人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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──38568428階層の整頓完了、次は射出口に装填する際の選別と分別。日用品、生産品、武具の区別を重点的に・・・

(あ、エア。天命の粘土板の場所も忘れちゃダメだよ?)

──勿論!しっかり整頓して、きっちり活用出来るようにしないとね!平時だからこそ準備は徹底的に。敗北は愚か、王に傷一つつけることの無いような戦いを目指さなくちゃ!理想は・・・戦う前に勝つことと、相手になにもさせないで勝つ、だよね!

《ふはは、我の前に立つ輩に同情が湧くほどではないか。手抜かりとは無縁、射出精度も最上。ふむ──半年の人理修復の功績は伊達ではない、か》

(ふむ、何かまた褒美の一つも考えねば・・・む?)

『御機嫌王へ』

《・・・ん?》

『それはそれとして、マスターを危機に晒した事は良くないのできっちりけじめはつけましょう』

『激辛麻婆』

《・・・フ、絶妙に残せぬモノを選ぶのが貴様らしいなセイバー・・》

──整頓完了!王、次は各クラスの有効武装のパターン構築を考案し・・・

《ガ──────!!???》

──ギルーー!?

(ギルが死んだ!!)


幕間──箸休め
記念投稿・騎士は徒手にて死せず


長くより続いた、親御との確執。それを王の計らいで清算し、新たなる人生を禍根と憂いなく進むことが出来るようになったリッカは楽園へと無事帰還する。怨念まみれのマンションより抜け出、輝く楽園へと帰参を果たした彼女は、まず倒れるように眠ったのだ。今度こそもう、何にも害され、呪われることなき一つの魂としてまずは睡眠を楽しんだ。深夜にて行われた慟哭と嘆きの特異点。突破する事は出来たがそれは容易というものでは無かったのは自明の理。魂は穢れなかったものの、心身の疲労は確実に刻まれたが故に、じゃんぬを抱きしめて泥のように眠りこけたのである

 

 

「むにゃむにゃ・・・かぞく・・・」

 

此処には大切な家族がいる。心と絆で結ばれた皆がいる。そんな安心と確信がリッカを安眠へと導くのだ。大切で、かけがえの無い時間。眠りこけるような睡眠ですらいとおしい。隙を見せても誰も襲い掛かってこない・・・のは当たり前だが、そう確信できるほどの安心感がリッカの心身を癒し、励まし、穏やかな気持ちを満たしてくれる事実なのだ

 

此処にいる人達に恥じない、立派な自分になる。改めてそう感じ、そう決意したリッカがまず初め考えたことは──

 

(マシュとの時間も作ってあげようかな)

 

唯一無二の後輩。自分の始まりのパートナー。硬く自分を護ってくれた大切なメインサーヴァント。本人の前では言わないが、そんな大切な存在の一人。肝心な時にいなかったり眠ってたりするズレた後輩ではあるが、その直向きさと素直さは先輩として評価が高い、侮れない後輩力とヒロイン力を持っていると言えるだろう。カルデアの皆に『どっちがヒロインっぽい?』などと聞いたら自分も含めた全員がマシュと答えるだろう。悔しいが純然たる事実なのでスルーするしかない。そんなマシュと・・・今年は過ごす時間を増やしてあげたいな、と思う。去年は最前線で戦ってばかりだったし、向いてもいない戦闘で疲れているかもしれない。ここらで先輩風をビュービューふかし、マシュを労ってあげるのも自分の勤めなんじゃないかな?と自己完結し、睡眠から跳ね起きる。丁度六時半だ、丁度いい

 

「あ、もしもしマシュ?起きてた?起きてるよね?」

 

通信ウィンドウを展開し髪を束ねる。いつもの服装ではない、寝間着だったので髪型くらいしか整える場所が無かったのが要因だ。そして同時に伝えることを伝えるリッカ。やけに嬉しそうなマシュであったが突っ込むと長くなるのでスルーする

 

『おはようございます先輩!今私はランスロットさんの御店の棚卸しを行っております!そんな働き者の後輩に何か御用でしょうか?』

 

「女子力修行の一環で思い付きピクニックに行くことにしました。三時間後に設定するから後輩は速やかに来るように。拒否は自由意思で──」

 

『行きます!!絶対に行きます!こんな朝方から後輩たる私に声を真っ先にかけるなんてやはりこれは私がNo.1サーヴァントであるという証明なのではないでしょうか!?』

 

「別に?自惚れるな後輩、私好みの抱き心地になるまで出直してきなさい」

 

『ぐぬぬ・・・と、兎に角ピクニックは賛成です!行きます!絶対に行きますから待っていてくださいね!』

 

ちょろいちょろい、ぱたぱたと振る尻尾が見えるようだ。この後輩は口ではイケイケでアピールしてくるがこのリッカの目は誤魔化せない。どこまでも彼女は受けなのである。攻めるのはいいが詰めが甘く逆転で攻め込まれて陥落するタイプなのである。断るなどとは選択肢にあるまいよ。おおなすび、先輩は心配です。そんなちょろっちょろな後輩で詐欺に遭わないかとても先輩は心配なのだ。守護らねば、守護らねばならぬ・・・

 

「そういうと思った。じゃあまた後でねマシュ。御弁当は各自持参で~」

 

『分かりました!待っていてくださいね!絶対に楽しい時間にしましょう!』

 

合意を引き出し、まずは、マシュと絆を再確認しようと決意したリッカが通信機を置いたとき・・・

 

『・・・え?ランスロットさん?自分も行く?敵からは自分が護るから、武器も拳も忘れて楽しんでほしい?──ら、ランスロットさん・・・!!あ、貴方は騎士の中の騎士・・・!!分かりました!よろしくお願いいたします!』

 

・・・そんな心暖まるやりとりが聴こえて来たのは、きっと気のせいだろうと、リッカはベッドに飛び込み、寝息を立てるネグリジェのじゃんぬに抱きつくのであった。二度寝に堕ちる、睡眠の為に。リッカはそんな日々を迎えられる自分の人生に、深く感謝を示すのでありましたとさ──

 

 

ほんわかな ひびがとうとい けものかな

 

 

 

「はい、確かに許可を受理しました。安全な場所とはいえ絶対はないもの。警戒する心は捨てず、それでも楽しい時間を御過ごしくださいね。いってらっしゃい、リッカちゃん」

 

英雄姫から許可を受理しその笑顔と優しさに浄化されながらやってきたピクニック。フランスの何処かにてシートを敷き、大地に座り空を見上げるピクニック。久し振りの小休止の自由時間を堪能するリッカが、横を見やる。鼻唄を歌いながら御弁当を用意するマシュと・・・大柄な鎧の戦士

 

「ランスロット、来てくれたんだね!流石円卓最強!」

 

【⬛⬛⬛⬛】

 

サムズアップにて答えるはランスロット。少女二人は自分が護る、安心してほしいと告げるかのようだ。この助力は超助かると言っていい。リッカもマシュもニッコリであった。後方の二人は、中々にそぐわぬ絵面に困惑を表しているが

 

『まぁ、ランスロットさんは話が通じる方だし問題はないかしら・・・?』

 

『話が通じるバーサーカーってそれはもうバーサーカーなのかどうかって哲学になっているんじゃないかな。まぁ理性を失っていて野蛮な騎士だとしても、実力は疑う余地もない。ボディーガードとしては最適だね!まぁ其処は安全だ、まぁそんな直ぐに敵襲なんかあるわけ──』

 

【⬛⬛⬛⬛⬛!!!!】

 

『うわぁ!?』

 

突如、準備をしていたランスロットが吼え猛る。その穏やかさは消え去り勇猛にして狂乱の眼光が真紅に光り、戦闘体勢を露にする。ロマンの心ない言葉に怒りを表した・・・のではない

 

「「「──!」」」

 

極上の御弁当につられてやってきたエネミー達に、誰よりも早く反応したのである。例え狂っていようとその強さに微塵も翳りはない。最強は如何なる場合でも最強なのである。だが、彼はバーサーカー。フォローなくば脆く危うい存在に変わりはない。此処は戦うべき局面だと即座に決断しマシュに指示を送る

 

「ピクニックの一環だから私達だけでケリをつけるよマシュ!迎撃用意!ランスロットを盾でカバーして!」

 

「了解しました!私に任せてくださ・・・あ、あれ?私の盾は・・・?」

 

「どったのマシュ!早くカルデア建築部の真価を見せないと!」

 

「しまった!御弁当の下敷きにしたままでした!?こ、こんな状況になるとは思いもよらず・・・!」

 

「何やってんだなすびぃいぃいぃい!!」

 

そんなわたわたした痛恨のミスを背中に受けながら、ガイコツエネミーに相対するランスロット。彼は責めない。だって自分も置いてきたのだから、アロンダイト。瀕死になった王に止めを刺しきれず魔力枯渇で逆転を許してしまうような剣などただでさえ魔力を喰らうバーサーカーの自分には割りとどうなの?と熟慮した結果である。かといって武装の類いはピクニックには不要と置いてきたランスロット。丸腰である。エネミーは構わず襲い掛かる。ならばどうするか?──この程度、危機ですらない。何故ならば・・・武器はすでに持っている

 

【⬛⬛⬛⬛⬛!!!!】

 

振るわれる剣を、間一髪で受け止める。右手には既に握られている。【騎士は徒手にて死せず】。それにてDランク宝具と認識された──

 

『割り箸で!?』

 

『受け止めた、だと・・・!?』

 

「流石ランスロットさんです!」

 

「凄ェ!!」

 

ランスロットの逸話、丸腰の際に襲われた際、木の棒で相手を討ち果たし迎撃した逸話が昇華された宝具【騎士は徒手にて死せず】。それを得たランスロットが手にしたものは何であれDランク宝具となり、宝具を奪い取ったならばそのままのランクで掌握が可能となる。──宝具と化した割り箸は、剣にも匹敵する武器となるのだ!

 

割り箸で剣と打ち合う変態剣士ランスロット。その絶妙な箸捌きはチョップスティックナイトなる称号を与えられるべき業の冴え。あらゆる剣を掴み取る詫びさびの騎士として語り継がれるべき姿ではあったが・・・強度は如何ともし難く、限界は近かった。箸にヒビが入る。すぐに武装を交換しなくては不味い!

 

「ランスロットが力を発揮するには・・・武器がいるのか!」

 

『今更かい!?』

 

「無いの!?武器は無いの!?」

 

慌てて辺りを見渡すリッカ。この状況を打開する武器を求め武器を欲する。ランスロットに力を与えなくてはピクニックが台無しになってしまう!今日ばかりは拳も脚も封印してピクニックしたい!そう考えて武器を探していたその時・・・!

 

「ありました先輩!!丸太です!!

 

「でかした!!」

 

最強汎用兵器『丸太』。斬り、打ち、払い、突き、あらゆる局面に対応できる持ち運びもアロンダイトや薙刀に比べ容易な対吸血鬼に有効なアルテマウェポン。こんな場所に自生していたとは超助かる!リッカはマシュを称賛し、素早く丸太を片手で持ち上げ──

 

「ウラァ!!ランスロット!あったよ丸太が!!」

 

【⬛⬛⬛⬛!!!】

 

丸太に触れたランスロットの動きが見違えるほどとなる。薙ぎ払い打ち払い叩き込み切り裂く。あらゆるムーブに対応する最強兵器を手に入れたランスロットに、最早エネミーなどものの数ではない。飛び道具にも使える遠近両用武装が、円卓最強の技術で振るわれる。その様は嵐のようだ。実際竜巻が発生するほどに凄まじい。凄ェ

 

 

『アロンダイトは丸太に比べ持ち運びにくい・・・丸太が自生していて助かったわね』

 

『丸太が!?自生!?』

 

『知らないのロマニ?日本領海、太平洋に浮かぶ数百万平方㎞の小さな島、彼岸島には日本刀や丸太が自生していて野生の豚肉なども見受けられるのよ』

 

『小さい!?そんな巨大な敷地の島が!?』

 

『人口は数十人から数万人の小規模集落、さっき言った通りあまり大きい島ではないから、自然のに頼った生き方が根付いているわ。川、漁場、温泉、鍾乳洞、樹海、大峡谷、洞穴、旧日本軍の実験施設に五重塔、砂丘に炭鉱地も見受けられる小さな島よ』

 

『え???、へ・・・??』

 

『其処には吸血鬼と呼ばれる恐ろしい種族がいて、それらに有効な武器が今ランスロットが手にしている丸太であり、熟練の戦士が握った丸太はまさに──』

 

「縦横無尽じゃ・・・!!」

 

『それ日本だよね!?日本なんだよね!?』

 

【⬛⬛⬛⬛──!!!!】

 

ランスロットのあまりに凄ェ丸太捌きに薙ぎ倒されていくエネミー達。丸太はミシミシとへし折れていきながら、しかし相手は確実に減っていく。もう一押しだとリッカ、マシュは素早くランスロットを援護する

 

「無いの!?森は無いの!?」

 

「ありましたよ先輩!森が!!」

 

「でかした!!」

 

『あぁ!でもなんてこと!無いわ!丸太が無いわ!皆木よ!真っ直ぐだわ!』

 

「心配しないで!えぇいままよっ!ふんっ!!

 

「先輩の回し蹴りが大木を真っ二つに!これで丸太が出来ました!!」

 

『流石リッカ君だ!』

 

『凄いわ!!』

 

「ランスロット!!新しい丸太だよ!!ウラァ!!」

 

【⬛⬛⬛⬛!!!?】

 

「なんだこの丸太は!?凄い太いぞ!?だそうです!」

 

「その丸太を振り回すんじゃ!!」

 

【⬛⬛⬛⬛⬛⬛──!!!!】

 

「ランスロットさんを中心に──竜巻がさらに・・・!!」

 

「流石円卓最強の騎士だね!!」

 

『『凄い!!』』

 

【⬛⬛⬛⬛!!!!!】

 

「成敗!だそうです!!」

 

「うしっ!!ランスロット!!でかした!!」

 

・・・ワーワーと声が聴こえてくるような喧騒の中、確かにランスロットの手によりエネミーは蹴散らされる

 

【・・・・・・】

 

「ありがとうございます!ランスロットさん!素晴らしいお手前でした!本当に凄い!凄いです!」

 

【~・・・・・・】

 

どこか照れ臭そうにしながら、ピクニックの準備に取り掛かるランスロット。マシュとリッカは、ランスロットの凄まじさを痛感しながらもピクニックを継続する三人。・・・アクシデントはあったが、再び楽しい時間は行われる。その為の撃退であり・・・その為の、時間なのだから

 

「ん、親子丼おいしー!こっちの牛丼もいいしカルビ丼もいい!最高!」

 

「先輩、がっつきすぎは良くないですよ。ね、ランスロットさん?」

 

【・・・!】

 

『そんな訳で、作者が今何に嵌まっているかを把握するにも最適で・・・』

 

(リッカ君と交遊してからマリーが変な方向に・・・!)

 

『ちゃんと聴いているのかしら?私の話を』

 

『ひぃっ!?も、勿論ですよはい!』

 

取り戻した時間の一幕。そんな穏やかな時間が過ぎていった・・・




オルガマリー「と言うわけで、ロマンにも彼岸島を読んでもらおうかしら」

ロマン「えぇえぇ・・・ホラーとか怖いんだよなぁ・・・トイレとか行けなくなっちゃうじゃないか・・・」

「大丈夫よ。慣れたら平気になるから。色んな意味で」

「慣れるんですか!?ま、まぁ・・・所長が言うなら・・・」

初期

「ひゃあぁ・・・おぞましいなぁ・・・怖いなぁ・・・」


中期

「ん?丸太?味噌、豚汁・・・?あれ?ていうか丸太って掴めなくない!?」


後期

「・・・・・・」

「ね?」

「・・・根本的な事に突っ込んでいいかな」

「はい」

「流石に身体中が傷だらけのまま血のプールに入ったら感染すると・・・」

「止めなさい。粘膜接触じゃないからセーフと先生ェの中では線引きがされているのよ」

「あ、はい」 

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