人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

501 / 2530
イスカンダル「わはは!大活躍ではないか軍師よ!どうだ、存分に駆け抜けることは叶ったか?」

エルメロイ「まったく。貴方は敵に回したくない。大体の計算違いが貴方だった上に御機嫌王も来たとなると本当にもう・・・!」

イスカンダル「フムン、・・・なんなら余も顔出しして混乱させてやればよかったかな?」

エルメロイ「胃が死ぬから御免被る!・・・しかし・・・報奨とはいったい・・・」


管制室

アイリ「アイリスフィール・フォン・アインツベルンと言います。皆さん、仲良くしてくれたら嬉しいわ。色々教えてね!」

ムニエル「・・・・・・──」

ダ・ヴィンチ「良かったじゃないかムニエル。更に更に美女!美女だらけの職場に・・・ん?」

「・・・らねば」

「ん?」

「彼女の笑顔・・・守護らねばならぬ・・・──」

「・・・ムニエル?」

「俺の見立てでは・・・アイリさんはまだ、ノータッチの御年頃・・・守護らねば・・・新たな同胞、守護らねばならぬ・・・カルデア職員一同で、守護らねばならぬ・・・!」

「まさか・・・ムニエル・・・」

(勘づいたのか・・・!アイリスフィールは・・・)

「守護らねばならぬ」

(制作九年の・・・合法ロリだと言うことを──ッ!!)


ACT―GORGEOUS『それぞれの結末、そして未来』

「お疲れさまでした、リッカ。今日はあなたの好きなものを振る舞います。好きに食べていいわよ。私の奢りってヤツね」

 

帰還を果たしたリッカとマシュを当然のように招き、スイーツを振る舞うはじゃんぬ。特異点攻略後の恒例、スイーツ打ち上げの始まりである。これを皆で行い、初めて作戦の完了が告げられる。オルガマリー、ロマン、マシュ、リッカが集い、饅頭やプリン、ケーキやコーヒーゼリー・・・パティシエすら及びもつかない腕前の手作りの品をそれぞれ味わい、スプーンを動かしている

 

「今回は割りとおしとやかに振る舞えたという自覚がある!私真っ当なマスターしてた気がするしね!うぅん、この特異点でまた私はマスターとして高みに上ってしまったみたいだね・・・むふふ!」

 

【馬鹿言いなさんな。おしとやかなマスターが石をぶった斬って私を倒せるかっての。最後の最後で私に勝っちまったお前は自分で人間止めました宣言したようなもんだぜ?人間には絶対負けないのが私のアイデンティティだってのにさぁ、凹むわー】

 

頭の中に響く声にちょっとだけ冷や汗をかくリッカ。転移する前の野暮用、最後の最期でやらかした自分の失態を知りがっくりとうなだれる。リッカポイントはまだまだ減ってくれないようだ。女ヘラクレス、源頼光の写し身、性別リッカなどの二つ名はいつになったら返上できるのか・・・なんとなく察したオルガマリーは、そっと香水を渡す

 

「焦らなくてもいいのよ。あなたはあなたなりに頑張りなさい。皆いるんだから、ね?」

 

「マリー・・・ん。分かってるよ、大丈夫!女子力を掴むその日まで、頑張るからね!」

 

「そうそう。止まるんじゃないわよ、ってね」

 

笑顔を交わしながら、互いのスイーツを交換し合い会話に花を咲かす一同。シバにゃんやダ・ヴィンチちゃんはアイリスフィールの検査で席を外しており、二人のスイーツはロマンがキープしている。メンバー毎に食べるスイーツを変えるのがロマン流であると彼は自慢気に常日頃から言っているが、男性職員から身体を労られ、女性職員からは不評を買っている。『あんまり美味しそうに食べるからこっちも食べたくなる』・・・といった理由なのだが

 

「んぐんぐ・・・正月ももうすぐ終わっちゃうねぇ。その後、何事もなく行けば次はバレンタインかぁ。君達は友チョコ、交換するのかい?」

 

「私はガツンと全員分作るつもりだよ!全員、サーヴァントと職員の皆も全部ね!じゃんぬでしょ、あまこーには桃と骨でしょ、兄貴とエドモンにはスペシャルチョコでしょ、ギルにはゴージャスチョコでしょ・・・」

 

「その事なんだけど、教授が煩くて・・・『マイガールオルガマリー!独り身で寂しいこのアラフィフを見捨てるような真似はしないよネ!ネ!?』・・・ちょっと気合いの入れたものを、アイリーンと作ろうかと。まぁ本命はギルなので義理ですが」

 

「私は先輩にまずは作ろうと思います!日頃の感謝、感謝ですよ!出来ればもっともっと頼って、とりあえずマシュ!くらいなポジションに付きたいと考えています!」

 

「そんな居酒屋のビールみたいな扱いでいいのかなすびぃ!」

 

「私は白米系ヒロインを目指すのです!あると嬉しい無くて寂しい!そんなポジションです!毎日のお供ですよ先輩!」

 

「コいてますよじゃんぬ、どう思いますかあの必死ぶり(笑)」

 

「埋もれないように必死ね(笑)」

 

「ぐぬぬぬ・・・!いつか必ず、先輩を私に首ったけにしてみせますから!」

 

「何故此処の席はヒロインだらけでラブコメが回るのかしらね・・・」

 

ロマンと共にコーヒーを啜り、そんな変わらぬ騒がしさを堪能するオルガマリーにロマン。そんな当たり前の日々がまた過ごせる事の喜びを噛み締めながら、その喧騒に目を細める

 

「ふふっ、そうだね。まだ恋愛面や異性面の情緒が上手く発達していないからかな?きっとこれからですよ。彼女たちはきっと」

 

「そうね、そうよね。・・・近いうち、オフェリアやペペロンチーノ、ヒナコに連絡を取ってみようかしら」

 

「あ、良いですね。マシュを気にかけてくれた彼女達なら、リッカちゃんにいい知恵を貸してくれるかもだし」

 

「キリシュタリアも会いたがってはいたけれど、アニムスフィアの業務で忙しそうなのよね。まともに会話も出来ていないし・・・」

 

「ははっ、再会はまたいずれ・・・ですね」

 

「そうなるわね・・・」

 

かつての仲間達と、どんなふれあいが生まれるのだろうか。平和な時の流れなら、きっと違う話が出来るのだろうか。きっと・・・マシュやリッカと友達になってくれるはずだ

 

「・・・そのうち、個人で連絡を取るとしましょうか」

 

じゃんぬとじゃれ合い、構って構ってとばかりにアピールするマシュを微笑ましげに眺めながら。ロマンとオルガマリーはコーヒーを飲み進める。改めて、かの聖杯戦争を乗り越え、立ち返った平穏を享受しながら

 

「そう言えば、ギルは帰って来ている?やることがある、なんて言ったきりだけれど」

 

「あー、彼は最後のアフターだってさ。ついでに・・・視察だって」

 

「・・・視察?」

 

そう、楽園を治める王はまだ帰還を果たしていない。彼の望む幕引きを。介入せし責務を果たさんが為に奔走しているのだ──

 

めんどうみ おくりだせしは けものかな

 

 

バーサーカー陣営

 

「じゃあ、行ってくるよ。桜ちゃん」

 

「うん!おじさん、ダメ人間脱却、頑張ってね!」

 

「あはは・・・あの王様が一生遊べるくらいの金額と口座をくれたけど、流石に此処までおんぶにだっこじゃ格好がつかない。とりあえず、手に職つけて社会的地位を上げるよ。桜ちゃんと過ごしていく為にもね」

 

「ありがとう、おじさん!私も嫌だから。私の為に頑張ってくれた人を、無職ニートのダメ人間なんて周りに伝えたくないから!」

 

「う、うん。よーし!新しい人生を始めよう、桜ちゃん!もう大丈夫、だよね?」

 

「勿論!赤マントさんや赤毛の人、謎のインド妻Pさんに家事を教わったから!自炊力ないズボラでセンスがないおじさん一人くらい支えていけるよ!」

 

「し、辛辣だなぁ・・・よーし!じゃあ行ってきます!」

 

「いってらっしゃーい!スーツに着られてるけど頑張ってねー!」

 

(もう時臣なんてどうでもいい。桜ちゃんを幸せに・・・いや、桜ちゃんと一緒に幸せになってみせる!見ててくれよ、王様。絶対に、あんたの恩に報いてみせる!)

 

「えーと・・・広告記事は・・・ルポライター募集、ギルガメ☆ブロッサム・・・?」

 

 

アーチャー・アサシン陣営

 

「では、行って参ります。葵殿」

 

「綺礼さん、どうかお気をつけて。楽しんできてくださいね」

 

「えぇ。我が父も後進に後を任せ一端休暇を取ると決断してくださったのが幸いしました。私はこれより麻婆の聖地、メソポタミアの麻婆神エレシュキガルに参拝しつつ留学を行い麻婆を極めて参ります。父も理解を示してくださいました。父は先んじてこちらに戻りますが、私が此方に戻る日は・・・免許皆伝を受けてからです故、日にちはお伝えできません」

 

「夫が寂しがります・・・凛も、あなたになんだかんだでなついていましたから・・・」

 

「ははは、正直鬱陶しかったので清々・・・いや何も。まずは父に、親孝行をしてやりたいと考えて──」

 

「キレーイ!!まだいる!?まだいるわよね!?」

 

「おや凛、どうしたのかねはしたない。そういうテンションはあと10年ほど後にとっておきなさい」

 

「私も連れてって!もうなんていうかお父様が老けに老けて見ていられないわ!もう一刻も早く一人前にならなきゃ死んじゃう!遠坂の危機よ!遠坂の!」

 

「ははは、あれだけ無様を晒してボロ負けしていてはな。無理もないだろう。我が師に心中お察しします(笑)と伝えてくれるかな?」

 

「なにヘラヘラ笑ってんのよあんたはぁ!お父様を護ってくださいってお願いしたのにぃ!」

 

「マモレナカッタ・・・ではない、護ったではないか。生命はな。それ以外の全てはこのザマァ、だったがね」

 

「~!!行き場に迷え、バカ神父ーっ!!」

 

「あ、あはははは・・・こちらは心配なさらないで、どうか・・・父を大切にしてあげてください」

 

「はっ。それでは、御元気で」

 

(落ち目の師など心底どうでもいい。それよりもメソポタミア、ウルクに私の信仰の在処がある。麻婆神エレシュキガル、そして・・・未だに色褪せぬ尊き美女の像。穢れに穢れたこの身に降り注いだ福音が、聖地を巡れと囁いている・・・)

 

「いざ行かん!我が新たなる研鑽の地へ!私の愉悦の道は、これより始まる──!!」

 

ランサー陣営

 

「・・・不思議なものだな、ソラウ」

 

「何がかしら」

 

「こうして五体満足でいられることそのものが、だ。もっと酷い目にあっていそうな気が、していたような」

 

「よかったじゃない。アーチボルトはあなたがいれば安泰よ」

 

「うむ、そうだな。・・・そ、ソラウ」

 

「何かしら」

 

「もしよかったら、この夜、ディナーというのは・・・」

 

「良いわよ。特に予定もないし」

 

「んハッ・・・そ、そうか!良かった!この日の為に予約をしていた店がある!夜に行こう!二人きりだ、あぁ!」

 

(・・・ランサー、無事に戦い抜いたかしら・・・まぁ、詮無い事よね)

 

「よろしい!これは義務や講習ではなく、デ・・・デートというものだ!」

 

(この人も、まぁ悪い人じゃないし・・・いいか、彼で)

 

「ほら、講習よケイネス。頑張りなさい」

 

「勿論だとも!いょうし、沸き立て我が血潮!フハハハハハ!」

 

(一夜限りの夢にしては・・・素敵な経験だったわ。それで、納得するのが一番ね)

 

 

キャスター陣営

 

「はぁ・・・・・・」

 

独房の中に、とある囚人がいる。鉄格子の中で、降り注ぐ月の光に照らされ、月を眺めながら・・・恍惚とした表情を常に絶やさない者が在る

 

最早外界は望めぬ程の重罪。出所は絶望的な身ながらも、彼の顔には微塵の嘆きも苦難も、悲しみも微塵も存在しなかった

 

彼はもう何も望まない、何も求めない。人生を駆けて追い求める真理を、もう彼は手にし、目の当たりにし・・・答えを得たのだ

 

「──綺麗だったなぁ・・・」

 

あの赤。もう二度と見られないような、真紅の色。アレを越える鮮やかさは、きっと世界の何処にもない

 

「俺が死んだとき、アレがこの世界にぶちまけられんのかぁ~・・・っくぅ~!誰か、誰でもいい!その場にいるヤツに見せつけてやんなきゃ!」

 

その瞬間を待ち続ける。その生命を懸けた芸術を、今一度披露する瞬間を

 

「見ててくれよ!俺ん中にある──最高のCOOLをさぁ!!」

 

 

彼は、待ち続ける。その瞬間を。世界に、最高の芸術を見せつけ、脚本を描く神に・・・歓喜を示す男が叫ぶ

 

・・・彼は待ち続ける。願わくば、その真紅をまた・・・目の当たりにする事が叶うことを

 

「COOL!!COOL!!COOOOOOOOL!!!」

 

彼は──待ち続ける

 

「おい!静かにしろ!」

 

「あ、すみません」

 

・・・かの戦争に参加した者達は、それぞれの今を、明日を生きる。

 

そして──最後の一組も。また・・・新たなる明日を生きていく。とある空港にて、彼等は世界を回る旅へ出るのだ

 

「おーい、ウェイバー。離れるんじゃないぞー」

 

「やだわぁ。私達が離れたら困る立場でしょう?」

 

少年を呼ぶ老夫妻。空港の便を確認し、待ち合わせを行っており、ごった返す人の中で手を振っている。彼等は少年・・・ウェイバー・ベルベットの催眠にて、彼を息子と認識『させられていた』二人だ。今は、その魔術はもう破られている。自発的に破られた・・・といった有り様で、彼が大切にしていたプライドの欠片も吹き飛んでしまった。その後、事情を話し・・・そして、なんだかんだで世界旅行をすることになったのである。マッケンジー夫妻の口座に振り込まれていた大量の財産を、折角なので、老後の生活に盛大に使わせてもらおうという事で、世界旅行もそんな感じで彼等が計画したものだ

 

「全くなぁ・・・いきなりアグレッシブになって、現金な人達だよなぁ」

 

「わはは、そういうな坊主。老いて尚盛ん!大変結構な事ではないか!」

 

呆れた物言いに、頭の上から能天気な声が響いてくる。本来なら──そう、本来なら。聖杯戦争が終えれば消え去るはずだった自らのサーヴァント、ライダー・・・征服王が『受肉』した状態で、現代風の格好にて現世に残り続けているのである

 

 

「はぁあぁ・・・あの金ぴか、大盤振る舞いにも程があるだろ・・・」

 

総ての戦いが終わった時、消滅寸前の自らの前へと現れた、御機嫌王と名乗るアーチャー・・・いや、ゴージャスは、慌てふためくウェイバーとライダーの前に、彼は差し出したのだ。──聖杯。僕たちが必死に求めていた奇跡の器を、要らなくなった容器を手放すくらいにあっさりと

 

 

 

『手酷い詐欺への補填と思え。ただの一度ではあるが、ありとあらゆる願いが叶おうさ』

 

罠かとも疑った。あれだけケチ臭かったアーチャーと同じ姿をした英雄王が、そんなに気前のよい存在であるものかと

 

『これは我の敷いた法の問題だ。我が関わり、参戦した戦いに、勝者のおらぬ半端な裁定など認めはせぬ』

 

『ほう、なんならアレか。貴様は我等を、財をお裾分けするに相応しい組と認めると?』

 

『然り。聖杯の刺客を制覇したのだ。的外れでもあるまい。そら、受け取るがいい』

 

あっさりと渡された勝利者の証。爆笑するライダー、愉快げな哄笑にて応える英雄王

 

『よぉし!豪気な王が寄越した聖杯、使わぬ手はあるまい!どうだ、背を伸ばしてもらうか坊主!』

 

呆れるばかりで、驚くばかりで腰が抜け、口から言葉がでなくても・・・それは辞退したことは覚えている

 

『よし!なら、遠慮なく余が願いを告げるとしよう!余の願いはただ一つ!!』

 

万能の聖杯を以て──コイツは願ったのだ。なんともない、奇跡を使うには、あまりにもあっけない願いを

 

『余は受肉を願い、一個の生命として根を下ろす!再びの生、存分に駆け抜けようぞ!!』

 

その願いは、確かに叶えられた。霊体から肉体へ、真なる生命へ。征服王の転生は、確かに果たされたのだ

 

 

そして──今に至る。マスターとして、なんとなしにこの主従は続いている。主従というよりかは・・・

 

「フフン、あの金ぴかめ。いつか世界を掴むがよい、その功績を、再び我等に挑む資格と定めるとは大きく出たなぁ?新たに覇を目指す余の前に立ち塞がる相手に不足はない!まずは手始めに──世界の総てを蹂躙しなくてはな!!」

 

完全にイスカンダルフリークとそのお付きみたいに見えてるだろう有り様だ。霊体化しなくなっただけで何も変わってない、聖杯戦争がそのまま続いているような不思議で、うんざりめな感覚

 

「・・・ま、いいか。どうせ生きるなら楽しまなきゃ、だろ?」

 

すっかり性根が変えられた自分の口から、自嘲げな言葉が出てくる。もう細かいことを考えていたらこの出鱈目な存在にはついていけない。死ぬまできっと、こんな感じで付き合わされるんだろう。ならいつまでも考えるのも馬鹿らしいと、論理的に考えた結果であった。開き直りともいうのかもしれない。その通りかもしれないから、考えたくない

 

「ますます分かってきたな!では、存分に見識と見聞、何処をどう落とすかどう楽しむかを考えながら回るとするぞ!いやぁ、空を飛びながら世界を回れるとはいいもんだなぁ!」

 

「まずはマケドニアだろ。言っとくけど、余がイスカンダルだーなんて言ったら頭のおかしい人扱いだからな」

 

「なぁに、辿り着けさえすりゃあこっちのもんだ!我が覇道!我が疾走!我が再臨を知らしめる為にも──まずは辿り着く事を始めねばな!」

 

「はいはい。そら、行くぞ。おじさんおばさんも待ってるからな」

 

「ウェイバーちゃん!アレクセイさん!遅れないようにね~!」

 

「別れちまったら野垂れ死にしちまうよ。しっかり連れてってもらわんとなぁ」

 

呼んでいる。新たなる世界が、奇妙な関係が、──彼方にて待つ、黄金の英雄王に挑む為の足掛かりとして・・・世界の総てを手に入れるための第一歩

 

「おおう面目ない!では行くぞ!彼方にこそ栄え在り!あの金ぴかと再び相見え──その先にある、最果ての海を垣間見るその日まで!」

 

「だぁーもう!空港のど真ん中で騒ぐなよなお前!」

 

「わははははははは!!謳歌する生命があるってもんはまっこと──素晴らしいの一言よなぁ!!」

 

・・・この戦いは、幕を下ろす。カルデアにて観測せしこの世界の出来事は、これがピリオド

 

果ての潮騒。それを彼等が耳にすることが叶うかどうかは──彼等自身の新たな疾走にかかっている

 

いつか、天上天下唯一無二の御機嫌王と刃を交えるその日まで。彼等は、一直線に駆け抜け続ける──




冬木・上空


《さて、粗方の裁定は終えた。存分に財を振るまい、彼方への愉悦を振り撒き、後は帰還を残すのみではあるが──当然このまま終わるとは考えてはおるまいな、エア、フォウ》

──はい。その表情を目の当たりにすれば否応なく確信いたします。何処へなりと赴き下さい。何処までも御供致します!

(戦闘は効率よく、消費は後腐れなく・・・なんだろ?連れていけよ、何処へだってさ!)

《ふはは、それでこそだ!では行くぞ!まずは夏の視察、そしてベンチャービジネスを目的としたハワイ!同時に投資の財を稼ぐ遊興に勤しむが故のラスベガス!朝にハワイ、夜にベガス!さぁ、堪能するぞ!ヴィマーナ往復にかかれば一瞬よ!!泡沫と消える世界であろうと、財の価値は永久不変!うぅむ、収益の採寸を自らの合わすなんと有能な王であろうか!》

──ハワイ、ラスベガス・・・!確かに王の赴く場に相応しいです!早速一等地ビルを買い取りましょう!

(ファッ!?一夜の遊びで!?エアも大分ゴージャス思考に!?)

──大丈夫!楽しむときは全力で、後腐れなく!フォウ、一緒に夕陽や夜景を楽しもうね!

(──エアが愉しいなら、オマエが笑ってるならいいか!よぉし、ヴィマーナの舵取りは任せて!何処までも連れていくからさ!)

──うん!ありがとう、フォウ!ではギル、号令を!

《ふはははははははは!!では往くぞ!カルデアへの手土産、存分に荒稼ぎしてやろうではないか!ヴィマーナ、発進!!手始めの目標はハワイ、ビジネスバトルの開幕だ!!》 

(ヴィマーナ、発進!待っていてね、ワイキキビーチ!!)

──カルデアの皆様、どうか、お土産をお楽しみに!

ヴィマーナが雲海を往く。後にハワイとラスベガスの宴を主催するゴージャスなる王の痛快な哄笑を、天空に響かせながら

王と姫、獣の愉快な行軍は何処までも、いつまでも続いていく──

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。