人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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エルドラド


「我がエルドラドは、これよりヒッポリュテの意向に従い各国の復興を助力する!!派遣され、各地で力を振るうがいい!我が精鋭たちよ、矜持と誇りをけして忘れるな!我が部属の意地と決意を知らしめよ!!」

「「「「はっ!!」」」」

ペンテシレイア「そして万が一──アキレウスがいたのなら即座に私に、ヒッポリュテに伝えよ!次こそ、次こそは確実に私が殺す!!いいな!」

「「「「はっ!!」」」」

「よし、ヒッポリュテ。何か激励を告げてやってほしい。必ずや力になるだろう」

リッカ「躊躇いなく誰かを助けられる強さを身に付けよう!!」

「「「「了解!!」」」」

「以上──解散!!」

シャルル(様になってんなぁ、リッカ・・・)

アストルフォ(ボクはあんまり肌に合わないかも、この国・・・汗がスゴくてさ・・・)

(男は汗をかくもんだろが!しかし──)

(?)

(・・・カッコいいは女にも通用するんだなって体験は初めてしたぜ・・・座に還っても忘れねぇ体験だわ・・・)

(そこ!?)




ペンテシレイア「力、強さか。まだ私の知らない強さが存在しているというのか・・・ふむ・・・」

(アキレウスを八つ裂きにするためにも、総てを吸収せねばなるまい。しかし、どうやって・・・)


シバ『知りたいですかー?強さを知りたいですかー?』

「む・・・」

『今の時代の強さ、それはマネーロンダリング!もし契約を結ぶなら、色々用意させていただきますよー?』

「マネー、ロンダリング・・・」



「いよいよ、私が望むその物語が・・・」

『巻物』

「・・・ですが、こうやって我が王と仲間たちと歩み、紡いだ物語もまた、かけがえのない宝物・・・これは後に、我が王へと託しましょう」

(・・・私を動かす『かの地』への欲求・・・それは、きっと皆様と共に在れば、きっと──)


いざ、天の宮殿へ

「いよいよ、この桃源郷とも御別れかぁ・・・」

 

 

春の陽気が、うららかな雰囲気を漂わせる・・・拠点たる桃源郷。無限に桃が成る木、そして過ごしやすい気候、穏やかな心地のベースキャンプ、その桜の木の下に寝転がり、桜の散り逝く様をじっと見続けている。

 

一同は三つの国を打ち破り、そして一つの国を救い、そして国を統一した。この動乱を収め、同時に囚われた民達を解放した。その民達はなんとか解放した街に待機し過ごしていてもらい、特異点を是正し、無事にもとあった時空に戻るまで生活をしてもらっている。この特異点を成立させている存在を討ち果たし回収すれば、それらはきっと元に戻るだろう。それまでの辛抱を強いてしまうのは心苦しいが、治安の維持はカルデアの防衛隊が執り行ってくれている。余程の事がない限り、暴動は起こり得ない筈だ。問題はないと信じ、こうして最後の戦いへと赴くための鋭気を養っているのである

 

サーヴァントの皆も、それぞれに最後と成りうる桃源郷の一時を過ごしている。桃の食べ比べ勝負を行い腹を膨らませているシャルルにアストルフォ。カルデアにお土産として桃を持って帰れるよう試行錯誤せしコンラとデオン。そして入念に鍛練とストレッチを行うマシュ。チラチラと視線を送ってきたので先程ストレッチの手伝いを行った。そんな風に、一同は思い思いの時を送っている

 

シェヘラザードが道を開くと言う『天の宮殿』。その場所に特異点を成立させているものがあり、完全無欠の物語があり、そしてコロンブスの求めるものがあるという。一同は皆それを目指し奮闘し、戦い抜いて来た。そして、地底の総ては戦いを終えた。ダユーは屈辱すら捨てイースを改革し、武則天は桃源郷で憑き物が落ちたように穏やかに過ごしている。ペンテシレイアは有事に備え、民達を徹底的に鍛え上げている。それぞれが行う、特異点の消滅に控えた準備。リッカは最後の休息としてぼんやりとしていたのだが、其処に声をかけるものが現れる

 

「マスター、最後は穏やかに余生を過ごしたいタイプかい?消極的過ぎるとチャンスを逃すから程々にね!」

 

「お眠りになるのでしたら、眠りにつけるようなお話を・・・お任せください、我が王」

 

この特異点にて出逢いし仲間、シェヘラザードにコロンブス。保護した者達への指導と語り聞かせを終え、暇となったようだ。リッカの両隣に座り、リッカへと語りかける

 

「いよいよ天の宮殿だね、マスター!僕は其処にあるのがどんなものかは分からないけど、それはきっと必ず価値のあるものだよ!だって、こんなにも僕たちは価値のある奮闘が出来たのだから!」

 

コロンブスはいつもと変わらずにひたすらに前向きである。迷わず、挫けず、ただ前を向いて進み続ける。望むものを、ただ求めて。進むことだけが、自分の在り方であると言うように。その在り方は、迷い混んだ者達への希望となり指針となり、強く心を引き付けている。その有り様は小さくとも、誰よりもリーダーとしての素養を所持しているのだ

 

「どんな場所なんだろう?僕たちは何を見るんだろう?それだけで、ワクワクが止まらないよ!僕はそれだけを胸に、皆と此処までやって来たんだから!後は、お宝を胸に懐くだけで充分さ!」

 

その言葉に、ふとリッカは気にかかった。彼は財宝に、形あるものには興味が無いと言う。それはお宝に興味が無いと言うことなのだろうか?ならば何故、彼は新天地に・・・天の宮殿へと行きたいのだろうか?

 

「・・・コロンブスの言うお宝って、何を意味するのか聞いていいかな?」

 

それは些細な疑問であり、そして尋ねておきたいものであった。何故なら天の宮殿にまでたどり着いて、コロンブスが何を望むのか知らずに宝の奪い合いなど話にならない。彼の原動力、手にしたいと願う御宝の在処は、明確に共有したいと願ったからだ

 

「ん、そうだね。言っていなかったね。・・・前にも言ったかも知れないけど、僕は形ある財宝にはあまり興味がないんだ。儲け話とか、金儲けとか商売とかは、どうでもいいかな。正直」

 

欲や損益に繋がるような現実的な旅の目的に、興味は沸かないと言う。そんなものに関心はいかず、その代わり自分が定めた『夢』こそがなにより大事だと彼は告げる。更に言うと・・・

 

「僕は、たどり着きたい。たどり着いたという事実が欲しいんだ。頼りになる仲間や皆と困難を越え、何処までも、望んだ場所へ。夢見た場所へと辿り着きたい。新天地へと行きたい。その言った事実こそが、辿り着いた達成の事実こそが、僕が求める旅の宝なのさ」

 

そしてコロンブスはリッカの持ち物から取り出す。白紙の日誌、書くことを忌み嫌った、その忌まわしき日誌を開く

 

「・・・クリストファー・コロンブスが初めて新天地にたどり着いた時、日誌にまず初めに何を書き入れたと思う?」

 

「?初めて・・・」

 

本来ならば達成と感動するべき場所であり、希望に満ちた筈だった。現地人と交流し、そして流通や物資の交換や、未知の大地の説明や案内をしてもらえるような和睦や和平の、友好の道すらあり、相互理解は果たせると歓喜に溢れる場面であった。・・・だが、日誌には、クリストファー・コロンブスはその一枚目にこう書いたのである

 

「『彼らは体つきもよく、そして屈強だ。刃を見せたらなにか理解せず、手を傷つけた。私は彼等に声をかけ、なんでも思うままにやらせることが出来た。──彼等は素晴らしい奴隷になるだろう』・・・ってね。ヘドが出る話さ」

 

「・・・奴隷に・・・」

 

持っていた地図を握りしめ、呻くようにコロンブスは吐き捨てた。よりにもよって、たどり着いた先にやった事がそれであると。たどり着いた果てにやったことが、略奪と暴力であると。その覆せない事実に、この少年は静かに怒りを燃やす

 

奴隷とし、思うままに略奪し、奪い、殺し。そして欲望を満たしに満たし、総てを手にし・・・コロンブスは欲望を満たしたという。紛れもなく彼が行った行為を、同じく幼き彼自身が嫌悪する。それこそが自分自身の『夢』を汚した行為、そのものであると

 

「辿り着ければそれでよかった。皆と誰も見たことのない場所に行けたなら、それで良かったんだ。・・・僕にとっての夢は、他ならぬ僕が台無しにした。その事実は、永遠に覆せないんだ」

 

皆と力を合わせ、冒険すること。懸命に力を合わせて苦難と試練を乗り越える事。そして、新天地に辿り着き喜びを分かち合う事。それがこの少年の夢であり、今度こそ自分は、それを成し遂げたいのだと・・・その為に、皆と力を合わせて、これまでの旅路を戦い抜いて来たのだという

 

「・・・この日誌、白紙のまま渡したのも・・・」

 

「うん。今度こそ、僕は自分自身の夢を掴んでみせる。マスターや、仲間たちと一緒に。それは、僕なりの決意表明みたいなものだよ」

 

彼にとって日誌とは、自らの夢を汚した証明。だから彼は何も残さずそれをマスターに託した。何を書き上げるのかを任せる。自らの夢を、辿り着いた事実を、マスターに判断してもらう

 

「自分はクリストファー・コロンブスという存在の影みたいなものだ。冒険家にして奴隷商人。良く分かっていない半生の記憶と冒険家の気性が重なった存在。──次があるかは、いつも分からない。大人になってからの自分の印象と知名度が強すぎるからさ」

 

召喚されたことがあるかどうかすら曖昧なほどに、この少年は呼び出された事がない。たった数回でも覚えている。コロンブスと名乗った瞬間の表情がどんなものか。それは座にすら持ち帰られる程に、この頼りない霊基へと刻まれているのだ

 

「だからこそ。今度こそ僕は夢を叶えるよ。皆と一緒に天の宮殿に辿り着いて、今度こそ僕のお宝を手にいれるんだ。信念と夢の果てに、僕は自分自身の終わりを笑顔で飾って見せる」

 

それこそが、この少年の原理。夢に立ち塞がる自分自身を乗り越える。自分自身が台無しにした夢を、汚した夢を今度こそ掴みとる。かけがえのない想い出を、自らの手に収めてみせると

 

「だからこそ、此処まで僕を信じてくれてありがとう!それだけで、僕は此処まで来れてよかった!」

 

 

誰かと背中を合わせ、信頼し合い、共に困難に挑む。それだけで自分自身の成し遂げたかった事はほぼ叶ったという。後は、最後の〆を行うことだと

 

「最後までよろしくね!皆で必ず、この冒険を締め括ろう!──準備をしてくるよ!またね、マスター!シェヘラザード!」

 

それを告げ、心中を惜しみ無く吐露し、コロンブスという名の少年は走り去っていく。最後の冒険を行うものとして、心が昂っているのだろう。残された二人は、顔を見合わせ笑い合う

 

「彼の在り方は、まるでシンドバットのようです。快活で、幼く力強い。彼の道筋は、途絶えることは無いのだと確信できる・・・その様な思いを、皆に懐かせる」

 

「そうだね!──コロンブスが何者であろうとも、彼は私達の仲間だと信じてるよ!」

 

今更信頼は揺らぐ事はない。彼は死線と苦難を乗り越えた仲間であり、大切な存在であるとリッカは確信している。そしてそれは、皆も同じであると

 

「はい。その様に信じられる王は・・・やはり、良き王です。王の下でこそ、私も此処まで辿り着く事ができました」

 

シェヘラザードは告げる。終わりと終幕は間近であり、その予感と確信があるのだと。自分が求める『完全無欠の物語』なるものが、すぐ近くにあるはずだと

 

「何が待ち受けていようと、私は我が王へと付き従います。私をこうまで大切にしてくださった王は、今までいなかった」

 

「シェヘラザード・・・」

 

「いざ、参りましょう。この特異点の覇者の証。──この地底を統べる王として、天の宮殿・・・地底より高みにあるとされる地へ」

 

この地底の最後を締め括る地点。最後の冒険の始まりを彼女は告げる。それこそが、自らの役目であるとばかりに、彼女らしからぬ自信を以て

 

──何が待ち受けているか未知数な場所、天の宮殿。そこに想いを馳せる者たちの想いが連なり、道を拓く──

 

 




そして、桃源郷の中央へシェヘラザードが皆を集わせる。その最後の地への道を拓くモノを集め、そして物語を読み上げる

「皆様の行く先は、遂に天の宮殿へと指し示されました。いよいよ・・・その終幕へとたどり着こうとしています」

シャルル「いよいよか・・・!何が待ってるんだろうな!楽しみだぜ!」

コロンブス「皆」

一同に、コロンブスが最後に声をかける。振り返る全員に、静かに頭を下げる

「ありがとう。最後まで・・・よろしく頼むね」

その態度に、コンラやリッカが肩を叩く。今更かしこまる必要はないと。皆、分かっていると

シェヘラザード「はい。私達は、戦いを乗り越えた。後は栄光を掴むのみです。──それでは」

水門の鍵、不夜城の水晶、エルドラドの黄金、そして玉手箱。──それらを束ね・・・

「開かれよ、天の宮殿。この身を、王達を・・・真なる覇者のみが辿り着ける新天地へ──」

輝き出す四つの証。シェヘラザードの言葉に従い、空中に浮かび上がる国の秘宝。輝きは強くなり、煌めき──

「うぉおぉお!?」

一直線に光が天へと上り、そして巨大な『門』となる。地底の天井すら貫く、金色の柱となり立ち上る

「さぁ、参りましょう。・・・望むままの栄誉は、すぐ其処に存在しております」


「──うん!じゃあ皆!行こう!」

「「「「「おう!!
」」」」」

意を決して飛び込む一同。──何が待ち受けているのか、何が存在しているのか。それらは総て、この果てに──

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