人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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エルキドゥ「そうそう、そんな感じ。きっと君を彩ってくれる筈さ」

リッカ「押し花に、活け花・・・うん、物凄く静かで素敵な催し!ありがとう、エルキドゥ!」

エルキドゥ「どういたしまして。君のサポートは、ギルや皆も望むところだからね」



ヴラド「ほう。独創的ではないか。それは・・・」

「マシュだよマシュ。どう?このキリッとしてるけどちょろそうな感じがよくない?」

メディア「ふふっ。口ではあれこれ言うけれど、本心は一目瞭然ね」

オルガマリー「女史にも心当たりがあるのでは」

メディア「どーいう意味よオルガマリー!?」

キルケー「あはは!良妻願望持ちが何を言うのさ!」



リッカ「出来た・・・!リッカ特製、親子丼!!」

キャット「スタミナ丼に続き、いよいよカロメ卒業なのだな御主人!」

エミヤ「君が親子丼か。・・・あぁ。歪むことなく、真っ当に君を導いた何者かに感謝して戴こう」

リッカ「母上と金時兄ぃに食べてもらお!・・・あまこーは食べられないから・・・桃デザートに挑戦しよ!」




「私が現れた!!さぁスタッフの皆・・・命を懸けてかかってこい!!」

ムニエル「皆!脅威においてリッカを人間だと思うな!クラス・ビースト・・・バビロニアのティアマトママンと同格だと思え!!」

「「「「おう!!いくぞぉぉおぉお!!!!」」」」

【訓練開始!!明日の朝日は拝ませねぇ──!!】



「マシュー。前のオルテナウスってなーにー。教えてよー」

「ひ、秘密です!内緒です!」

「ほんとぉー?」

「た、楽しみにしていてください!今はまだ内緒ですので──!」



「キャラデコケーキとかどう?食べられるヤツで作って見て楽しめるヤツ!」

じゃんぬ「そうね・・・一手間かけたり、保存できるようにするのもいいかも知れないわ。いつか出展するのも見据えた展開、燃えてくるわ!」

「よーし、早速やろう!!」




「ヤッホォオォゥウ!!」

「イェーイ!!!風になってるぅう!!」



「あぁ・・・母は嬉しいです。こんな風に労ってもらえるなんて・・・」

「母上は私の母上だからね。親孝行させてよ!血は繋がってなくても、私の大事な母上だからさ!」

「──あぁ。歴史の果てに貴女に出逢えた事が私の生涯の報酬ならば。私が人類史に刻まれた事も、心から誇りに思えると言うものです」

「大袈裟だなぁ、母上は。子供が親を大切にするのは当たり前じゃん!」

「・・・母と子。貴女がそう言ってくれることこそが奇跡に他なりません」



あまこー「わふ(てしっ)」

「ほわぁあぁあぁあぁあ!!」

「ワッフ!」

「あっ──(消滅)」




外交・経済・契約ビジネスのプロ

「ありゃ?」

 

日頃の特訓、そして女子力を上げるための活動ノルマを完遂し、風呂上がりにてタンクトップにスパッツという、気安く自然体な姿で部屋を闊歩するリッカ。押し花、活け花、裁縫、料理作り、エネミー百人抜き、スタッフ達VS自らの無差別バトル、クソザコチョロ後輩いびり、じゃんぬとのスイーツメニュー考案、金時兄との足柄山ツーリングに母上の肩叩きマッサージ、あまこーもふもふチャレンジ(無条件敗北)の日常をこなし、ゼロカロを飲む彼女の目の前に、見慣れないものがある

 

「絨毯が丸まってる。何故に?敷くものだよねこれ」

 

そう。リッカのマイルームの部屋のど真中。数多のサーヴァント達が侵入か同居している為広大な彼女の部屋の中心に、ぐるりと巻かれた絨毯、カーペットが存在感を露に示している。全く覚えのない模様替え品の突如としたエントリーに、首をかしげるリッカであったが・・・

 

「ひょっとしたら誰かが気を利かせて用意してくれたのかも!風邪と借金以外ならなんでも貰うのが私のセオリー!ありがたく貰っちゃおう!」

 

豪胆と単純と人懐こさが高次元で融合している最悪のマスターに、そんな懸念は疑惑にすらならなかった。赤と金色の豪奢かつ、なんだか神々しい光を放っているカーペットを敷いてみよう、とりあえず広げてみようと手を伸ばした彼女は──いや、『彼女が』驚愕してしまうこととなる

 

「トォーウ!」

 

手にした瞬間、ばばんとカーペットが広く展開され、ぐるりと広げられていくカーペットの軌道に合わせコロコロしながらその存在が現れる。転がりながらも跳躍し、空中三回転捻りにてモデル立ちにより着地。神々しい光を放ちながら現れる、美しき白地のドレスに身を包んだ来訪者が姿を──

 

「御機嫌よう!ワンオフにして致命的に逞しさと雄々しさ凛々しさに傾倒したあの頃のカエサルを想起させる妾のマスター!アナタとの触れ合いをちょっとかなりいえこっそりウキウキと待ち構えていた私クレオパトらぁあぁあぁ!?」

 

現した瞬間の行動は早かった。リッカは侵入者に即座に接近し懐に入り、脚を自らの足にて払いのけ体勢を崩させベッドにぼふりと押し倒し、侵入者の首に即座にへし折れるよう左手を添え余りの右手を顔面粉粉砕の為に振り上げ護身迎撃の構えを取る。乙女の嗜みたる護身術。リッカがいつか暴漢に襲われた際クールかつデキる女を現すように身に付けケイローンに監修してもらった戦法が炸裂しクレオパトラを抑え込む

 

「──あれ?パトラさんじゃん。どったの?」

 

完全に無力化した段階で識別をリッカが終える。この一連の流れは身体に叩き込んだ無意識のものなので、尋問や質問の段階に移行するまで彼女は人物の認識をしていないのである。クレオパトラは冷や汗をかきながら、押し倒された事実に感嘆と困惑、そしていつかカエサルにやってもらいたいことメモに追加しながら声を上げる

 

「い、一分の無駄も無く押し倒したその不敬と鮮やかさ!女性に組伏せられるなんてファラオ史上唯一無二の体験をさせてくださった事実にはお礼を言います!ですがその、妾も悪かったとは言え余りにも殺意と合理的が過ぎるのだけど!?」

 

「乙女の貞淑は護らなければならないと決意した私が考えたリッカ護身術だからね!まぁ男性だったらここから股間潰しが入るんだけどね、女性はこうやって・・・」

 

「解りました!解りましたから離してくださらないかしら!生きた心地がまるでしなくてよ!涙が出てきたのだけど!妾のマスターを驚かすつもりが、ヤブヘビならぬヤブコブラなのだけど!」

 

「ごめんごめん!簡単なお菓子作るから赦して!」

 

涙目になったクレオパトラを落ち着かせるために手早く離れ、じゃんぬから教わったクッキー、鈴鹿から教わったフローラルな香りをかぐわす魔術をちょちょいと使用し、そのままクレオパトラをもてなす。クッキーを食べ、いつもの調子に戻り始めたパトラは脚を組み、優美に髪をかきあげ本題に移る

 

「妾は貴女を大変評価していると同時に大変悲しく感じています。例えるならパーティーで妾だけ呼ばれなかったような、例えるならレジャーキャンプで一人だけテントがないような空虚かつ寂しい想い。まぁそんな体験はしたことなど無いのだけれど!」

 

「ほへ?なんれ?」

 

「勿論!妾はファラ・・・コホン。そうではありません。いえ、そうではありますがそうでは無いのです!──もう!妾を焦れさせるなんて罪深きにも程があってよ!」

 

タタン!とバック転からベッドの上に飛び乗り、靴を脱ぎ去りつつビシリとポーズを取り、高みからリッカを指差しピシリと告げるクレオパトラ。そして、その溜めに溜めた鬱憤を優美かつ鮮烈に示してみせる。『その道』においてプロフェッショナルたる者が、嘆きと悲憤を高らかに歌い上げる

 

「藤丸リッカ!妾のカエサル様の次に凛々しく雄々しき、体型的に私が目指すカエサル様の理想そのものたるマスター!」

 

「引き締まりまくりってこと!?何故私を見て皆シェイプアップかビルドアップをイメージするの!?」

 

「貴女が今懸命に目指し、求め、頑張っているものはなんでしょう!?語るまでもなく貴女の理想の具現にして概念そのものたる妾の前で!朝の目覚めを知らせるニワトリのように!あるいは貴女なら、そうね・・・サバンナの大地に帰還したライオンのように口にして御覧なさいな!」

 

「⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛!!!!」

 

「きゃぁ!?じ、実際にライオンの鳴き声をしなさいと伝えたわけではなくてよ!?」

 

ヘラクレスと咆哮、発声練習の一環で身に付けた獅子の鳴き真似を想像以上に真面目に受け取ってくれた彼女にリッカは好感を懐く。なんだか面白いなこの人と笑いながらリッカはふむと思い更ける。自分が目指すもの。それはなんと言っても・・・

 

「素敵な女子!」

 

これしかない。神室町で百戦錬磨や高校全国制覇、あるいはじゃんぬと世界を回ってスイーツ巡り何て言うのも思い付きはしたが、やっぱり自分はこれだ。誰かを護り、家庭を護り、子供を産んで育む立派で素敵な女子になりたい。その為に毎日を過ごし奮闘しているのである

 

「そう!じゃんぬ店長の嘆願もあり、貴女を放っておけないと総ての英霊が退去を留まりました。・・・ま、まぁ。余りにも厚待遇かつ素敵な環境なので自ら霊基を捨てる者がいなかったというのもあるけれどそれはそれ!貴女はそう!ビューティーな女子を目指している!それは確かな事実よね!えぇ知っています!だというのに、だというのに・・・!」

 

ぐぐっと拳を抑え、オーバーリアクションにて自らの感情を表現する。具体的にはその場で跳躍しバック宙返り、ベッドから降り優雅に左右にムーンウォークを披露し行ったり来たりした後にびしりとリッカを指差す

 

「何故!声をかけてくださらないのかしら!?クレオパトラ・フィロパトルと言えばあらゆる美の概念にして顕現にして象徴!あなたが目指し、真っ先に教えを乞うべき相手に他なりません!待っていたの、待っていましたの!貴女がいつ妾のマイルームを訪ねてくれるか、妾が貴女のために考えに考えていた美と戦いを両立する戦法をいつ披露するか!それなのに貴女は日本とギリシャを行ったり来たり、その妾程ではなくても可愛らしく愛くるしい身体と見目にむくつけき筋肉すなわちマッスルを溜め込みに溜め込んで・・・!カエサル様に見習わせたい程です!頑張りやさんにも程があってよ!?

 

「褒められてるの!?貶されてるの!?」

 

「勿論誉めています!だからこそ糾弾しているのです!だからあぁして恥を忍んで部屋に遊びに来たというのに逞しく押し倒されてしまう始末!あぁ、カエサル様であればそのまま・・・こほん!と!に!か!く!」

 

ぐりんと上体反らしにて指をさし、リッカを賑やかに糾弾し心配する親切な高飛車ファラオ。彼女なりの言葉を、リッカに投げ掛ける

 

「何故!神とすら仲良くなれるワールドワイドコミュニケーションドラゴンな貴女が私に会いに来てくれなかったのか・・・いいえ、そもそもファラオ陣営に顔を出してくれなかったのか!貴女に訓練を施す前に聞いておきたいのです!」

 

「あー・・・」

 

そういえば、とリッカは手を叩く。彼女の意見の真意を掴みとる。言われてみれば思い当たる。そういえば、彼女たちファラオとは、あまり会話をしていた記憶がない。まぁそれは避けていたという訳ではなく、単純に・・・

 

「畏れ多かったからです!ほら、不敬とか厳しいから、きっちりとした作法とマナーを身に付けるまで謁見はちょっとなー、なんて・・・」

 

そう。オジマンディアスを初めとしたファラオ達は紛れもなく偉大なりし存在。周りにいる、ギルを初めとしたフランクな王様とは礼節に対する当たりが違う。下手にフレンドリーに話しかけ、首が飛んだりしてしまっては余りに・・・そして、歴史の偉大なる存在に粗相を働いてしまう事が引っ掛かるため。気にしない、自然体な英雄ならともかくそれを重んじ、当然とするファラオ達には、相応しい礼儀を覚えるまで距離を置いていた事は事実である。モーセ、イスカンダルなどとは仲良しなのだが・・・未だにオジマンディアス、ネフェルタリなどは廊下ですれ違ったら最敬礼か土下座ものである。楽園の彼は比類なく穏やかなのだが、それはそれである。ギルと同格の王、静かに微笑む彼の気分を、万が一にも害したくないとリッカは考えている。愉快に笑い、肩を叩く王がギルならば、静かに微笑み、幸福を堪能するオジマンディアスを邪魔したくないというスタンスなのだ

 

「・・・そう、その通りです。ファラオは敬うべき存在、信仰すべき存在です。でも・・・」

 

「?」

 

それは当然の反応である、という言葉と、それは分かっているのだけど、という沈んだ声音。相反する態度に、リッカの眼は意図せず煌めく。彼女は何を告げたいのか。何を伝えたいのか。いつもの対話モードに入らんとしたその時──

 

「──決めました!!えぇ、決めましたとも!貴女がそう言うのなら、『ファラオに遠慮している』と言うのなら!妾も一肌!いえ脱衣やそういうアレではなく・・・慣用句!概念的な一肌を脱ぐとしましょう!そう、敬虔かつ大胆、奥ゆかしく不敵な貴女のために!そう、その為に妾はこうして脚を運んだのだから!」

 

途端に目映く輝き始めるクレオパトラ。世界三大美女に数えられし存在たる究極の美の化身が、リッカの部屋を物理的な輝きで満たし、煌めき、包み込んでいく

 

「うわっまぶしっ」

 

「そうでしょうそうでしょう!これは貴女が招いた輝き!そして貴女が身に付けるべき輝き!貴女のサーヴァントとして、ファラオとマスターの友好を深めるかけはっ──こほん!」

 

リッカの目を眩ますほどのまぶしさが、物理的に干渉を行えるほどのきらめきが、リッカを包み込み、そして・・・

 

「さぁ、行くわよ!妾と貴女、女子が織り成す麗しき研鑽の血!シミュレーションルームへ──」

 

「まさか、この光と一緒に──!?」

 

「勿論──徒歩です!あ、クッキーはとても美味でした。後でお土産としてラッピングを所望します!」

 

「あ、ワープ的なアレではないんだね!」

 

輝きを納め、ストンと腰を椅子に下ろし残りのクッキーを頬張り、優美な一時をきちんと過ごした後に。・・・クレオパトラは、リッカをエジプトの神秘へと誘う──

 




シミュレーションルーム

リッカ「マシュの顔より見たシミュレーションルーム。と言うわけで此処で待っていろって言われたけど・・・おーい、パトラやーい」

(ファラオってあんなにテンション・・・高いね!オジマンディアス王は戦うときあんな感じだもんね!)

「そういえば、レオニダスの特訓やったなぁ・・・まさか裸でなんとかなるとは・・・ヘラクレスのネメアライオン殺し、習っといてよかっ──うわっ!?」

醜男(ゴブリン)『ヘヘヘ・・・』

醜男(ウェアウルフ)『なんだか毛深くない仲間がいるぜぇ』

醜男(ゴーレム)『姉ちゃん・・・姉ちゃん?まぁ姉ちゃんか。俺らとお茶しなーい?』

「おぉっ!?シミュレーションでナンパ!?新鮮!でもなんで可愛いとか綺麗とかが出てこないんだろう!?仲間とかショック!」

『『『いい女性紹介してくれー!!』』』

「目の前にいるじゃん!!一応女の子がぁ!!もういいや、桐生さんよろしく力尽くで私が女子だって解らせてあげなきゃ!」

?「──フッ、そんな野蛮なギリシャ発想からは卒業するときよ、リッカ!」

「!?」

「トォーゥ!!ファラオの構え!」

高笑いと共に現れたファラオ・クレオパトラが颯爽とポージングを執り行う

『『『うぎゃあぁあぁ!?美しい──!!!』』』


「ポーズだけで、出た光が物理的に敵をやっつけた!?今のは・・・!?」

「ふふふ、これこそが、妾が貴女に伝授する美しさ×輝き+女子力(+エジプトの神秘)=破壊力!神秘なる必殺の技、名付けて──」

びしりと宣誓する。そこには、ようやくマスターと触れ合える喜びが滲み出ているような弾んだ態度があり、そのまま振るわれ、行われる


ファラオ闘法!!さぁリッカ。強く、美しくなる時よ!それと貴女のコネクションで、ギリシャ筋肉コースの席を一つ確保しておくように!」

「ファラオ、闘法・・・!」

今、クレオパトラの回りくどいマスター交友が始まる・・・!

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