人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「最終回になるかもしれない。覚悟して読んでほしい(フォウ)」


一糸纏わぬ、開闢の星

「この、この!このこのこのこの!目障りなのよあんた――――!!」

「ふふ、目障りなのはどちらでしょう?貴方のような雑竜が――真の竜たる私に勝てるとお思いで?」

 

火花を散らす槍、火焔。

 

交わされる罵倒、挑発。

 

放たれる罵声と罵声。

 

「うぅう――――――っ!カーミラの前にあんたを潰してやるわこの変態ストーカー!!」

 

「ストーカーではありません『完璧なまでに洗練されし傍らに寄り立つ後方警備』です。理解できますか?傾倒趣味の拷問フェチ」

 

 

「フェチってなによ!フェチって!アタシのは凄いんだから!」

 

「すごいとはどういう……そういう?あぁ……貴方はあれですね、アレをアレしてナニしていたんでしょう……?」

 

「あああああアレってナニよ!?ナニってナニよ!?決めた!もう決めた!アンタは串刺しにしてブッ刺してホルマリン付けにしてやるわ!」

「やってみなさいな、小娘――化生の火焔が、貴方を返り討ちに焼き滅ぼしましょう……!」

 

 

耳を塞ぎたくなる金切り声。おぞましき地獄の喧騒。

 

 

「潰す潰す潰す潰す潰す!アタシがナンバーワンなんだからぁ!!」

 

「シャアァアァアァアァア!!!」

 

 

コケティッシュな服装の少女と、着物に身を包んだ少女が――人が織り成す営みの最中で地獄のハーモニーを巻き起こしていた――!!

 

 

「み、耳が!耳が腐る!いやそぎおとされる!なんだこれ、工事現場やバカなロッカーかぶれが何倍もましな有り様だ!止めてくれ、音という音の冒涜は止めてくれ!ファヴニールの咆哮がマリアの囁きにさえ思える!なんて酷いクズどもなんだ!あぁいや禁止だった!」

 

『その二人がサーヴァント……なのよね?私間違ってないわよね?ね?』

『自信をもってください!』

 

「相も変わらず雷鳴のごときデスボイスよ……臍の緒を断たんばかりの暴虐ぷり、反省し少しはマシになったかと思えばこの様か。ふははは」

 

「アレが聖人?」

 

「バカ言わないでくれ!それこそ僕の怒りの日だ!アレが聖人なら世界の宗教はひっくり返る!無信神者が世界を埋め尽くすぞ!」

 

 

『ともかくコンタクトを取ってくれ!もう耳が痛い!証明がなければ今すぐ部屋に帰りたい!』

『リッカ!あなたは平気なの!?』

 

「所長の断末魔に比べたら全然?」

『もう!何言ってるのよ!』

 

 

「そらマシュ、親善大使に立候補していたな?取り敢えず声をかけてみよ。奴等に一欠片でも知能があれば通じよう。まぁあるのかは知らんが」

 

さらっと酷い役目を押し付ける器。

 

 

……なんというか、こう……胸をかきむしりたくなる感覚になるのは理解できるが……これは何かの魔術なのだろうか。そして未だに何故器は上機嫌なのだろうか?

 

「ここで私ですか――!?わ、分かりました!ベストを尽くします!」

 

意を決して歩み寄るマシュ。

 

 

「僕も仲裁ぐらいはしてやろう!ストップ!ストーップ!そこまでだこれ以上は見過ごせない!音という音の冒涜は止めるんだ!」

「私達の話を聞いてください!どうか落ち着いて――!」

 

「あん!?」

「はい?」

 

ひとまずいさかいを沈め、此方を認識する二人。

 

「何よあんたら。アタシたちに用はないんだけど?引っ込んでくれる!?そこのヘビ女と決着つけなきゃいけないのだけど!」

「言ってくれますね。ヤーノシュヤモリの分際で」

 

「何よ、アオダイショウ!」

「エリマキトカゲ!」

「ヒャッポダ!」

「メキシコドクトカゲ!」

 

「あんですってぇ~~~~!?」

「言い出したのはそちらでしょう――!?」

 

再び始まるデスメタル・ハーモニー。アマデウスは目に涙すら浮かばせ耳を塞いでいる。

 

 

「ぐぐぐぐ……耳が腐る……死ぬ、魂が死ぬ……!」

 

『スピーカーの音を下げて!脳がやられるわよ!ドラゴンの雄叫びだってこんなに酷くはないわ!』

 

『これはここで退治した方がいいんじゃないかな……』

 

「聖人は……おらぬようだな。チッ、骨折り損とは無為極まる。まぁ、面白い玩具は見付けたがな」

 

「白蛇女ァーーーーー!!!」

「赤トカゲ―――――!!」

 

「ごめん、吐きそう」

 

 

がくりと膝をつくアマデウス。しっかり!正気を手放さないでくれ!

 

「どうしよう、ギル?」

呆れたように指示を仰ぐマスター。

 

どうしようといわれても……あんな爆心地みたいなただ中に飛び込みたくはならないのだが・・・。

 

「我に助力を求めるのか?――ふっ」

 

――だが、器は違った

 

「良かろう。この下らぬいさかい、我が仲を裁してやろうではないか。……予定が些か早まったな」

 

「?」 

 

「こちらの話だ。オルガマリー、ロマニ、スタッフどもにマスターにマシュよ!」

 

 

――自信と確信に満ちた王の声音が張り上げられる

 

「今までの貴様らの働きに免じ――至高の芸術を目の当たりにすることを赦す!しかと見よ、そして戦け!貴様らが頼り頼みにする男が何者か――身を以て知るときだ!」

 

――本当に、一体何を――?

 

「貴様らはそこで――王の威光を拝むがよい!!」

 

王の威光――

 

 

そのとき――器に記録された記憶を眼が読み取った

 

――読み取って、しまった――!!

 

 

何処かの折、遥か彼方の底の記憶

 

 

「そうであろう?純潔の竜よ。今まで気付いてやれずすまなかったな」

 

「な、なに謝ってるのよ!私に謝られる覚えは――」

 

「我からのせめてもの詫びを受けとるがいい!では行くぞ!A・U・O!キャスト・オフ――――!!!!」

 

「ぶはーーーーーー!!!?」

 

 

――

 

 

 

――………………まずい

 

 

「久し振りだな、駄竜よ。そのような類友を作っていようとは驚きだ」

 

 

まずい……まずい……

 

「はぁ!?何を――ってげぇ!!アンタ、ゴージャスじゃない!」

 

「ふはは!然り!思えば貴様が名付けはじめであったな!」

 

まずい……!!

 

「そこのヘビ女も見知りおけ!我はクラス・ゴージャス!英雄王ギルガメッシュである!」

 

止めなきゃ、止めなきゃ――大変なことになる――!!

 

ファヴニールとか竜の魔女とか、特異点とか人理焼却とかそんなものはちっぽけだった!些末だった!

 

 

この王様こそが――人類をあだなす至高の美だったのだ――!! 

 

フルパワーで器を制止する!――ダメだ!止まらない!なんて愉悦パワーと自信だ!全身全霊をかけてもびくともしない!どれだけ自分に自信をもっているんだこの王はーー!?

 

 

「はぁ……その英雄王様が何の用でしょう?」

 

落ち着け、御乱心はなりませぬ英雄王!彼女らはまだ若い!心に傷が刻まれてしまう!霊基に刻まれるどころの話ではございませぬ!なりませぬぞ英雄王!!

 

「決まっていよう。貴様らの児戯のごとき争いをこの我自ら収めてやろうというのだ。我等は聖人を探す身の上で忙しい。貴様らと戯れている暇はないのでな」

 

ーこらえきれない愉悦の笑みが魂に流込んでくる――!!ダメダメいけません!マシュもマスターもいるのです!どうか、どうかお考え直しを――!!

 

「――うそ、待って。ウソ、ウソよね?まさかよねゴージャス?まさか、こんな真っ昼間に……ウソでしょう?」

 

「昼も夜もあるものか。我は王!太陽も月も等しく価値を定める万物の裁定者!」

 

逃げて――――!!マシュとマスターだけでも逃げて――――!!お願いだから逃げてくれ――!!

 

 

「何の話をしているのです?あなたたち、知り合いですか?」

 

「察しがいいな。――その、まさかよ」

 

――あっ、ダメみたいです

 

「撤収――――!!!!私座に帰る――――――!!!!」

 

「バカめ!もはや逃がさぬ!!我が織り成す至高の美――今一度その魂に焼き付けよ――!!!」

 

『――嫌な予感がする――!!総員ショック姿勢――!!最大級の災厄が来るぞ――!!!』

 

『えっ!?なに、なんなの!?』

 

「マスター!目を閉じてください!!はやく!」

「う、うん!」

 

「い――――――や――――――!!だれかたすけて――――!!!」

「な、なに、なんなのですか……?」

 

――王様め、本性を隠しきれないのか――!

 

 

「再びその目に焼き付けよ――!!行くぞ!ランクEX!対世界個人宝具――!!」

 

 

気を付けろ――

 

「――A・U・O――――!!!」

 

――最高最悪の宝具が来るぞ――――!!!

 

 

「キャスト・オフ――――!!!」

 

 

 

――身に纏っていた邪魔な衣服を弾き飛ばし

 

 

 

――一糸纏わぬ王の裸身が顕現する――!!!

 

 

「子ブタ――――――!!!!」

「あ、あぁ――安珍様――――!!!」

『レフーーーー!!!』

 

 

「うぉぼろえあぁあぁ!!」

 

『アマデウスが吐いたーーー!!』

 

 

「ヘンタイ!ヘンタイ!ヘンタイヘンタイヘンタイヘンタイヘンタイ――――!!なんでここでも脱ぐのよアナタ――――!!」

 

「我が脱ぎたいからだ!!」

 

「はしたないはしたないはしたないはしたない!!殿方としての慎みはないのですか――!!」

 

「我に男として恥ずかしい箇所なぞない!!」

 

光を増す、股間の王律鍵――!発光を増していく、天命の粘土板(意味深)――――!!

 

 

『レフ!!レフ助けてぇ!!殺される!殺されるの私!ストーリーキングに殺されるの――――!!!』

 

「なになに?何が起きてるの?」

「ダメです先輩!見てはダメです!!」

 

『勘違いしてた!!この王様はアレと紙一重の人種!紛れもないバカだったんだ――――!!!』 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいなんでもしますもう血は吸いませんいいこになりますから助けてお父様―――――!!!」

 

「あんちんさまあんちんさま!清姫です!私を迎えに来てくださいましたのね!ともに鐘に入りましょう!えぇ、永遠に!ずっとずっと一緒です!あんちんさま――――!!」

 

『私は止まらないから……!あなたたちが止まらない限り、その先に私はいるわ!だからね……――止まるんじゃないわよ――……』

『所長――――!!!!』

 

「……マリア……僕のピアノ……」

 

 

「みーせーてー!」

「だーめーでーすー!!」

 

 

「フハハハハハハハハハ!!これぞ我が裸身!最高水準のダイヤに勝る唯一至高の芸術よ!賛美せよ!賛美せよ――!!フハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

 

 

――遠い場所で……喧騒が聞こえる

 

 

――ごめんなさい、皆……

 

 

こういった王様だと思って――諦めてください――




「あれは――主の輝き――!」

「もっと、もっと近くで見せてください!!あそこに奇跡はあります!あの輝きこそが――!!」


「なんですか~?沖田さんは厠掃除でいそがぶっふおぁ!?」

「答えは得た。大丈夫だよ遠坂。――オレも、これから頑張っていくから」

「ふぇいとと はーめるんの ほうそくが みだれる」

「⬛⬛⬛⬛⬛(ヤツもはいていない、か)」




マーリン「ぐわぁあぁああぁあ!!直視してしまったあぁああぁああぁあ!!千里眼なんて使わなければ良かったぁ――!!!」

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