人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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アーチャー陣営

「ほう、ライダーにアサシンが。あのマスターの下にか」

斥候「ノブッ!」

「フン。まぁマスターとはそういうものじゃ。集めて束ねておれば撃ち殺すには容易いからの。捨て置け。狙いは──」

カッツ「信長様!姉上!キャスターから使いの者が来ております!」

「姉上は止めよ。・・・まあよい、話くらいは聞いてやれ、信勝」

「はっ!姉上!」


公園

ヒッジ「斬れ!!進め!!斬れ!!進めェ!!」

『じゃか──リッ──探偵──おる───!』

沖田さん「すみません全然聞こえませんノッブ!土方さんステイ!今連絡が来てますから!」

「敵が目の前にいるんだぞ!腹斬るか沖田ァ!!」

「だーかーらー!!今ノッブから連絡がですねー!!」

【【【【【──!!】】】】】

「邪魔だ!!死ねぇ!!!」

「あーもう!後でかけ直します!いいですか、後で!かけ直します!から!!わかりまゴフッ!!」

『つっかえ!!!』

「何でそこだけハッキリ言ったんですか覚えといてくださいよノッブ・・・(チーン)」

「俺がァ!!新撰組だァアァアァ!!!」

おぼろ丸「・・・浅葱のダンダラ、角曲がれ・・・味方で心より安堵したな」

沖田「あ、丸さん・・・すみません、ありがとうございます・・・」

「兵糧丸だ。食べて奮うといい。・・・地図を書いておく」

「た、助かりますです・・・御世話になります・・・」

「うぅおぉおァアァアァァアァアァ!!!」

「いかん、援護しなくては。では、また後程に」

「はい!マスターによろしくおねがいしまゴフッ!」

「・・・自愛せよ・・・」


翻身鮮やかなる事飛燕が如し

「カーッ、ペッ!!」

 

「ぶはぁっ!!?な、なんじゃあ!?」

 

ねっころがり瀕死になっていたアサシン・・・岡田以蔵にかまされるお竜さんのタンと唾による誠心誠意なる治療。寝耳に水ならぬ寝顔に竜のタン唾をかけられ、慌てて体を跳ね起こす似蔵は、現状の把握を行いつつ辺りを見回す

 

「こ、此処は!わしは、わしはどうなったんじゃ!生きとる、生きとるのかわしは・・・!」

 

「見りゃ分かるだろ。どけ、リッカにぼろ負けした糞雑魚ナメクジ。そこはお竜さんの特等席だからな、殴るぞ」

 

そう言いながら即座に殴りかからんとするお竜さんを、油断なく窓際にて見つめている黒き影。おぼろ丸が状況を見守っている。旧友の再会・・・というには剣呑かつ一触即発の雰囲気を、スーツのライダー、坂本龍馬が取り仕切る

 

「はいはい、薬ありがとねお竜さん。──久し振りだね、以蔵さん」

 

「──おまん・・・龍馬ァ・・・!!」

 

図らずとも垣間見た・・・否。『見ることすら許されなかった』剣への動揺と狼狽が、憎き裏切り者と仇敵を目の当たりにした奮起と気迫に変わる

 

(相も変わらず、人の動かし方は手練手管か)

 

隠れ、顔を会わせぬとも出来たものを龍馬は行わなかった。自らに向けられた想いすらも、目的達成の原動力とさせるその強かさに、おぼろ丸は静かに頷く。そして同時に麻痺毒吹き矢を用意し荒事の鎮圧を試みる

 

「わしらを裏切った卑怯もんがぁ・・・!わしらはなぁ、おまんのわけのわからん口車になんのかんのと惑わされてなぁ・・・!」

 

「・・・だから、それはもう謝っただろ」

 

「謝って済むことか!──あのふざけた女もまたわしを馬鹿にするために招いたじゃろうがなぁ、おまんはいつもそうやって・・・!」

 

即座に刀に手をかける以蔵。──生前、歴史に引き裂かれた二人の旧友。共に無邪気な日々を過ごした友の間には、複雑なる殺意と懇意が入り交じっている

 

「今すぐここでぶった斬ってやろうがか、あぁ?龍馬ァ!」

 

「モヤシ丸。こいつ懲りてないぞ。リッカ呼んでこい。今度は首を飛ばしていいぞ」

 

「まぁ、今は見守ろう」

 

お竜さん、おぼろ丸は事の成り行きを見ている。この問題は、先送りにしては禍根を残す。どう転べど、折り合いはつけるべきであるのだ

 

「──そうか。そんなに僕を恨んでたのか。・・・・・・解った。それで君の気が済むなら、やってくれ」

 

龍馬は静かに身を差し出す。斬らせることに躊躇いはない。護衛も無い。丸腰で、生殺与奪を差し出したのだ

 

「は──はぁ!?おい、こりゃ冗談じゃないがじゃ龍馬ァ!わしはやるゆうたら必ずやる!謝るなら今の内じゃ・・・──えぇいこん、バカタレがぁ!!」

 

予想外にして血迷ったとしか思えぬ旧友に、振り下ろした刃のやり処を見失った以蔵の刃が龍馬の体を切り裂く。吹き飛ぶ帽子、飛び出る鮮血。しかし──龍馬は立っている

 

「なぁっ──!な、なんで避けんがじゃ龍馬!?」

 

「・・・斬りかかりながら心配とは。絆はどうやら切れてはいなかったようだ」

 

坂本龍馬は北辰一刀流の達人であり、剣豪でもある。自分の苛立ち紛れの一撃など避けれて当たり前。そんな信頼を、おぼろ丸は垣間見殴りかからんとするお竜さんを真顔で抑え込んでいる

 

「・・・何。これくらいで気が済んでくれるなら大した事ないさ。それに、本気なら今ので死んでたよ。──だろ?」

 

「あ、阿呆かおまんは!大体おまんは!そうやって昔から自分ばかり納得しよってからに!──クソッ!勝手にせい!!」

 

机を蹴り飛ばし、荒々しく椅子にどっかりと座り込む以蔵。事のけじめは決着を見たとし、龍馬に二人が駆け寄り傷の治癒を開始する

 

「あはは、二人ともごめんね。こうでもしなきゃ収まらなかっただろうし・・・」

 

「うるさい。リョーマが死んだらお竜さんも死ぬんだぞ。もっと考えろ。モヤシ丸、行くぞ」

 

「承知した。自愛をせぬ同胞を諌めるのも忍の仕事だ」

 

お竜さんが巻き付き、おぼろ丸がそっとポーチより秘薬を取り出す。傷に塗る秘伝の油『がまあぶら』である

 

「え、二人とも・・・何する気?」

 

「「治療」」

 

「え?唾と油で?待って、このスーツあんまり代えがないからさ、待っ──」

 

・・・暫くして、龍馬の傷は二人の看病により完治する。唾により体がベタベタとなり、油によりくまなく傷に塗りたくられた事が決め手となった。最早水攻めのような唾と油にまみれた龍馬は、買い出しと料理を終え戻ったリッカら女性陣にドン引きされる有り様だったという。水ならぬ油滴るいい男とからかわれながらも、大事なく一同は集合を果たしたのだった──

 

てんさいじゃ きゃんきゃんほえる しまつけん

 

「ふぅ、ご馳走さま。・・・じゃ、お腹も膨れたところで話の続きを始めようか」

 

龍馬はカルデアのメンバーと協力し、帝都の仕組みと成り立ち、その勝利条件を発見したという。それの説明を、それぞれの口より紹介される

 

『サクッと霊脈と聖杯の反応を検知してみてさ。そしたら聖杯、その欠片の反応はサーヴァントを使役するための楔になってるんだ。サーヴァントに対するマスターの代替、って感じかな?』

 

「ロマン氏の言う通り、その楔を中心にそれぞれのサーヴァントが戦線を展開。支配した陣地を奪い合って覇を競う。それがこの聖杯戦争のルールみたいだね」

 

「・・・なんだ。物言わぬ欠片がマスターなサーヴァントだけしかいないのか。可愛くて元気なマスターがいるマジンさんはもう既に大勝利していたのだな」

 

意外なる場所から礼賛の刃の尊み攻撃により安らかな顔でばったりと机に突っ伏すリッカに、茶々がべしべしと背中を叩く

 

『マジンさん!先輩を甘やかしてはいけません!先輩は全く誉められ慣れていないのです!迂闊に誉めては心停止してしまいます!』

 

「うはwwあっさり死んじゃうのこのマスター!殿下は誉めたら木に上ったのに慎まし過ぎない?」

 

『はいはい、まだ話は終わっていないからマシュもリッカも落ち着くこと。──空間を維持しているのが、その聖杯のかけらで作られた楔こそが特異点の土台。破壊することにより特異点は崩壊するわ。聖杯戦争の勝者となること、そして特異点是正は同じ計算式の解となる目標よ。──まぁ、なぜ特異点にてこんな面倒な形式を取っているのかという事実には考察材料が足りないけれどね』

 

「つまり私の、私達の役目はその楔の破壊・・・そしてサーヴァントの撃破って事だね。頑張ろ、マジンさん!」

 

「うん。次は今より上手くやる。サーヴァントはマスターがいてくれれば物凄く頑張れる事が解った。マスター運EXサーヴァントとして、マジンさんはやるぞ」

 

『ぐぬぬ・・・い、いいですかマジンさん!そう簡単に先輩のナンバーワンにはなれると思わないでくださいね!そう、例え私という後輩を乗り越えたとしても、じゃんぬさんや武蔵さんといったナンバーワン候補が──!』

 

「うん、頑張るぞ。応援してくれ」

 

微妙に噛み合わない会話の様子を、微笑ましげにリッカは見つめている。その後輩の交流だけでご飯三杯行ける。なすびぃ!君は最高のサーヴァントだぁ!と港で叫びたくなる衝動が湧くもぐっと抑え込んで茶々にお代わりを貰い五杯目のご飯を食べるリッカであった

 

「目的は明瞭化した。主君、龍馬共に協力し楔を破壊する。サーヴァントの戦線を崩壊させる・・・それが任務であり目標で相違ないだろう」

 

「そうだね。リッカちゃん、マジンさん、おぼろ丸くん。力を貸して貰うよ。茶々さんは留守番ね。僕らの戦線をよろしくね」

 

「任されてもよいぞ!茶々なー、母性溢れるバサカだし!皆の成果を留守番で持つし!」

 

「・・・うん。リッカの行く道は私の行く道だ。お前もそうか。しまつけん」

 

「・・・──あぁん?」

 

そう、アサシン・・・岡田以蔵をハブる訳にはいかない。彼は王の命により生かされた。その腕と実力、何より探知の力が凄まじく有用であるがためだ

 

「わしに協力せぇっちゅうんか。おまんらに?わしも聖杯戦争のサーヴァントじゃぞ?」

 

「違うぞ。お前はリッカに負けた糞雑魚雑種ポンコツナメクジだぞ」

 

「ぶった斬ってやろうがか女ァ!!」

 

『まぁそう言うな天誅の名人よ。我は楽園の王として貴様を高く買っているのだ。我等の陣営に貴様を招くこと、誠吝かではない。──好きな報奨を告げるがよい。金や財が欲しいのならくれてやろう。まずは手付金として一億辺りをくれてやる腹積もりだが?』

 

即座に交渉に移るは我等が英雄王ギルガメッシュ。マネーやドルセント関連の交渉を行わせれば最早敵はおらぬ最高最豪奢の王が、稀代にして不遇の人斬りに契約を持ち掛ける

 

「い、一億ぅう!?一億じゃと!?いちじゅうひゃくせんまん・・・その一億をわしにくれるっちゅうがか!?ええがですか!?」

 

最早たんまりというレベルではないゴージャス給与金に目玉が飛び出んばかりに驚愕し、思わず敬語が飛び出す有り様。その反応を当然とし、交渉の成功の確信を以て会話を運ぶ

 

『無論手付金だがな。リッカめに躊躇いなく刃を振るった貴様の蛮勇ぶりにいたく心を打たれてな。貴様を野放しに放逐し野垂れ死にさせておくのは惜しい。隼が如し剣、我が楽園の為に役立てよ。──さぁ、返答を聴こうではないか』

 

「やります!やらせてもらいます!わしをバカにするどころかこんなに評価してもらえるとはのぉ!うはははははは!やはりわしの才能と腕前は!こない小さな島国では収まらんちゅう事じゃァ!みさらしたか龍馬ァ!わしはリッチじゃぁ!わしはブルジョワ人斬りじゃあうはははははは!!」

 

「あはは、良かったね以蔵さん。御赤飯炊こうか?」

 

「おう!炊け炊け!いいか、リッカとか言ったなおまん!特別にわしが力を貸しちゃる!おまんのインチキ剣なんぞ及びも付かんわしの剣の本気を見せちゃるけぇ、覚悟してついてきいやぁ!」

 

「わー頼もしい!よ、日本一の始末犬!」

 

「マジンさん知ってるぞ。リッカから教えてもらった。チョロインというものだな、うん」

 

カルデア一同は確信した。あ、根が悪い人じゃないんだなと。おぼろ丸は無言で皿を片付け、茶々の皿洗いを手伝いに台所に引っ込む。段ボール箱を踏みつけ笑いまくる楽しそうな似蔵さんの姿に龍馬は保護者のような感覚で目を細めている

 

「ありがとうね、英雄王。凄く鮮やかな交渉だったよ。ほら、以蔵さんはお金にシビアだからさ」

 

『構わぬ。戦闘は効率よく、消費は後腐れ無く、だ。サーヴァント一騎をこの程度にて競り落とせるならば手軽で良い。──契約を一千万、完遂を九千万と区切るべきでもあったかもしれぬが・・・ま、些事よな。さぁ、道は示されたぞ者共。腹拵えの後、鮮やかなる調停と快進撃に赴くがよい!』

 

「うはははははははははぁ!!」

『ふはははははははははは!!』

 

 

二人の愉快な笑いが陣営に響き渡る。更なる新しい仲間を手に入れたゴージャス戦線は、更なるサーヴァントの撃退に挑む

 

・・・次なる目標と標的を定める。その相手は──

 

「主君、龍馬。部員諸兄と共に斥候と偵察を終え、ランサーとセイバーの情報を手にした。場所は此方だ。先導しよう」

 

・・・羽織を纏いしセイバー、そして・・・中華の衣装に身を包んだランサー

 

「しゃぁ!!行くぜよリッカ、素人女!わしの手にかかりゃ、誰も彼も皆殺しじゃあ!!」

 

「わわわ、待って待って!まだ全部食べてないの!え、でも中華ランサーってまさか・・・」

 

「むむ、水を得た魚・・・いや、ビーフジャーキーを得たポメラニアン・・・」

 

「張ったおされたいがか女ァ!」

 

あわただしく飛び出していくリッカらを笑顔で送り出す龍馬。その様子は、かつて無邪気に遊んでいたかつての自分達を思い出すようで・・・

 

「・・・お竜さんも行こうかな」

 

「あ、それはダメだよ、まだ」

 

「行ってくるのか?丸丸にかすてぃら頼んだからしっかり帰ってきてな!いってらー!」

 

聖杯戦争の最中にも、龍馬は笑顔を浮かべられる事を喜ばしく思うのだった──




「邪魔じゃ三下ァ!!」


【【【!!!】】】

マジン「おぉ、一撃だ。強いなしまつけん。凄いな」

リッカ「さっすがー!私達に出来ないことを平然とやってのける!其処にしびれる憧れるぅ!」

「うはははははははははぁ!やはりリッカなんぞに負けたのはなんかの間違いじゃ!夢じゃ!わしは無敵じゃ!一億侍じゃぁ!!」

マジン(む。リッカをバカにするのは許せん。じんじょーに決闘するか)

(まぁまぁ。戦いはノリのいいほうが勝つからこのままで、ね?・・・でも、中華のランサーって嫌な予感が・・・)

「なにしちょる!さっさと行くがや!くっくっく、あの王様は羽振りがえぇ。サーヴァント倒したらもう一億も夢じゃ・・・くっくっく、ふははははははははははぁ!!」

マジンさん「・・・私はお金ではなく、リッカや皆の為に頑張ろう」

リッカ(反面教師扱いになってる・・・!!)


~ランサー陣営

李書文「・・・ようこそ。極東の客人。とでも言うべきか」

「おんしがここのランサーか?」

「如何にも。──まぁ、ランサーには先約がいたのだが、試しに一度打てばあっさり倒れられる有り様。──異名に矛盾は無いが、張り合いは無いというものだ」

リッカ「────やっぱり・・・あ、ヤバい。これ、私達誰か一人死ぬかも」

マジンさん「──マジでか」

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