人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リクエスト「NG召喚オンリーが見たい!」という要望に御答えして、ちょっぴりカオスな召喚編を御届けします!召喚を希望するキャラクターは随時募集しておりますので、自由にメッセージボックスへお贈りください!




ネコアルク「最近仕事が暇だニャー。イベントが行われないから召喚システムも錆び付いてはいないかニャー?」

ネコアルク・カオス「そう言うときに予期せぬアトラクションやアクシデントは巻き起こるものだナマモノ。下手をすれば同じ声をした骸骨が首を斬りに来る。備えよう」

「分かってますって旦那。そんな当たり前なミスとあからさまなフラグをこのネコアルクが行うわけ・・・」

「おい、そのレバーは・・・」

『召喚システム先 座→平行次元』

「「あ」」


召喚編?システムフェイト、異常アリ──

「えぇい離せ!離さぬか貴様!それでもかの滅亡が確約されしキャメロットを永らえさせた騎士王か!見苦しいにも程があろう!」

 

 

楽園──時間神殿カルデア。その全てがきらびやかにして豪華絢爛。この世の全てが其処にある南の果ての至高の在処。王が手掛け、紡ぎ、あらゆる脅威に対抗し、世界の全てに臨む愉悦の在処。黄金なりし英雄王、そしてその傍らに在りし姫が居を構え、今なお広がり続けていく人類最先端の防衛娯楽リゾート施設であり、英雄、英傑、魔なるもの、反英雄・・・あらゆる存在が集う第二のウルク。そんな楽園の一角で、腰辺りにタックルをかまされ困窮と困惑の怒号を上げる者と、それを阻む者との押し問答が繰り広げられている

 

「離しません!まだ益体の無い召喚に挑み続けるのですか!まだ来るはずのないアルトリアを望み続けるのですか!まだ苦しみたいのですか!いつかは、やがていつかはと!そんな甘い毒に踊らされて、いったいいくつ爆死を繰り返してきたのですか!」

 

ジャージに身を包み、青いキャップをすっぽりと被った金髪碧眼の美少女。自らをセイバーだと思い込んでいる謎のユニヴァースサーヴァント、ヒロインXがギルガメッシュに懇願(物理)にて動きを阻んでいるのである。唸りを上げる魔力放出によるミサイルがごとき威力のタックルがギルガメッシュに食らい付き、彼の進行を全力で妨害しているのだ

 

──凄まじいです王!彼女には絶対に先に行かせないという凄みがあります!これでは管制室へ行くことは叶わず召喚が・・・!

 

《解っている!チィ、突然何の発作だと言うのだアルトリア!共にセイバーを嗤ってやろうとしていたではないか!急な心変わりとはどういった了見だ!秋の空と女心は変わりやすいだと?たわけ!カルデアの外は年中零下よ!》

 

そう──何故自らをセイバーだと思い込んでいるヒロインXがこうまでギルガメッシュを阻み続けるのか。それは、彼女自身のアイディンティティにして、それとなく譲れずなんとなく無視されたくない断固としてフワッとした理由に他ならないのだ

 

「此処まで召喚を試みておきながらまったく掠りもしないどころか無限にアルトリアニアピンを引き当てていく始末。最初はにこやかかつ笑ってほくほくご飯を食べていましたが最早看過できません!」

 

「我が醜態を肴にしていますと何の臆面も無く告げたな貴様!あまりに堂に入った愉悦の堪能ぶりに笑いすら起きるわ!乾ききっているがな!」

 

「もういい加減あなたの傍には最強、最速、最セイバーの私がいるのですから撤退を選ぶべきと何故分からないのですか!オリジナルと違い、剣も二つで威力も二倍!アルトリウムもお得度二倍なんですから!」

 

そう、彼女は危惧していたのだ。爆死を続ける彼自身のメンタル、ニアピンで的確にアルトリアシリーズを増やし続けていくガチャ、増加していく抹殺対象、そしていつ訪れるか分からぬセイバーの来訪を求めて満身創痍になっていくギルガメッシュの姿を。これ以上そんな事を続けていては、真なるセイバーたる自らの自己存在の消失、アルトリアシリーズのデフレーションにおける価値下落、セイバーが出ないことを苦にしたギルガメッシュが奇行に走り全裸でサーヴァントユニヴァースに殴り込むなどといった惨状を起こしかねない。そんな崇高な使命という名の個人的事情を振りかざし、ヒロインXは懸命に、英雄王の行き先──召喚の為の管制室への来場を阻んでいるのでたる。だが──

 

「たわけ!『欲しいの無かったけどしょうがないしこれでいいや』等といった妥協なぞ妥協した側もされた側も価値を落とす愚行でしかないと何故分からぬか!貴様には貴様の、セイバーにはセイバーの価値があるのだ!代わりなどあるものではない!」

 

「ですからそのセイバーでアルトリアな私がナンバーワンなのです!貴方も分かっているでしょう!妥協ではなく最適解がこうして此処にいるのです!気付いていないのは貴方ばかり!一周年になってもまだ敗北しか知らない理由はただ一つ!アルトリアは!此処に!健在だからです!」

 

──確かに!数多あるアルトリアの可能性のなか、彼女は確かにアルトリアという存在そのものです!何故ならアルトリアとは無限の可能性を表す単位にして単語!そう、アルトリアとは・・・セイバーとは・・・!

 

(虚無ったりドワォはダメだよエア!無限の可能性のアルトリア・・・そういうのもあるのか・・・!)

 

「それはそれ、これはこれよ!いい加減その目にかかった霞を取り!貴様のクラスを目の当たりにするが良い!どう見ても剣ではなく骸骨が輝いているであろうが!」

 

「見えません!私の心には一本の剣が煌めいています!アサシン?なんの話でしょうか!私に身に覚えはありません!」

 

「政治家か貴様は!!えぇい話にならん!これ以上道を阻むというのならば我必殺の男女平等ウルクアーツによる制裁も辞さぬと思え!ウルクにて生まれた最新型の武術の片鱗、貴様の身体にて存分に──」

 

そんな端から見れば微笑ましいやりとり、或いはじゃれあいを制したのは、騎士王や太陽王、或いは親友の戯れではなく。──まったく聞きなれない音であった

 

──アラーム、サイレン?緊急・・・緊急用途を知らせる報です!王!

 

一瞬、なんの音か本気で分からなかったエア。楽園における緊急を告げる事態など、考案はしていたものの実際に起こりうるとは予想外であったため、サイレンやアラーム、念のため作り上げられた緊急警報がどんな音であるか一同はほぼ忘れており、全員例外なくポカンとした後、エアの言葉に王が我に返る

 

「──何事か!ロマン、楽園にて緊急事態とはどういった了見だ!些か本気で我の耳を疑ったぞ!」

 

素早く状況判断し、同格たるカルデアの運営者にして魔術全般を担当する魔術王、ロマンに通信を飛ばし現状を把握させる。即座にウィンドウにロマンが出現し、その様態と現状を簡潔に伝える

 

『ごめんよ!こっちとしても緊急事態なんだ!召喚システムが誤作動、いや過剰作動かな!?契約の窓口を幅広く通しすぎているんだ!』

 

──過剰作動!?

 

『英霊の座じゃなく、僕たちの知らないあらゆる時空から雇用を執り行っているというか、単純に召喚ではなく、来客招きのゲートになっているというか!見慣れない人が召喚されやすい・・・いや!『英霊の座』の英霊が喚ばれないという事態に陥っているんだよ!どういうことなんだろうね!?』

 

話を要約し、エアは現状を把握する。召喚陣にて導き出される者、契約を行う召喚が過剰作業を起こし、見慣れない人物、英雄ではない様々な存在が招かれている状態になっている。その弊害で、本来なら英雄の座所属のサーヴァントではなく他の可能性、見知らぬ平行世界、歴史や人類史の英雄だけではない者達が集い続けている・・・それは、つまり・・・

      

──NG召喚状態が、継続中・・・という事でしょうか・・・!?

 

《チッ、誤作動ではなく窓口を拡げた拡大作動とはな!》

 

エアの予測と推測は正しく形を為していた。管制室に繋がっているモニターの向こうから、際限なく緊急事態に対応する声と騒動の怒号、そしてなにやら恐ろしげな咆哮が聴こえてくる。ただならぬ魔力も感じられ、楽園の喧騒とはかけ離れたただならぬ騒然が確かな現実として王らの耳に届く

 

『と、とにかく!呼び寄せた人達の処遇と対応は君達の管轄だから任せるとして、早く来てほしいな!僕が召喚された人達に適切な空間を隔離提供して楽園の被害を抑えて、会話が不可能な相手はリッカちゃんとマシュ、アイリスフィールが対応してくれているからさ!なるべく早急に召喚室に来てね!それじゃあ待ってるからね!』

 

慌ただしく切られる通信。同時に、アルトリアの頭からピョインと伸びるアホ毛、アルトリウムがピンっと伸び、速やかに召喚室を指し示しキュインキュインと反応を表す

 

「この反応・・・!新たなセイバー反応です!これはもしや、新たなる抹殺対象の存在が招かれる可能性が・・・!?」

 

──暴走召喚なので総ては未知数です!早速現場に急行し状況の打開を・・・!

 

そんな中、王は無言で身体を震わせ、そして顔を手で覆いながら俯いていた。肩が、全身が小刻みに震え、そしてその体勢にて言葉なく激している

 

──ぎ、ギル?お、お気持ちはその・・・察するに余りあります。楽園たる磐石の場でこのようなアクシデントは・・・

 

・・・其処まで行って、エアは気付いた。濃厚すぎる一年の中、その理念、その思考を正しく理解した

 

「く──」

 

そう、ギルガメッシュ・・・御機嫌王は余程の事が無い限り怒りなど懐かない。あらゆる事象に愉悦と愉快さを見出だし、あらゆる現状を良しと容認する彼の在り方が、ただの不始末や誤作動などで覆される筈もない。そう、だと言うならばこれは断じて怒りではない。そう、これは間違いなく──

 

「く──っははははははははは!!!そうかそうか、誤作動、召喚過剰のNG召喚編というわけか!はははははははは!!愉快だ!これは傑作よな!NGしか行われぬ召喚とはそれは即ち正規召喚ではないか!はははは!!なんだそれは!NGならぬOK召喚であろうが!いかん、笑いが止まらぬ!それなりの緊急だと言うのにあまりの荒唐無稽かつ愉快な催しに完全にツボに入ってしまったと見える!我ながら上戸よなァ!ふははははははははは!!」

 

──はいっ!ですよね!そんな反応だと思っていました!

 

腹を抱えて笑い転げるギルガメッシュを苦笑と安心にて受け入れるエア。この王が慌てふためく事など、麻婆の提供以外であり得ないのである。多分

 

「笑っている場合ですか!これはチャンスですよ!サーヴァントとして、異世界セイバーを撫で切りにするチャンスです!今こそ世界観を超越し!楽園における武者修行、セイバー抹殺召喚編が開幕を告げるというわけです!」

 

どうやらこの二人にとって、この程度は危機にもなっていないようだ。蛮族が現れたわけでもなし、ティアマトがおこになった訳でもなし。王が危機と感じるには取るに足らないと認識したのか、この二人の王は愉快だと笑い、そして歩き出す

 

「ふむ、英霊どもを招かんとするから危機と認識するのだ。此処はいっそ視点を変え、新たなるカルデアスタッフ雇用の面接と趣を変えてみるべきでは無いか?有能な事務方、デスクワーク得意な人材を幅広く募集・・・良し!カルデア案内書を製作せねばなるまい!アルトリア!ついてこい!危機は危機だが愉快な危機だ、──愉しむとするか!

 

「異論はありません!セイバーは書類選考で問答無用で落としましょう!ギル!」

 

肩を並べてまずは資料室に寄り道を選ぶ王二人。愉快で愉悦な王たちは、危機をも楽しみ催しに変える

 

──一先ず資料作成はワタシにお任せを!危機を救うため快速で到達する、完璧な資料を作る!どちらもやって見せましょう!

 

(覚悟はいいかいエア!ボクもマスコットとして存分に協力するよ!)

 

《よくぞ言った!窮地にこそその人間の本性が覗く。危機にこそ笑え、危機にこそ愉快と膝を叩け!人生における苦難をも愉悦と出来るならば、大抵の事象は乗り越えられるモノよ!》

 

──はい!では、どちらもこなして楽園を充実させましょう!

 

有り得ざる召喚、有り得ざる来訪が巻き起こるカルデアのちょっとした一波乱。そんな状態でも王は揺らぐことはなく、変わらず愉悦をもって応対に当たる

 

(待てよ?逆に考えるんだ。真っ当な召喚でセイバーが来ないなら、もしかしたら──暴走召喚かにこそ活路が!?)

 

《──ますます、この催しの顛末に感心が沸いてきたと言うものよな!!》

 

「エクスカリバー、それが何処まで通じるか・・・宇宙最強セイバー決定戦が始まる予感です!それとついでに私以外のアルトリアもうっかりどさくさで斬れませんでしょうか!」

 

──はい!楽園とは、こうでなくては!

 

何だかんだでブレない楽園の磐石さと王の頼もしさに、エアもまた、安堵と痛快な笑みをもってフォウを抱きしめ、王達に参ずるのであったとさ──




ギルガメッシュ「と言うわけで、幅広くカルデアに在住するスタッフをこの召喚にて募集することにしたぞ。貴様ら一人一人の負担を減らすために考案した起死回生の妙手よ。喜べ!シフトに休みが増すであろうよ!涙を流して喜ぶがいい!」


怪鳥先生「キョェエェエ!!」

カルデアスタッフ一同「「「押し込めー!!食い止めろー!!!」」」

ロマン「この状況でそんな事を考えてたのかい!?乗り越えなきゃ命は無いんだよ!?」

ギルガメッシュ「む、何を慌てているか。ウルクでは日常茶飯事、この程度は朝飯前よ。故に楽園ならば危機と呼ぶにも値せぬ。降って沸いた、良
き避難訓練の機会と言っても良いくらいだぞ?」

ロマン「そのポジティブシンキングはどうやっても真似できそうに無いなぁ!」

(・ワ・)(・ワ・)(・ワ・)「「「のりこめー!」」」

ムニエル「あぁまてまて!器材に触るな扉に触るな!色々大事なんだから!」

月のライダー「やぁ、アマテラス君!こっちでも元気にやっているかい?ようやくチャンネルがコネクトしてね!寂しい想いをさせてごめんよ、もう一人にはさせないさ!さぁ一緒に!レッツ・ロック・ベイビ」

アマテラス「ガゥッ!!(月に帰れ)」

「酷いよアマテラス君ーーー!!?」


漂流物のセイバー「なんじゃあ、なんぞの祭りか?随分と賑やかな場所に招かれとぉ、俺は場違いじゃなか?」

炎発灼眼のセイバー「・・・なんだか怪しいチラシを掴んだら此処にいたんだけど・・・どういうこと?」

アルトリア「セイバー発見!いざ尋常に勝負です!ナンバーワンセイバーは私なのですから!」

「おぉ?お前さんみょうちきりんな刀を持っとる!手合わせか、わかりやすか!」

「・・・意味わかんないまま手合わせとか、意味わかんない。・・・まぁ、アルバイト探してたし。入社試験みたいなものでしょ?やってあげる」

あらすとおる『こんな野蛮な面接は記憶にはない』

「セイバーッ!!!」

「南蛮剣が何をいきりよるか!斬った張ったは手のもんよ──なぁお前、おむすびあるだろ!おむすび置いてけ!!なぁ!!」

シャナ「アルバイトの合格を懸けて──勝負!」

リッカ「あーもうメチャクチャだよ!何処から手をつければいいのか!」

橘さん「やはりそう言うことか」

「!?あ──橘さん!?」

「この召喚の暴走は此方の作動ではなく契約を受信する側に問題がある筈だ。こちらを強制的にシャットアウトするか、受信する世界が狭まるまで耐え抜けば必ず収まる。此処は我慢と辛抱だ。いいな?」

「──肝心な時にだけ、輝く男・・・!」

オルガマリー「それは誉めているの・・・?」

「君達がカルデアの所長にマスターか。俺は橘ギャレンだ。スタッフ側の人材として宜しく頼む。楽園の噂を信じてやって来た以上、しっかりと働かせてもらう」

リッカ(良かった!橘さんを騙して楽園崩壊フラグ立たなくて良かった!!)

オルガマリー(研究員なのね、彼・・・)

「平行次元の交錯か・・・面白い!ヘシン!!」

──パンフレットに、スタンプカードに、館内放送に・・・きちんと聞いてもらえるように、と・・・

フォウ(罷り間違っても来るなよ、神座シリーズ連中・・・!バランスが大変な事になるからな!)

ロマン「と、とにかく!次の召喚までには対処しようね皆──!」

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