人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
チン「いやはや・・・こちらの世界の歴史を閲覧してみれば、想像を越える混乱ぶり。・・・この様な世界を尊び、愉しみを見出だした王と姫には改めて驚愕する他ない。守護せんとするマスターや英霊どもにもな。──やってられんだろうに」
「あのー、召喚・・・」
「──良し。知らぬのならば知るまで。かの御機嫌王、そしてその傍らに在りし姫の物語を一から見定めてみるとするか。完全無欠の叙事詩・・・如何なる旅路を歩んだのか。楽しみに拝見するとしよう!どれ、まずは・・・炎上特異点?」
「召喚・・・」
「む、そうであったか。其処に招かれし英霊のリストがある。招いておけ。・・・ほう、我が演算すら越え、因果律の把握にまで至った姫も、始まりはこのように無味乾燥であったのだな」
「仕事はやっ!?」
ガウェイン「良いですか、粗相はいけませんよ。マッシュポテトの振る舞いを忘れずに」
「分かりました!全力で、行って参ります!」
チン「ほー・・・戦い方すら解らなかったと。はは、さぞかし英雄王めも困惑したであろうなぁ。其処なナマモノ、飲み物を持て」
「ナチュラルに小間づかい!?」
空港
「えぇ、すみません。急に首脳からセラピーの依頼が舞い込んでしまい・・・」
オルガマリー「い、いえ。大丈夫です。それでは参りましょう」
(人と話している気がしないわ。これが、現代の聖人とまで呼ばれる方・・・)
キアラ「お医者様に出逢えるかと心待ちにしておりましたが未だ叶わず。道はいつか交わると信じ、功徳を重ねましょう。・・・カルデア、楽しみですね・・・ふふっ。あ、後でガトーさんにも報告しなくては!」
(ロマンの負担が軽くなれば良いのだけれど・・・)
~自室
ヒナコ「カルデアからも無事送り出された、か」
(これで元の木阿弥。私はいつになったら平穏が手にはいるのかしら・・・あぁ、不死とか辛いだけ・・・)
「そうよねー。楽しみ見つけないと長生きは辛いわよねー。解る解る、解るわー」
「──!?」
アルク(ファンタズムーン)「やほー♪カルデアの魔法少女が貴女を迎えにやってきましたー♪」
「・・・・・・・・・は?」
改築を終え、後は平穏にして穏やかなる日々を迎えるのみ・・・と誰もが思うところではあるが、未だにまだ為すべき事は残っており、取り組まなくてはならない命題が控えている。王の許可と号令が必須となる出来事に加え、カルデアの施設と火を使わなければ立ち行かぬ事業であるために他人任せにも早々出来る事ではないもの・・・それを為し遂げる為に、最低限の人員を管制室へと集めし英雄王が、些か数の少ない空間にて声をかける
「さて、今回は縁を紡いだ英霊どもが自主的に楽園の門を叩いた故、召喚の内容は容易く終わるものとなった。それ故に次に改築を回すという点も含め、今の内に為すべきことを成してやろう。──覚悟はよいな、マスター・アルトリア」
そう、今回の召喚は後回しとなっていたマスター・アルトリアのサーヴァントの召喚、招き寄せ、マスターとサーヴァントとしての関係を築くための儀式を執り行うという寸法である。カルデアのサーヴァントは殆どがリッカとの契約であるがため、特例として一騎サーヴァントを持つことを王は容認したのである。アイリスフィールと同じ、攻略した特異点の異常再発の確認にして調査、別動隊の指揮などを含めたマルチな活躍を行うためにも、パーソナルサーヴァントは必須であるのだ
「はい、マスターとしての役割は熟知しています。訓練も模擬戦2000回のスペシャルです。お任せください」
「ほう、自信に満ちた物言いはやはりアルトリアよな。一応参考までに聞いてはおくが、拘りの英霊などの要望はあるのか?先約程度なら受理は容易いぞ?」
召喚傾向を偏らせ、それを絞る事は不可能ではない。カルデアの融通は如何様にも利き、容易く再現が可能であるほどに強化されている。アルトリアシリーズには何故か全く働かないのが難点ではあるのだが。いつまでもセイバーが訪れぬ議題にてレポートを書ける程度には疑問が尽きないとはロマンの言葉だが、それはそれで美味しいんじゃないかとマーリンが告げていた事を彼は王に告げることを悩んでいたりする
「そうですね・・・やはり忠に篤い騎士のサーヴァントが良いですね。実力とかはまぁサポートでなんとか出来ますが、会話してくれないサーヴァントやマスターなんて本当に困りますので。コミュニケーション、大事です」
信頼関係とは戦う上でもっとも大事かつ肝要なものだ。力を合わせ絆を深めれば、基本的に出来ない事は無いことを他ならぬこの旅路が証明している。マスター・アルトリアもまたそういった面を重んじるようだ。その要望を聞いた王は最早考えるまでもないとばかりに指示を飛ばす
「よし、円卓の連中より他あるまいな」
「そうだね。むしろ向こうから来るかもだ。誰が来ても強いことには間違いないし、安心して召喚が出来るね!」
人員的なトラブルに目を瞑れば・・・と続きかける口を閉じ、召喚の姿勢を整えるロマン。円卓の騎士は基本的にトップサーヴァントの集まりであるので、外れとなる騎士は存在しないのが実情だ。時代を守護せし清く正しい騎士に、清く正しい王。それこそが、華のキャメロットであるのだから
「よし、バレンタインにて女職員どもがおらぬゆえ──・・・、・・・よし。決めたぞ」
人員が少ない理由は、これより行われるイベントに備えさせ王が特別に時間を取らせたために女性職員がバレンタイン休憩時間を日にち単位で履行しているためである。満足するチョコを作るもよし、共に伴侶と過ごすも良し。好きに過ごせと特別に発注したためだ。今回は、その間隙を縫った形となる特別召喚であるのだ。そして、王が考案したものは──
「あえて今回は単発としよう。王の似姿に仕える事を厭わぬ新なる忠義の騎士は何者か、とくと見定めてやろうではないか!」
どうせ円卓が来るのであれば、ガチャにガチャを重ね排出を楽しむ。そんな遊興を思い付き、王は召喚の人員を絞り取り組ませることを選択したのである。個性の塊、忠義を越えて信奉すら集めている円卓の絆を問うような選択に、男性職員は仄かな戦慄を覚える。──少なくない争いが起きるのではないかと
「大丈夫かな、円卓ランダム召喚だなんて・・・押し寄せてキャパオーバーとか普通に有り得そうだぞ・・・」
「じゃれあいでトップサーヴァントクラスの戦いをやる連中だもんなぁ。推しへの忠義レースだなんてどうなる事やら予想もつかないよ」
「譲るのか、それとも剣で忠義を争うのか・・・王は酷な選択を強いるなぁ」
それぞれの所感を懐くなか、滞りなく召喚の儀式の準備は進む。いよいよアルトリアがマスターとなる日が来たり、二人三脚で歩むサーヴァントが決定するのだ。これよりは前線で戦う剣と盾を得る。その事実に、アルトリアは図らずとも高揚と緊張を露にする
「ご、ごくり」
「なに、そう固くなるな。英霊の中でも華のキャメロットに集う騎士に招集をかけるのだ、間違いはあるまい。ま、我では一日ともたぬと自負する程に堅苦しい治世ではあるがな」
生唾を飲み込むアルトリアの背中を愉快に叩くゴージャス。生粋の危険サーヴァントは令呪による睨みを利かせることも可能であり、そして召喚の制限もついている。そうまずいことにはなりはしないと王は告げる
「そうそう。何ならボクもいるんだ、契約の不備や突然のアクシデントは無いと思ってくれて構わないよ。気楽に挑んでもらって構わないんだよ?」
ロマンもそれに同調する。その気になれば指をくいっとするだけでスタンなど余裕の所業であることを伝え、万が一は起こり得ないよと安心を促す
「お前のマスターとしての努力は熟知している。何恥じることも憂う事もない。カプさばのカプセルを空けるが如きの気楽な体で挑むがよい。約束された勝利のガチャに他ならぬのだぞ?何なら我のガチャ運を分けてやってもよい。部員どもの大勝利報告に続くか?」
「永遠に推しが来なさそうなのと、貴方が勝利するべきなので遠慮しておきます」
ぐぬ、と閉口するギルに一瞥と頭を下げながら、召喚サークルの前へと立つアルトリア。その魔力と契約に答え、契約が此処に履行される
「アルトリアの名前において召喚を実行します。──割りと実力より、親しみやすい騎士が来てください」
音声認識めいたリクエストを聞き届け、召喚サークルが回転する。アルトリアと二人三脚にて歩む騎士が、専属という形で再現されるのである。数多いる騎士のなかで、何者がその栄に預かるのか。一同の興味は少なからず高まっている。召喚サークルに視線が集まっているのも、それが原因の一つでもある
「ガウェインもランスロットも、何ならトリスタンも縁はあるんだよね。これは中々予測できないなぁ」
「なんならこれ、アルトリアちゃんのチョコを貰う騎士決定戦だったりするんじゃないですかね?アルトリアちゃん、誰かにチョコ渡す予定ある?」
「食堂の赤マントさんには色々御世話になっているので、渡そうかと。後、竹刀や木刀を用意してくれる村正おじいさんにもですね」
「うむ、やはり因果とは収束するものよな。お前は誰に・・・おっと、今はフォウやマリア達とチョコ作りであったな」
「いいよなぁ。そんな青春送りたかったよなぁ・・・ラグビー部のクオーターバックとかモテモテだったんだよなぁ。クソァ!!リッカちゃんにタマ潰されてしまえバーカ!」
「シバ、費用に糸目はつけないなんて言ってたけど大丈夫かなぁ。彼女、たまーに凄く変なことやったりするんだよねぇ・・・」
「そういやムニエル、お前リッカちゃん以外から貰う予定は?」
「この流れで聞かないでくれよぉ!!・・・コンラちゃんとかから欲しいけど、望み薄だってわかってるさ!いいんだよ!皆が幸せならそれで!」
「所長はセラピスト迎えに行ってるし、忙しいよなぁ・・・ゆっくりしたらいいのになぁ」
「──セラピスト?・・・其処はかとなく聞き覚えがある単語よな・・・」
その王の思案を遮る形で、召喚が完遂する。その予測、予想に応え現れし騎士の姿がエーテルにて編み込まれ楽園にて現界を果たす
「・・・問いましょう。あなたが私のサーヴァントですか?」
やや緊張に上ずった声にて、サーヴァントに問い掛けるアルトリア。その声に応えし忠義の騎士。その真名は──
「はい!円卓の騎士ガレス、召喚に応じさせていただきました!我がお・・・我が王のマスターバージョンにお仕えできること、大変光栄です!精一杯頑張りますね!カルデアの皆様も、どうぞよろしくお願いいたします!」
ガウェインの妹であり、そしてランスロットを何より敬愛せし鎧の女騎士、ガレス。アルトリアの魂に応えし騎士にて選ばれしは彼女であった。ランスロット以外の騎士には遅れをとらぬ程の武勇を持った・・・そして彼女の死が円卓崩壊の一手となった重要な騎士でもある
「ガレス・・・あぁ、女性だったんですね」
「はい!マスター、これよりよろしくお願いいたします!あの、そのですね!つかぬ事をお聞きいたしますが、ランスロット卿はおられますでしょうか!私、ランスロット卿と再び肩を並べて戦うことを心待ちに──」
「無論いるぞ。見るがよい、これが理想の騎士たる模範の姿よ」
【Gareeeeeeeeeet!!!!】
「」
「お願いいたします、ガレス卿。・・・ガレス卿?」
「」
「・・・ふ、フリーズしています」
「ふはははははははは!!であろうな!精々懇意にするがよい!そら、詫びの花束と歓迎の香水を受け取ってやれ!」
「あ──ありがとうございます!流石!狂っていてもランスロット卿は流石です!さすラン!」
「さすラン!?」
「ん」
・・・新たなる円卓を招きしカルデア。カルデアに在住する円卓の騎士達は、こぞって彼女を歓迎した
「おー!ガレス!やっぱ来たか!つーかおせーよバカ!もっと早く来いよな!!」
「すみませんモードちゃ、あわわモードレッド卿!これからよろしくお願いいたします!」
中でも、とりわけ彼女の参戦を喜んだのは他でもない、第六特異点にて誰よりも気にかけていたモードレッドであったという──
ギルガメッシュ「さて、次の召喚であるが・・・」
~
『わー!○○だー!!』
『カルデアの召喚システムはどうなっているのかしら・・・』
『先輩!良かったですね!』
『あはは、まぁこう言うこともあるよね!』
~
「・・・」
ロマン「どうかな?また召喚は続けるかい?」
ギルガメッシュ「・・・いや、よい」
「え?ホントに?」
「うむ。見て楽しむ事が叶わぬからな。此度は興が乗らぬ、後回しでよい」
「ふーん、解ったよ。・・・やっぱり、寂しいもんね?」
「・・・ふん、分かりきった事を態々問うでないわ、たわけめ」
~
──こういった不具合もまた愉悦、ですね!さあ、次は誰が招かれるのか・・・とっても楽しみです!
~
「・・・まったく。紛う事なくお父さんムーブではないか。我ながら、楽園にて愉快な心待ちになったものよな・・・」
NG召喚 お休み