人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
ネコアルク「つべこべ言ってないで行くニャ!○なら必ず赴かねばならんのだニャ!」
「はいはい、行かせていただきますよと。いやー、ホントなんでだろうなぁ・・・」
「私もいいか?何故だか、行かねばならんという思いが去来してな」
ネコアルクカオス「ちょっと拝見。オーライ、問題ナッスィン。you通っちゃいなよ」
「助かる。頑張ってくれ!」
「・・・悪くないな」
「我々に次はない・・・!次下手こいたら首が物理的に飛ぶニャ!」
「デターミネーション。良い言葉だ」
「てなわけで万全な仕事を・・・」
「すみません、福引きとチラシの場所はこちらですか?」
「!?」
「き、君は・・・!?」
「さて、一通りの縁の清算は終えたな?招くべきものは招き、呼び出すものは呼び出した。それは即ち──我のターンと言うヤツよな!」
万全、満を持してと言わんばかりに王が高らかに告げる。アガルタにて紡ぎ上げた戦利品は全て受け取った。そしてそれは・・・本来の召喚の本懐、それ即ち英雄王による召喚、セイバーたるアルトリアへの挑戦を意味する。その失敗や醜態すらも笑い飛ばし、成功したならば当然のように祝宴を披露するような笑顔しか生まぬ催しに、一同はぐぐっと身を引き締めると同時に、ほぼ結末は見えているであろう戦いに挑み続ける英雄王に敬意と畏怖を示さずにはいられなかった。その決して挫けぬ負けぬ俯かぬ姿勢こそ、楽園の皆が模範とし崇め奉る指針にて王道であると信じて疑わない。──なればこそ、一同は全身全霊でサポートするのだ。王の願いが、地上の星に届く事を夢見て
「君も懲りないよねぇ。脈無しでも絶対に諦めない姿勢は凄く見習いたいと思うけどさ?それはそれとしてもう一点狙いは見込みが・・・」
「ふはは何時になく辛辣ではないかロマンめ!だが履き違えるな、我は勝ち目や確率などで進軍や決死行の令を覆す王ではない。──我が掴むは勝利のみよ!故に挑む!苦汁と辛酸を勝利の美酒に変えるためにな!!」
『自分達が特異点や困難を万全かつ完全に攻略できているのは、王が召喚にて惨敗し続けてくださっているからだ』とまことしやかに囁かれている現状にも王は決してめげず、諦めはしない。挑むこと、そして王の偉容を見せつけることにより士気を高め、次なる召喚や特異点の攻略に万全の体勢を示させるのだ。要するに、勝とうが負けようがセイバーが訪れようが訪れまいが楽園には得しか無いのである。どのみち士気は上がり愉悦は生まれるのだ、挑まない理由は何処にもない
──涙を拭くハンカチ、或いは勝利の美酒!どちらも準備万端です!英雄王、どうか思うままに挑戦なさってください!
(あ、じゃあ美酒はボクが貰お。どうせオマエにはいらないよ。ボクには解る)
《フッ、今のうちに呆れておけ!1000回負けようがセイバーが来れば我の勝ちなのだからな!アルトリアめと予定も詰まっている、開幕と行くぞ!》
王の言葉と指鳴らしを合図として、本日最後の召喚が開催される。地上の星に手を伸ばす戦い、これを召喚と言う。誰もがそれを支援するなか、一同は思い思いの感想と感慨を告げていく
「廊下でアルトリアシリーズにすれ違ったりすると混乱するんだよねー。え、どのアルトリアだっけ!とかなっちゃうからさ。あ、槍のアルトリアや騎士王は解りやすいんだけどさ。主に、『おっ・・・』となるから」
「まだ戦闘体勢なら良いじゃない。私服や浴室で出逢ったなら本当に混乱するわよ。誰が誰だか見分けるのには慣れやコツがいるもの」
「んんー、聖剣も増えるのはまぁいいとして、担い手も増えるだなんて不思議な事があるものだねぇ、今更も今更だけどさ」
「アーサー王のブリテン伝説・・・それがこの様に派生していく様をギャラハッドさんはどうお考えなのでしょうか。いつか、聞いてみたいですね」
ブリテンとは、妖精郷とは。そんな感慨を漏らすなか、召喚の光が満ち溢れそして収まっていく。アルトリア召喚の前のほんの準備運動にして余興。後の戦況に対応すべく充実を図る際の戦力となりし英霊が招かれる
《召喚をスキップしていたら目当てが現れ心臓が止まりかける、という事象はままある。案外捨て回と馬鹿にはできぬものよ。さぁ、アルトリアが奇襲をかけてきたという結末もよい!現れしは何者か!》
現れたのは──当然アルトリアではないが、とある円滑な事象を進める為に不可欠やも知れぬ存在が、楽園にピンポイントに招かれる。それは久しく現れる事の無かった、屈指の大英雄・・・
「いよ!てなわけでヘクトール、召喚に応じ参上したぜ?・・・いや、なんで今更とか思ってる?いや実はオジサンもなんだよ。オタクら、オジサンが必要な程に守衛ががら空きなのかい?」
緑色の服装、飄々とした態度。トロイア戦争においてトロイア側の中核を担いし大英雄ヘクトールが満を持して楽園へと姿を現した。その風評に似合わぬ軽げな雰囲気に、一同は脱力を余儀なくされる
「オケアノス以来のオジサンだ!アキレウスのライバルの!」
「あなたの話は常々聞いております。『二度と戦いたくねぇ』という辟易と『次会ったら二人でリンチしてやる』といった決意を師匠達から」
「そだよー、オケアノスでは御迷惑を・・・え、ちょい待ち。いるの?アキレウス?弟子?君が?」
「はい。こちらはヘラクレスを師匠に持つマスターです。ちなみにトロイアに助力したアマゾネスも先程」
「・・・・・・・・・オジサンが招かれた訳が分かったぜ。悪のツケはきちっと払いなさいよって事なのかねぇ・・・ま、それは追々。今は挨拶だ、よろしくな。護る戦いや時間稼ぎなら、遠慮なく頼ってくれていいぜぇ?ま、一つよろしくお願いしますよっと」
軽く挨拶を交わし、王に頭を下げ鼻唄を歌いながら楽園へと引っ込んでいくヘクトール。彼に待ち受けしは衝突と対立の仲裁に防衛などといった緊張の戦いである。その後ろ姿は頼もしくも物悲しい。彼の安全を、一同がこれから願わずにはいられなかった程に
《紛れもなく当たりの部類だが、こう歯の奥に何かが詰まった感は拭えぬな。違う、そうではない。召喚システムよ、何故ベストを尽くしたのか》
──改築では最優先にてリラックスグッズや設備を整えましょう。なんというか、苦労人の相がひしひしと・・・
(まー敵も味方もとんでもないのしかいなかった訳だからねー。然もありなんというか、強く生きてと言うか)
そんな感慨に耽っている中、間髪入れずに召喚が起動し新たなる来賓の存在を告げる。間断なく執り行われるそのスムーズさと共に、やはり王は何度目かの確信を言葉にし玉座の縁を叩き
「次こそアルトリアか!」
「クラスは──ライダーだよ!セイバーじゃない!」
「バイク王か!!アルトリアなら有り得よう!」
「ひわわ!王が錯乱しておられます!?落ち着いて札束を数えましょう!」
そんな騒がしき確信を行う中、確かにその存在が現れる。──それは招かれるべくして招かれたやも知れぬ存在。嘘から出た真か、或いはランダムが産み出した必然か
「──ライダー、ヒッポリュテ!推参したぞやって来たぞ現れたぞ!楽園にて力を振るい、そして円滑な日々を守護すると約束しよう!」
少女がごとき軽装と小柄、しかして覇気と風格は女王そのもの。ライダーと名乗るサーヴァント、ヒッポリュテが現れたのである。リッカはその存在に盛大に噴き出してしまう
「ぶーっ!!?」
「む、お前がマスターだな?よろしく頼む。──なんと。その鍛えられた肉体、筋肉の比率・・・マスター、お前の師は」
「え、あ、はい!ヘラクレスとケイローン先生です!ヒッポリュテさん、名誉毀損してごめんなさい!」
「────そうか。やはり、ヘラクレスか。・・・そうか・・・新たなる弟子を見付けたのか。現代にて生き甲斐を見付けたのか。うむ、うむ・・・」
一人感慨深げに頷き、何やら満足げに微笑む。その在り方と、それでこそヘラクレスであると告げるかのように
「マスター、頼みがある。──私に、此処に来てからのヘラクレスを教えてほしい。どのような存在なのか、激しいのか、優しいのか。──様々な事をな」
「あ、勿論!なんだか誤解があるみたいだから、解きに行こう!ギリシャの資料は図書室にあるから・・・」
案内を示し、ヒッポリュテは威風堂々と歩みを進めていく。その在り方に、迷いと悩みは介在していない。ただ、気掛かりを解かんと決意した姿だ
「英雄王。アマゾネスの女王として、楽園の治安維持は任せてもらいたい。サーヴァント、バーサーカーなどが暴れ出した際には私を呼んでくれ。必ず円滑に、禍根なく収めてみせよう」
「──その言葉、忘れるなよ?」
その盟約を聞き届け、ヒッポリュテは興味深げにキョロキョロしながら退出していく
──ライダーなヒッポリュテさん・・・物凄くまともでいい人です・・・!
(来るべくして来た気がする・・・転生体みたいなマスターがいるしね)
《よし、ヘクトールとヒッポリュテがいるならば楽園が破壊される事はあるまいよ。労せず防衛の問題が消え去ったか》
・・・そして、今回の召喚のメイン、最後の来賓が現れる。光が満ち、サークルが形成され、管制室に反応が示される
「召喚反応!ギル、来るといいね!ボクとしては応援してるよ!」
「来るといいねではないわたわけ!喚ぶのだ!!」
その気迫に応えたのか、いつもの召喚の様相とは異なる気配が満ちる。サーヴァントのような圧倒的な風格ではない、それは・・・
──この反応は・・・?なんだか違和感を感じるような・・・?
(コイツはくさいっ!ニアピンの匂いがプンプンするぞッ!)
《む、ニアピンだと?いくらアルトリアが千変万化と言えど、最早シリーズもネタ切れ気味であろう?後は風土季節モノのアルトリアを残すのみである筈だが──》
その疑念と困惑は、正しく答えを示される。──アルトリアではある。確かにアルトリアではあるのだが、その実態は、楽園であるが故に、御機嫌王が手掛けた召喚形態であるが故に墓穴を掘ることとなる。──其処に現れしは・・・
「──商店街の福引きとチラシを引いてやって来ました。マスター・アルトリアです。マスター不足なのですか?なら私が力を貸してあげます。履歴書はありますから、面接は出来ますか?」
何処の世界の可能性。描く神の発作にして悪戯。マスターとして戦うアルトリア──青き制服に身を包み、竹刀を所持した少女が、楽園の門を叩いたのだ。アルトリアシリーズをコンプリートすると決意した王の決意に、召喚システムが応えた必然の因果に、英雄王は愕然とする
「────よもや、マスターですら在るとはな・・・フッ、流石よ。よもやこの我の予想をこのように上回るとはな・・・」
カルデアからして、リッカ、アイリスフィールに続く三人目のマスターの来訪。楽園は更に磐石と化した。化したが・・・地上の星に、また手は届かなかった
──アルトリアさんは無限に増えていく・・・王、召喚の儀はまだまだ続くと言うことですね!
(いたちごっこのオチ、お疲れ様だよギル。さぁ──溜まりに溜まった改築が待っているよ!)
二人の激励と無慈悲な現実の言葉。マストリアと親しげに話すリッカ。そんな様相にて、召喚は幕を閉じる
・・・後日、『アルトリアであるマスターは貴様の抹殺対象であるのか?』という御機嫌王の問いに、極めて曖昧な表情を浮かべ、ヒロインXは沈黙したという──
NG召喚
リッカ「?本?何これ?」
『謎の本』
「誰かの持ち物かな。──取り合えず汚れてるし、綺麗にして部屋に持っていこうかな」
自室
「埃を落として、汚れを拭いて~。あ、ブックカバー自作しようかな?でも・・・こんな本楽園にあったっけ?」
『・・・・・・・・・』
「ま、いっか!ナーサリーみたいに動き出したりして・・・そんなわけないか!それにしても分厚いなぁ、この本・・・何が書いてあるんだろう?」
『・・・・・・』
「──いやいや、誰のか解らないのを見るのはマナー違反だよね。掃除するだけして置いておこうっと!」
『・・・・・・』
「これで、よし!後はブックカバーを・・・」
じゃんぬ「リッカー。バレンタインが近いから、チョコの予約をするなら承るわよー」
リッカ「あ!ホント!?ありがとじゃんぬ!ねぇねぇ見てみて、変な本を拾っ・・・」
「・・・本?何処にですか?」
「え?あれ?──あれっ!?・・・無くなってる・・・!?」
『・・・藤丸龍華、またいずれ会おう!此度の施し、妾は忘れぬ。試すような真似をした無礼は必ず報いとして返すぞ!何れ、共に魔を断つその日まで──さらば!』
『謎の本、消失』
~
クーガー「ストレイト・クーガー。君かい?俺がマリー、マジに好きやって子は」
オルガマリー「全然違います。オルガマリーです」
「これは失敬。いつかの先日ではカズヤがお世話になりました。兄貴分として文化的に謝辞を行わせていただきたい。世話になったならありがとう退出するときはありがとう挨拶は朗らかに元気にが円滑のコミュニケーションの秘訣です。そうでしょう?マジで好きや」
「オルガマリーです。・・・知的なんですね・・・」
「当然、文化人ですから。てなわけで堅苦しいの無しで行こうか。俺がマリーちゃん。脚に・・・早さに自信はあるかな?」
「脚に・・・そ、そうですね・・・アキレウス師匠から手解きを受けているので・・・」
「結構。なら俺も君に、俺なりの手土産を渡すとしましょう?」
~
オルガマリー「シミュレーションの最強レベルを展開してから、僅か三秒で・・・」
「この世の理はすなわち速さだと思いませんか、物事を速くなしとげればそのぶん時間が
有効に使えます、遅いことなら誰でも出来る、20年かければバカでも傑作小説が書ける!
有能なのは月刊漫画家より週刊漫画家、週刊よりも日刊です、つまり速さこそ有能なのが、
文化の基本法則!そして俺の持論でさ-------ァ!」
オルガマリー「・・・全滅!?て、展開が間に合わない・・・!」
「遅い!スロウリィだぞオレヤマリー!!君は足りている!文化人として実に素敵だ!みもりさんを思い出すほどにだがまぁだ足りないものがあるッ!!!」
「足りないものが・・・」
「情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!兼ね備えた君がまだまだ不足しているものそれはなによりもォ------- 速さに限る!!」
「速さ・・・!」
「──まだまだ君は速くなれるぜ。ちょっとでいい、わがままでいい。世界を縮める為に走る事を忘れないように。クーガー兄貴との御約束。できるかい?マジで好きや」
「オルガマリーです。・・・はい。とにかく、走る、速く──ですね」
「オーライ!フゥ──!!なら君への土産はこれだァ!!『ラディカル・グッドスピード』ンンンブラボォオォオウ!!衝撃のぉう!!ファーストブリットォオウ!!」
「ちょっ、ま──」
~
「ンンン、みてくれたかい?これが君に渡す俺の速さの──ん?」
『退去』
「・・・まさか異世界すら縮めてしまうとは・・・きちんと伝わったのかだけが心残りだなァ・・・俺がマリー・・・で合ってたっけ名前・・・」