人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ギル祭に集中し、同時に小説も更新する。両立のために寝起きに執筆、仕事前に投稿すれば良し

メンテの間の暇潰しにどうぞ!




リューノスケ「よっと。集めたよ旦那ー。さ、おっぱじめるのかい?」

ジル「勿論です。では始めましょう・・・世にも素晴らしき──信仰の宴を!!」



「坊や達~!ジル・ド・レェのCOOL信仰布教教室!始めますよ~。私のように立派な信仰者を目指して!!」

「「「うわあぁあぁあぁ!?」」」

「怖がらなくてもいいんだよ・・・それでは実際にお越しいただきましょう。ジャンヌおねえさーん!」

ジャンヌ「はーい!皆さん落ち着いて~!ここに紙芝居があります、これを見て落ち着いてくださいねー!」

リューノスケ(いいのかこれ・・・まぁ、バレなきゃいいよな、うん)



?「・・・聖杯を破壊することなく済ませられる手段がある、だって?」

「然り。貴様にも縁遠からぬ相手だ。無用な殺戮を行わず最小の労力成果を達成する事が叶う。これ程良い話はあるまい、抑止の使者よ」

「・・・・・・そんな上手い話があるとは思えないが」

「たわけめ」

「?」

「困難に挑み、達成する。それが日用朝八時に戦う者共の基本理念であろうが。それとも貴様は妥協を良しとし、最良の結末を踏みにじり安易に血を啜る事を望むか?」

「・・・・・・」

──どうか、信じてください

「──!」

──ワタシ達は貴方に敵対するものでなく、常に自らの最高と最善を目指す者です

「・・・解った。最良のプランがあるのなら、それに越した事はない。今回はあんたたちに乗ってみよう」

──!良かった!

フォウ(ギルのカリスマがまず無視できないよう釘付けにして、エアが心と頭に声を響かせる。そうやってギルが実践して信頼を得る・・・)

──やったね、フォウ!

(うん!もしかしなくても・・・リッカちゃんとは違う意味で!話したらこっちの勝ちだね!)

──うん!ギルは必ず期待に応える王様だから!

「じゃあ、今回の僕の動きを聞かせてもらおうか」

ギル「ふっ、喜ぶがいい。大幅に羽根を伸ばすこととなるだろうよ──」


ACT―4『青髭狩り』

『取り乱してごめんなさい。ついついあのいっぱいいっぱいだった頃を思い出してしまって止まらなかったわ・・・気を取りなおしてサポートさせてもらうわね、リッカ、マシュ。エルメロイさんもよろしくお願いいたします』

 

キャスターが魔術工房とする下水道、用水路を歩み外道を誅罰せんと決意する一行が歩みを進める中、オルガマリーが入念なケアにより平静を取り戻しサポートを再開する。ココアやコーヒーをがぶ飲みしながらのリラックスなため若干無理をして平静を取り戻した感慨はあるが、サポートに支障が無いと告げるオルガマリー自身の言葉を皆は信じることにしたのである

 

(先生決闘とか申し込まれない?大丈夫?)

 

(勘弁してもらいたいものだ・・・君がマスターとしての定義を完全に逸脱した突然変異の怪物である事に対して、オルガマリー所長は神代の魔術師の最高傑作と、現代魔術師の頂点と言っていい。私などは愚か、全聖杯戦争のマスターと戦わせて勝ち抜けるような彼女との決闘など勝負にすらならないのは目に見えている・・・)

 

(神代の魔術、固有結界、ダヴィンチちゃんお手製の魔術礼装・・・先輩と違ってクールでスタイリッシュで王道なエキスパートですからね!先輩と違って!)

 

(どういう意味かなすびぃ!!)

 

(先輩は天空から荘厳なパイプオルガンとコーラスをバックに舞い降りるラスボスですから!端的に言って味方サイドのビジュアルではありませんよね!)

 

『あー、これ勝てないわーってなるやつだね、解る解る』

 

(か、隠しキャラとしてワンチャンお願い!)

 

レイライン会話で和気藹々と話してはいるものの、表面は平静な行軍。言葉少なく行進を続けている。ケイネスは高貴に歩みを進めているが、醜悪さが目立つ下水道の景観に難色を示し、ディルムッドはやや先行し安全を確認しつつ護衛を行っている。・・・どんよりとした空気を彼なりに気遣ったか、ケイネスが口を真っ先に開く

 

「しかし、半ば遊びも同然のつもりで参加したこの戦いだが・・・」

 

『遊び!?』

 

『はーい愛弟子ステイステイ、大丈夫だよーカルデアはきちんと在るからねー』

 

『精神安定ビタミン丸薬、お買得でーす♪』

 

「わざわざ未来の末裔が干渉してくるとは。この私が考えていた以上に大きな意味がある、と言うことかね?」

 

「・・・そうなり得る可能性が無視できない、という程度にお考えください。我々は過去に干渉するにあたって、確定した事象については口をつぐまざるを得ない。さもないと歴史改編の余波があまりに大きくなりすぎて抑止力を発動させかねません」

 

御機嫌王が今回は裏方に徹し本筋を変えぬよう、盆栽の如くに修正を繰り返しエルメロイに一任している理由は此処にある。『未来であなたは死ぬ』という未来があったとして、その為に動いてしまっては齟齬と乖離が甚大なものとなる。発狂、逃亡、憤慨・・・それらにて根本から世界が歪んでしまえば『事象に関わった総てを抹殺する』抑止力の介入を許すこととなるのだ。世界そのものを対処できる手段はあるものの、それでは卓袱台返しと変わらない。結末という財宝を手にするためには、細工とバランスは大事であるのだ。消したなら代役を、救ったなら継続を、と言ったように

 

「そもそも我々がこうして介入した時点で、未来は改編され確度を失っています。ここから先は、私にとっても未知の領域、ということです」

 

「魔法の域に至る秘術なればこそ、運用は並大抵の難度ではない、か。要は使い方次第というわけだ」

 

ダイナマイトしかり刃物しかり、使い方次第では活路にも凶器にも為りうる。凶器は独りでに人を殺さず、自然発生する人災は存在しない。それを理解せぬ者が愚かなのだと、ケイネスは改めて認識を深める。魔法であれ、それは覆せぬ事実なのだと

 

「さて、そろそろキャスターの魔術工房の領域ですが・・・」

 

「──いや。既に境界を跨いでいるようだ!何か来るぞ!」

 

進行を進めていた一同が立ち止まりディルムッドが槍を構える。耳に狂気に満ちた鳴き声、そして這い回り蠢き犇めく音が下水道に木霊する。遥か侵攻先からやってくる奇怪なフォルム──海魔と呼ばれる怪物が防衛として迫り来ていた。その冒涜的な姿にマシュは口を抑え、火を通したらイケそうじゃない?と気楽に問い掛けるリッカ、ゲテモノは味が良いらしいしね・・・と遠い目で答えるオルガマリー。だが──確定事項は一つ。排除すべきという一点だ

 

「宝具が強力なばかりで魔術師としての手管は拙い輩ですが、数頼みの力押しはそれなりに厄介ですよ」

 

「ふん。魔術の秘匿すら弁えぬ下戔にここまで度の越した力を与えるとは。やはり冬木の聖杯とやらは、私手ずから確保し管理する必要がありそうだ」

 

I hope to be able to you(あなたに出来るといいですね)

 

『所長!落ち着いてください!』

 

どうも所長はエルメロイ一族に好印象を懐ききれていないようである。ジト目にてブラックジョークを飛ばすオルガマリーをロマンが宥めつつ、戦闘支援を開始する一行

 

(マシュ、ランサーをサポートしたげて。私も今回はあんまりやらないから)

 

(?構いませんが、何故です?)

 

(ほら、ケイネスさんプライド高いタイプだし、脇役や外様に大きい顔されたら絶対めんどくさい事になると思うからさ。華を持たせてあげたいじゃない?)

 

リッカはケイネスの人間性を完全に把握して言う。彼は万事が総て上手くいくのが当たり前とするタイプの人間である。そんな彼が自らを差し置いて活躍する一般人マスターの存在なぞにいい感情を懐かぬであろうことは容易い予測であり当然の帰結だ。故に此処は裏方、サポートに徹するのが最良の事象と決断する

 

『色位、ロードの肩書きを持つ以上実力は本物よ。きっとカルデアは作れないけれど。此処は彼等に任せてみなさい、マシュ。恐らくカルデアは作れないけれど』

 

「分かりました、ディルムッドさんを重点的にフォローします!」

 

「別に、ディルムッドに惚れても構わないのだよマシュ」

 

「彼にはグラニアさんがいらっしゃいますので!」

 

開始される戦闘。無数の触手が蠢き襲い来るなか、ディルムッドは無双にして凄烈な二本の槍捌きをもっておぞましき怪異を撃退し突き穿ち討伐数を積み上げていく。突き、穿ち、薙ぎ、払い。槍とは本来両の手で振るうもの。短槍長槍という重心や刃渡り、間合いが違うものを完璧に扱うその技量は、まさに騎士団の一番槍と謳われるに相応しい姿と称賛を受けるに相応しい

 

「どうかね藤丸リッカ。アクシデントにて呼び出された間男も完膚無きまでに扱って見せる。人生において大事なのは柔軟性。ミスのケアも完璧にこなせてこその一流だ、覚えておきたまえよ?」

 

「はい!ロードさん!」

 

面を思い出しただけで青筋が浮かぶ小憎らしい小僧と違い、美少女に素直に慕われる事は教鞭を振るうものとして心地好い。気を良くしたケイネスは一歩歩みより、懐から試験管を取りだし中身を零落させる

 

「ハハハ、気分がいい!どれ私も露払いをしてやろう!『Fervor,mei Sanguis(沸き立て、我が血潮)!』」

 

即座に展開される魔術礼装。水銀に魔術加圧をかけ自由自在に操る事の出来る攻防一体の研鑽の成果。彼が片手間に作り上げた渾身の傑作にして才能の発露。サーヴァントならぬ使い魔なぞ即座に抹殺してのける特級の魔術を上機嫌に行使する

 

 

Scalp()!」

 

指示を受けた水銀が遠心力にて勢いと力を増し縦横無尽に海魔を切り刻み同時に迫り来る海魔をはね除ける。自由自在に姿を変化させ千変万化かつただの一節の詠唱にて振るわれる『月霊髄液』。その研鑽と才能を見せつけリッカに高々と宣誓を行う

 

「君のように非力で、サーヴァントに頼りきりなマスターはサーヴァントにて自衛を行わせるのが常道。しかし足を掬われたく無いなら覚えておくことだ。──何事にも例外は存在する。このように、自らも莫大な戦闘力を持つマスターも確かに存在し、マスター同士の戦闘を容易く制する力を持つものも世の中にはいるということだ。君もマスターという立場に胡座を欠かず、日々の研鑽を行いたまえよ?この私のような一流になりたければな」

 

Nice joke(滑稽ね)

 

無慈悲な毒舌がリッカの頭に響く。オルガマリーもリッカも本来ガンガン前に出るタイプであり、サーヴァントとも互角以上に戦える部類のマスターである。それを鑑みればケイネスの言葉は的外れも的外れであり、カルデア成果簒奪の禍根から割と容赦がない所長を宥めつつ言葉を紡ぐリッカ

 

「(ま、間違いなく善意だから!無関心なら言わないような人だからきっと!)はい!参考になります!ケイネス先生の~、もっとカッコいいとこ見てみたい!」

 

「ははははは!良かろう、同盟のよしみに見せつけてやろう!よろしい、これは露払いでなく実技指導だ!」

 

「流石です、我が主!」

 

「前に出るマスターのカバーは慣れています!お任せください!」

 

マスター一人、サーヴァント二人の蹂躙劇を遠巻きに眺める孔明にリッカ。血の気逸る二人の攻撃、フォローに回る一人の戦闘を見守りつつ感慨深げに目の当たりにしている

 

「どうかね藤丸リッカ!私の特注した礼装の出来映えは!実に無敵、隙のない完全無欠さだろう!嘆くことはない、これは純然たる才能の発露、君では届かないのではなく何者も届かないのだよははははは!気を落とさず励みたまえよ!カルデアのマスターよ!」

 

「はーい!(行動パターンはそんなに複雑じゃないんだ・・・一回難しい形状になったら形を戻したりするのに時間がかかりそう。薄く幅広く張ってる時に貫通とかされちゃうかもしれないなぁ・・・大丈夫かな)」

 

『あれほどのものを遊び感覚で作るなんて・・・確かに比類なき才能をお持ちのようね。師匠に教えを乞う前の私では絶対に辿り着けない領域ね、確かに。・・・連射で広範囲に薄く展開させたあとヘッドショットね。或いは・・・水銀を通して魔術回路にダメージを与える、とかかしら・・・もう雑にヘカティックグライアーかパンクラチオンでフルボッコが手っ取り早いかも・・・?』

 

「・・・私が拙かった事を認めよう。だから淡々とアーチボルト抹殺計画を考案するのは止めて差し上げてくれ・・・」

 

「フハハハハ!行くぞランサー!このようなおぞましき卷族の主に、エルメロイの名の下鉄槌をくだせ!」

 

「御意!さぁ行くぞ、同盟者達よ!」

 

上機嫌のまま駆け抜けるエルメロイ陣営、マシュもそれに習い駆け出し、一行は最奥へと駆け抜ける

 

「先輩!エルメロイさん!遅れてしまいますよ!はやくはやく!」

 

「はしゃいじゃってまぁ・・・よし!じゃあ華々しく戦ってもらいましょっか!」

 

「うむ。窮屈な想いをさせてすまないな。──いや、マスターとしては何も間違ってはいないのだが・・・」

 

「ぶっちゃけゲーティアお手製の改造人間みたいなものだし人間扱いされなくてもへーきへーき!さぁさぁ、レッツゴー!」

 

一般基準の在り方に首を傾げながらも、一行は青髭狩りへと赴く──




下水道最奥

マシュ「こ、これは・・・!?」

其処に広がっていた光景は、見るもおぞましき背徳と冒涜の宴。尊厳を剥奪された人間たちの調度品・・・ではなく

『一面に・・・飾られたジャンヌ・ダルクグッズ・・・?』

ポスター、彫像、数多無数の作品たち。極めて健全かつ崇高な・・・ジャンヌオンリーサークル会場の様子を催している

リューノスケ「お、来たみたいだぜ旦那ー。どうする?ファン作っちゃう?」

ジル「お逃げなさいリューノスケ!地下に在りし眠れる幼児を解放されぬように!」

孔明(・・・?おかしい、拉致した子供は見るも無惨な死体と成り果てているかと・・・)

「おのれ!我が聖処女の布教を阻む蒙昧め!!さては貴様ら、信仰の芽吹きを阻む凡俗なるや!ならばジル、容赦せん!容赦しませぬぞぉ!!」

(・・・ジャンヌ崇拝に傾倒した物言い──そうか!そう言うことか!英雄王、先んじて影武者を用意したと言うことか!)

孔明「リッカ、ガンドだ!即座に自由を奪え!」

リッカ「え、いいの!?あれ、カルデアの・・・」

「だからこそだ。急げ!」

「わ、解った!──ガンド!」

放たれたカルデア手製の攻撃がジルの自由を奪い、隙を露呈させる。──絶好の好機が到来したのだ

「今だランサー!蒙昧がどちらか知らしめよ!宝具の開帳を許す!」

「御意!『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』!」

「ファーーーーー!!?だがこれでよいのです、聖処女の魅力は存分にィ──!!」

貫かれた瞬間、巧妙な退去が始まり、偽装されし討伐が果たされ──ジルは人知れずカルデアへと還ったのだった

孔明「無事に討伐は果たされました。これより即座に教会に向かい、追加令呪の申請を」

「ふむ。実にあっけないものだったな。君達を連れて行くわけにもいかぬか・・・それでは、また後程」

「助力に感謝する。未来の勇者達」

即座に退散するケイネスとランサーを見送り・・・そして、もう一人の仕掛人が顔を出す

燕青「お疲れさん。ガキらは皆すやすやおねんねしてるぜジャンヌ抱き枕と一緒にな」

「燕青!・・・ひょっとしてこれ、全部?」

「そゆこと。皆無事だから安心しなって」

孔明「・・・既に討伐を果たされていたとはな。カルデアのジル元帥を影武者に、とは」

『彼は彼なりに動いてるんだねぇ・・・あ、じゃあ転移と認識改竄は僕が。少し休んでて、サクッと終わらせるよ』

オルガマリー『・・・一応、そこの場所も片付けておきましょうか』

マシュ「はい。完全にパイケットの一サークル会場です・・・」

「きっちり返さなきゃね!」

・・・一行は、そんなこんなで後始末へ奔走するのだった──

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