オジマンディアス「ほう、これが日本のシースー、とやらか。エビ、マグロ・・・ほほう」
ギル「板前。大トロにウニを握れ。常に特別と最高の品を我等に振る舞うがよい」
「へい!」
アルク[寿司、か・・・海産物を好んで喰らう物好きが高じて生まれた酔狂な・・・ッッ~・・・!?]
式『わさびは効くわ。気を付けてね。玉子を食べるとその店の美味しさが解るって本当かしら?』
ネフェルタリ「へ、ヘイイタマエ。えっと・・・イクラ?イクラをくださいな」
マリー「ヘイラッシャイ!あちらからあちらをくださいな!」
──わさびは取ってあげるね、フォウ。好きなのを頼むなら、ワタシに。板前さんの脳内に直接語りかけるから!
(ありがとう!エアやみんなのために、プレシャスパワーで品質を最高鮮度にしちゃうぞー!)
ギル「ふはは、しかし痛快であったな。お買い求めは?と問いを投げた店員に『権利書を寄越せ』と大金をくれてやった時の顔は実に愉快であった!」
オジマンディアス「うむ。王の売買とはこうあるべきよな。よし、御機嫌の。次はカラオケとやらを堪能するぞ!」
「良かろう!土産は増えるばかりだが案ずるな。ヴィマーナオートで速達よ!!我等の漫遊はこうでなくてはな!ふふははははははは──!!」
板前「頭に女性の声!?こいつぁ・・・寿司の女神!?」
──聞こえておりますでしょうか?中トロを・・・中トロを御願い致します。貴方の腕前を、どうか振るってくださるのなら。これ以上の喜びはありません
「へいっ・・・!!ちくしょう、ワサビより染みらぁ・・・!」
(わかりみ・・・)
「お疲れ様でした!またよろしくお願いしまーす!」
シミュレーションルームがダウンし、人類最悪のマスターたるリッカが勢いよく頭を下げ挨拶を交わす。その快活にして溌剌な肢体にかいた汗を拭いながら、変わらぬ人懐こい笑顔を浮かべる。今回の彼女は、マスターとしての立ち振舞いとやるべきことを享受する立場であった。自分の経験と戦法を説明し、同じマスターとして生存力と状況打開の機転を身に付けてほしいという思いと共に、リッカなりに特訓に付き合ったのだが・・・
「はぁ・・・はぁ・・・お、お疲れ様。本当、貴女が敵じゃなくて良かったわ・・・」
「がぉーん・・・」
元気なリッカとは対照的に、大の字に伸びるせいばーらいおんに肩で息をするアイリスフィール。常に走り回りポジショニングを徹底、令呪を使うかマスター礼装を使用するか、サーヴァントを使役するか、あるいは自分で殴りにいくか・・・彼女の身体を全力で張り、人間の身体能力を限界まで使用し、思考も同時に巡らせるという極限状態にアイリスフィールは立つのがやっとというほどと疲弊し、せいばーらいおんもまた、『侵食され分解しようとしてくる、霊核を砕きにかかってくるマスター』という驚愕を通して理解不能な存在に心身を削られ疲労困憊といった様相を呈している。マスターを護りながら触れたらアウトな人間とマンガ肉で切り結んだ果てに大の字にぐでーっと突っ伏している。
「アインツベルンの秘蔵っ子としての自覚はあるし、自衛の為の魔術は修めているけれど・・・本当の規格外の前には些末な事なのね・・・針金を力業で当たり前のように引きちぎるのだもの。笑うしかないわねぇ・・・」
彼女も紛れもなく一級品、まさに最上級のマスターである。せいばーらいおんに万全な魔力を送り、自らもアインツベルンにて学んだ特製の魔術に礼装を自在に操ることが可能な程に、回路も魔力量も申し分ない。並のマスターは勿論、直接対決には不得手なアサシン、キャスターなら単独で撃退が叶うほどの傑作だ。本来なら少女であり一般出身であるマスター歴一年のリッカなど相手にもならないのだが・・・──彼女の過ごした一年は、一人の少女を規格外の存在にするほどの壮絶な一年であるという一言に尽きるのである
「あはは、よく言われます!マスターは生き残って当たり前だから、魔術くらいは真っ正面から捩じ伏せろと教わっているので!」
スタンをはね除け、魔術を呑み込み、ひたすらに突っ込んでくる存在を果たして一般人と呼んでもいいものか。楽園がマスターを募集しない理由を痛感した二人が、深々と息を吐く。それに彼女から放たれる、呪いのような威圧のような強烈極まりない正体不明の邪気が、二人の疲労を加速させていた。リッカが言うには特訓にて身に付けた闘法であると言うのだが・・・
「がぉーん・・・」
最早そんな事を考える余裕すらないほどに気を張ったせいばーらいおんはグロッキーである。頭をリッカに撫でられながら、しなびたアホ毛が力なく揺れている
「せいばーらいおんもお疲れ様!なんだかんだでアイリさんに攻め込めなかったの、本当に凄いよ!流石アルトリアだね!」
変わらず朗らかに挨拶を交わし、助け起こす。シミュレーションは終了し、アイリスフィールはこれからカルデアスタッフの座学講習に赴かなければならない。自分との時間はここまでだ。あとは自主学習の時間である
「今日はありがとう。私ももっともっと頑張らなくちゃ!」
「こちらこそ!治癒魔術を手解きしてくださってありがとうございます!からっっっきしで本当ごめんなさい!」
武術には比類なき特性を見せるリッカだが、その代償か反動か万能である事は許されないのか、正規の治癒魔術、錬金術などの魔術の適性は悲しいレベルであった。三時間かけて、他人の擦り傷しか治せず、ビー玉クラスの魔力結晶を生成するのに二時間しかかけられなかった。泥が存分に代用は可能であり実際そうしてきたのだが、他の家の魔術、一般的な魔術の適性は皆無に等しい。比類なく適応した『この世全ての悪』が事実万能であったが故に事なきを得たが、それを抜きにしたリッカの魔術師としての才能は素人に他ならない。魔術師としての完成度はオルガマリーやアイリスフィールには遠く及ばないのである。
だがそれをリッカは不満に思ったことなどなく、むしろ歓迎している。自分は万能でなくていい。スタッフやヒーラーとしてのアイリスフィール、ウィザードやライバルとしてのオルガマリー。自分にない分野を持つ人間を頼れるという幸運を実感できるからだ。誰かを真っ直ぐに頼れる事こそが、自分の美点であると信じているが故に
「いいのよ。教えるって楽しいもの!じゃあまたね、リッカ先輩!これからも、色々教えて頂戴ね!」
「がぉーん!」
手を振り、別れる二人の背中を見送る。頼もしい仲間と、いつか肩を並べる事を心待ちにしながら、リッカは自分のお腹を抑える
「むむ、お腹すいたなぁ」
今日の特訓・・・走り込み、腹筋背筋腕立て模擬戦その他諸々は完遂し、課題は全て終わらせた。やることといったら女子力の為の勉強と活動であるのだが・・・ぐぎゅるるるぐごぉ、という肉体の頑強さに比例した龍の鳴き声のような腹の虫ならぬ腹のドラゴンをさすさすしながら・・・リッカはポンと手を叩く
「よーし!最高のたんぱく質取りに行くかぁ!」
丁度時刻は昼回り。今こそエネルギー補給をガッツリ行くための食事・・・喰らう時である。リッカはよだれが垂れそうになるのを抑えつつ、龍の少女は楽園を駆け抜ける──
つよくなる たべてもりもり けものかな
「ベオニキー!来たよー!」
楽園の一角、黒と赤の交差した剣の看板、武骨な店作りの入り口をくぐる。漂う重厚にして濃厚な肉の匂い。油が弾ける音、目を引くサンプル。空腹を自覚させ食欲を促進する極上の空間にリッカは辛抱たまらんとばかりに声を上げる。そこはリッカがソロで足を運び、食欲に身を任せガッツリ食べに食べまくる御気に入りのお店・・・
「おう!今日もガッツリ腹空かせて来やがったな?そら、座れ座れ!ガッツリ食べさせてやるからなぁおい!」
傷だらけの強面に、逞しい肉体。そして浮かべる獰猛な笑み。──ステーキハウス・ベオウルフのオーナー、ベオウルフが常連客のリッカを快く迎え入れる。ジーパン、上半身裸体にエプロンの姿でリッカの来訪を歓迎し挨拶がわりにサラダ特盛と野菜ジュース大ジョッキを机へ置き注文を伺う
「いつものリッカスペシャル!お願いしまーす!」
「おうよ!景気よくガッツリ行けよ!」
ナプキンを取り、阿吽の呼吸で伝わりあったベオウルフが厨房へと戻る。ひたすらにサラダを野菜ジュースでかっこみ。シャクシャクと豪華な野菜たちを喰らっていく。瑞々しい感触に、食欲と唾液を生成しひたすらに食べに食べる。文字通りに前菜をただただかっこみ、待ちわびるメニューを・・・
「待たせたな!リッカスペシャルだ、ガツンと行けよぉ!」
リッカスペシャル・・・300グラムのステーキ二枚、特盛ご飯三杯、サブメニューの肉スープ。申し訳程度のプリンにビーフジャーキー、ミックスベジタブル。一人分の範疇を遥かに越えた量の料理を、待ってましたとばかりにかっこんでいく
「わーい!いっただきまーす!!」
ソースをかけ、跳ねとぶ肉汁すらも歓迎しながら一心不乱に肉を切り、ご飯に乗せかっこんでいく。焼き加減はレア。柔らかくナイフを受け入れ、一切りごとに旨味と赤身を見せつけるドラゴンステーキを血肉へと変えていく。最低限のマナーを守り、夢中になってかみ砕きその身の糧へとしていく
「支払いはブラックカードでいいよな?いつもありがとさんよ」
豪快な食べっぷりに満足げに笑うベオウルフ。彼は注文がし難いバーサーカー、ひたすらに単純にパワーをつけたいと願う者達の為に、楽園の片隅に慎ましくも豪快に店を構えている。肉しか置いておらぬシンプルさと明快さであり、洒落たサイドメニューはまったく置いておらずカロリーや体脂肪の勘定すらも度外視している味付け、単純に旨味のみを求めたステーキハウスを経営している。血肉を求め、単純に喰らう事を望む勇者豪傑が集うシンプルにて食事の原点を極めた店舗が此処、ベオウルフなのだ
リッカは特訓帰りに此処に通い詰めている。生半可なエネルギー消費では特訓にて餓死する危険性すらあり、不規則かつ不足な食事では肉体の質を落としてしまうがゆえに、極限まで良質なたんぱく質を求めて毎日この量の食事を昼に食らっている。格式高いギルガメテーブルクロス、アットホームでマナー遵守なエミヤ厨房、華やかな雰囲気のすいーつじゃんぬにはない単純明快にして豪快さを発揮できる此処は、ギリシャ組と食べに来るもよし一人で食うもよしの場所なのである
「こっちこそ!いつもありがとう!私が戦えるのはここのお陰だよ!」
ベオウルフもそれを理解し、格安の950QPにてこのメニューを提供してくれる。専用メニューには破格の値段ではあるが、食べっぷりが気に入ったという言、年頃の身体をしっかり形作るためという気遣い。何より──数少ないというか唯一の女性客のサービスという点もある
「おうよ。・・・なぁ聞いてくれよリッカ。長らく女っ気のねぇこの店によ、ようやくお前さん以外の女の子が来てくれるかもと期待できた事があったんだよ」
ベオウルフも気軽にリッカと会話を交わす。一度に要求されるメニュー量が尋常でないため、ほとんど店の外にはでてこれないのだが、リッカとは席に座り軽快な会話を交わすほどに気の知れた存在である。豪快ながらもしっかりと理性に溢れた彼は、聞き上手であり話上手であるが故、そしてバーサーカーばかりで会話の機会に乏しいため、自然にリッカと対話が増えるのだ
「お!やったじゃん!どうしたの?」
「おぅ。クー・フーリンの息子だか娘だかいるだろ。コンラがな、店の前をキョロキョロしながらうろうろしててよ。よだれ垂らして入るか入らないか決めかねてたようでよ。サンプルじっと見てやがんだ。んで、いざ入ろうとしたコンラをナーサリーが見つけてよ、なんて言ったと思うよ」
「なんて?なんて?」
「まぁ!いけないわコンラ!女の子が此処に入ってしまったら・・・マスターみたいにマッスルな女の子になってしまうわ!だってよ」
「あっはははははははははははは!!!確かにー!兄貴と一緒じゃないとねー!お子様ランチとか置いてないじゃんここー!」
「おう・・・申し訳無いことしたと思ってよ。今度、ガキ向けの軽いメニューを作ろうと思ってるのさ。で、だな。サイコロステーキだのは作れるが・・・デザートはからきしだ。リッカよ、顔を利かせてオルタ店長に提携の連絡つけちゃくれねぇかい?」
「あ、いいよー!お任せお任せ!じゃんぬも喜ぶと思うなぁ!あ、イメージキャラクターとか作らないの?」
「キャラクターねぇ・・・お前さん、いっちょやってみねぇか?CMとかであんだろ、うまそうに喰うやつがよ。ガキどもも怖がらず来てほしいってんで、お前なら信用すんだろ」
「ベオニキ顔怖いもんねー。優しいのにさー」
「初対面ってのはどうしてもなぁ・・・印象は拭えねぇのよ。つぅかどさくさで怖いとか言うんじゃねぇ!傷つくだろが!」
「はーい!あ、お代わりお代わり!ベオニキのステーキが、私の身体を創る!」
「おうよ。食べ盛りだ、ガッツリ食えよ!」
更に追加される料理、山積みされるご飯、定期的に焼かれるドラゴンステーキ。そのフードファイトの一時を・・・
『あぁ、いたいた!リッカ君、食事中すまない。ちょっといいかな?ひょっとすると、君に出張してほしい案件かもしれないんだ。それと・・・』
「ん?ロマンの旦那じゃねぇか。どした。緊急か?」
『あぁ、君のところにいたのか!丁度いい!君にも縁浅からぬ相手だ、来てほしい!』
ロマンの一報が、急転直下を告げる──
管制室
「すまないね。態々来てもらって。特異点・・・というより、気になる点が見つかってね。ギルは外出しているから、僕とオルガマリーが出撃許可を出すよ」
リッカ「穏やかじゃないなぁ。どうしたの?」
ロマン「うん。実は・・・」
ベオウルフ「いや、俺には解るぜロマンの旦那。特異点に反応・・・んで、俺に関係があるって時点で答えはひとつだ」
「?ベオニキに関係がある・・・?」
「──『グレンデル』。いちゃなんねぇ類いの怪物・・・そいつかそいつに関わりあるヤツだ。だろ?旦那よ」
ロマン「・・・あぁ。その怪物を・・・リッカ君とマシュ、そして君で討伐してもらいたいんだ。ベオウルフ君」
「グレンデルって・・・!?」
「おう。俺が、人生で一番会いたくねぇ相手だ」
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