人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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本当なら小説を打つ時間、更新する時間をボックスに費やせばそれはそれはお得でしょう


毎日更新などしなければ、もっと楽に周回できるでしょう

それでも小説を更新するのは、読んでくださる皆様がどんな旨味やどんなガチャやボックスよりも大事でかけがえのない存在であり、そんな皆様に小説を読んでもらいたいからです

どうか、これからもよろしくお願いいたします。願わくば、この小説を読んで英雄王やfateの色んなキャラ、そしてfateそのものがもっと好きになってくださいますように

自分が小説を執筆する理由は、ただそれのみです。そんな中で・・・

二次創作である此処にしかいない、エアやリッカを愛してくださってくれるなら、それが自分の執筆活動への、最高の報酬です

以上、『ボックスやらないで小説書いてる事への熱い言い訳』でした!

・・・110箱開けてQPが溢れているんですよね・・・


ACT―13『彼方にこそ、栄えあり』

砂塵が吹き荒れる。怒号が天を衝く。覇気と熱気が竜巻となり、押し合い貫き合う活力と血潮が砂漠を彩り、辺りを覆いつくす。固有結界──世界を塗り替える大魔術にて生まれた砂漠、最果てを夢見た猛者達が唸りを上げ、一つの軍・・・巨大な生き物となってぶつかり合う

 

血潮と覇道を謳う軍勢が睨み、争覇せんと挑みし敵は不死なる者達。同じ軍勢の形を取りし、最早肉も生も無い不死者達。仕えし王、生前に何度も剣を交えた者達と時空の果てで相対せしイスカンダルの軍勢、王の軍勢は力の限りに真正面からその恐るべき黒き死の風に立ち向かい、剣を振るい、騎馬を駆け抜けさせ、槍を突き立て、ただひたすらに走り抜ける。王の正面突破、背中にて魅せつけた声なき号令──『我に続け』。その勅令を遵守する者達はただの一歩も退きはしない。退かない。目の前にある肉なき不死者をただひたすらに打ち据え、乗り越え、最果てに至るための道筋を切り開かんと雄叫びを上げる

 

「「「「「「おぉおぉおぉおーーーーーッッッッッ!!!!」」」」」」

 

彼方へと至るため、王と轡を並べ挑んだ誓いを護るため、如何なる困難を乗り越えんと誓いし伝説の勇者たち。前へ、先へ!雄叫びを上げろ、四肢を振るえ、限界を越えろ!自らが夢見た地へ、最果ての海へと辿り着くために!

 

【【【【【【・・・・・・・・・・・・】】】】】】

 

沈黙なる不死者達。イスカンダルの道を阻まんと決意したダレイオスに率いられし無慈悲なる不死騎兵集団。血の滾りなく、肉の躍りなく、ただ無感動に夢を踏みにじり、ただひたすらに高い壁として、難攻不落の山の峰として、巨大な虚穴として、迷い殺す闇として、無感情に勇者達の血潮を吹き散らす

 

槍で刺せば剣で切り裂かれ、馬と馬の疾走の交錯にどちらかの、或いは互いの首が吹き飛ぶ。囲まれては殺され、力づくで踏み潰され、小細工、理念、雑念の余地がない程の極限の戦いが、砂漠の砂を血に染める

 

勇者達が進めば、不死者達が押し返す。不死者達が呑み込まんとすれば、その腹と喉を突き破る。肩を叩き合い、励まし合い、激励を行いながらただ前へ、前へと進まんとする軍勢達。無味乾燥に破壊の象徴となりて押し寄せる不死者達。──世界が揺れる、激震する。この固有結界は勇者達の総出で維持する規格外の大魔術。数万存在する軍勢、その半数が殺されてしまえば維持は不可能となり、死の風、悪の泥が外界へと吹き荒れてしまうのだ。勇者達の奮闘と夢、野心が世界を護る、世界を守護する。世界は踏み越え、蹂躙し、制覇するもの。誰一人として滅びを望むものなどいない。外の世界にはまだ見ぬ同胞たちがいる、新たに友になるやもしれぬ者達が生きている。そんな彼等をやらせはしない、やらせる訳にはいかない。そんな決意と気迫が、軍勢の士気を何処までも高め、彼等を奮い起たせる

 

「あそこだ!あそこが崩れた!畳み掛けて!」

 

そんな軍勢を、自らに宿りし軍師の力でサポートし、支え、操るものがある。不釣り合いなほどに矮小ながら、その目と覇気は勇者達に遅れを取らぬ、熱い血潮を、胸を躍らせる少年がある

 

「相手は不死者達だ、バーサーカーが頭だし単純な事しか出来ない!あんたたちが負けるわけない、得意の金鋸と鉄槌戦法で押し潰してやれ!」

 

ウェイバー・ベルベット。その身に過ぎたる力に戦慄を覚えながらも懸命に、王の指揮を肩代わりしながら軍勢を維持せんと剣を振るわぬ戦いを行い続けている

 

(これが、これが戦い・・・力を振るう責任・・・!)

 

それは想像を絶する衝撃、吐き気を催す重圧に他ならない。自分の肩に、数多無数の仲間達の命がのしかかっている。無数の同胞たちが、自らに命を預けている。指揮の一つ一つに責任が伴う。下手を打てば、いい加減な選択をすれば容赦なく人が死んでいく、同胞たちが倒れていく。ライダーの仲間達が、容赦なく倒れていく

 

観ているだけとはまるで違う熱気と狂乱。身体が浮き立ち震えが走るほどの生と死の交錯。日常ではけして味わうことのない未知の感覚。一人の人間としての選択、戦いの舞台。少年、未熟など言い訳にもならない。自らの選択の達成を迫られる恐ろしくも、心が踊る感覚にウェイバーはただただ圧倒される

 

(負けてられるか!今だけでも、僕は夢見た境地にいる、もう誰にも憚ることがない、僕の選んだ戦いに挑んでいるんだ!)

 

だが、それは何処までも自分を奮い起たせる力となる。自分は一人ではない、頼もしい仲間がいる、何処までも走り抜けられる世界がある。自らが選んだ、立ち向かうと決めた戦場が目の前にある。もう理不尽や劣等感の入る余地はない。ただ、やるだけ。自らの選択に責任を取るのみの、己のみの戦いが眼前に広がっている

 

(そうだ、やってるさ。自分で選んだ、自分でやるって決めたんだ!──彼方にこそ、栄えあり!そうだろ、ライダー!)

 

貴様は筋金入りの馬鹿だ。余はそんな馬鹿との契約がまっこと快い──そんな、人の気持ちも知らないで言ってくれた何処までも型破りな王の顔を浮かべながら──ウェイバーは、初めて・・・笑顔を見せる。それは、胸をたぎらせ困難に挑む男の姿。──かの王の隣に立つに相応しき、勇者の相

 

「オマエの仲間は、なんとかもたせてみせる!負けるなよライダー!あんだけ態度がでかいんだ、オマエの負けなんか認めないし許さないからな!」

 

ブケファラスの鐙の上にて、ウェイバーは指揮を振るい続ける。余人に邪魔されることなく、戦い続ける自らの王に、生意気な激励を懸命に贈りながら。──その目線の先には、砂嵐を巻き起こす程の覇気、大地を揺るがす振動、震える大気。激震する鼓動と覇道の昂りが、木霊となって世界を揺らしている

 

 

「AaaaaaLaLaLaLaLaLaaaaaaaaaaaaai──!!」

 

【イスカンダルゥウゥウゥウゥウゥウ!!!!!】

 

二人の覇者が、覇王がしのぎを削りぶつかり合う。大地を確りと自らの脚で踏み締め、キュプリオトの剣を、手にした双斧をぶつけ合い、閃かせ、互いに致命傷を与えんと振り回し、活路を開かんと喉を枯らさんばかりに叫び、一歩も退かぬとぶつかり合う

 

言葉は無かった。そんな無粋な行為が挟まる余地は微塵もなかった。殺し合い、ぶつかり合いの縁こそかけがえのない対話にして問答。其処に馴れ合いなど必要はない。ただ進み、ただ阻む。巨大な山を、巨大な海を、自らの脚にて乗り越える。その先にある景色を夢見て、乗り越えた先にこそ、自らの胸の高鳴りを昇華する何かがあると信じて

 

覇王を名乗るに相応しき好敵手。身体と意志が奪われようと、心と誇りはけして犯させない。自らは善王には成らず、しかして魔王にも成らぬ。ただ、目の前に在る者の好敵手、壁とならん。その偉容を示し、その威圧を以て二度目の生の本懐を果たす

 

「おぉおぉおぉぉあぁあぁあぁ!!!」

【ヌゥウゥウゥウゥゥゥ!!!!】

 

互いに渾身の力で武器を振るい、互いに武器が遥か彼方へと吹き飛ばされる。互いの力は、互いの格は優劣などつかない。渾身であろうと、武具で決着は望むべくも無かった。──悩むまでもなく、互いは己の肉体を奮わせぶつかりあう。脚を止めた、ノーガードの殴り合い。気迫と気合いを迸らせ、巨人と覇王が互いの存在を消し去らんと撲り合い、極め合う

 

イスカンダルの拳がダレイオスをひたすらに叩き伏せる。一発一発が霊核を響かせたたらを踏ませる。ガードの上からであろうとも構わぬと、真正面より挑み、叩き、撲り、振るい抜く。終生の戦いの再演。立場も何もなく、自らの望むままに生命を疾走させる征服王の顔には──笑顔が浮かんでいる

 

ダレイオスもまた、イスカンダルを押し倒しマウントを取り撲りに撲り、叩き潰さんとアームハンマーを振り下ろす。巨体から振るわれる一撃一撃が、征服王の骨格に響かせる打撃となり振るわれ王を追い詰める。小細工の介入せぬ純粋な力と力のぶつかり合いに、歓喜の笑みを同じく浮かべ、その至福を唯ひたすらに味わい抜き、殺気と覇気を拳に乗せ戦いを続ける

 

互いの拳が血にまみれ、握ることも出来なくなれば投げ合いと移行する。関節を極め、ひたすらに叩き付け、投げ、気合いの首相撲にて睨み合う。最早まともな技術すらも消え失せた原初の格闘。殴り、蹴り、投げ、極め、勝利を掴むための原初の闘争。互いの目は血に塞がり、体の関節は在らぬ場所に曲がる箇所も出てきている。辺りの砂は鮮血に染まり、荒い息を吐きながらも──けしてその戦いは止まらない。止めるものもいない戦いは無限に、永遠に続くかと思われるほどに繰り広げられる

 

 

──・・・・・・作られた世界にて、何れ程の時間が経ったのであろうか。一時間、十分、あるいはもっともっと短いものなのかもしれない

 

「ぬぅう、っ・・・」

 

【オォ、オォ・・・!】

 

互いに立つのもやっと、血にまみれ抜きながら、手打ち以下の攻撃を喰らわせる。腰の入らぬ意地の一撃。それは余りにも弱く、そんな弱い攻撃を受けてまともに立ってすらいられないほどに弱り果てているイスカンダル、そしてダレイオス。凄絶と壮絶なるぶつかり合いは、決着と限界が──確かに近付いていた

 

「ライダー!オマエ・・・!」

 

軍勢との戦いもまた然り。これ以上軍勢が倒されれば、最早固有結界が維持できぬという領域にまでもつれこんだ。ウェイバーの導き出す策は、最早ダレイオスをライダーが打倒するしかない。その為に、主の危機に馳せ参じたブケファラスと共に、満身創痍の王の下へ駆け付けたのである

 

「・・・フフン。そなたとは一杯酌み交わしてみたかったと思わぬ日はなかった。だが、どう在っても我等の縁は殺し合いしかないと見える」

 

【オォオオォオ・・・フゥウゥウゥ・・・!】

 

「ならば──次が覇権を問う幕引きの一撃だ、ペルシャの誇り高き我が好敵手よ。この為に、この瞬間にこそあったのだろう?我が疾走、そなたの破壊。渾身の激突を温存した理由は」

 

言葉はそれのみ。ダレイオスがゆらりと、雄々しく立ち上がり、その身体より最後の力を迸らせる

 

【──イスカンダルゥウゥウゥウゥウゥウ!!!】

 

残りし不死者達、その総てを結集せし黒き巨大な象。産み出せし『不死の一万騎兵』の真の姿。破壊の象徴そのものたるその偉容はあまりにも巨大で、雄々しく、覇気に満ちた──征服王最大の障害としての姿を見せつける

 

「応とも!!再び覇を競おうぞダレイオス!!出でよ天地を制覇す我が戦車!!この戦いの、真なる覇者を決するために!!」

 

雷鳴を鳴らし、キュプリオトの剣の導きにやってくる神威の車輪。神牛二頭に率いられた巨大な戦車に、主たるイスカンダルを御台に鎮座させる。それが、最後の一撃。其処へ──

 

「うわっ、うわわわ!?」

 

ブケファラスが背中のウェイバーを跳ねのけ、イスカンダルの下へと参じさせる。今生最後の王の疾走、その晴れ舞台にマスターたる彼を導いたのだ。相棒の粋な計らいに、イスカンダルは満身創痍のままとびきりの笑顔にて迎え入れる

 

「坊主、よくぞ我が軍勢を保たせた!こっからは最後の決着をつける為の一走りだ。かなり揺れるしぶっちゃけ死ぬかもしれんが・・・」

 

「・・・」

 

互いの疾走が、最大限の効果を発揮する位置にて睨み合う。ダレイオスは動かない。イスカンダルの疾走を受け止め、破壊する心積もりなのだろう。その意気に、狂わされ、理性を奪われながらも気高い志に感服を現しながら、ウェイバーは頷く

 

「どのみち、オマエが死んだら僕も殺されるんだ。答えが一緒なら──胸が踊るってやつに懸けたほうがお得だって思ったほうがいいだろ、多分」

 

そんな風に強がってみせる。死ぬのは怖いし、嫌だし、痛いのも怖いし嫌だ。だけど、だからって下を向いていたらずっと、『みっともない』ままに決まってる。命は大事にするものでもあるけれど、腐らせるものでもない。自分の手で輝かせるものなのだ。数多の軍勢、綺羅星のごとき英雄達を見つめるなかで、ウェイバーの心は劇的に前に進んだ。──覇のなんたるか、その萌芽を宿したのだ

 

「わははははは!その通り!では駆け抜けるかマスターよ!最後の最期、このイスカンダルの疾走の共をせよ!」

 

「──あぁ、そのマスターってのな。もういいや」

 

むん?と声を上げるライダーに、右手を突きつけ令呪を輝かせる。──最後の舞台に、そんなズタボロじゃ話にならない。王様には王様らしい格好でいてくれなきゃ、ついていく自分達が馬鹿みたいじゃないか

 

「令呪を以て命ずる。勝て、ライダー。重ねて令呪を以て命ずる。最後まで駆け抜けろ」

 

自分はマスターの器じゃない。借り物の力でしか並び立てない偽物で、負け犬だ。だが──そんな負け犬でも、やれること、通せる筋、貫ける意地はある

 

「更に重ねて令呪を以て命ずる。──ライダー、最高の征服と蹂躙を、僕に見せてくれ!」

 

みなぎる覇気と魔力。令呪の空打ちに等しいそれは、莫大な支援となってイスカンダルを万全の状態へと導いた。身体は全快し、消費した魔力は補充され、王気の充実は先程とは比べ物にならない。──舞台と装いは整った。臣下の願いと意志を束ねし王は、万感の想いを以て頷く

 

「──うむ。良かろう。しっかし坊主。これ程口喧しく命令したのだ。途中下車や泣き言などという絞まらん真似は無しと──貴様の王に誓うのだぞ?」

 

「ばぁか、するかよ。もう涙も泣き言もとっくに品切だ。──行けよ。最後まで戦おう。今だけは──僕はオマエの隣に立ってやる!」

 

精一杯の強がりに、生意気な物言いに。──心からの感慨を表しながら。無言で肩に手を置く。言葉は要らぬ、会話は無用。──覇道を謳い、覇道を示す。この傍らに在る臣下の為に!

 

「──いざ行かん!!駆けよ!!ゼウスの仔らよ!!待たせたなダレイオス!!──決着を着けようぞ!」

 

【イスカンダルゥウゥウゥウゥウ!!!!】

 

走り出す戦車。雄々しく行進する巨象。──来る。決着の瞬間が、来る

 

「彼方にこそ栄えあり!!『遥かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ)』──!!!!!」

 

最大出力の戦車の進軍。その果ての蹂躙、制覇せんと猛り狂う神牛。象もまた雄叫びを上げ、瞬間の激突に総てを収束させる

 

「「AaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaalalalalalalalalalalaaaaaaaaaaaaaaaaaaaI!!!!」」

 

力の限り叫ぶ王、そして臣下。最大最強の好敵手に総てを懸けた最大の蹂躙制覇を以て駆け抜ける。彼方にこそ、栄えあり。その覇道を貫くために。障害をただ、ひたすらに蹴散らさんが為に

 

【ウゥオォオォオォオォオ──────ッ!!!!!!】

 

迎え撃つ覇王の好敵手、死の王。生半可では越えさせぬ、けして通さぬ。生涯最高の好敵手足らん。そう定め、立ち塞がる最後のダレイオス三世。その総てを懸けた突進が──ぶつかり合う

 

天が裂けた、地が砕けた。世界がひび割れ、その衝撃に絶えきれず崩壊を果たした。最大最強の激突の余波が、辺りにある総てを破壊し破滅させ、砂塵となって巻き上げられ、大爆発となって世界を覆い尽くした

 

「くっ──!!うぅっ──!!!」

 

ウェイバーはそのあまりの勢いに、目を開けることすら叶わずに飲み込まれる。視界が真っ白になり、音すらも、何も、何も感じない程に塗り潰される

 

あぁ、死ぬのか。此処で自分は死ぬのか。──そう、当たり前の事実を、すんなりと受け入れる自分がいた。不思議な気分だった。何一つ悔いはない、どんな結末だろうと受け入れられる。そんな──穏やかな気分だった

 

 

総てが白く飲み込まれる。総てが、呑み込まれていく。意識も、身体も、その総てが

 

 

・・・そんな中、意識を手放す少年が感じたものは。頭に乗せられた、大きな手の感覚。そして──

 

『──坊主。よくぞ余に最後まで参列を果たした。貴様のような大馬鹿者と戦場を駆け抜けたこと、まっこと愉快に──誇りに思うぞ!』

 

いつもと変わらぬ、王の何処までも能天気な声音の礼賛。──それを最後に、刹那に垣間見たものは・・・

 

(・・・海・・・潮の音・・・?)

 

王が想いを馳せ、辿り着かんとした──最果ての海の記憶──




大聖杯

ロマン『器じゃない。あの巨大な孔を狙ってくれ。聖杯はただの受け皿だ、あそこからアンリマユは流れてくる!』


ギルガメッシュ「求められる火力を叩き出すはセイバーの聖剣しかあるまい。さぁ示すがいい。貴様の英雄としての輝きの真価、我等が見定めてやろう」

セイバー「・・・はい。皆、下がってください。聖杯に招かれたサーヴァントとして、最後の勤めを果たします」

マシュ「念のため、私が皆さんを護ります。どうか、全力で!」

リッカ「ギルの為にも、全力でやっちゃって!」

──万が一中身が溢れだした際のために、終末剣と乖離剣は展開済です。どうか、本懐を!

オルガマリー『固有結界の準備もできているわ。──後ろは大丈夫よ』

セイバー「ありがとう。──勝利を、この一刀に誓う!」

ランサー「任せたぞ、セイバー。騎士の悲願を、此処に」

バーサーカー「⬛⬛⬛⬛⬛」

アイリスフィール「セイバー」

「・・・ご武運を、アイリスフィール。貴女の生に、祝福がありますように」

「ありがとう。私の騎士様。──またいつか、会える日を心待にしているから」

「はい。貴女がマスターで、本当に良かった」

・・・そして、全ての幕が降りる


「顕現せよ、『今は遥か理想の城(ロード・キャメロット)』──!!」

城が展開され、万が一の被害を押し留める備えが展開される

「令呪を以て命じます。セイバー、聖杯を破壊して」

アイリスフィールの令呪が、セイバーの輝きを増していく

「重ねて令呪を以て命じます。セイバー、この世全ての悪を祓って」

聖剣が輝きを放ち、上段に構えられる

「更に重ねて令呪を以て命じます。──セイバー。最早届かぬ悲願に、終止符を!」

その願いを込め──

リッカ「・・・──アンリマユ、か」

振るわれる、星の聖剣。人々の理想を込めた、渾身の一撃が──今、その力を解放する


「『約束された(エクス)・・・ッッ!!勝利の剣(カリバー)』ーーーーーッ!!!!!!」

振るわれる光は、聖杯戦争の終演を告げる。幕引きの一撃。理想の輝きに飲まれ──聖杯は消失を果たす

そして──

「ほれ、起きろ、坊主」

ウェイバー「ぎゃわんっ!?」

「むぉ、起きたか。いやぁ痛かったならすまんな。ちょっともう、力加減が出来んもんでなぁ」

起き上がるウェイバー、退去が始まるイスカンダルが、大の字になってねっころがる

「・・・勝った、のか?僕たち」

「あぁ。綺麗さっぱり消えたよ。まったく。散り際も鮮やかとは心憎いなぁ」

その退去は、聖杯の消失の為。最後まで無敗のまま、覇王は世界を立ち去るのだ

「あーぁ。受肉して、世界征服したかったなぁ。残念だなぁ」

「・・・それ聖杯の願いなんだからなぁ・・・」

何を話そうか、何を言ってやろうか。そう考えるウェイバーの前に・・・

「よき対決であった。見応えに満ちた漢の戦いとでも言っておくか。やはりそなたは愉快よな、征服王」

現れるは──御機嫌王ギルガメッシュ。傍らに獣と姫を侍らせし、天上天下、唯一無二の英雄王

「我が裁定を受ける気概は残っているか?喜ぶがいい。我が手ずから貴様らを見定めたのだ。さぁ──我の『報奨』を受け取るがいい」

「報奨・・・?」

──はい。勝利なき戦い、詐欺や騙し案件などなど、王は容認しないのです

最後の勝者へ、裁定が下る──

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