人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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イラストに続き、なんと支援漫画も描いていただけました!本当にありがとうございます!!

詳しくは、活動報告にて!


楽園カルデア

『年賀状』

──年賀状・・・?カルデア以外から・・・?

『とうとい』

──これは・・・

『黄昏の女神 マルグリッド・ブルイユ』

──!?

《ほう、随分と大物から文が届いたではないか。類は友を呼ぶ、は強ち的外れでは無いと言うことか》

──女神が年賀状とは・・・親しみやすさを大事にしてくださったのでしょうか・・・

《む。どうやらそれだけでは無いようだ。付属の便箋を開けてみよ》

──は、はい。・・・!?

『twilight ライブS席チケット』

──女神が・・・ライブ・・・!?


神座武道館

黄昏のボーカリスト「皆ー!ボーカルユニット『twilight&ヤ☆ツ☆カ☆ハ☆ギ☆→ツァラトゥストラ』のライブに来てくれてありがとう!今日は沢山沢山、楽しんでいってねー!じゃあ行くよー!マリィ~!」

『『『『『ブリーカーッ!!』』』』』 

──女神がライブで歌うなんて・・・世界を隔てたら、神様の在り方はこんなにも違うのですね・・・

《動員数最大1億、チケットは光速で完売にして予約は数万年待ち。王と姫が脚を運ぶに相応しき人気を誇る催しではないか》

「24時間、後悔はさせないから!じゃあ早速opening!『アインザッツ』!サイリウムは黄昏色で、よろしくぅ!」

『『『『『ツァラトゥストラー!!』』』』』

──凄い熱気ですね・・・!

《フッ・・・暫し楽しんでいくが良い。我は構わぬ。神は気に食わぬが、お前に免じて容認しよう》

──はい!わっ!?

『タオル』

──会場から・・・

『happynewyear!』

「(ウィンク)」

──マリィ様・・・!ありがとうございます!

「よーし!行くよー!!」

・・・──王と姫は、一日ライブイベントで熱狂と抱擁を存分に堪能することとなった

サイリウムを振り、声を上げ、テンションの上がりすぎたボーカルがギターを叩き壊しマイクを客席に放り投げるというパフォーマンスも見せ(勿論王が回収した)三が日の最終日を飾るに相応しい盛り上がりを見せ、神格ライブは幕を下ろした

──フォウにも、見せてあげたかったなぁ・・・

一方、ライブが行われた同時刻──


おいでよ!はつもうでの獣

「はーい!全員集まったねー!じゃ、改めて!明けましておめでとうございまーす!今年もいい感じに、愛を振りかざして今の平穏に牙を剥きつつ頑張ってまいりましょー!よろしくお願いいたしまーす!」

 

「はい、よろしくお願いいたしますソワカソワカ♥愛に関しては私達に勝る集団はおりません、これより先も、末永くよろしくソワカなさって参りましょう?我等のあつまりとは、そのようなものです。言わば、私達は愛の集い・・・崇高な人類の産み出させし清らかな存在なのですから♥」

 

「鏡見てからほざけよ・・・ヘドロ女に誰かがいなきゃまともに快楽も得られないヒルみたいな女が愛を騙るとか嗤わせんなってば・・・」

 

新年を跨いでこのビースト連盟にほとんど強制的に招集されたフォウ──人類愛プレシャス・ガーディアン。比較の理と虚栄心から脱却し、尊重を是とする比類無き至尊の理に辿り着いた彼からしてみれば二人の宣うことはおぞましいモノにしか映らず、かといって同じ穴のムジナであることも否定できぬため悪態をつきながら付き合うことにしたのだが、実際に顔を合わせてみれば一ミリもぶれないある意味感動すら覚える同類二人組に頭を抱えもう即座に帰りたいという意識が湧いてくる。ティアマトの頭で嘆きに嘆く小動物。それを心配し、同じく生命を見守る母となった人類愛、ティアマトは痛ましげに目を閉じる。心から愛しながら、それが人類の自滅機構となってしまう獣の在り方を、痛ましくそれでいて生半可に変えられないと理解しているがゆえに哀しむのだ。彼女等もいつか、大切なモノを得て欲しいと願うしかできない自分自身に不甲斐なさを覚えながらも、彼女がなんとか場を取り持つ

 

「マナカ、キアラ。フォウ共々、よろしくお願いいたします。それで、今日は如何なる要件で・・・」

 

「ん?決まってるでしょー!初詣よ初詣!この一年を愛で満たせるように、或いは愛しのあの王子様とのゴールインを成就するために!神様に祈るの!まぁ別に神様なんて誰でも同じだろうし何でもいいんだけど、溺れるものは藁をも掴むって言うじゃない?愛する乙女は、なんだってしたい御年頃なの!」

 

「殊勝な心掛けだな。そのまま深淵で溺れ死ね」

 

「そんな訳で行こうよ先輩!キアラにお勧めの場所は教えてもらってるから!ほらほら、抱きしめてぎゅっとしてあげるから!」

 

「いらないよそんな泥あそ・・・ウォェエェ臭い!くせぇ!!離せ離してくれェ!ファブリーズ!ファブリーズしてくれぇ!!」

 

清らかな柔らかさでも、痛くないように慈しみを以てぎゅっとする尊重の抱擁でもない、玩具や所有物を持つような、それでいて相手を全く考慮しない全霊の抱擁に、体を潰されるほどに圧迫されながらフォウが叫ぶ。何より耐えられないのがその魂だ。泥が詰まったヒトガタの汚物にしか見えず感情しか美しくない女に抱きしめられるという拷問と地獄の責め苦に、断末魔の絶叫をあげる

 

「私みたいな根源的美少女に抱きしめられるなんて、先輩ったらラブコメ主人公なんだから♪照れない照れない!さぁさレッツゴー!」

 

「マジ頭お花畑だなお前!!離せ、離せよぉ!エアから貰ったボクを汚すなァ!!」

 

「御神籤と初詣、何が引けるかな?私と王子様の関係、応援してね!」

 

「背中から貫かれろ!!とにかくいいから離してくれぇえぇ~!!!」

 

「ふふっ・・・あんなにはしゃいで。仲良しで微笑ましいものです♥ねぇ、ティアマト様?」

 

「そう、見えますか・・・?」

 

そんなワイワイ騒ぎ境内に突撃していく二人を慈しみながら見守るキアラに、後で入念に身体を洗ってあげようと静かに誓うティアマト。ゆっくりと二人の後を追い、新年の挨拶を執り行いに何処かの時空の何処かの神社へと侵入し初詣へと向かう──

 

 

きあらしね まなかくたばれ けものかな

 

 

「ここは神座万象神社。ラスボスも主人公関係なく御利益を貰える宇宙で最も平等な神社なんだって。私たちみたいなラスボス属性にも優しい素敵な場所なんだよ先輩!」

 

「なんだよそのコズミック神社・・・いいから離してくれよ頼むよぉ・・・ボクはエアと一緒に年始の穏やかな時間を過ごしたいんだよぉ・・・」

 

啜り泣くフォウを全く顧みず、その虹色と漆黒の二色に煌めく境内を歩いていく四体の獣。造りはすさまじく豪奢であり、他の時空より御詣りにきたであろう様々な時空の神、巨悪がラフな格好でのんびりと過ごしている。そのどれもが世界に秩序と平和をもたらした勇者であり英雄であり、世界に滅亡と闘争をもたらした悪魔であり魔王である。最低でもこの場の敷居を跨ぐことが出来るのは世界を滅ぼすか救うかを為し遂げる事が出来るもののみであるが故に、大量の大物ばかりが集っているのだ

 

「ここの御神籤は凄い当たるんだって!ほらほら先輩、愛しのエアちゃんの運勢を占ってみれば?私は王子様との運勢を占っちゃうから!」

 

「オメーなんかがエアをエアって呼ぶなぁ!真名を許可なく呼んだら斬首だぞ斬首!!」

 

「あ、それもそっか。じゃあレメゲトンって呼んでいい?」

 

「う、うぅん・・・ゲーティアがくれた名前なら確かに、同類が呼ぶのはいいか・・・」

 

「はぁい!じゃあレッツゴー!大吉大吉目指せ大吉!レッツゴー!」

 

駆け抜けていく二人を、ゆっくりと追いかける二人。ティアマトは歩く間にカラスに糞を引っかけられ、つまづいて転び、財布をすられ涙目になったりと散々な目に遭い続けている。キアラはそんな様子を慈愛の表情で見つめながらもなにもしないで楽しんでいる

 

「まあ、ティアマト様。厄払いをなさった方がよろしいのでは?」

 

「あ、ありがとう・・・でも御心配なく・・・私の幸運はEXなのです。・・・恐らく、下限の方ですが・・・」

 

「まぁ、そんなおもしろ、こほん。痛ましい事に・・・?」

 

「あ、でも私は幸せです。息子や、境遇を同じくする大切な友達が出来ましたから・・・」

 

「はい、私も同じ気持ちですよ。仲良くなさいましょう?ティアマト様?」

 

(・・・ふぉ、フォウの事であり、転生仲間という意味なのは伏せておきましょう・・・マナカやキアラも同じ仲間ですし・・・)

 

二人はそのまま、御神籤を引きに向かう。ナスキノ御神籤にタケウチ絵馬。タイプムーンキャラクターのみが引けるその御神籤にかかりきり、四人は様々な結果に一喜一憂することとなる

 

(ボクの幸せなんてどうでもいい、エア・・・キミの為に祈り願うことを赦しておくれ。キミのお陰でこうなれたボクにとって、願うもの欲しいものはたった一つしかないんだ)

 

『大吉 想い人の身、健やかに在る』

 

「やったぁ!!やったよエア!これでキミの一年が少しでも、安泰で愉快な日々になりますように!」

 

「へー、先輩がっちりベストマッチって感じ~。よーし!私も続こー!」

 

「いいか、自分本位は止めろよ。相手を少しは考えてだな。尊重だぞ尊重」

 

(王子様王子様王子様王子様王子様王子様王子様王子様王子様愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してるずっと一緒一緒一緒一緒離さない離さない離さない離さない離さない離さない離さない離さない愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる)

 

『大凶 想い人 危機に晒されり』

 

「なんでぇ!?こんなに想ってるのにぃ!?」

 

「少しは他人や周りを考えろって言ってるんだよヘドロ女ァ!!」

 

「こんな結果認めない、認めないから!大吉が出るまで私はやってみせる!恋する女の子は無敵なんだから!!二大神!成果を潰されたく無いなら私に大吉を!!」

 

「御神籤ってそういうもんじゃないから!!諦め──るのは無理か!身の程を知れよ敗北者ァ!!どう考えてもお前はカリバーで蒸発する未来しか有り得ないんだからさぁ!!」

 

じたばたし騒ぎに騒ぐ中、隣で静かに御神籤に勤しむ二人もあり。四者四様の体を示す

 

「・・・棒が出てきません・・・」

 

「覗いてみたら如何でしょう?」

 

「・・・あうっ!目に刺さりました・・・」

 

「ふふ、ソワカソワカ・・・はい、貰っておきましたよ」

 

その紙に書いていた結果は、ティアマトが『末吉 子は独り立つ』であり、キアラが『吉 志に揺るぎなし』であった

 

「やりましたね、キアラ。二人とも吉で、良かった」

 

「あら、ティアマト様は末でも喜ばしいと?」

 

「吉であるなら、それは素晴らしいこと。こうして穏やかに過ごせている事が私の願いにして望み。・・・他に望むことなど無い私の今が吉であるなら・・・それは喜ばしいのです」

 

「まぁ、まさに仏教で唯一清廉清らかとされる母子の愛。私、感服いたしましたわ。私はひたすらに人間の幸福を願うのみ。人がいつまでも、幸せに在るようにと願うばかりですもの」

 

(・・・貴女にとっての人とは・・・)

 

そんな賑やかで愉快な御神籤の結果を、マナカは木に結び、フォウは大切にポーチに入れ、ティアマトは取り込み、キアラは胸に挟む。初詣の為に本殿前に向かうなか、フォウはマナカに告げる

 

「あ、待てマナカ。もっかい引いてくれ」

 

「もっかい?いいけど、誰の?」

 

「此処にはいない、もう現れるかも解らない誰かだよ。纏めて占ってやろうじゃないか」

 

『大吉 遺志は必ずや遥か未来へと紡がれる』

 

「──良かったね。討伐された君達の道筋と答えは、けして間違いなんかじゃ無かったようだ」

 

その結果に、一人満足したフォウはそれをもポーチにしまい、スタタタと駆け抜けていくのであったとさ。マナカ達もまた、それぞれの歩幅でフォウの後を追い、神社の敷地を駆け抜けていく

 

獣達の願う未来はまさに様々で、それでいて等しく清らかなものである事に変わりはない。元々人類悪とは人類愛。未来を良くしたいと考える愛なくば、獣には成り得ない。崇高な決意と願いという点で、彼等は繋がっている。だからこそ──表面上では険悪であろうとも、他者の理を心から拒絶、否定することだけはしない。そういった理解と了解の上で、彼等は成り立ち、共に行動している。故にこそ──

 

「さぁ皆、二礼二拍一礼で、きちんとお願いしてね!」

 

「はい、パコパコ、パンパン、キュッと♥」

 

「耳が腐る淫音止めてくんねーかな」

 

「まぁまぁ、・・・祈りましょう。静かに、しめやかに」

 

四人が揃い、一堂にそれぞれの愛を願う。世界に告げる、自らの愛と願いを永遠に忘れぬように

 

(キミの愛する世界が、善き輝きで満たされていますように。何者にも比べられない輝きが、永遠に不変でありますように。この世の何をおいても並び立たない無二のキミが、世界の果てにまで絶える事なく在り続けられますように。愛しているよ、エア。キミの総てを。人生を、幸せを、共にいられる日々を。ボクの願いなんてずっとそれしか有り得ない。至尊のキミよ、どうかいつまでも笑顔のままで。願うなら、あの笑ってばかりの王様と添い遂げるという想いと愉悦が成就するその日まで。傍にいさせてほしいな──)

 

ただひたすらに、自らを変えてくれた、自らに尊き総てをくれたただ一人の存在への愛を貫き、願う獣。邪念や雑念など微塵も混ざらず、ひたすらに清純な想いを懐くフォウ

 

(子供たちよ、どうか健やかに、穏やかに。緩やかでもいい、確かな足取りで未来に進んでください。あなた達にはもう庇護など必要ない。成長し、訣別し、独り立ちを為し遂げたのですから。その身には、進める未来と選べる自由がある。──ずっとずっと見ています。私を愛さなくてもいい。帰ってくる必要など無い。ただ、一人の母として、ずっとずっと見守っています。だから・・・どうか忘れないで。人間(あなた)たちの生命は、これから。始まったばかりなのですから──)

 

回帰を脱し、訣別を選んだ子供たちに、心から祝福を贈る獣。最早母の庇護など必要ないと知りながらも、子をひたすらに愛する願いと想いを告げるティアマト

 

(王子様、大好き!愛してる!貴方のカッコいい笑顔、カッコいい姿、カッコいい全て!全部全部私のもの!あなたが活躍しないなんてあり得ない、あなたが滅びるなんて認めない。そんなのは間違ってる。あなたを否定する世界が間違ってるの。大丈夫、私に任せて。ブリテンは滅びない。私が必ず過去を変え、未来を素敵なものにしてみせる。この世の総てを滅ぼしてでも。絶対に貴方を笑顔にしてみせる。あなたが輝かない人類史なんていらないの。私はあなたがいればいいの。私がこんなにも想っているのだもの。貴方もそう思ってくれるわよね。きっと、君は素敵だよって言ってくれるわよね。アーサー。私の王子様・・・)

 

純真な恋心と恋慕の総てを、今ある世界へと向けるエネルギーとする決意を決める獣。ビースト見習い、マナカ

 

(衆生の総てを救いましょう。悩める生命を招きましょう。この世に人は我一人。この世に在るは我一つ。衆生無常、天上解脱を心待ちに。・・・あぁ、でも。英雄姫たる者に触れた私の顛末はとても気になります。獣ではなく聖者として目覚めた私の行く先は・・・どうなるのでしょうか?うふふっ、それもまた・・・愉しみです♥)

 

変わらぬ請願、そして芽生えた興味。愛欲を掲げ、人を救わんとする獣。そして、『救われた』自らの未来を心待ちにするキアラ

 

四者四様の初詣は終わりを告げ、彼等は歩き出す。その理を再確認し、御互いの一年を想いながら

 

「はーい!じゃあ次はアーネンエルベで合コンねー!別世界のビーストと対話しよー!」

 

「え、なんですかそれは聞いてないのですが・・・」

 

「ふふっ♥楽しみましょう?♥お持ち帰りされるか、するか。楽しみです♥」

 

「よりにもよって本格的な交流がボク達かよぉ・・・向こうの世界は確かに生半可な存在が立ち入れない世界だけどさぁ・・・」

 

「聞けば向こうは渇望、想いの強さがモノを言うとか。それならば私にお任せを♥如何なる存在であろうと快楽中枢を持つならば一切が等しく私の玩具・・・天上解脱、させてしまいましょうや♥」

 

「わぁ!始めてお前が頼もしく思えたぁ!」

 

「私もやるよー!全能だし!私全能だし!タイプムーンを代表する美少女として、ハイパーインフレ世界に殴り込んじゃう!」

 

「私は・・・命であるなら子供ですから、争いたくないです・・・死は未来に繋ぐ儀式とエアが教えてくれたけど、それでも・・・」

 

なんだかんだで仲良しなようで、険悪なようで仲良しなのかもしれない四人は、肩を並べて語り合う

 

・・・そんな中、獣の一人は、とある幻を垣間見る

 

【・・・】

 

「おや、どうしたんだい?君、お父さんやお母さんは?」

 

【いない。・・・どこに行っていいか、わからない】

 

「・・・そうだな。じゃあ・・・此処を出て、真っ直ぐ南に向かってごらん」

 

【南に?】

 

「あぁ。果てへ、果てへ。すると、きっと在る筈さ。君が君でいられる場所が。今も君が君でいられている場所が、きっとね」

 

【・・・解った。ありがとう】

 

「──きみ、名前は?」

 

【私は──】

 

「せんぱーい!なにしてるのー!行くよー!」

 

「解ってるよ!・・・」

 

其処にもう無い、少女の姿を見て。消え去った彼女の有り得ぬ残滓を感じ、空を見上げる

 

「・・・君も立派な、人類修復の立役者なんだよ。忘れないでくれ。今も君は龍として、彼女とずっと共にいる」

 

その言葉を送り──

 

「これからも、よろしくね。──ビーストIF・アジ・ダハーカ」

 

自らのいるべき場所へ、フォウもまた走り出す──

 

 




喫茶店・アーネンエルベ

ラインハルト「と言うわけで、此度は再会に応じ光栄の至り。ネットでは黄金の獣トム・クノレーズと名乗っていたが改めて名乗ろう。ラインハルト・ハイドリヒ。異なる世界の獣たちよ、よろしくお願いする」

「同じく水銀の蛇先割れスプーン改め、カールクラフト=メルクリウス。どうか有意義な時間にしようではありませんか四人方。特に其処のシンパシーを感じる虹の犬よ」

「誰が犬だ。フォウだ、よろしく」

「マナカでーす!愛なら負けないから!仲良くしてね!」

「殺生院キアラ。まぁ、二人ともなんと雄々しき方々。私、奮い昂ってしまいますわ、はしたない・・・」

「ティ、ティアマトです・・・生命の母で、その」

「ふむ。卿は死を忌避しているようだ。心配はない。我がグラズヘイムに来たまえ。皆が笑顔120%で頑張っているとも」

「ひっ!?」

「ははは、獣殿。怖がらせてはいけませんよ。その節は誠にお疲れ様でした。いやはやそちらはスケールが非常に大きくてよろしい事だ。私も是非大冒険をしてみたいとは思うのだが中々に機会が無く」

「まぁ、それでは悶々が溜まっておられるのでは?そんなあなた方にはこちらを贈り物として・・・」

(え?いつのまに?キアラの奴いつのまに?)

「ほう・・・礼節を深く弁えているとは。先手を取られ」

『快楽天○○○、○○○○』

「男女ともに使える玩具です♥私の身体と経験を参考に致しましたので、是非──」

(何渡してんだおまぇえぇえぇぇぇ!!!!)

(ブルブル震えていますね、あれはいったい・・・)

(ティアマト!知らなくていい!知らなくていいから!!)

「ほう・・・」

「ふむ、これは・・・未知ポイントが大分高いですな・・・銀河クラスのテクノブレイク、テラニーしたい貴方にとは・・・」

(マジマジと見てるー!!絵面が酷い・・・ッ!!)

「素敵な金髪の方!それ部下に使わせてみたら?お山の大将って言うのよねあなた!」

「手厳しいな、全能の少女。だが名案を提示する。善き拷問に使えるか修行となるか、試すとしよう」

「息子に贈ろう。性欲を失った神格の在り方に改革を起こせるやもしれませんからな」

「まぁ・・・神格は性欲を・・・?こうしてはおりません、そちらに愛と欲の定義を広めなくては」

「永遠の刹那の胃をブッ壊すの止めたげてよぉ!」

そうして、獣達は語り合い──

「我が愛は破壊の情。愛する故にこそまずは壊す。そうして始めて形が解る。どだいそれしか出来ぬつまらぬ男だ。破壊、博愛、一から十まで他者がおらねば何も出来ぬ者なのだ、私は」

「それは悲観と言うものですわラインハルト様。愛を示す、愛を謳う。他者を愛することに何の呵責や負い目が在りましょうや。私、あなたの在り方にとても興味を抱きます。・・・それは、私にも?」

「卿がそれを望むなら。卿の自己を人と認め総てを喰らう覇道の愛・・・全霊を以て(あい)して見せよう」

「まぁ・・・♥♥♥」

(ガクガクブルブル)

「そう怖がらなくてもよいのだ、原初の母。卿もまた・・・愛されるべき存在なのだよ」

「ひぃいぃぃ・・・」

「フォウ氏、その旅路には未知が溢れており素晴らしき歌劇だと手放しで称賛せざるを得ない。旅路を見続け女神がいつまでもニコニコしていた事からもそれは明らかであるとも。と言うわけで語り合おう。女神、姫、それらがどのような形で触れ合えば未知が産まれるか。早速流れ出し──」

「二人が座って砂浜の星を仲良く数える」

「──未知ッ・・・・・・」

「二人が制服で仲良く登校」

「未知ッ──!?」

「仲良くなった二人でコズミック旅行」

「未知・・・未知すぎる・・・至高天は此処にあった──」

「突き抜ける青空、白い雲。頬を撫でる風に緑色の草原。大きな大木に身を預け、互いに身を寄せあって眠る二人」

「──────尊い・・・・・・未知と尊さは・・・・・・彼女達の為に・・・・・・ッ」

「そんな世界を見せてあげたいよね」
「フォウ、我が同志よ。この出逢いに祝福を」

((握手))

「ねぇねぇ、座を握れば世界を塗り替えられるって本当!?じゃあ私、欲しい!王子様との世界を作りたいの!譲って?」

「よし変態、まずはアイツを排除しよう」

「異論?ありませんな」

「待ってください、待ってください・・・クロスオーバーは仲良く・・・」

「自主製作の制服のデザインなども考えなくては・・・女神にスリーサイズを聞き及んでおくべきですな」

「エアは・・・ギルに頼も」

楽しく愉快に時間を過ごし──

「閉店か。よき語らいだった。グラズヘイムはいつでも開かれている。愛を知りたければいつでも門を開きたまえ」

「今日はありがとうございました♥」

「いつか座に殴り込むからよろしく!」

「よろしい、跡形もなく消し去りましょう。フォウ氏、これよりも美しさと尊さ・・・互いの望む感情を求めましょう。白金の姫は任せましたよ」

「そっちこそ。女神の治世を護りきれよな」

「それでは、皆様で御一緒に」


「「「「「「合コンは終わりだ(アクタ・エスト・ファーブラ)!」」」」」」

笑顔のまま、獣の会合は幕を閉じた──

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