言っておこう!!次は絶対に指摘させてやらん!訴訟も弾劾もされぬ完全犯罪で出迎えてやろう!」

 

『お褒めに与り光栄だね、それでは。ふむ、やはり科学は素晴らしい』

 

 

ソーン・ダイク。科学を愛した名探偵。生真面目な紳士は、役目を終え消えていく

 

『それには賛同するよ。しかし君、私とキャラが被ってないか?ほら、同じ博士だろう』

 

思考機械。ヴァン・ドゥーゼンもまた、続く。彼もまた博士であり、論理の化身なのだ

 

『まったく被ってないから安心しろ。・・・フン、こんな悪どい老い耄れを担ぎ出すとはな。ありがとさんよ』

 

紐をいじくり、最後にほどきながら・・・紐の老人は、似合わぬ礼を告げ去っていった

 

『では、私も退去するとしよう。さようなら、皆さん。そしてモリアーティ。君のこれからに幸あらんことを』

 

最後の・・・丸顔の神父。ブラウンは告げ、また祈った。モリアーティの幸福、そして・・・幸運を。そう、これから彼には――次が待っているのだ

 

「王の注文は果たしましたが、マスターへの本気の殺害未遂に裏切り、カルデアスの敵対行為・・・裁定が楽しみね、Mr.ダンディ」

 

「――え。まさか?マジで?え、ホームズ倒した事でチャラとかダメなの?」

 

「私は許しますが、王は分かりません。皆への顔出しも控えています。どのツラを下げていくのか、考えておいてくださいね」

 

顔が死人のように蒼白となり、血の気が引き老け込むモリアーティ。すがるような視線をクールに流し、くすくすと笑う。・・・アイリーンから教えてもらった、年相応の笑い方。オルガマリーと共に戦った、大事な仲間の、ともだちの贈り物

 

「・・・リッカ君!!忘れないでほしい!また会ったときには、私に!私に優しくしてあげてネ!!此処の悪党と愉快なMr.ダンディは別人!別人だから!!」

 

「うん!次その顔見たら、ナインライブズ叩き込むからね!」

 

「いっかんッ――――!!!ホームズ!!お前を倒すために、私はこの世総ての財と悪を怒らせてしまったッ!!どうしてくれるのだ名探偵!オルガマリー君!お願い!この貧弱なアラフィフの弁護を・・・!」

 

「ライヘンバッハ」

 

「おのれ私の最高にして最悪の教え子め――!!!まぁいいや、また会おう藤丸リッカにカルデアの諸君!!アディオス・アミーゴ!!いやホントお願いしま――」

 

モリアーティ、無慈悲な消滅。命乞いに耳を貸さず、オルガマリーは胸で十字架を切る。さらばモリアーティ。多分肉シートの運命が待っているのだろう。ライヘンバッハ滝バンジーは大盛況な筈だ。主にカルデア職員の間で

 

「さぁて!私達も帰りますか!痛快な物語、見せていただきましたぞリッカ殿!今の貴方はとても素敵に笑いますな!あの、傷や出血に気付かず牙を剥き出しながら笑っていたような貴女とは別人です!」

 

シェイクスピア、アンデルセンも退去となる。まぁシェイクスピアは座に、アンデルセンは楽園という天と地ほどの差があるスタジオだが

 

「アレを変えた編集と、いつか話をしたいものだ。・・・さて、俺も帰るとするか。エアコン暖房ふかふかベッドに俺の望むすべてと無期限〆切という最高の職場にて、ギルガシャナから貰ったファンレターを読み返すとしよう」

 

「え。何それ羨ましい。・・・・・・あの、そろそろ私もカルデアに・・・」

 

「諦めろ。貴様の言葉紡ぎは絶対に受けん。恨むならその面倒な性質と性格を恨むんだな!正直な話、この物語も文字に起こすにはあまりに文が多く壮大だったのだから尚更だ!×の整理券を空しく眺めるがいい!」

 

「ひ、ひ、卑怯もの――!!!」

 

騒がしく、シェイクスピアとアンデルセンは退去する。オルガマリーも、静かに覚悟を決めながら。だってアンデルセン凄く睨んでたし・・・

 

「・・・さて。リッカの無事も確認した。俺もまた、カルデアに帰還するとしよう」

 

「ありがとう!アヴェンジャー!やっぱりアヴェンジャーは、マスターの為に戦う素敵なクラスだね!」

 

「それはアヴェンジャーの定義ではない。――オレが戦う理由は、いつでもお前の為だ。藤丸龍華」

 

「!」

 

それは当然の事。共犯者として、共に脱獄した相棒として。――リッカが告げた、『私のもの』という誓いのもとに。彼は駆け抜け、炎を燃やすのだ

 

「――いつでもオレを呼べ、マスター。何者が待ち受けようと、理不尽な応報であろうとも。オレはお前を、恩讐の彼方へと導こう。・・・オレはお前の生き方を何よりも尊いと信じ、愛する者の一人だ」

 

「――アヴェンジャー・・・ありがとうね・・・」

 

「其処のジャンヌ・ダルクも同じだろう!お前がお前で在る限り!我等はお前のモノだ!いつでも呼ぶがいい!!誰よりも速く馳せ参じよう!!クハハハハハハハハッ!!!」

 

高速の炎となり、エドモン・・・アヴェンジャーは駆け抜けていく。その様を、リッカは頼もしげに、万感の思いで見つめ、手を振り見送る

 

「依頼は果たしたぞ、アイリーン。・・・いや、オルガマリー・アニムスフィア。・・・これでお役御免だな」

 

ツカツカと歩み、現れるエミヤ・オルタ。静かに頷き、退去を開始させる

 

「お疲れ様でした。報酬は、確かに受理します」

 

「あぁ。・・・カルデアのマスターか。オレは単なる雇われだ。サーヴァントとしてではなく、傭兵だよ。・・・また、いずれ会うだろうな」

 

「・・・なんで【腐ってる】の?」

 

「――末恐ろしいにも程がある。・・・アンタとは絶対に、真正面から戦わないと今決めたよ」

 

真理を衝かれ、疎ましげに嗤う鉄心。それだけを告げ――エミヤ・オルタは仕事を終え・・・

 

「あぁ、騎士王から伝言だ。『別れは言わん。また会おう』と・・・キュイラッシェ・オルタで去っていったよ」

 

それだけを最後に告げ。エミヤ・オルタ。無銘の執行者は舞台を静かに降りていった

 

「――さて、私も帰りましょうか。やることはやったしね。モリアーティ、ホームズ・・・共に敗北させるという目的は無事達成。あなたのお陰よ。リッカ」

 

自主的に退去するオルガマリー。帰るのは勿論カルデアだ。アイリーンの力でレイシフトが可能になったとはいえ・・・もう此処に用はないのだから

 

「最高にカッコよかったよ、オルガマリー!・・・もしかして、また一緒にレイシフトできる!?」

 

「無理だししないわ。アイリーンさんが召喚に応じてくれる保証はないし、私のレイシフト経験は冬木と此処だけ。邪魔にしかならない。・・・何時ものように、あなたの活躍を陰からサポートするわ」

 

それがベスト。所長は戦わない。・・・何処かの司令、最強戦力ならともかく。自分のベストは後方からのあんや・・・支援なのだから

 

『はい!レイシフト準備できました!先輩とじゃんぬさんも・・・』

 

「――ごめんね、マシュ」

 

パチン、と一時的に通信を切る。退去の時間の僅かな間、妨害電波を発射し

 

「覚えてる?『銃身の先に布を括っておいた』・・・あなたたちだけの時間よ。御褒美、・・・に。なれば幸いだわ。それじゃ、またね」

 

ウィンクを行い、オルガマリーは悪性の新宿より退去し、凱旋する。・・・最初から最後まで。彼女は奮闘していたのだ。カルデアを・・・勝利者とするために

 

波乱の大騒動の役者たちはみな消え失せ、じゃんぬ、そして・・・リッカだけが。バレルタワーに残される。そして、彼女の最後の言葉に顔を見合わせ首を傾げていると・・・

 

「・・・?、あれっ?」

 

中央に浮かんでいたモニュメント、蝶のオブジェクトが形を変える。その形は、かつてリッカが楽しみにし、そして遂には纏うことが叶わなかったもの。パーティにて夢見た望みのもの・・・

 

「ドレスだ・・・!!わ、オルガマリー、ひょっとしてこれを最初から・・・?」

 

それは、アイリーンが協力し仕込んでいた、リッカへの御褒美。聖杯の願望を叶える器としての力を使い用意したリッカだけの、この新宿だけのドレス

 

「――うん、解ったよオルガマリー。そういう・・・そういう事なんだね・・・!」

 

「あの所長、何から何まで気を遣いすぎじゃないかしら?大丈夫よね、倒れたりしないわよね」

 

感謝、心配をしながら、リッカはおもむろに着替える。コートを脱ぎ、服を着替え、やがて・・・その鍛え抜かれた身体を戦装束ではなく、白き、可憐なドレスにて彩る

 

「ん、・・・パーティじゃ踊れなかったから・・・ね?」

 

らしくない、でも憧れの・・・華やかな衣装。じゃんぬ以外に誰も見るものはいない、ここだけの藤丸リッカとなり、じゃんぬに手を差し出す

 

「・・・えぇ。本当は私から誘うつもりだったのですが。・・・喜んで。新宿を乗り越えた貴女への、最後の締め括りと感謝を込めて」

 

魔力で編んだ武装を解除し、ドレス姿となるじゃんぬ。照れながらも静かに。リッカの手を取る。この新宿の、二人だけの。最後の――

 

 

「踊ろっか、私のじゃんぬ。カルデアに帰る、ちょっとの間」

 

「喜んで、私のリッカ。こうして貴女と共に過ごせる奇跡に、私は感謝を込めて踊りましょう」

 

 

 

――新宿の、悪性を巡りし大事件。それらを飾る、最後の一幕。カーテンコールが降りるまでの、ほんの僅かな追加公演。観客の誰もが席を立った後に踊る、ひねくれものの魔女と、照れ屋な龍

 

その躍りは不格好で、二人のぴったりの呼吸でなんとか踊りの形を成している、非常にぎこちないもの。それは、見世物としてはとても満足させるに足りないもの

 

でも、それでいい。互いにとって、それは互いに捧ぐ二人だけの一時。二人の表情は楽しげで、満足げで、輝くような笑顔と微笑みを浮かべている

 

不細工で、不器用で。それでも絶対に忘れられない、最後の一時

 

時間も、何もかもを気にせず。踊りながら振り返る、様々な新宿の出来事

 

レイシフトが始まるまで。消滅が終わるまでの、どんな記録にも残らない・・・最後の一幕

 

――一足先にじゃんぬが帰還を果たし、踊っていたリッカがただ一人、目を閉じた瞬間を以て――

 

 

・・・この新宿の歌劇は。確かなるエンドマークを打ち込まれ。幕を静かに下ろすのであった――

 




アルトリア・オルタ「・・・では、ねぐらの警備と防備。ご苦労だった、カヴァス二世」

カヴァス「・・・」

「貴様はこれで、自由を得た。次なる場所には話を付けておいた。・・・元気でやるがいい。貴様は私が認めた騎士だ。かの場所であろうとも不足はあり得まい」

「・・・ワン!」

「・・・私の事はいい。振り返るな。真っ直ぐ走れ。己の新たな新天地にたどり着くまで」

「ワン、ワン!」

「・・・私は行かなくてはならない。さぁ、――行きなさい」

「・・・ウゥ」

「・・・行け!」

「ワン!ワン、ワン!」


「――・・・・・・さらばだ、カヴァス二世。御機嫌王・・・ヤツを、頼む。私が認めた、かの誇り高き犬をな――」


「ワン!ワン!ワォーーーン!!」


・・・そして、全てが流れ去り。魔獣も、雀蜂も、コロラトゥーラも。忘れ去られ、此処は元の新宿へと戻っていく

だが・・・それでも。残り、継がれ、託される魂は此処に


「ワォォオーーーン!!!」

その触れ合いが、幻でなかったことを告げるように


・・・――誇り高き猟犬は。生命の限りに吠えたのだ――

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