モーセ「あはは。王の親友だなんてスゴい肩書きだよね。まぁでも凄くいいじゃないか。此処に来てから、ラーメスも英雄王も楽しそうだし」
エルキドゥ「全くさ。あんなに上機嫌なギルが存在していた事に本気で驚く日々にももう慣れちゃったよ。君の方も穏やかに弾んでるよね」
「そうなんだよね。目を閉じたり頷いたり。詩を書いたり歌を歌ったり。静かに喜んでるのが印象的だよ」
「ふふっ、そうだね。こちらは哄笑、そちらは微笑。対極だ。でも上機嫌な事に変わりはないさ」
「そうだとも、だからこそ・・・」
『完全崩壊したシミュレーションルーム第25室』
((きっと許してくれるはずさ!))
東京スカイツリー頂上
ギル「ふぁっ──くしゅ!」
オジマンディアス「フハハ風邪か御機嫌の!軟弱なりフハハハぶしゅっ!」
──風邪ですか!?いけません、即座に安眠セットと万能薬を!
ネフェルタリ「ふふっ、これはきっと誰かが噂しているのよ、エア」
──そうなの?噂されるとくしゃみが出るのかぁ・・・ひょっとしたら、エルキドゥさんやモーセさんがお土産なにかなー?と話しているのかも!ネフェル!行こう!おみやげ、おみやげ!
「ふふ、えぇ。一緒に行きましょう。フォウも、ね?」
(勿論です王妃!あぁ、楽しいなぁ!ボクのアヴァロンは・・・キミたちの傍だ!・・・ん?)
距離が離れた天文台
マナカ「いつかする、王子様と夜景デートの下見~♪」
ビースト・ラプチャー「えぇ・・・ラブホテル巡りは楽しみです♥」
フォウ「ファッ──!!!??」
グレンデル。イギリス最古の文学叙事詩『ベオウルフ』を原典とせし怪物。醜悪なる巨人と伝えられ、砦や荒野を徘徊し邪悪を為していたとされる邪悪なるものであったとされる存在。沼地を住処とし、かの人類初の殺人者、カインの末裔ともされし・・・一級品の伝承怪物である
『ベオウルフ君とリッカ君の絆が高まったのが原因なのか、異常な波が特定されたんだ。試しに千里眼で原因を覗いてみたらね。・・・君に縁深いであろう存在の反応が検知されたというわけ。そう、沼地の巨人、グレンデルの反応がね』
そう。ベオウルフの人生において、召喚において影響を与えられる存在となれば二つしかない。一つは老齢になった彼と激闘を繰り広げた名も無き火竜。だがこれが召喚されたのならば事態は更に派手となる事は確実である。幻想種最強の存在が現れたならば、ギルガメッシュを始めとしたトップサーヴァントを動員するほどの事態であるのだが、ギルガメッシュはザギンを満喫して不在であり、また時代を歪める程の反応ではないことからこちらの線は薄いとされた
「俺はアイツに止めを刺しただけだ。どっちみち今さら出てきて復讐だのなんだのを考えるほどみみっちいヤツじゃねぇからな。ドラゴンってのは、護る財宝に手を出されなきゃ何もしねぇ存在なんだよ」
「わかりみ・・・その代わり手を出したらマジギレするところまでわかりみ・・・」
生物学的には人でありながら、竜の生態と行動倫理に理解と共感を示すリッカにベオウルフは笑いながら、そしてこう続ける
「俺の人生に栄光と、同時に鮮烈な邪悪さを植え付けた怪物・・・其処までそろっちゃぁ間違いねぇな。人を弄ぶ邪悪。住処を捨てられぬ人、憩いの地を尊ぶ人間を狙って意味もなく殺しまくるクソ野郎。そいつがグレンデルっつー怪物だ」
『・・・縄張り争いや生物的本能ではなく、趣味嗜好で殺戮を楽しんでいる存在、と言うわけですか』
オルガマリーの声音に重々しく頷く。彼は言う。グレンデルには理性と知性があり、そして・・・邪悪であった。ただひたすらに、楽しみ、貪り、殺していったとし、殺されて然るべき存在であったとまで彼は断言する。そして告げるのだ。そんな理由の無い悪意を撒き散らすかの巨人こそが、最も恐ろしい存在であると
「グレンデルは邪悪を快感とした捻れた怪物だ。慈悲も情けも必要ねぇ。そんなもんは豚に真珠ってヤツだ。尊い感情ってのはな、向けられる側、受け止められる側の心にもソレがあるからこそ成り立つんだ」
慈悲、寛容、尊重。それらは、向けられた存在がその価値を知るからこそ輝く。だからこそそれらは相互理解、相互認識として昇華されるのだ。そもそも知ろうともせず、打算にて対応する。或いは他者の価値観を排斥する存在には無用なのだとベオウルフは言う。そういう存在には・・・啓示に傾倒した聖人や、自らのルールしか存在しない狂人か、『そんな醜さも受け入れる』『醜さすらも美徳とする』女神かそれに類する存在でもない限り、必ず拒絶や不理解に感情は傾くのだと
「とびきりの下衆や屑野郎を抱きしめようが脇腹を刺されて終わりだ。──この世にはどうしようもねぇ、生きてちゃいけねぇ生物ってのがいる。ティアマトが言ってたラフムとかいうのと同じだ。俺にとっちゃ、グレンデルがそうなのさ。さぁ、行こうぜマイマスター。不始末の尻拭いに力を貸してくれ」
「あいよ!ベオウルフステーキハウスのPRも兼ねてね!」
気性は極めて似かよっている二人は躊躇わず歩き出す。そんな中、マシュが目を白黒している理由を察し、オルガマリーが声をかける
『バーサーカーとは思えない、という感じね』
「は、はい。・・・まさか、バーサーカーなる方に哲学を教わる日が来るとは思いませんでした・・・」
『彼はあくまで、バーサーカーの語源になった存在だからね。彼自身はむしろ狂化なんていう言葉とは無縁な存在なんだよ。老醜を一つも晒さなかった、なんてそれだけでも大偉業なんだからね』
若き日には悪逆を働く怪物を正義感から討ち果たし、老齢になってからは民を第一とした王政を敷き、民を困窮させる災厄に真っ先に立ち向かった理性の人。ロマンは言う。凶暴さと理性がせめぎ合うバーサーカーが、ベオウルフなのだと
「・・・先輩が意気投合しているのも納得です。発狂などとは無縁、と言うことなのですね」
ベオウルフと鼻唄を歌いながら肩を並べるマスター、二人のバーサーカーなどという割とひどめな印象を振り払い、マシュは慌てて二人の後を追い掛けた──
とりあえず なぐるよけるよ けものかな
召喚された地点より少し歩いた際にたどりついた古城。其処に足を運んだリッカとベオウルフの表情が歪む。辺り一面に塗りたくられた鈍色の紅。引きちぎられ、食い破られ、叩き潰された凄惨な殺戮の跡が伺える有り様の現場──リッカからしてみれば覚えのある臭い。かつて英霊剣豪が撒き散らしていた・・・
「魔性っぽいことしてるんだね・・・やっぱり、ベオニキが言ってたことは間違いじゃないみたい」
左腕が疼いている。ほのかな血肉、報われぬ魂に龍哮が脈動し、血に飢えた魔性の存在に母上の護り刀が静かに雷を洩らしている。ベオウルフもまた、二振りの魔剣を構え舌を打つ
「チッ、こいつは上手くねぇな。人を食えば食うほど魔性に近付く。完全成体になる前に、とっとと頭をカチ割ってやるしかねぇ」
「異論なし。弔いは後でやろう。今は仇を討つ」
スムーズに意見を統一し、リッカは黒と白の鎧を纏う。祝福と呪いの龍鎧・・・その比類なき存在感に触発されたか、破壊され尽くした中庭に立つ三人の周囲から、獣のごとき咆哮が響き渡る
「近くにいるぞ!お前ら、戦闘準備だ!」
「はいっ!」
近くにいる。人を食い荒らす邪悪な怪物が傍にいる。否応なく高まる緊張、マシュも盾を構えマスターを守護せんと決意を振るう。真紅に染まる月。充満する血の匂い。高まる機運、思念の交錯──そして、二人が同時に声を上げる
『其処よ!三人とも!』
「オラァッ!!噛み付け、『
見敵より早く、ベオウルフは咄嗟というよりも剣の本能にて。あるいはオルガマリーの計算と理性にて。瞬時に飛び出してきた獅子、羊、蛇の集合体たる『キメラ』を迎撃する
「グゴアァアァアァ!?」
マスターを狙った奇襲の一撃は、ベオウルフの深紅の剣と巨大な盾により防がれる。堅い毛皮、硬質な皮膚を容易く切り裂かれ、血を撒き散らす。血を吸った魔剣、フルンディングが怪しく脈動しその臭いを記憶する
【サポートは任された!!】
月女神の弓矢に祈りを込め、月に目掛けて撃ち貫く。リッカの要請にアルテミスたる月とオリオン座が輝き、星の輝きが恋愛脳の彼女を描き、対等な友人であると定めたリッカへの支援と敵対者への裁きである無数の矢が降り注ぎ続け、突如現れたキメラを蜂の巣、串刺しのサボテンめいた惨状に変化させていく
「グゴアァアァアァ、ガァアァアァ!!!」
弓、剣の猛攻にて吹き飛ばされたキメラは直感する。剣を振るう相手、弓を放つ怪物は手に余る。容易く狩れない相手ではないのなら相手は無用だ。なぶることが出来る相手をなぶるに限る。ならば狙うべきは──専守が主な盾であると定義した
マシュに飛びかかるキメラ。爪、牙、そして巨大な身体を躍動させ、華奢な身体を引きちぎらんと跳躍する。少女など容易いと言わんばかりの判断は・・・その実、愚かで浅慮かつ失策であった
「はぁっ──」
息を吸い、マシュが呼吸を整える。ガン、と盾を叩き付け、体の全てを支えとし勇気を振り絞り、迫り来る脅威を盾越しに睨み付け・・・『マシュが先んじて動いたのだ』
「!?」
「はぁあぁあぁぁあ──!!!」
戦いを厭う存在とは思えぬ勇猛さと果敢さを見せ付け、キメラの懐に侵入したマシュのラウンドシールドが縦横無尽に振るわれる。叩き、押し、突き上げ、押し上げ、叩き込まれる。一つ一つが骨格を揺るがし内臓の駆動を留め、押し潰されるような衝撃が間断なく注がれる
【その後輩は見た目と違って硬いのだ!残念だったね!】
レオニダスとの特訓にて自分の心の在り方を定義したマシュは、勇気のベクトルの扱いを知った。感じる恐怖を抑え込むのではなく、勇気をもって立ち向かう。困難と障害に果敢に挑み、その果てに護る。攻撃は最大の防御。マスターの性質にも似通ったのか、その姿はまさしく守護の騎士そのもの。誉れ高き称賛を受けるに相応しいものだった
「グゴアァアァアァ・・・!!」
「っぅうぅう・・・!!」
キメラと盾を挟んでぶつかり合う。膂力は互角だった。力任せのキメラに対し、足運び、体運び、間合いの取り方・・・技術にてマシュは対抗してみせる。そしてそれは、押し返すための手段ではない
レオニダスの守勢は、けして倒すためのものではない。護るため、はね除け、押し止めるモノだ。彼等スパルタは、仲間に託す想いがあるから戦える。そう、それは仲間への信頼と確信。『自らの守護の果て、必ずや仲間が反撃してくれる』という確信と事実があるからこそ防衛に専念が叶うのだ。そして、その炎を心に宿したマシュもまた、その情念を熱く吐き出す
「今です!先輩!ベオウルフさん!」
その言葉を受け、左手にマウントされた月女神の弓矢、矢がつがえられていないままに突き付け光の弦を引き絞る。その所作に応え、月から一筋の光条が弓に装填され弓矢の完成を示す。カルデアの魔力を起動し、弓矢に乗せるその術式は──
【必殺!ガンド・アロー!】
引き絞り放った弓矢。月の魔力とカルデアのバックアップを乗せたレーザー矢が一直線──いや、マシュを避け無軌道に曲がりつつ対象に飛来しやがて直撃を成し遂げる。破壊力とスタンを兼ね備えた支援射撃に直撃し、動きが停止するキメラ
「!?・・・!?」
そのスタンは一瞬、そして致命的な隙。盾、弓の支援を受け、そして最後に残りしものは決定打。リッカの肩を踏み跳躍し、その二振りの魔剣を振り上げ・・・
「ブッ潰れやがれ!!」
ベオウルフの剛力にて叩き込まれし必殺の一撃がキメラの頭蓋に直撃する。吹き飛んでいくキメラ。その姿は即座に消え去り、血の跡がおびただしく刻まれる。かなりのダメージを与えたことは想像に固くない
『キメラ、古城に逃走したわ。追撃して仕留めましょう!』
『今のは大ダメージだった筈だ!うぅ、リッカ君は今更言うまでも無いけど頼もしくなって・・・』
感銘に咽ぶロマンを尻目に、一同はまだこの戦いが始まったばかりなる事を痛感する。この場所にキメラがいた理由。──巨人狩りは開幕を告げたばかりである──
ベオウルフ「連携はバッチリだったが流石にしぶといな・・・!」
マシュ「今のはキメラでは・・・!?」
「あぁ、言ってなかったな。グレンデルはその状況に応じて姿を変形させる『不定形の魔獣』だ。だからこそ、敵を追尾する『赤原猟犬』が必要だったのさ」
リッカ【あぁ、それがオリジナルなんだ!エミヤが便利に使ってるフルンディング!】
ベオウルフ「あいつぁ気に食わねぇがアイツなりにモノにしてやがるからな、気に入ってるぜ?まぁいつか落とし前はきっちり付けるがよ。追うぞ、付いてこい!」
リッカ【オッス!──マシュ!】
「は、はい!」
【ナイスガード!やるじゃん!流石私の後輩!】
「~~!!はい!実はですね今のは先輩を襲う108の困難の一つで先輩にキメラ型エネミーが迫った場合の戦術理論構築をもとに再現した戦術であって都合585回のシミュレーションを行い行動の選択にて実現した防御でこれは実質最高の後輩ではないかと──」
『マシュ、マシュ』
「ですから遠慮なくNo.1後輩と・・・、?所長?」
『リッカ、行っちゃったわよ』
「!?せ、先輩~!」
ロマン(忠犬みたいに自己主張が強くなったなぁ・・・ほろり)
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