人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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召喚ゲート前 

「・・・ふむ。何やら時系列と因果に行き違いがあったか。我と唯一対等にて戦った王の楽園に脚を踏み入れんとしてみれば、まだ一年も前。んー、朕これは痛恨のフライング」

ネコアルク「あん?なんだニャ兄さん、姉さん?召喚はまだ後だニャ。いや、今回やるのかニャ?わからんニャ」

「あぁ、そう言った形式を取っているか。飽和を防ぐ理路整然、成る程成る程。法の概念は変わらずか」

(ふむ・・・かといって今を生きる者達に朕がどや顔でニヤニヤしているも癪に触るやもしれん。あの熱き殴り合いと決戦の輝きを消すのも興醒めだ。・・・では、そうさな・・・)

「・・・そこなナマモノ。そなたらは此処の門番か?」 

「?まぁ、そゆことですニャ」

「ほう、そうか。──ならその役割、朕も受け持とう」

「へ?」

「いやまぁ何だ。盛大に生き急いでやらかしたのでな。時間が追い付くまで、ゆるりと楽園の道筋を眺めさせてもらうことにした。英霊どもの顔触れも気にかかることだしな。故に──体裁は正規新入社員と言う形でいい故、ありがたく思うがよいぞ!」

「フリーダムだニャこの人!ま、まぁ人手が増えるのは助かるニャ。じゃあ、名前は何ニャ?」

「ふむ、名乗りか。そうさな・・・では、謎のルーラー、チンと呼ぶがいい!割りと謎だぞ、今のところはな?」

「チンん?ま、まぁ・・・やる気があるなら何でもいいかニャ・・・」

(王、そして姫に龍よ。心躍りながら目の当たりにさせてもらうとしよう。そなたらの、痛快無比なる旅路の一部始終をな)

「籤引き・・・ほう、人事尽くして天命を待つ、か。よい心がけであるな!」

「・・・なんなんだニャこの人・・・?」


ぐだぐだ日常アフター!
不意討ち改築王!──仕事は溜め込まずに適正ペースを保ちましょう


「ふむ、召喚を行うのはよいが・・・めぼしい人員は知っての通り先んじて足を運んだ。であれば・・・一足先に改築に手をかけるも悪くはなかろう。マストリアめの英霊召喚も必要なことは承知してはいるが、何時までも待合室を部屋と言い張らせるさもしい真似もさせるわけにはいかぬ事であるしな」

 

スケジュール表を見つめながら、英雄王ギルガメッシュは玉座にて頬杖をつき一人ごちる。本来ならば特異点にて結んだ縁を回収するのが通例ではあるのだが、ぐだぐだ出身サーヴァントの強みか、はたまた特性かにてほぼ全員が楽園に先んじて脚を運んだために、予定の変更と改編を余儀無くされているといった具合だ。本来なら想定外とあわてふためく処ではあるのだが、不具合想定外への対処も王の手腕が問われるもの。それならそれで予定を変えるのみと財とスケジュールを調整し、見繕う

 

──やはりというか当然と言いますか、沖田ちゃんはマスターと共に在るのが要望です。そろそろマスターのお部屋ももう一段の拡張と改装が必要であるやもしれません。最早れっきとした大所帯でもありますし・・・

 

母や相棒、恋に生きるものや忍び込む事に定評のあるサーヴァント達の存在のお陰で、マスターであるリッカのマイルームはトップクラスに密度が高い。一人、また一人とリッカのマイルーム移籍希望者が増えていき、人口が増えていき、最早部屋と言うよりルームシェアやホームステイめいた大所帯の様相を呈しているのだ。マスター本人は「気にしてないよ!」とは言ってくれているものの、やはりこれはなんとかしてあげたい問題ではある。どうしても部屋の位置や触れ合いの際の問題にも、放置してしまえば厄介な禍根に繋がりかねない故に。そして、王の早急と言えば即断即決、即日決行がマナーにして当然の指標であるが故にこうして話題の端に上げ打ち合わせを行っているのだ

 

《ふむ、なればやはり召喚の前に要望を叶えるのが先決にした方が良さそうであるな。ならば話は早い。バレンタインやその他のイベントにて浮き足立っている今こそが働き時よ。数多に登りし要求、さっさと片付けてやるとするか、エア!》

 

二月に突入し、幾つかの催しも控えている。それを万全磐石に楽しむためにも、労働をやり残したままでは座りが悪い。いつものように労働を、いつもとは違う順序で執り行う裁定を下した王に、当然の如く姫は寄り添い、付き添うことを選択する

 

──時にギル、甘いものはお好きでしょうか?お嫌い、アレルギーがありましたらお気をつけください。その場合、バレンタインは些か物足りない催しになってしまう恐れがありますが・・・

 

《其処は案ずるな。我もフォウもエルキドゥめも渡すも貰うもなんら心配はない。存分に甘き菓子を渡したり渡されたりされ、愉快な一時を我に献上するがよい。しかしじゃんぬめが鬼気迫る様子で材料を仕入れていたのが印象的であったな・・・》

 

──楽園の菓子類を一手に担っていますからね・・・後で差し入れに向かってあげましょう。サーヴァントと言えど、疲労するときは疲労するのですから

 

《フ、であろうな。──期待しているぞ、エア》

 

──お任せください!心よりの本命を御届けいたします!ですが王、フォウはチョコレート・・・セーフなのでしょうか・・・?

 

気軽に歓談を行いながら、慣れ親しんだ労働へと王は脚を運ぶ。これより先に待つ、甘い香りに想いを馳せながら──

 

ちょこれーと あまいもにがいも このみかな

 

 

坂本龍馬 安楽事務所坂本構え+カエル育成所

 

「銭湯に、事務所に書斎に宴会場・・・いやはや、ものは試しとばかりに書いてみた要望を全て叶えてくれるとは畏れ入ったよ。楽園、星の海を目指す王・・・その名は偽りでもなんでも無かったと言うわけだね」

 

「カエルが食べ放題か。しかも自分でも作れる。いぇーい。お竜さんかんげきー」

 

──どうぞ、御自由にお食べください。流石に龍馬さんの生活区画より少し離れさせてはいただきましたが、それでも十分に行き来できる場所にあると思われます。マニュアルに従い、龍馬さんに御世話をしてもらってくださいね

 

「暫く楽しく、ゆっくり仕事ができそうだねこれは。早速だけど、来てよかったよ。ありがとう、英雄王。無慈悲にして酷薄な暴君である・・・なんて評価は宛にならないみたいだね」

 

「──当てにならないのではないぞ、龍馬。此処におわす王が特別なのだ」

 

「うわっ、どっから湧いたモヤシ丸」

 

「いらっしゃい。おぼろ丸くんと語り合うための私設空間も手掛けて貰って、本当に頭が下がりっぱなしだよ」

 

「フッ、宮殿や島を再現することに比べれば容易きも容易き些事に過ぎん。異なる出典なれど数奇な縁に従い、存分に話に華を咲かせるのだな」

 

 

「心より感謝しよう。土佐の酒に刺し身を用意してきた。龍馬、お竜、そして王。如何か」

 

「何から何まで、本当にありがとね。丸くん」

 

「よし、カエルの刺身だな?」

 

「刺身は貰ってやるが酒はいらん。まだ勤務中であるが故、酔いを回す訳にはいかぬのでな」

 

──飲酒は節度を以て、自己責任にて嗜みましょう!くれぐれも、酒に呑まれる事がありませんように!それでは、次の案件です!

 

 

岡田以蔵 青空と河原・豪奢な屋敷

 

「おう、感謝するぜよ。わしは、こんだけあれば十分じゃき」

 

──もっと贅沢に凝らしたような注文が届くかと思っていたのですが・・・彼は彼なりに、思うところがこの景色にはある、のでしょうね

 

「賭博や城ではなく、この景色と屋敷を選ぶとは中々の判断よな、人斬り。風情を嗜む感性を持ち合わせていたとは、これは評価を改めねばなるまいな」

 

「ふん、別にわしはこの景色が好きなわけじゃなか。ただ・・・この頃はなんも考えず、好きなことばかりしちょった頃で、龍馬やその姉ちゃんと遊び回った自分を思い出すんじゃ。なんも考えず、はしゃぎにはしゃいだわしらをのぅ。・・・あの時の空も、こんな風に澄み渡るようなえぇ空じゃった。まさか、一度くたばった先でまた見えるようになるとは思わんかったがの。まぁ・・・悪い気はしないがじゃ」

 

「フッ、死に際に風流な歌を遺した人斬りは言うことが違う。日暮れや夜、星空もコロニー技術にて再現してやった故、存分に堪能するが良いぞ。此方としてもよい試験であったわ」

 

──人斬りに生きた方が、けして忘れられなかった景色。それがこれだとするならば・・・

 

「・・・えぇ空じゃ。変わらんのぅ。あぁ、何処までいっても続いちょる、でっかいでっかい・・・えぇ空じゃ」

 

──彼が龍馬さんに懐く感情が複雑なのも、解る気がします。・・・心から信を置いたからこそ、なのですね

 

《うむ、楽園にて顔を合わせた日に何が起こるのかは見物ではあるな。──存分に眺めるがよい。貴様を侮るものは、この楽園にはおらぬだろうさ》

 

「・・・日本刀から光がばぁっと出て、わしの前で光っちょった。そしたらいつの間にか目の前が真っ白になったあとこの空が見えよったきに、不思議な事もあるもんじゃのぅ・・・」

 

──日本刀から光が・・・確か彼が戦ったのは将門公・・・あっ・・・

 

《・・・新皇めに唾を吐きこの程度で済んだのは幸運であったな。そうか、既に漂白は終わっていたか・・・》

 

「日本刀からビーム・・・日本刀からビーム・・・えぇ空じゃ・・・ほんにえぇ空じゃ・・・」

 

──これ、トラウマになっていませんか・・・!?大丈夫でしょうか?婦長に連絡を・・・

 

《よい、止めを刺すことも無かろうさ。好きに追憶をさせてやるがよい。・・・うむ、怪我の功名と言ったヤツよな?ふはは、加減を知らぬか新皇め!》

 

 

茶々 なんかすごい茶々だけの部屋(和室・金張りの部屋に屋敷)

 

「うはー!なんかいっぱい用意してもらったし!殿下クラスで茶々の贅沢許してくれるとか本当楽園の名に偽り無し!茶々、来て良かった!茶々ァ!」

 

──素直に喜んでもらえると、こちらも嬉しくなりますね!それと、彼女の仰有る殿下と言うのは・・・?

 

《豊臣秀吉の事であろうよ。黄金の国と言われた日本を統一した天下人。その栄光は華々しくも、落陽が如くに凋落せし日輪の名に相応しき男であったと聞く。何れ、何処かの縁で出逢う日もあるのではないか?いや、何処かの黄金魔境周回にて蹴散らした記憶はあるが・・・縁には弱かろうな》

 

「わーい!沢山贅沢するし!あ、ゴージャスゴージャス!頼みがあるんだけど!」

 

「ん?要望に不備があったか?よい、アフターサービスも笑顔でこなしてやろう。申してみるがよい」

 

「タヌキジジィは出禁!!徳川の類いは永久に喚ばないでオッケーだし!NG登録、忘れないでほしいのじゃな!いやホント、いらないから」

 

──タヌキジジィ・・・?

 

《徳川家康の事であろうな。大阪の陣とやらで存分に煮え湯を飲まされたと聞く。・・・フン、バーサーカーで喚ばれた理由が読めたぞ。こやつに相応しきはアヴェンジャーであろう。新皇めと同じく、正しきクラスで招かれていたならば・・・》

 

「・・・捨も拾も殿下も、いつか此処で穏やかに過ごせる日が来てほしいものじゃ・・・茶々、それが叶う日まで──沢山殿下達の分までエンジョイするし!ねーねーゴージャス!あそこの間取りに、風水とか拘りたいんだけど!」

 

「解った解った。カタログを見せよ。・・・最早注文済みではないか!即決買いにも程があろうが!」

 

「思い立ったら吉日!茶々、ショッピング大好き!後で叔母上達とパーティーもしたい!ゴージャス、よろしくお願いしたいし!」

 

「──成る程、貴様は日輪の将軍に相応しい女よな・・・」

 

──また、異なる姿を見せていた・・・ですね。・・・こうして笑い合っていられる出逢いを出来た事を、今は喜ぶと致しましょう。・・・どうか、その炎が彼女をこれ以上焼き払うことがありませんように・・・

 

「茶々ァー!」

 

「解った解った、都合してやる故暴れるでないわ!落ち着きのないヤツめ、慎ましくあらぬか!セイバーの様にな!」

 

──ふふっ。少なくとも、楽園にいる茶々さんには杞憂な様ですね!

 

 

・・・改築は滞りなく進み、残すは沖田ちゃんとリッカの部屋を残すのみとなりし改築王

 

《よし、少し出るぞ。一時間与える故、冷えぬように支度せよ、エア》

 

──支度?外界へ出るのですか?

 

《うむ。少しモデルにすべき建造物があるのでな。視察と言ったところよ》

 

王は赴く。マスターが納得する改築を求めて。──そして余談ではあるが、マスターのマイルームの改築が行われている間、何処でリッカが一日を過ごすかを決める女性サーヴァント達の激闘が巻き起こったとされるがそれはまた別のお話であり・・・

 

「スヤァ・・・」

 

「あなたもホンットに大変ね、リッカ・・・」

 

抜け駆けや正妻決定などの禍根を残さぬため、毛布とソファーを借り受けたリッカは、すいーつじゃんぬの部屋の一室にてひっそりと一夜を過ごしましたとさ──




沖田ちゃん「リッカ、いよいよマイルームの改築が終わったみたいだ。私も一緒なようだ。是非見に行こう」

リッカ「ん、ん~・・・?あ、もう朝かぁ。ふわ~・・・ありがと、じゃんぬ。また来るね!」

じゃんぬ「無理はしないようにね。私も棚卸しが終わったら行くわ」

「うん、リッカと先に行っている。待っているぞ、ぬ」

「ぬ!?ま、まぁ・・・気を付けなさいな」




ギル「うむ、来たか。待ちわびたが特に赦そう。細かい事に頓着せず物事に臨むが余裕の秘訣故な、そら、部屋に入るがよい」

リッカ「どんな場所になったのかなー?あんまり贅沢とかしたことないからピンと来ないなぁ」

沖田ちゃん「わくわく。さぁ、開けてみるぞ──」

扉を開けると、其処には・・・

リッカ「──」

藤丸龍華 清潔な豪邸

「おぉ、物凄く綺麗な家があるぞ。凄く真っ白だ。マジンさん、目立ってしまうな。・・・ん?どうした、リッカ」

リッカ「・・・ここ──」

ギル「然り。──最早言葉は不要であろう?」

──あくまで内部観察のみに留め、脚を踏み入れはしませんでした。ご安心ください、リッカちゃん

「・・・うん、そうだね。改築するのに、新しく住みたいって思うなら、やっぱり此処しか無いよね・・・」

「お前のサーヴァントどもにも気が向いたら話してやるがよい。この屋敷の意味をな。そら、試しにそこの雛鳥のような者に伝えてやるのはどうだ?」

リッカ「あはは、もしかしてそれも織り込み済み?もー、鮮やかすぎて何も言えないじゃん!」

「ふはは、当然よな!我を誰と心得るか!」

「姫様と、二人で一人のゴージャス!でしょ?」

──ふふっ、大正解です!

「面白いものを見つけたぞ、リッカ。ワンニャン王国Blu-rayBOX・・・興味がある。見たいぞ」

「よーし!じゃあ見よっか!せっかくだから、部屋のサーヴァント皆でね!」

──今回の改築も、大成功ですね!ギル!

《我ながら凝り性よな。だが悪くない!王の帰還だ!バターケーキを用意せよ、エア!》

──はいっ!お任せください!王の御心のままに!フォウに連絡して、と・・・!

停滞なく、完成も無きカルデア。其処に財がある限り、王はそれらを輝かせ続ける──
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