人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「あれでもない、これでもない、それでもない・・・!ウワーン!これじゃまた役立たずになっちゃいますよ―!せめて羽織だけでもー!」

「失敬、ダ・ヴィ男から種火を戴いてきた」

「何故に!?」

「霊基をいじれば姿がかわるは自明の理。自然の摂理には反するがキャットは知らぬ」


「沖田に、種付けを行う」

「たねっ――ちょ、えっ!?」

「種付けを おこなう。観念するとよいぞ」

「んなぁ――!?ちょっまっ、んぁあ――!!」


野生

「殺す、殺してやるー!誰も彼も!この弓矢にて死ぬがいい――!」

 

 

狂気と暴虐を振り撒き、進軍中の一行に襲い掛かるはバーサーク・アーチャー。七騎のバーサーク・サーヴァントの一騎だ

 

 

 

「強制的に狂化されている――!」

 

 

「どうやら彼女は、竜の魔女に従うタイプでは無かったのでしょう。狂わせることで、従わせた」

 

 

「酷いよ……!サーヴァントだって意志があって、ちゃんと生きてるのに!」

 

 

「ぉおぉおぉおぉおぉお!!」

 

猛烈な速さと勢いで、雨霰と矢が放たれる。細腕から放たれたとは思えぬ剛矢が一行を撃ち据える!

 

 

「ぐっ、くぅううう!」

 

「私が前に出ましょう。守護騎士の名に懸けて!」

 

 

臆す事なく矢面に立ち、力を屠る祝福の剣、アスカロンにて脅威を無力化する

 

 

「邪魔をするなぁあっ!!」

 

猛烈なダッシュで一帯を蹂躙するかの如く走り回る。ダッシュしながら円を描き、中心に獲物を捉え撃ち据える

 

「マスターを囲いましょう!全方位に!」

 

旗を、剣を盾を、総てを使いマスターを守護する

 

 

「激しいけど、哀しいわ。本当ならもっと素敵な矢を放てるはずじゃないかしら、あの麗しの方……」

 

「狂い果てたならあんなものだよ!理性を手放してしまったものは畜生と言うんだ残念なことにね!」

 

 

「果てるがいい――――!!」

 

引き絞られた渾身の一射が放たれる――!

 

「――来て、『タマモキャット』!」

 

右手を輝かせ、カルデアに接続する

 

「――おうさ、呼んだか御主人?」

「ぐあぁ……――っ……!!」

 

何時のまに接近したのやら、アタランテの右腕をひねりあげた体勢でタマモキャットが召喚に応じる

 

 

「まあ!可愛らしい!」

 

「嘘だろマリア、あれはなんか……化け猫だよ多分……」

 

「は、なせ……!!貴様ァ……!!」

「コヤツもケモノ、アタシもケモノ。御主人はあてつけと癒しを求めてアタシをよんだ、アンダスタンドなのか?どうだ?ん?」

 

「やっちゃって!タマモキャット!ケモノのプライドをかけて!」

 

「誇りと来たか。腹はふくれぬが御主人の笑顔で胸は満たされるゆえ、アタシはやるぞ?端的に皆殺しなのだな」

 

「がぁっ!!」

 

力を振るってタマモキャットを弾き飛ばす

 

 

「おぉ、ナイス怪力である」

 

「ふざけた輩め!死にはてろ!!」

 

 

『読めたわ!耳を持ち、俊足で、弓を使う!そのサーヴァントはアタランテ!麗しのアタランテと呼ばれたギリシャの弓使いよ!』

 

アタランテ――カリュドンの猪に真っ先に弓矢をはなてし、駿足と麗しの美貌を持つ、アルテミスを信仰せしギリシャの弓の名手

 

 

「なんと、ギリシャ弓であったのか。ますます惜しい、磨かずとも光る逸材を使い潰されるとは。哀しい。キャットは哀しい」

 

「ぜぇい!!」

「おっと」

 

放たれたと弓矢を正確に払い打ち落とす。完璧に間合いと距離、軌道を読みきった対応

 

 

「貴様、ふざけた格好を――!」

 

「ふざけたなど。存在自体がふざけているアタシには罵倒にはならぬ、ニャハハ」

 

 

一瞬で、距離を詰めるタマモキャット

 

「何――!?」

 

 

「理性を手放したバーサーカーなぞ敵ではない。アタシは理性がないバーサーカー故な」

 

目にもとまらぬ早さで右腕をつかみ、瞬間へし砕く

 

 

ベギリ、と嫌な音が響き渡る

 

「ぐぁぁあぁあっ――――!!!?」

 

 

「片手潰せば弓矢撃てぬ。摂理にして常識なのだナ。どうだ、痛いか、辛いか?」

 

「こ、の程度――!」

 

再び走り始めるアタランテ。しかしタマモキャットは慌てず、動じない

 

 

「何故かだと?フフ、解らぬか御主人」

 

「な、なんで?」

 

瞬時にアタランテに追い縋り、並走するタマモキャット

 

「何――!?」 

 

「同じ敏捷Aであるからだゾ。別に別段あわてない。キャットはただ獲物を狩るのみ」

 

脚を払い、派手に転ばせる

 

 

「ぐうぅっ!!」

 

脚をむんずと掴み、軽々と持ち上げる

 

「では、肉ほぐしの時間である」

 

脚を掴みあげたまま持ち上げたアタランテをひたすら地面に叩きつける

 

「ぐぁぁあぁあっ、がぁあぁあっ!!」

 

 

「むぅ、まだ息があるとは?なかなかにしぶとくキャットは凹む。楽になると楽でいいぞ」

 

 

「まだ。まだ――!」

 

 

「仕方あるまい。理解できぬなら身体に教えるしかないな、争いは哀しいが御主人のためだ」

 

 

「――玉藻地獄をお見せしよう」

 

グルグルと無造作に振り回し、思いきり大木に向けてなげつける

 

「ぐふっ――!!」

 

 

「先輩!その、止めなくて良いのでしょうか!?」

 

「大丈夫!キャットは忠義にあついバーサーカー!きっと解ってるよ!」

 

 

「では、お別れの時間である。――宝具開放」

 

「――!!!」

 

 

「――『燦々日光午睡宮酒池肉林』――アタシの野生、野に帰るキャットの叫びをきくがよい――!!」

 

 

「何――――!?」

 

 

――キャットの凄まじい野生のパワーが炸裂する

 

どう炸裂したかというと、凄く、まぁ、凄く

 

 

 

――――巨大な猫っぽい何かが現れてアタランテを蹂躙し、あっという間に消滅させたのだ――

 

 

 

「さらば、ケモミミ属性よ。オマエもまたキャラかぶりの友(友とはいってない)なのだな。恐らく一番頭の悪い戦闘シーンであっただろう。キャットは空気を読まぬものであるからな、ニャハハ」

 

 

『……サーヴァント、消滅を、確認したわ』

 

脱力しているオルガマリー

 

「よーしよし!キャットおいでー!なでなでしたげる!」

 

「ニンジンも欲しいぞ、御主人」

 

 

『ま、まぁ倒せたんだし結果オーライだ!さぁ次にいこう!』

 

「……世界には色んな英雄がいるのですね……」

 

キャットと戯れ続けるマスターとキャットを見て、呆然とゲオルギウスが呟いた……

 

 

 

「でははやく終わらせてくるのだ、御主人。アタシはお前の帰還をまちパーティーにせねばならぬからな」

 

「うん!待っててね!」

 

「……とりあえず、進みましょうか……」

 

どことなく、脱力した一同であった……




「シリアス、シリアル?閑話休題、キャットを楽しめ。待たせたな沖田、種付けである」

「いやーありましたありましたねー!どこだかわからないけどあるんですよねー!はい!」

「気にするな、まだまだ種火はあるのである」

「私は普通の趣味なんですよーー!!」

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