人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ヒロインX「~♪~♪」


『ヒロインX、ゴージャスモード計画!』

(アルトリアは常に進化していくもの!この豪華な楽園に招かれた私もまた然り!新たなる霊基に進化し、ギルのアルトリア浮気性に釘を刺さねば!)

「名称は何にしましょうか?ヒロイン・・・ヒロイン・・・ヒロイン・・・」

ギルガメッシュ「GXしかあるまい。ヒロインGX・・・うむ、まことにスーパータイプな強化ではないか」

ヒロインX「それです!!まさにギルに並び立つアルトリアに相応しいてうぉわぁあぁ!?いつから其処に!?」

「通りがかったまでよ。期待しているぞアルトリア。セイバーたる貴様にはない貴様のみの特色、見せてみよ」

「言われなくても!見ていてください!夏までには間に合わせてみせますからねーだ!」

(・・・私だけの特色、かぁ・・・ふふっ、分かっているじゃないですか、ギル!)


幕間カウントダウン!
獅子・ギリシャ・改築王


「さて、些か・・・いやかなり・・・うむ、非常に予想外かつ衝撃的な幕引きにもめげることなく勤めを全うしようではないか。そう!例え自らの追い求めた地上の星が、熱風吹きすさぶサバンナの王者に成り果てていようともだ!我はつらい、が、挫けはせぬわ!!ふふはははははははは!!」

 

衝撃というか笑撃の結末となった先の召喚。英霊の座からもサーヴァントユニヴァースからとも違う出所不明な謎の運命を見事引き当てし我等が御機嫌王ギルガメッシュ。先程まで頻りに首を捻り、珍妙な生物の来訪に喜ぶべきか困るべきか嘆くべきかを真剣に自問自答していたのだが・・・やはり最後は笑顔になることを選んだのだ。自らの醜態や困惑すらも愉悦に変える。分からぬことはとにかく楽しむ。それが人生の秘訣であると言うような胸の張りっぷりにて高らかに笑う姿は見るものを奮い立たせ、あるいはぐぐっと涙を込み上げさせ・・・またレンゲが進むであろう姿に他ならないのである

 

──流石!開き直りとやけくそ、ポジティブさにおいても並ぶものなき王の中の王、英雄王ギルガメッシュ!それでこそ・・・ワタシの大好きなギルです!

 

《であろう、であろう!人は本気で意味不明な事象に直面した際には笑いしか出ぬのだ!また一つ賢くなったな、エア!》

 

その姿をもエアは受け入れる。なんだかんだでギルの胸中と状態を的確に見抜く辺りは至宝と呼ばれる程に昇華された敬愛の為せる技である。王と姫は翻弄されている。サバンナに。野性のライオンに。何処へ向かっているのか分からないセイバーという存在そのものに。妙なテンションへ陥った友へ、たおやかながら醜態を楽しむ素敵な笑顔をにこやかに贈るエルキドゥとフォウ。どんな状態になろうと立ち止まることなく笑い続ける御機嫌王に敬意を送りながら・・・レンゲを動かし麻婆を堪能しているのである

 

「流石、僕も友として鼻が高いよギル。ほら、行っておいで。君の気を紛らわす業務・・・改築の時間だよ」

 

「わかっておるわ!気遣うか貶すかどちらかにせよ多忙なヤツめ!フォウを任せるぞ!リードを離して野に放るなよ!よいな!」

 

(ペット扱いするなって言ってるだろオマエ!まぁいいや、いつものように、気を付けてね!エア!)

 

──エル、ワタシの親友をお願いいたします!さぁ参りましょう!ゴージャスワーク、開幕です!

 

二人は赴く。新たなる財を飾り立てる責務と業務に挑む。──楽園に停滞と静止はない。それこそが、楽園が楽園たる所以なのだから

 

 

《ケイローンめは神授の叡智なるスキルがあったな。・・・取得が叶うスキルを粗方獲得するも悪くはないな》

 

──動物会話をアルトリアさんに対して使う日が来るとは夢にも思いませんでしたね・・・あ、気配遮断を覚えれば・・・フォウをこっそり驚かせたりもできるかも・・・!

 

二人は親しげに、楽園の廊下を歩んでいく──

 

 

アレキサンダー 大書庫

 

「うわぁ・・・!まさか生前に勝るとも劣らない自分だけの書斎を持つことが出来るなんて!嬉しいなぁ、ありがとう!英雄王!たくさん学んで、たくさん役に立ってみせるよ!」

 

──なんという眩しく輝かしい笑顔!しかして確かにイスカンダル王の浮かべる笑顔にそっくりです!なんて不思議な因果でしょう・・・これが噂の、劇的、ビフォーアフター・・・!!

 

《土地柄とはいえ、厄介な祝福もあったものよ。スキルの両立が叶えば、さぞや女どもの信仰を巻き上げたであろうな。フッ、詮無き事だがな》

 

「早速勉強しなくちゃ!先生!よろしくお願いいたします!こっちこっち!」

 

「・・・畏れ多いにも程があるのだが・・・」

 

「ふははははは!!愉快な因果があったものよな、忠臣!」

 

「僕の事と、大人になった僕の事は別々に考えて欲しいな。僕は今、この瞬間を大事に、大切にしたいからね。そんなわけで、色々教えてよ!先生!」

 

「・・・その押しの強さはまさにアイツそのものだな・・・良いだろう。未だ至らぬ身なれど、覇道の兆しを目覚めさせる手伝いをしてみせよう!」

 

 

──時を越えし主従・・・!ローマにおける縁は、確かに此処に紡がれたのですね・・・!

 

《そう言えば、お前に器を任せていた際に対峙を行っていたな。──成るべくして成った状況、という事か。・・・懐かしきものよ。たかが一年前だと言うに郷愁に囚われるとは。なんと濃密な日々であろうな、エア》

 

──はい。退屈などとは無縁。笑顔が絶えない、愉快痛快な旅路でした!

 

《変わらず歩むぞ!我等の旅路の終わり──遥かな時空の果てまでな!》

 

──はい!彼方にこそ栄え在り!我等が往くは星の大海!いつか、遥かな宇宙の果てに至るその日まで!

 

メディアリリィ 神殿風スイートホーム

 

「す、凄い・・・!かつていた神殿と、最新の一軒家が融合したようなデザイン・・・!?魔法も使わずに、こんなことが出来るなんて!凄いです、凄いです!ありがとうございます!私、頑張ります!嬉しいです!」

 

──可憐です・・・いつもの妖艶かつ悪女のように振る舞いながら健気さや人の良さがが微塵も隠せていないメディアさんにも、こんな一面が確かにあったのですね・・・!

 

《純白や無垢であるならば万事良し、と言うものでは無いのも確かよ。度を知らぬ盲信や無知は何より残酷となる。そら・・・》

 

「早速イアソンさまを招かなくちゃ!ゴーレムを錬成して、竜牙兵をたくさん拵えて御祝いして、パンケーキは何にしましょう?あぁ、魔神柱は皆消えてしまったのですよね、困りました・・・!何から私はパンケーキを作れば良いのでしょうか・・・!?」

 

──パンケーキは市販の材料をお買い求め出来ますよリリィさん!?

 

《見よ、殺意と恋慕に満ち溢れた一途ぶりよ。まこと下敷きは果報者よな。微塵も羨ましいなどとは思わんが》

 

「あ、お友達を招いてよろしいでしょうか!セイバー・リリィさんが話しかけてくださったのです!私、此処ならうまくやっていけそう・・・!あ、アイリスフィールさんに回復魔術のレクチャーがあるので、失礼いたしますね!」

 

──でも・・・例え行きすぎた純真さでも。誰かに感謝を告げ、懸命に奔走できる彼女はきっと、この楽園でも楽しく過ごせる筈とワタシは思います!いえ、そう信じます!

 

《であろうな。静止し、諫める輩には事欠かぬ。そら、見てみるがいい》

 

「よろしくて!?オルガマリーに余計な口を滑らせたらドスの若妻になることも吝かではなくてよ!?御願いだから、私の平穏と安らぎを脅かさないでくださるかしら!?本当に止めなさいよね!?」

 

「あ、怪しいフードの人が・・・!助けて!イアソンさまー!?」

 

「あぁあもう!回復に関しては素晴らしいから排斥するのも・・・!」

 

──自らの未熟さは、如何ともし難い・・・無銘の頃の弁舌のせいか、痛いほどに御気持ちが分かってしまいます・・・

 

《ふはは、見果てぬ夢の結末は未だ遠いぞ、エア!》

 

──その節は!まことに申し訳ありませんでしたーっ!ですからその、ツッコミ弄りはどうか御許しください~っ!

 

 

イアソン イマジナリーアース・ソーシャルジャパン・ワールド

 

 

「一個の超絶巨大ミニチュアワールド。略してイアソンワールド・ジャパン。匿名の若奥様Mからの提供だ。誰の提供かは全く心当たりが無いが随分と愛されているではないか。男冥利に尽きるな下敷き。御丁寧に縮小化、幽体離脱のおまけ付きだ。まさに至れり尽くせり。貴様だけの世界、思うがままに堪能するがよい」

 

『なんだか凄く見覚えのあるというかオレの形をしたエネミーが徒党を為してオレに襲い掛かってくるんだが!?何が匿名だ、こんな無駄に凝りに凝って少女趣味を拗らせた輩なんぞ一人しかいないだろうが!あぁクソ、オレが国を持ったらなーという願望を極めて忠実に再現しているのが凄まじく腹が立つ!うぉおぉおぉおダメだダメだ生きる生きる死ぬぅう!!』

 

──確かにこのミニチュアワールド、想像を絶する出来映えです!エネミーにはコンパチが一人もおらず、ランダムエネミーは絶えず変化!昼夜の概念やマルチプレイ対応・・・!それら全てが、イアソンさん絶対殺すワールドダンジョンに・・・!

 

《こやつの全自動伸縮鼻柱を絶えず削るのには丁度良かろう。命を落とせば脱出可能とは実に慈悲深いではないか。まこと甲斐甲斐しい者よな、メディアよ》

 

──憎しみだけではない、複雑怪奇な感情・・・恋愛とは、奥が深く恐ろしいものなのですね・・・

 

 

『ヘラクレス!!ケイローン!!アキレウス!何をしている未来の王がピンチなんだ助けてくださいメディアお前覚えていろようわぁあぁオレが迫って来るぅうぅう!!』

 

 

《愛は憎しみと共に廻る織物よ。うぅむ、改築と愛憎。これがかように結び付くとは。創造だけに想像もしていなかった、か。──ふははははは!!我のギャグセンスは相も変わらず冴え渡っているな!!》

 

──冴え渡りすぎて表情筋がスタンしております。メソポタミアの神々の皆様、ギャグセンスはそれほどまでに付与するのが難題だったのですか・・・!

 

 

キルケー キュケオーン屋

 

「ありがとう御機嫌王!お陰さまでキュケオーンをキュケオーンしてキュケオーンするキュケオーンの為のキュケオーン店が大開店だ!もうたくさん繁盛していてね!まさに目も廻る忙しさというやつだよ!どうだいギルガメ、食べていくかい?」

 

「要らぬ。我はシチュー派だ。ゴージャスの我が口にする真心の籠った女の手料理はただ一人と決めている」

 

──セイバーさんでしょうか?あれ?でもワタシのシチューはお食べになっておりますよね・・・?

 

《皆まで言わせるな馬鹿者。だがまぁ、その奥ゆかしさに操と義理を立てている、とでも思ってくがいい》

 

──??よ、良く分かりませんが幸せな方もいたものですね!

 

「なんだよつまんないなー。キュケオーン食べてピグレットになろうぜー。あ、そう言えば同時に恋愛相談も受け持ってるんだ!どんな反響か知りたいかい!?知りたいかい!?」

 

「・・・分かりきってはいるが一応聞いてやろう。血迷うか魔が差した行き遅れや敗北ヒロインはいくらいたのだ?」

 

「それがね!ビックリするくらい誰ものって来なかったんだよ!!おかしいなー。リッカは来てくれたのにさー。ヘラクレスに羽交い締めにされて連行されてさー。オルガマリーに声をかけたらアキレウスが『オルガマリーをその道に引き込もうと言うのならッ!まずはオレを倒していくがいい!』なんて言われたしさー。失礼極まりないよな!よし、ピグレットにしてやろう!」

 

「うむ、グッジョブと言わざるを得んな」

 

──キルケー敗北拳・・・後で民明書房を紐解くと致しましょう・・・

 

「なーキュケオーン食べてけよー。美味しいんだよキュケオーンー」

 

「いらんと言っていようが!我は最早間男では無いのだからな!散れ、散るがいい!敗北のオーラが移るであろう!」

 

「酷いなぁ!!いつか絶対食べさせてやるんだからなー!」

 

──今度、作り方を教えてもらおうかな・・・フォウも皆も、喜んでくれるかな・・・?

 

 

アイリスフィール アインツベルン城 セイバーライオン サバンナ円卓

 

「ありがとう!やっぱり住み慣れた場所が一番ね!スメバミヤコ、というのかしら!大切に使わせてもらうわね、王様!」

 

「ようやく現れたリッカに比肩するマスターなのだ、厚遇は当然よ。存分に羽根を伸ばすのだな。・・・さて」

 

「がおーん!」

 

──ファイトです!ギル!

 

「どうだ、気に召したか?貴様の馴染みのある机を用意するには多少手間を取ったがな」

 

「がおーん!」

 

「フッ、肉を掲げるとはな。貴様はアレか?セイバーか?バーサーカーか?」

 

「がおーん!」

 

「主を護れる実力はあるのであろうな?食い意地ばかりで敗退など、笑い話にもならんぞ?」

 

「がおーん!」

 

「・・・我の言葉、正しく伝わっているのだな?」

 

「がおーん!」

 

「・・・・・・」

 

「がおーん!」

 

──・・・・・・

 

「・・・・・・・・・そ、その。落ち込まないで英雄王。さっきすれ違った蒼い髪のランサー・・・でいいのよね?と大乱闘する反応よりは全然ましだから・・・」

 

「・・・そうか。いずこや獅子は似合わぬと何処ぞの雑種に吐き捨てたが、人と獣の壁は斯様に高いものか・・・」

 

「がおーん・・・」

 

「フッ、そのような顔をするな。何、理解できぬのならばするように勤めればよい!見ているがよい!我は必ず、貴様と意思疏通をしてみせよう!首を洗って待っているがよい!!」

 

「がおーん!」

 

「ふはははははは!!ではな!我等には、往くところが出来た故にな!」

 

──王よ!バウリンガルやアルトリアさん専用翻訳機の手配は・・・!

 

《今は要らぬ!意思とは、対話にて繋げるものだ──!!》

 

「・・・行ってしまったわ。大丈夫かしら、彼・・・ね?セイバー?」

 

「がおーん!」

 

「・・・私も、ライオン語を勉強しなくちゃ・・・!」

 




ケイローン「と言うことで・・・動物会話取得体験コースですか。まさか英雄王に教鞭を振るう日が来ようとは・・・」

ギルガメッシュ「コースを区切るも面倒だ。教える事が可能なスキルは全て寄越すがいい。半日でマスターしてくれるわ」

「これは、腕が鳴りますね。では早速参りましょう。あなたの友、エルキドゥが行う会話の原理は──」

──こうして王は研修王として生徒となり、動物会話を学ぶついでに一通りの英霊固有ではないスキルをAランクにて習得することとなりました。勇猛、気配遮断、陣地作成・・・ますます磐石となった御機嫌王が一番喜んだ事はそれではなく


「がおーん!(頑張りましたね!肉をあげましょう!)」

「ふはははははは!やはり困難は挑み蹴散らさねばな!獅子たる貴様との会話、確かに会得したぞ──!!」

──セイバーライオンと愉快に語り合う英雄王の表情は極めて晴れやかかつ爽やかで・・・

エルキドゥ「バカとなんとかは紙一重、だね。フォウ」

(愛すべきバカだからいいのさ多分。エア、お疲れ様・・・)

──それを見つめる友達は、困ったような笑顔でしたとさ。実り多く、同時に最強詰め込み教育でした・・・

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