人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ジグラット

賢王「よくぞ来た、英雄姫ギルガシャナ。早速だが我が岩石のように凝った身体を整体する任務を与える。我が玉体がバキバキいってつらいのだ」

ギルガシャナ「はい!賢王、お任せください!それでは失礼して・・・」

「・・・ん、む・・・おぉぉ・・・玉座に座り固まった身体が解れてゆくぞ・・・霊峰の雪か、吹く風か・・・まさに至高の一時よな・・・これがあれば我がウルク王朝は現代まで続いたものを・・・」

「何万年も王に重荷を背負わせるわけには参りません。王にも安らかな眠りは必須であるのですから。ご自愛、ご自愛です」

「そうさな・・・お前がそう言うのならそうなのだろうよ。・・・いかん、瞼が重い・・・些か気張りすぎたか・・・」

「ゆっくり御休みください。あなたの疲れを、全身全霊で解させていただきます。偉大なる最古の王よ、緩やかに、穏やかに。安寧を御教授なさいますように・・・」

「・・・ギルガメシュ叙事詩の果てに、このような至宝が待っているとはな。・・・まこと、運命とは・・・皮肉なものよ。溝や汚泥の最中にも、蓮は美しく咲き誇る・・・か・・・・・・──」

「御休みなさい、賢王。あなたの栄光と偉大なる功績に、今を生きる人類として・・・心からの感謝を」

賢王「・・・・・・・・・────────」

ギルガメッシュ《全く、詰め込み業務とは無駄に張り切りおって。余程心待にしていたのであろうが告げておくぞ。エアは未来永劫我の至宝・・・ん?》

フォウ(・・・・・・綺麗な顔してるだろ)

賢王「・・・・・・────」

《・・・よもや安楽死とはな。ふはは。ま、激務の果てにしてはよき結末であろう・・・などと言っている場合か!!貴様、仰げば尊死などいつからフォウになったのだ──!!》


冥界 ポカポカエレシュキガーデン

マル『SUGEE』

「御兄様のお陰よ!こんなに暖かい冥界は初めて・・・!魂たちも喜んでいるのだわ!・・・ブイン族の皆、見ていてくれたかしら・・・!」

キングゥ「ふん。ガーデニングが償いだなんてゆるい地獄もあったものだよ」

ティアマト『良かった・・・メソポタミアもあなたもみんなも、お変わりがなくて・・・』

「伊達に親離れしたわけじゃないのさ、心配しないでよ。母さん」

「これでリッカが来ても大丈夫!さぁ、いつでも来るのだわリッカ!」

賢王「・・・む?何故我は冥界にいる?エアの指圧に夢心地で目を閉じれば其処は冥界ではないか?また我を呼んだか?ふはは、寂しがりやさんめ!」

「誰が呼ぶかー!!!!!」


イシュタル神殿


エルキドゥ「はい、貢ぎ物」

『ボウフラ・ウジ・ラフレシア・イナゴ』

「僕からの想いさ。大切に育ててほしいな」

イシュタル「よーし殺すわ!アンタまったく変わってないわね!!良心が痛まないってもんよ!!」

「はぁ、供物を足蹴にするとかどんな神様だい君は。丁度いい。エアとギルの別荘を建てたいから、人柱になっておくれ。土に埋めれば肥料に位はなるだろう。首は玄関に、魔除けとして飾っておくよ・・・!」

「やってみなさいよ。あんたをバラバラにして粘土細工にしてやるんだから・・・!!」



龍と怪物

「よし!今日は武とか野蛮な事は全部封印して、デートを楽しむことにする!」

 

 

かつての時刻と同じように、或いはそれ以上に賑わいを見せるウルクの区画にて、リッカはメドゥーサにそう宣言する。今回はそういった野蛮なムーブは封印し、いつも苦労しているメドゥーサのサポートと気晴らしに専念すると言葉にして宣誓したのである

 

「何があっても暴力は振るわないし、女子っぽいことは絶対にしない!ムードを壊すような事はしないで、エスコートに専念する!そうじゃないとデートどころじゃないもんね!」

 

リッカとしても、培ってきた女子力を此処で示し、ワンランク上へと至るチャンスであるとガッツポーズを執り行い、意気込みを強くする。いつまでも無女子力ではいられない。しっかりとパートナーを楽しませられなければ家庭もまた、夢のまた夢だからだ。その申し出を、メドゥーサは喜び半分心配半分で声をかける

 

「えっ・・・よろしいのですか?あなたに窮屈な思いを強要するのは心苦しいのですが・・・」

 

「強要じゃないよ!私がやりたいことだから、心配しないで。このウルクでバッチリ、伴侶を勤めてみせるから!」

 

ビシリとポーズを取り、メドゥーサの手を優しく握り促す。さぁ行こうと逸る想いと笑顔を、リッカは同時に浮かべ笑う。これからの行いは戦いである。拳も振るわず、敵も存在しない。ただ、思いきり。楽しむ為の戦いなのだとリッカは信じ、全力で挑むのみと心を決めているのだ

 

「さぁ行こう!女神が驚くくらいの仲良しラブラブッぷり、見せつけてあげようよ!」

 

「──・・・フフ。では、あなたがその誓約を護れるか否かを確かめつつ、存分に楽しむとしましょうか」

 

メドゥーサとしても、魅力的な女性に先導されるのは決して嫌ではなく、むしろ歓迎するほどに好ましい状況だ。その申し出を受けるに、なんの不満もあるはずがない。その手を取り、二人はウルクの町並みへと歩き出していく。見た目は可愛らしく愛らしい一人の美少女、そして絶世の美女の連れ合わせが、ウルクの街並みに溶け込んでいく。これより始まるは、女神の気紛れが生んだ数奇なイベントの消化でありリッカのひと味違った戦いでもある

 

「じゃあまずは羊狩りに行こう!羊狩り!」

 

「待ってください、刈るのは羊の毛皮であって羊ではありません・・・」

 

「ありゃ、そうだっけ?ごめんごめん!間違えた!ささ、とにかくゴーゴー!」

 

そんな他愛ないやり取りを繰り広げながら歩き出す二人を微笑ましげに、気持ち不安げに、頬を膨らませながらそれぞれの目線が見送っていく

 

・・・同時に、その催しそのものを見つめる視線もまた存在することを、一行は気付く事は無かった──

 

たまにはね しとやかなんだよ けものかな

 

 

メドゥーサ、そしてリッカの二人は整備され、とことん徹底的に舗装、区画分けされた城塞都市のウルクにて日頃の激闘を忘れるような一時を、穏やかな刹那の平穏を過ごし、堪能する事となった。其処には敵もなく、災厄もない、純粋な歓楽と漫遊。目的は楽しむことそのものである散策に、足を弾ませ手を繋ぎながらのんびり、楽しみ、そして思い出に残るような時間を送っていたのである

 

「羊がモコモコしてたねー。次はバターケーキでも食べよっか!」

 

リッカは宣言通り、発言と言動に細心の注意を払いながら、メドゥーサを楽しませることを念頭に入れ振るまい、エスコートする伴侶としての本分を全うしていた。力仕事、ワニ退治などの持ちかけを事情を伝えやんわりと断り、一日かけて考案したウルク巡りルートに沿ってメドゥーサを案内し手を引いていく。パンケーキ食べ、羊の毛刈り、景色の遊覧に当代ファッションの試着。女性が喜ぶような店のポイントを徹底的に調べあげた上で、僅かに拳を握ることもなく彼女が楽しんで貰えるように、それのみを考えてデートを進めていく

 

「はい。リッカ。あなたの行く場所なら、それは必ず楽しい場所でしょう」

 

メドゥーサもまた、全身全霊で気遣われくいくいと手を引かれるデートを満喫していた。自分に似つかわしくないから・・・と普段なら敬遠していたであろう可憐で可愛らしい行事に、リッカは躊躇なく連れていってくれる。着せ替え、毛刈り、スイーツ堪能。女性らしく可愛らしい振るまいを求められた事は、彼女にとっては存外の体験であり、柔らかい笑みを浮かべながらリッカに手を引かれていく

 

バビロニアの戦いの際のブイン族の壁画を眺めたり、何故か枯れることなく咲き続ける不思議な桜の木の下で御弁当を堪能し、歴史家の頭を悩ませるブイン族区画を笑いながら探索し、神話の再現となった巨大特設リングを興味津々で眺めたり、マンゴー畑を取り、マンゴーの妖精とされる口がワのような生命体のバッジやポーチを貰ったり、写真を撮ったり・・・場所こそ非日常なれど、そこには確かな女性としての時間、気のおけない者同士が過ごす平穏な時間が確かに存在している

 

「申し訳ありません、リッカ。私の為にこれほど良くしていただいて・・・」

 

「いいのいいの。誰かが楽しいなら私も楽しいな。誰かが嬉しいなら私も嬉しい!これもまた、ユエツなんだって姫様やギルなら言うと思う!」

 

「ふふ、確かに。・・・詳しくはありませんが、私達の知る英雄王は、間違ってもあのような偉大さや豪気さは発揮していなかったのですが。つくづく驚かされますね・・・」

 

「あははっ、ウルクの皆そう言ってるよね!あんな上機嫌な王は万年に一度な筈なのに、だって!」

 

「王朝は流石に万は持たないとは思いますが・・・それくらい衝撃的という、慣用表現なのでしょう」

 

「私はあのギルが初見だからいまいちピンと来ないんだよねー。まぁその違いは彼処で話そう!夕焼けのユーフラテスクルーズ!じゃーん!予約してましたー!」

 

「準備が良いですね。勿論構いませんよ。それでは参りましょうか」

 

「あ、じゃあ最後に・・・!」

 

そんな話をしながら、最後にリッカが足を運びたいと告げたのは、とある花屋。お婆さんが家族と経営している、小さな花屋だ

 

「お婆さん!花の冠くださいな!この美女に似合うやつね!」

 

「はいはい。リッカちゃんも元気で何より・・・、・・・まぁ・・・」

 

「・・・あ、その。こんばんは」

 

「──アナちゃん。大きくなったねぇ・・・やっぱり私の見立ては間違っちゃいなかった。紛れもない、街一番の美女じゃないか。本当、素敵になったねぇ・・・」

 

「──・・・・・・はい。ありがとうございます。きっと、私も喜んでくれる筈だと信じています」 

 

リッカのニコニコした笑みに気付き、照れ臭そうに視線を伏せながら、お婆さんの手作りの冠を頭に飾るメドゥーサ。距離を取るばかりだった人間の中の時間で、大切なカタチになるものをウルクの地にて受けとる

 

「これは良いものです。きっと姉様方も認めてくださるでしょう」

 

「うんうん!せんりひ、ごほん!おみやげアクセサリーゲット!じゃあ行こっ!ウルククルーズ!」

 

「あ、待った。リッカちゃんにもあるんだよ、作ったものだけど、貰ってくれるかい?」

 

可憐な華のサークルが、リッカの頭にも乗せられる。メドゥーサと色が違う、オレンジと白の特別製の冠を、彼女もまた受けとり、照れを笑いに変換しいつものように笑うリッカではあったが・・・

 

「あ、ありがとうございます!で、でも私に飾られるなんて花がかわいそうかなー、なんて・・・」

 

「何を言ってるのさ。あんたに寄り添えて不満を漏らす子なんてよっぽどの変人だよ。こんなに誰かの事を考えて何かできる子、私は何人も見ちゃいないさ」

 

「・・・お婆ちゃん・・・」

 

「自分に自信を持ちなね、リッカちゃん。きっと皆、あんたにそう思ってる筈だよ。老い先短いおばばのお節介は若いあんたには邪魔かもしれないけれど、自分で自分を傷つける真似は止めなさいな。あんたより、あんたを大事に思ってる人が辛くなるんだからね」

 

「・・・──はい。ありがとう。ずっとずっと、長生きしてね、お婆ちゃん」 

 

用件を終え、花屋を後にする。ここだけは、御老体に辛い荷物の運搬をちょっとだけ手伝ったリッカだが・・・メドゥーサも含めた誰も、それを咎める者はいなかった

 

・・・そして、ウルククルーズにて二人は河を下っていく。ウルクを肥沃にし、文化を助ける恵みの河を、リッカがオールを漕いで、夕焼けのメソポタミアを、ウルクの喧騒を堪能していく

 

「──・・・・・・」

 

そんな中、リッカはずっと笑顔にて笑っていた。頭に乗った冠がおちないように、慎重に舟を進めていく。そんな様子を、微笑ましげに見ていたメドゥーサが口を開く

 

「今日は、ありがとうございました。文句なく、楽しいと思える時間を共に過ごせたことに感謝します」

 

「こちらこそ。土にもまみれない、血を流さない一日なんて久し振り!くろひーにリア充してましたーって自慢してやろー」

 

「自慢するにももう少し相応しい人選が・・・まぁそれはともかく。不思議なものですね・・・」

 

不思議?何が?と聞き返すリッカに、メドゥーサはその疑問を吐露する。リッカ自身の在り方の事を、彼女は問うたのだ

 

「あなたは、女性が何を望むか、何を求めているか、女性が何をしたいというのか、そういった思案や思考がきちんと出来る方です。お陰で私は、本当に楽しかったので間違いありません」

 

「あはは、そりゃあね?自分が女子力無いのと他人にガサツを押し付けるのは違うしさ」

 

「他者を思いやれ、女性が喜ぶ、求めているものを理解しているはずなのに。何故あなたは一般的な女性になるのに時間がかかっているのでしょうか?」

 

道筋も見えている、なりたいものも見えている。それなのに、その歩みは遅々として緩やかな彼女の研鑽。メドゥーサには、それが不思議に思えた。彼女はどこか、そうした女性に近付く事に何かしらを思っている・・・ように、見えたと語る

 

「私は単純に、あなたが好ましい人間だったので退去しませんでしたが・・・何か、一般的な女性に思うところがあるのですか?」 

 

メドゥーサの問いは、何気無くもリッカの核心に触れるものであったのかもしれない。リッカの表情は笑っているような、泣いているような・・・夕焼けに照らされたその風貌は、皮肉にも・・・普段のリッカとはかけ離れた繊細な美しさを醸し出している

 

「・・・そだね。ひょっとしたら・・・怖いのかも」

 

「・・・怖い、ですか?あなたが?何を怖がると?」

 

「変わること。本当は見えてるし、解ってる。フリフリの服を着て、可愛いコーデして、編み物や料理やスイーツ作りをするのが、可愛い女の子だって解ってるんだ。・・・でもね」

 

それを追い求めれば、自分は変わってしまうかもしれない。服が汚れるのを嫌がり、肌が傷つくのがイヤになり、大好きなオタク趣味や、特訓や鍛練が煩わしいものになってしまうかもしれない。・・・それに、何よりも怖いことが、自分にはあるのだとメドゥーサに告げる

 

「私ね、『戦いたいときに戦えなくなる』のが怖いんだ。可愛い自分が、一番大事になって・・・拳を振るうのも武器を振るうのも嫌になって、『私じゃない誰かがやってくれる』『なんで私がこんな目に』なんて考え出しちゃいそうな自分が有り得るってことが、凄く怖いんだ」

 

「リッカ・・・」

 

「多分、武術とかマスターとか、絆とかカルデアとか・・・全部投げ出して日常に戻ったら、すぐに『可愛い女の子』になれる自信があるよ。やりたいことを全部捨てて、なりたい自分だけを見ればいい。でも、それになったら・・・もう私はきっと、戦えなくなる。綺麗で可愛い自分が、自分の人生だけが大切になる。困ってる人を見ないふりして、危険やピンチに、誰かが助けてくれるのを待つだけの人になる。だって・・・可愛い女の子って、日常の女の子って・・・誰だって。危険な想いは嫌でしょ?」

 

それがリッカが理想の自分に踏み出せない理由。未来の自分はいつだって手招きしているのだ。甘い声で自分を誘っているのだ。龍から人になれ。そんなものは誰かに押し付けてしまえ。あなたじゃない誰かが、解決してくれるのをただ待っていればいい。こっちへおいで、と

 

・・・だが。それは出来ないと。絶対にそんな事は出来ないと。常に彼女は自問自答している。逃げ出しは、理想に逃げ込みたくはないと戦っているのだ

 

「私はカルデアのマスターで、非日常の中で今の私になれた。そんな自分が、理想の自分を手にいれて後はさようなら・・・なんて出来ないってこと。私がやれること、やりたいことが、理想の自分や女子力からかけ離れているのは解ってる。戦う度に、皆から貰ったものを台無しにしてることも、ちゃんと解ってる。・・・でも」

 

でも、それでも。自分には出来ることとやれることがあり、全てを投げ出すような選択肢は取れないと、理想の自分の手を取るのは、まだ早いのだと信じているのだ

 

「私は野蛮で、がさつで、オタク女で発言がちょっとズレてる女の子だけど・・・でも、そんな自分が大好きなんだよ。グドーシや、カルデアの皆が造ってくれた『藤丸龍華』って自分が大好きなの。だから・・・そんな自分を捨てて、普通に生きて、普通に可愛い女の子の『立香』になるのが、まだ・・・怖いのかな、って思う」

 

「・・・・・・」

 

「あ、勿論修行は本気だし全力だよ?でもさ、そんな自分が・・・『もう戦いたくない』って考えちゃうような普通の女の子になるのは・・・違うかな、って何処かで考えているんじゃないかなって。だから、女子力が身に付かないのかなぁ、って」

 

そう思うんだと、リッカは言葉を切る。夕陽が沈み、星が見え始める。それを静かに聞いていたメドゥーサは、やがて言葉を切り出し告げる

 

「安心してください。リッカ。あなたは変わっても、微塵も変わらないでしょう。そして・・・あなたはそんな、醜い女性にはならない筈です」

 

「ほぇ?」

 

「変わることは確かに好ましいことばかりではありません。ですが、私だからこそ言えることは一つ。あなたは・・・怪物にはならないということです。他者を食らい、他者を殺すような怪物には」

 

だから・・・怖がることはないとメドゥーサは告げる。その心配は無用だ、存分に駆け抜ければいいと、自分を信じればいいと、告げる

 

「あなたはあなた、それは一番よくわかっている筈です。そんなあなたが、有り得ないあなたに・・・『怪物のあなた(自己中心的)』に怯えてどうするのです。リッカは必ず、どんな時でも真っ先に困難に立ち向かう。そんな女性でしょう」

 

「メドゥーサ・・・」

 

「着飾ったドレスを破いてでも、化粧が落ちてでも、自分や皆の為にただ走る。怪物や英雄、人間を分け隔てなく手を差しのべる。それが貴女という人間であり、そう簡単に変わるはずがありません。・・・つまり・・・」

 

こほん、と咳払いし指を指す。メドゥーサなりに、不安を拭い去るための言葉と・・・今日の礼をするために

 

「リッカ、綺麗に可愛くなりなさい。貴女には変われるという選択が、未来がある。恐ろしい怪物などではなく、輝かしい自分という未来が。どんな貴女でも、貴女という人物は変わりはしないでしょうから」

 

「・・・」

 

「──私達は、そんなあなたが見たいから。あなたに力を貸すのです。あなたが救った世界で、あなたがたどり着いた幸せを見たいから、この世界に留まっているのですよ」

 

皆が、いつか自分の変わった姿を見てみたいと思っている。そんな日のために、力を貸してくれている。自分を助けてくれている

 

今の自分と、理想の自分が一致するか分からない。細々した自分を疎ましく思うか、野蛮で粗野な自分を厭わしく思うか、それは分からない。だけど・・・いまのようにビクビクしているよりは、ずっとずっと意味のある戦いな筈だ

 

「・・・うん。やってみるよ。怖がらないで、自分なりに女の子、やってみる。それがどうなるか分からないし、自分じゃない自分になるかもしれない。でも・・・」

 

それでも、変わりたいという自分から、逃げてはいけない。きっと、自分の戦いはそれを認めてから始まる筈だ。メドゥーサが言ったように、変わることを恐れていては、先に進めないのだから

 

「私は、私であることから逃げない!・・・やってみるね、メドゥーサ!」

 

「はい。これからも、よろしくお願いいたしますね。リッカ」

 

・・・変わることを経験した怪物、変わることを怖がっていた龍のデートは、小さな答えを得るに至る

 

その答えが、大きなうねりとなって龍を人に変えるかは、これから次第。藤丸リッカの、研鑽次第なのである──




リッカ「さぁて!デートもおしまい!帰ろっかメドゥーサ!」

「はい。今日は本当に・・・」

?「へっへっへ、クルーズは楽しかったかい姉ちゃんたち」

リッカ「ふぁ?」

ウル民「いい身体してんじゃねぇか。クルーズで冷えた身体に人肌はどうだい?」

リッカ「ウルク民にこんな人種はいるわけないから・・・他の都市の人かぁ・・・この典型的な・・・」

メドゥーサ「・・・リッカはまだ嫁入り前の清い身体。すみませんが、あなたたちのような三下に渡すわけにはいきません。速やかに視界から消え去ってください」

リッカ「ふぁっ!?ち、違うよメドゥーサ。いい身体って誰が見てもメドゥ」

「なんだとぉ?女二人でブラブラ不用心な奴等が粋がりやがって。野郎共!痛い目見せてウルに持ち帰るぞ!」

「「「おう!!」」」

メドゥーサ「はぁ・・・女子がこんなにも思い悩んでいるというのに、男性は単純で良いですね。リッカ、此処は・・・」

リッカ「」

「・・・リッカ?」

(暴漢に絡まれた女子らしい反応暴漢に絡まれた女子らしい反応暴漢に絡まれた女子らしい反応暴漢に絡まれた女子らしい反応暴漢に絡まれた女子らしい反応暴漢に絡まれた女子らしい反応・・・)

「おい、なんだこいつ固まってるぜ?」

「無抵抗なのはいいよなぁ。見た目も上玉だぜ?・・・いや待て、なんかコイツ生傷だらけじゃねぇか?」

「娼婦か奴隷かよ。チッ、手垢ついた女なんぞいりゃしねぇ。こいつは抜きだ、別の──」

メドゥーサ「(ムカッ)・・・殺されたいのですか?」

「やっぱこっちだぜ。おい嬢ちゃ・・・」

リッカ「──だ・・・」

ウル民「だ?」

リッカ「だ・・・ダレカ?タスケテー?・・・」

メドゥーサ「・・・・・・はい・・・?」

「・・・なんでそんな片言なんだお前」

「助けを求めるの、初めてでして・・・非暴力中だから、その・・・」

「ばーか、助けなんて来るわけ・・・」


マシュ「助けに来ました先輩お任せください暴漢倒すべし!!!」

「ぐぎゃあぁあぁ!!?」

「な、なんだこの女どっから!?」

クー・フーリン「人の心配よりテメェの心配しろよ、なぁ?オレが認めた女のリッカがなんだって?答えろやオラァ!!


「ひぇえぇえぇえ!!?」

ヘラクレス「人の愛弟子を娼婦呼ばわりか・・・ふむ、少し頭冷やそうか・・・丁度ネメア締めをやりたかった所だからな・・・」



ウル民「うぎゃあぁあ!?」

くろひー「ごめーん☆撃っちゃったでござる。まぁいいでござろ?宝の価値が解らんボンクラは逝ってよしでござるし?」

シャルル「ダセェ真似してんなコラァ!説教してやっから正座だ正座ぁ!!」

エドモン「慈悲など要らぬ!!」

【首を出せ】

『汝ら、生きるに能わず』

頼光「えぇ、虫など潰してしまいましょうか。打ち首獄門・・・我が娘に近寄る虫への見せしめなどに」

「「「「「う、うわ、うわぁあぁあぁあぁあぁ!!?」」」」」

「ワフ!ワフ!(やさしみの蘇生筆しらべ)」

リッカ「・・・」

メドゥーサ「・・・」

「・・・メドゥーサ」

「・・・はい」

「私、口は災いの元って痛感しました・・・」

「・・・はい・・・助けを求めるのは、最終手段にしましょう・・・」


そのあとウルに殴り込んだ後、賠償として果物や名産品をたくさん貰った

エウリュアレはドン引きしていた

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