人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ムニエル「リア充を呪う海の男・・・いったい何ひげなんだ・・・」

オルガマリー「まさかとは思うけど、混ざりたかったとかなんて考えてないわよねムニエル?」

ムニエル「酷くないです!?俺は恨んだり呪ったりはしないんです!そう、幸せは遠くにありておもうも──」

ロマン「あ、シバからLINE来た。・・・ラクダ型チョコ!?中身みっちり!?待ってほしい!とてもじゃないけど消化できる気がしない!マイルドな大きさにし──等身大、だと・・・!?」

ムニエル「クソァアァアァア──!!」

オルガマリー「え、あれは羨むべきものなの・・・!?」

『LINE』

「?」

『教授は 待ってるゾ♥』

「・・・・・・・・・」

『ヒッポリュテさん また教授が悪巧みしています』

『承知した、今すぐ向かう』

「──よし、悪は滅んだわね。リッカ、きちんと帰ってきなさいよ。こんなイベントで怪我したらやりきれないわよ・・・?」


黒ひげ爆発危機一髪

「リア充爆発しろ!!!!!」

 

力の限りに絶叫し、海上に我等が黒ひげ、大方の予想を裏切らない黒ひげの慟哭が響き渡り、そして慟哭が響き渡った瞬間に、黒ひげの体が爆発を引き起こし吹き飛んでいく

 

「ごはぁ!!?」

 

「くろひー!?」

 

「自爆芸とは変わってるなぁ・・・」

 

リッカが割と本気で身を案じ、エルキドゥは髪が痛まないように丁寧なブラッシングを行って潮風から保護している。頭の捻りようもない犯人の出落ちめいた反応に、エルキドゥはけらけらと乾いた笑いと言葉の刃をプレゼントせしめる

 

「大丈夫だよマスター。アレは最初は手強い障害だったけど、段々強敵のオーラが劣化して新たな敵の噛ませ犬として爆発する的なものさ。深刻さから言えば取るに足りない。まぁ生命に別状は無いさ」

 

「あるよ!?割と真面目に生命の危機でござるよ!?ぬうぅ、誰がこんな卑劣な不意討ちを!?拙者危うく、キレイなBGMを伴って黄金の粒子となって消えてしまうところでしたぞ!全米震撼、全米号泣ですぞ!」

 

「ははは、そうかな?僕の見立てでは君は冒頭で無惨に殺されているか、中弛みを防ぐために雑に処理される役割が相応だと思うな。そんな君の死がリッカ以外に悼まれると思うかい?」

 

「確かに!!そしてひどい!!」

 

リッカの存在を全肯定し、同時に自分のあまりの扱いの粗雑さに叫ぶ黒ひげ。まぁそんな事はいいのでござるとばかりに立ち上がり、自らが爆発した要因を問い詰める

 

「というかいきなり問答無用で爆破とか!流石はエルキドゥ氏、噂にたがわぬアクティブモンスターでござる?うん、海賊なら奇襲とか当たり前だからね!でも自分がやられるとむかつく!む か つ く ! !

 

「わざわざ大文字にするくらい物凄くおこだったんだねくろひー・・・」

 

だが、黒ひげの意見は誤りである。エルキドゥは確かに笑顔で合理的に他者を仕留めるアクティブモンスターの一面はあるが、それでもマスターを蔑ろにした指示を遂行はしない。リッカの判断を越えた独断など行う筈が無いのだ。そしてリッカがそんな不意打ちを行う筈が無く、黒ひげは信頼と確信を以てエルキドゥの仕業と認定したのだが・・・

 

「そんな回りくどい真似しないよ。だって爆破するより首を落とした方が早いもん。リッカだってわざわざ爆破より部位破壊を選ぶはずさ」

 

「うんうん。そんな能力持ってないよ私。ボマースキルは修めておりませぬ」

 

「えぇ!?じゃあいったい誰がこの黒ひげを爆発させたのですかー!まさかテメェらかロクデナシども、頭ァ奪って黒ひげに成り代わろうって腹かぁ!?」

 

疑いの眼は、船員たちに向けられるが当然船員たちはそれを否定する。黒ひげの後釜など頼まれても遂行できる目処がなく、あんな激烈なキャラクターに成り代わるなど土台無理な話だからだ

 

「俺達じゃねぇっすよ!」

 

「そうでございますぞ黒ひげどの!証拠もないのに人を疑うなど!」

 

「そ、そうだね。ごめんだね皆。海賊は仲間、海賊は家族・・・そしてメフィスト氏・・・ん?」

 

船員たちやメフィストフェレスの訴えを聞き、身を省みる。リッカとエルキドゥの目線を集める道化の存在に、1拍おいて黒ひげは気が付き声をあげる

 

「いや、ちょっとお待ちになって。なんであなたミーの船にライドしてるの!?」

 

「ヒヒヒ、はぁ、まぁ「爆発しろ!」なんて言われましたら爆発系サーヴァントとして爆発させぬ訳には?大体、「するなよ、絶対するなよ」と言われたら末期、ついつい殺っちゃうのは道化の嗜みからでして?」

 

「うわぁい!!犯人だったチクショウ!!」

 

そんな断定劇を終え、無事に犯人はそこにいる道化と片がついたところでリッカが手をあげる。カルデアにて産み出されたチョコサーヴァントの実態とその在処をだ

 

「ねぇくろひー、チョコ知らない?ほら、歩いたり走ったりする奴なんだけどさ。脱走したって聞いて回収しに来たんだけど?」

 

「チョコレートでござる?(ギ)隠してなどおりませんぞぅ!(ク)拙者は無実!無実を主張しますぞ!リッカたん!(リ)」

 

「くんくん・・・リッカ。船の倉庫から気配とカカオの匂いがする。彼が隠しているのは明白だ。回収しに向かおう」

 

対話の龍的に視覚化できるほどあからさまな嘘の言葉、そしてエルキドゥの気配察知にて即座に犯行が断定される我等が黒ひげ。無実の主張は却下され弁護士は当然の如く呼ばれはしない

 

「チクショウ!拙者にはなんの権利も無いのでござるかー!!それでも黒ひげはやってない──!!」

 

「いやいや、チョコならちゃんと作ってあるからさ、バカな真似は止めて自首しようよくろひー。ためにならないよ?田舎のお袋さんが泣いてるよ?」

 

「いや、まだだ!まだでござるよリッカたん、この黒ひげには暴れなくちゃいけない理由とリビドーがある!こうなれば実力で無実を証明するのみ!暴力=自由!それが嵐の航海者の生きざまよ!!」

 

「おやおや?戦闘でございますな?それならば是非私めもお側に!」

 

「止めた方がいいんじゃないかな。傍観者や道化でいた方が痛い目には逢わないよ?」

 

「イヒヒ!するなと言われれば余計に熱が入るというもの!イヒヒヒヒヒ!いやはや令呪により制限されながら戦うのは超スリリングですが!バレンタインデーとはリア充を爆殺する日!爆殺応報都市ハラジュクとも申しますし!このメフィスト・・・張り切ってリッカ殿を爆殺せしめようと思います!いやはや、あなたを狙わずしてはリア充とはなんであるのか不明瞭になってしまいますからなぁ!!」

 

自己防衛の黒ひげ、そしてメフィストなりのリッカへのエールと悪魔ムーブを両立する道化。二人が流れるように戦闘体勢に入る。それを認識したリッカも決意する。どうやらチョコを渡すには相手を無力化し拳で語り合う必要性が出てくるのだと

 

「どうやら荒事になりそうだね。──此処は僕がやろう」

 

【?エルキドゥ?】

 

「君の手は、今日は血に汚しちゃいけないよ。その手から薫るのはカカオの香りだけにしておかなくちゃ。これからまだまだプレゼントを配るんだから、ね?」

 

問い諭すエルキドゥに、リッカは静かに頷く。彼なりの気遣いを正しく汲み取り、自己防衛の鎧を纏うのみに留めたのだ

 

【解った!じゃあよろしく、エルキドゥ!頭、冷やしてあげて!】

 

「了解、それじゃ──」

 

くるりと振り返る瞬間、目の前には無数の砲弾と爆弾が投げ込まれ打ち込まれている。二人の同時の攻撃に、微塵も焦ることなく、ぐっと前傾にて構え──

 

「──やろうか」

 

即座に最高速まで加速し、銃弾を指と手で掴みとり砲弾の側面を拳で叩き海へと吹き飛ばす。爆弾の信管の位置、個数を即座に把握認識し、指をチェーンに変形させ一貫きにて一つを除いた全ての核となる部分を放ち抜き取り爆発の危機を撤去する

 

「はい!?」

「なんとぉ!?」

 

「はい、お返しだよ」

 

瞬時に爆発物を黒ひげとメフィストに投げつけ、力尽くにてハンマーにて衝撃を加え『一個だけ』爆発可能な爆弾を起動させ──

 

「うぼはぁあぁあぁあぁあぁ!!!砲弾弾いて銃弾つまむとかスターなプラチナなのでござるかーー!!?」

 

「アッヒャーーーーァ!?まさかまたまた爆発を利用されるとは!威力が高すぎる殺傷力ばつぐんも良し悪しですなぁーーー!!」

 

派手に火柱の中にのまれる道化と海賊。軽いウォーミングアップとして振る舞った攻撃にて大勢は決してしまった事を、エルキドゥはやや残念がる

 

「次がある、なんて考えちゃダメだよ。何事も即断即決を心掛けなきゃ。まぁ、反射神経や対応速度のテストにはなったね、ありがとう」

 

そのまま船員を流れるように無力化し、暴動と反乱を鎮圧するエルキドゥ。あわれ黒ひげ海賊団、リア充を呪う海賊はたった一人のアクティブモンスターにて無力化されてしまうのであった──




リッカ「くろひー、気は済んだー?戻っておいでー」


くろひー「心なしかリッカたんの呼び掛けが慈愛と親愛に満ちやる気が感じられない!ぐ、ぐぅ・・・しかしこの、黒ひげ。まだまだ倒れませんぞ・・・」

エルキドゥ「仕方ない、首を切り落とそうか」

「止めてェ!!こうなれば・・・!せ、先生!こういうとき頼りになる先生!こんな男の娘やセクシャル中性なサーヴァントを連れるリア充マスターに天誅をお与えください!!」

リッカ「先生!?まさかゲオルギウスさん!?」

エルキドゥ「ヘクトール・・・とかかな?でも確実に君よりモテるから君に力を貸す理由は見当たらないとおも」

スパルタクス「チョコレートは圧制」

リッカ「くろひーあなたどっから連れてきたのこんな真性のやべーやつぅ!!」

エルキドゥ「うわぁ、なぶりがいの有りそうな筋肉ダルマだぁ(キラキラ)」

くろひー「ふはははは!そう!バレンタインデーとはまさに究極の圧制デー!!スパルタクス先生が世界で一番発奮する日なのだ!チョコに大好きな気持ちを込めよう?乙女にとって大事な日?ヘソでコーヒーが沸くわァ!!!砂糖入れませんわー!全部圧制!圧制ですぞぉ!!」

リッカ「だからあるんだってばチョコ!渡したいんだからバカな真似は止めて投降しなさいってば!あるよ!くろひーのチョコ!」

「ぐぬ、──退けぬでござる止まらぬでござる!此処で拙者は日和るわけにはゆかぬ!」

エルキドゥ「~♪成る程ね」

リッカ「──どうしてもやるというのなら・・・!」

くろひー「そんな訳で先生!スパルタクス先生!我が最愛のリッカたん、今日ばかりは圧制者ですぞぉ!」

「それでは叛逆の開始である。黒曜の龍よ、チョコレートは私が守護らせてもらう・・・!」

エルキドゥ「爆発物処理法も突き詰められそうだ。楽しくなってきたね、マスター!」

リッカ「ギルぅ!あなたの親友の感情が読めなさすぎて怖いよぅ!!」

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