人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ジル「聖なるジャンヌ!さぁ、ラスボスたる私と語り合いましょうぞ!」


核心

「フハハハハハハハハ!!欠伸が出るわ!このような蛆虫風情で我の疾走を阻めると思うな――!!」

 

城内に入ってからも自分達の疾走は続く。敷き詰められたヒトデのような魔をマシンが蹴散らし、踏み潰し、吹き飛ばし蹂躙していく――!!

 

 

最短に、真っ直ぐに、一直線に――!沖田さんがいつぞや言ってた(ような気がする)矜持のままに長い廊下を爆走し、邁進し、疾走する――!

 

「征服王めの御株を奪う日が来ようとはな!まさに蹂躙!制覇してなお踏みにじり、征服してなお君臨する!よい王道ではないか!フハハハハハハハハ!!」

――体勢を整える前に片を付ける!これ以上、フランスを狂わせはしない――!

 

「ルーラー!道はこちらであっているな!?」

 

「はい!竜の魔女を感じます!このまま突撃しましょう!」

 

「いけー!ギルギルマシン!スーパーランだー!!」

 

『リッカ君グレないでね!お願いだから!』

 

『盗んでないし大丈夫よ!』

 

『何がです!?』

 

「よし、階段まで疾走するぞ!遥かなる君臨制覇――唸れギルギルマシン――!!!」

 

 

「わぶっ!!わぶぶぶぶっ!飛んできてる飛んできてる!飛沫とか血飛沫とか肉片とか色々飛んできてるー!!わぶぶぶぶぶぶぶ!!」

 

エリザベートが悲鳴をあげる。VIP席に魔力障壁はないのだ――!

「笑顔で耐えよ!!アイドルであろう!辛くても笑顔を振り撒き、不潔なファンであろうと笑顔でサインをくれてやるのが偶像の役目よ!例え腹の底で、込み上げる吐き気が燻っていようともな――!!」

 

『リアルアイドルはこれだから!その点マギ☆マリはバーチャルアイドルだから最高さ!』

 

「フォウ(それはどうかな?)」

 

「アイドルって厳しいのね!知らなかったわ――!!」

 

汚物にまみれながら、アイドルは輝いていたのであった

 

 

「階段です!ここからは走りましょう!」

 

「うむ!大義であったギルギルマシン!カルデアにてハイオクエーテルを存分に注入してやるぞ!さぁ降りよものども!」

 

「どわ――――!!急停止しないでゴージャス――――!!!!」

 

紐をブッチぎりぶっ飛んでいくエリザベート。すまないエリザベート!拙速を尊んで本当にすまない!

 

「では――往くぞ!」

 

 

 

 

「訪れたようですな……では、この不肖ジル・ド・レェめが歓待にあがりましょうぞ、ジャンヌ……!」

 

 

 

 

 

「この先であっていような!」

 

「はい!この先に魔女ジャンヌが!」

 

長い廊下を走りながらジャンヌに確認をとる。全力疾走で走る一同

 

「はぁ、はぁ、なんなのよ……!バラエティーアイドルってこんなに大変なわけ!?」

 

「出川さんとか凄かったんだなぁ……」

 

「誰ですかそれは……!?」

 

「知らない?お茶の間で一番ガッツがある人」

 

『無駄話は後だ!前方にサーヴァント反応!』

 

「あれは――!」

 

そこにいたのは、禍々しいローブに身を包んだ大男――右手に人皮にて編まれたおぞましき本を持つ、異様な風貌の男

 

――理解する。あれはジャンヌの補佐官、あるいは副将だ……!ならば……!

 

 

「――お待ちしておりましたぞ、ジャンヌとその一――」

 

言葉を紡ぐ、いや紡ごうとしたジル。――だが

 

 

「ルーラー!!」

 

「はい!――――退きなさい、ジル――!!」

 

ジャンヌが大股でジャンプし――

 

「ファっ――!!?」

 

「今は、貴方は後です――!!」

 

ジルの深淵に覗かれし瞳めがけ――渾身の目潰しを放つ――!!

 

 

「ファ――――――――!!!!??」

 

そのまま、指を目に突っ込み、思いきり祈りを振るいのける――!!

 

もんどりうち、きりもみをしながら吹き飛んでいく哀れなジル・ド・レェ――!!

 

 

「エリザベートさん、清姫さん!ジルの足止めを!私達は魔女を!」 

 

「わ、解りましたわ……」

「うん、任せて……」

 

「……?」

 

あからさまに困惑している二人、……いや、無理も無い。背筋も凍る残虐殺法だったのだから……

 

 

「――我が焚き付けておいて何だが……貴様はこれほどまで無慈悲な娘であったか……」

 

「???」

 

「いや、忘れよ。そら、ここにやつめがいるのだろう?」

 

「はい!今、総ての疑問に答えを――!」

 

閉じられていた扉に、手をかける――!

 

 

 

 

「魔女ジャンヌ!!」

 

 

「――来たのね、私」

 

 

もう幾度か。白いジャンヌと黒いジャンヌが相対する

 

 

「ジルは……」

 

「捩じ伏せました。今は、アナタに対する疑問を優先したかったから」

 

「――今更、問い掛けなど」

 

ちらり、とジャンヌが此方をみやる

 

「――構わん。貴様が感じたことを、貴様の口で伝えてやれ。――別れを告げるように」

 

「……はい」

 

頷き、魔女ジャンヌをみやる

 

「――貴方は、『自らの育ての親』を覚えていますか?」

 

「――――え?」

 

豆鉄砲を食らったように、完全に硬直する魔女ジャンヌ

 

 

「簡単な問いです。更に言えば――貴女は、藁の柔らかさを覚えていますか?」

 

「なに、を――いっ、て……――」

 

硬直する、魔女ジャンヌ。口を開くが答えは帰ってこない

 

「アナタに伝えるべき事を伝えよとマリーが。今の疑問は、英雄王が発した言葉です」

 

 

「アナタが私であるなら、忘れられるはずがないのです。どれほど戦場の記憶が強くても、私にとっては田舎娘としての記憶の方が遥かに多い。――だからこそ、貴女は裏切りに絶望し、憎悪し、立ち上がったはず」 

 

「私、私は――」

 

――そうか。そういうことか

 

あのジャンヌには記憶が無い。魂と人格を形作る記憶が無いにも関わらず、魔女として振る舞っていたその矛盾

 

――この世の総ては、先達者の手により造られるもの。自然発生するのは魂のみ――

 

器から声が響く。――記憶の無い魔女。それはつまり……

 

「精巧に造られてはいたがな。最後の一押しの再現は叶わなかったらしい。『その時期は、共に過ごしてはいなかった』のだからな」

 

 

――あのジャンヌは……『何者かに作られたジャンヌ』なのか――!

 

 

「――だまれっ!記憶がなくとも、私がジャンヌであることに変わりはない!」

 

旗を振るい、憤怒をあげるジャンヌ

 

「えぇ。貴女は貴女です。――ですが私は怒りでなく、哀れみをもって貴方を倒す!」 

 

「ほざくな――!信仰と憤怒、希望と絶望――どちらが勝るか、ここで決める!!」

 

 

「助力はいるか?ルーラー」 

 

「ありがとう、ですが、無用です――私の決着は、私の手で!」

 

 

 

「後悔するがいい――!!『吼え立てよ』――」

「『我が神は――』」

 

 

ジャンヌとジャンヌが――火蓋を切る――!!

 

 

「『我が憤怒』――!!」

「『ここに在りて――』!!」

 

魔女と聖女、決着の刻だ――!




「ジャンヌ・・・嗚呼、いつもの私に行うあの諫撃――あなたは紛れもなく・・・ジャンヌ・・・」

「大丈夫、こいつ・・・?」
「さぁ・・・」

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