人理を照らす、開闢の星

改築その二。──リミット・ビヨンド・ゴージャス

《栄養ドリンクは飲んだな！》


──バッチリです！

《選別は終えたな！》

──はい！万事完了、何処であろうと何であろうと製作が叶います！

《よし──では行くぞエア！改築、ゴージャスフェイズ2だ！》

──お任せください！終わった際の睡眠環境も万全です！どうか、共に全霊の労働を！

《ふはは！賢しき我の株を奪う労働継続よ！我が楽園を充実させる為の労働と改築！出費と手間は惜しまぬわ──！》

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召喚の儀に伴い、招かれし者達の衣食住を保証する改築。それらに全霊で取り組む我等が英雄王、そして英雄姫。例えそれが正しい世界、正しき英雄では無くとも、楽園に招かれたならそれは分け隔てなく財であり、其処に区別と区分は存在しない。その存在を保証し、活用し、最大限に価値を示すための環境を整える

《次の区画へと赴くぞ、エア！材料は選別したな、馳せ参じる区画を復唱せよ！》

──Wの36からYの64区画の間です！材料と要望は全て選別しております！参りましょう！

その行為とその足取りに迷いはない。胸に輝く改築王のTシャツ、頭に巻かれた鉢巻きが気を引き締める。全ては楽園の充実のために。そして何よりも、自らの愉悦の追求の為に。誰のためでもない、自分自身の為に。黄金の王、そして白金の姫が次なる改築の場へと駆け抜ける。その姿は、誰よりも研鑽し、誰よりも奮闘せし王の姿。その偉容と威光は翳ることなく。そしてその表情から、愉悦を堪能せし笑みは消えることなく。流れる汗すらも輝くかごとき労働の模範と規範を、楽園の皆に誰よりも鮮烈に魅せつけていく──

祖なる少女　狩人の家＋カラオケセット

「ありがとう。最新の機器に触ってみたかったの。私にもしっかりやってくれるなんて、感激よ」

「何を求められるかと思えば。このような簡素なものでよいのか？塔の景観を再現する心積もりだったのだがな」

「そんな事はしないわよ。きちんと節度を弁えているんだから。皆の営みや頑張りを見ているだけで楽しいのだから、無粋な真似はしたくないのよ」

──祖龍･･･伝説の中の伝説の存在。そんな方までもが招かれ、そして共に在るなんて･･･

《マルドゥークすらも顕現が叶ったのだ、最早何が起ころうと驚天動地には値すまい。異世界に交信を開くとはそう言うことなのだからな》

「ふふっ──これから先、どうなるかは分からないけど。きっと楽しいはずよ。どんな困難にも負けない勇気を忘れないで。それこそが『英雄の証』なのだから」

「ふはは、我に説法など行うとはな。だがよい、ありがたく受け取っておこう。飴はいるか？」

「いるー。文化から生まれた甘味は最高ね。──そうね、人間は手を取り合えるのが美徳。ここで、それを楽しませてもらうわね」

──ほっ･･･お気に召していただけたようですね･･･

初音ミク　専用音楽レッスンスタジオ『ディーヴァ』

「え、え･･･いいんですか！？いいんですか･･･！？」

「不満か？どれも最高級の逸品を取り揃え、万全の様相を作り上げた自負がある。何か足りぬものを見出だしたなら伝えるがよい。才能と気概を除く全てを取り揃えてやろう」

「わ、私はまだ歌を取り戻せていないのに、こんなに良くしてもらって･･･いいのですか･･･！」

──勿論。あなたが本来の輝きを･･･財達が輝く為に磨く作業を決して妥協しないことこそが、英雄王の王道なのですから

「スタッフに、コラボするアイドルユニットには既に声をかけている。黄金Pの手腕を侮るな！財力と投資にかけて我の右に出るものはおらぬ、存分に輝け歌姫！貴様の飛翔、我が赦す！」

「ゴ、ゴージャスPーー！！感激です！私、一生懸命頑張ります！これからよろしくお願いいたします！」

「ふはは、良い。デビュー曲も用意してあるのだぞ？その曲名はな、人理を進む──」

──プロダクションとしても躍進する･･･今更ですが、なんと多彩な形態なのでしょう、楽園カルデア･･･！

冴島鋼牙&ザルバ　大終末の牙駐屯所＋冴島邸

【こいつは驚きだ。まさか俺達の向こうの家まで再現しちまうとはな。資料を渡してそのまま完全再現だなんて、どんなカラクリなんだ？】

「物量とたゆまぬ研鑽、使いきれぬ財があればの芸当よ。そしてこの迷宮を鍛練場として使うことを赦す。気の済むまで戦い、高めるがよい」

「助かる。休暇と言えど鍛練を疎かにする訳にはいかないからな。──あぁ、それと」

──？

「あの金髪の少女に伝えてくれ。『挑戦はいつでも受ける、かかってこい』とな。俺は逃げん。それだけを伝えてくれたなら助かる。セイバー･･･と言うのか。その申し出は常に受けるとな」

「──律儀な事よ。アルトリアめの妄言に付き合うと言うのなら止めはせぬ。アレはアレで発散の機会は必須であろうからな。ただし──死傷は避けるのだぞ」

「承知している。──リッカらにも、稽古ならば受けるとも頼む」

──物凄く落ち着いた、優しい方なのですね･･･

【一昔前には、愛とかなんとかは求めないとか言ってたんだがな。人は変わるものだぜ】

「ザルバ」

【おっと。とにかくありがとうな。俺達の力、存分に使ってくれよな】

「当然よ。何より──黄金騎士と言う響きは実に我好みであるからな！」

──黄金シンパシーとでも言いましょうか。見る側からしてみたら眩しく畏れ多い事この上無いですけれど･･･

オールマイト　教師兼練習場『ティーチ・コーチ』＋集中治療スペース『ヘルス・ファースト』

「おぉ、おぉ･･･今の私に足りないものを的確に！こんなにも私個人を気にかけて貰えるとは･･･！いかん、涙腺に来た･･･！」

「とにもかくにも貴様は損耗と疲労が著しい。退去の前に全盛期程度の輝きは取り戻しておけ。･･･まぁ、『一人は皆のために』は取り戻せなかろうがな」

「──フッ、確かにそうだゴージャスキング。だが哀しむことも嘆く必要もない。私は嘆いていない。何故なら！」

──何故なら･･･？

「──確かに、受け継がれているからだよ。若き未来に希望溢れる若者に、若者達に！だから！私はッ！！･･･導くものとして頑張らなくちゃね！そう！若者達のように！！」

「暑苦しい作用よ。だが、その理念は見処がある。再起してみせるのだな、オールマイト」

「勿論だとも！私はやってみせる！一人は、皆のために──！！」

ナイチンゲール「静粛にッ！！」

「ハイ、頑張ります･･･」

──このカルデアにて最も発言力がある方かも知れませんね･･･

《鋼鉄の天使というフレーズはけして誇大広告ではないな。･･･麻婆も殺菌できぬものか･･･》

──中国の皆様、申し訳ありません･･･

ホムラ&ヒカリ　生活力修行一軒家

「いずれ貴様らを担う者が現れよう。その際に何も出来ぬでは話にならん。異性を掴む秘訣は胃袋を掌握することだ。此処に在る間はひたすらに自らを高めるがよい。案ずるな、貴様らに戦力としての働きは期待していないのだからな」

ホムラ「ありがとうございます。何から何まで･･･此処にいる間は、一生懸命皆様に奉仕させてもらいますね。食堂と厨房の内定も貰いましたから！」

「ほう。麻婆色の人格のプネ･･･おっと。天の聖杯は優秀ではないか。黄色の人格は何を成したのだ？」

『う、うるさいわね･･･編み物とか、片付けとか色々よ。料理だってできるし、自炊とかも楽勝よ、やらないだけで･･･』

──それはつまり何も手付かずと言うことでは？

『な、何なのよ！ズバッと切り込んでくるような子だったのあなた！？』

「ヒカリちゃん、これから頑張っていこう？･･･英雄王、本当にありがとうございます。･･･そして、すみません。私達は、此方で真価を発揮する事は･･･」

「構わぬ。貴様らの物語は今ではない。真に楽園を目指すその日まで、傷付いた心身を癒せ。それが今の貴様らの戦いだ。傷を抱えたまま歩めるほど、待ち受ける旅路は容易く無かろうよ」

「･･･はい。いつか、その未来を迎える日まで。それまで、よろしくお願いいたしますね」

『やだ、バターケーキ美味しい･･･シチューも！？いいの！？』

──どうぞどうぞ！ふふん、天の聖杯にもウルクの料理は通用するのです！

「･･･あちらはあちらで意気投合しているようだな」

「良かったね、ヒカリちゃん･･･」

ロックマンゼロ　花畑・泉・大樹

『────────』

《ダ・ヴィンチめ。よい仕事をする。絶妙に起動と人格励起を避け修理を完遂しおったわ》

『────────』

──紅き英雄。あなたの迷い無く、そして誰かのために振るわれた剣に心よりの礼賛を。いつか、あなたを迎えに来るかけがえのない方が･･･そして、平和という鞘にあなたが収まるその日まで

『────────』

──安らかに、眠ることが出来ますように･･･

おぼろ丸　忍アトラクション屋敷『えんま』

──物凄くアトラクションパークな屋敷を所望だなんて意外でした･･･！おぼろ丸さんはもっとストイックな要望かと･･･！

おぼろ丸「マスターに忍術が見たいと、忍者を知りたいと要望が来た。その為、どうせなら皆が楽しめるものにしようと思い立った。感謝する、英雄王」

「それはよい。我が我の為に取り組んでいるだけの事よ。──固定観念に囚われぬ発想、影響を多分に受けているようだな？」

「──いつかに言われたのだ。『人間は小さい』と。･･･その男に恥じぬ大きな人間であるには、自らの事だけを気にかけている訳にはいかぬのでな」

──おぼろ丸さん･･･

「律儀なモノよ。まこと日本人種は仁義を重んじる信念の化身よな。些か趣味が多彩すぎるのがどうかとは思うがな」

「返す言葉もない。だが、たまには酔狂な真似も必要であると思う。張り詰めた凧糸は切れやすいのでな。･･･それでは、小太郎、千代女、段蔵殿との集会に赴く。まこと、忝ない。英雄王」

「赦す。精々腕を磨くがよい──さて、これで暴走召喚の縁は清算したな」

王の言葉通り、暴走による召喚の産物の住居は全て用意した。ようやく始まるのだ。本来の縁の清算たる業務と、本来の戦いと奮闘が

──これより先も準備と選別は終わっております。さぁ、一休みしたなら共に参りましょう！

《然り。さぁ行くぞエア！しかしこの激務、初めての召喚にて全クラスを揃えた日の改築を思い出すものよな！だがあの頃のアーチャーと今のゴージャス･･･同じと思うなよ！》

クラスが違う、精魂が違う、愉悦が違う、機嫌が違う。そう叫ばんばかりに王が笑い駆け抜ける。労働すらも奮闘すらも愉悦の糧。ゴージャスとは、そういうものであるからだ──

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食堂

エルキドゥ「後はさっきの召喚だね。大丈夫かい？大小あれど建築だ。それなりに疲れているんじゃないかな？」

ギルガメッシュ「ハッ。心地好い感覚と言うものよ。流れる汗すら我を彩る宝石、それがゴージャスというものだからだ！」

──もふもふ、もふもふ。あぁ、フォウがモコモコしてて気持ちいい･･･

フォウ（君の疲れ、疲労は僕が連れていくよ。無理はしないでね、エア･･･）


──ありがとう。ワタシも王も頑張るから、待っていてね･･･！さぁ、参りましょう！

《よし！では行くぞ！何、此処まで来たなら高々六人、容易きものよな！さぁ、待っているがよい！まだ見ぬ要望抱えた財どもよ──！》


エルキドゥ「ふふ･･･せーの」

「（いってらっしゃーい）」