人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ロイグ「・・・」


『この素晴らしい世界に祝福を!』

『働く魔王さま!』

『working!』

マハ(行かなくてよかったのか、ロイグ?皆たのしそーだぞ?)

セングレン(のんびりー)


「あぁ、オレはここでいい。全員で行くと、本当に根絶やしにしかねないからな。それに・・・」

(それにー?)

「あいつら、絶対に忘れているだろうと思ってな。・・・まぁ、全てが終わった後に分かるさ」



紅閻魔「玉藻!清姫!それに巴様!やはりらくえんにいたでちね!迷惑をかけたりしていまちぇんか?」

玉藻「お久し振りです~・・・ま、まぁ?迷惑は、まぁ・・・?はい!」

清姫「(かけているとは露にも思っていない顔)」

巴「えぇ!日々懸命に、楽園に尽力しております。そちらもおかわりなく何よりでございます!」

紅閻魔「酷い体たらくでちが、それでも皆が頑張れば乗りきれると信じているでち!がんばるでち!」

巴「その意気です!我等も、成すべき事を!」

紅閻魔「そういえば・・・閻魔亭を建て直してもらう手助けの御礼として、料理教室を再び行うつもりでち。三人からも、参加者を募ってほしいでち!」

「「「!?」」」

「よーし、やるでちよー!がんばるでち!」

玉藻「・・・い、いけません・・・!これはどうするべきか・・・!」

きよひー「・・・ますたぁと言えど、五体満足でいられるかどうか・・・」

巴「こ、声かけだけは行いましょう!さ、参加はその、自己責任ということで・・・!」


(((どうか、死人が出ませんように・・・!!)))




害獣駆除を行い、雀の幸を手に入れよう!

「よし、行くぞ勇士達よ!この山にはおぞましき魔獣や猛獣が跳梁跋扈しているという!旅館に在りし客人や旅館そのものを脅かしているという──つまり、誰かが討伐せねばならんということだ!勇士なる貴様らなら、その意味が分かるであろう!」

 

山奥、即ち危険地帯!女将すらも、旅館の者らも易々と近付けぬ程のデンジャラスゾーンに、ケルトが誇る勇士達が集う──!

 

「だが、ワシが鍛えワシが見出だした貴様らに、そんな程度で臆する軟弱者はおらぬと確信している!そうだな、勇士達よ!」

 

「「「「「応!!!!」」」」」

 

影の国の女王たるスカサハの声による発破に応える、早々たる顔触れの戦士達。戦闘力、殲滅力という点では紛れもなく最強クラスに入るであろう根っからの戦闘集団達が、その死地に足を踏み入れる

 

「さぁて、久々の運動だ。派手にやろうじゃねぇか!」

 

青き髪、王族の衣装に身を包みしアルスター最強なる戦場の王、クー・フーリン。じゃれつく獣を仕留め糧にせんとその端整かつワイルドな顔に獰猛なりし笑みを浮かべ朱槍を弄び気運を高めている

 

「やるぞ俺は!メイヴちゃんとしっぽり混浴で楽しむために!俺の肉体よ!天上の褒美の為に振るい立てぇい!!」

 

「はっはっは!人も助ける、己が欲望も満たす!両方やってこそのケルトの勇士!全霊で事に当たらせてもらうとしよう!」

 

コノートにて無双を振るいしクー・フーリンの親友フェルディア、そして叔父たるフェルグス・マック・ロイ。強靭かつ強固な肉体そのもの、捻れし旧き神々の欠片たるカラドボルグを輝かし、奮い立たせ今か今かと戦いの時を待ち望んでいる。愛すべき女に捧ぐ勝利を、ただひたすらに見つめながら

 

「皆、頑張りましょう!精一杯やって、胸を張って帰るのです!凱旋の歌と共に、閻魔亭へ!」

 

「頑張ろう、じゃねぇ。オメェも頑張るんだろうがよ。殺す相手に獣も人も在りはしねぇ。目の前に立ち塞がったヤツを殺すだけだ」

 

クー・フーリンを上回る才能を秘めし悲劇の子、コンラ。そしてとある女王の願いにて産み出された戦慄の狂王、クー・フーリンのオルタもまた静かに、快活に合図を待つ。純粋に役割を果たそうとする(肉体が)少女戦士、そして慈悲も情けも存在せぬ狂える冷徹なりし王もまた、この催しに参加しているのだ。理由は明快、騒動を終わらせなくては騒がし過ぎて眠るに眠れぬが故である

 

「私の勇士たち!頑張ってねー!上手くやれたら、背中を流してあげるわ!この女王メイヴ直々にね!」

 

戦車にて髪を梳かし、男子をやる気にさせる激励をかけるはメイヴ。コノートの女王、メイヴである。温泉が無いとか有り得ない!とケルトメンバーをやる気にさせ集めたのも彼女だ。わがままで身勝手、淫蕩にして悪辣なれどその在り方は骨の髄まで女王だ。戦う勇士を鼓舞するために、態々戦場の最前線にまで赴く事。それは即ち『私の為に頑張る男達が見たい!』という事実一点に尽きる。その為ならば、面倒な山奥の遠征すらも気にならないという理由からも分かるように筋金入りである。と言っても、本人は戦う気は皆無であるのだが

 

「うぉおぉおぉぉお!!メイヴちゃん!サイコー!!!」

 

「はっはっはぁ!これは意地でも生きて帰らねばなぁ!!」

 

「じゃあお前の背中はコンラが流してやります!たわしで背中の皮が剥がれるくらいに!念入りに!」

 

「あーら、素直じゃないんだから♪一緒にお風呂に入りたいならそう言っても構わないのよ?だってクーちゃんの息子はつまり私の息子なんだから♪」

 

「誰がテメェの子だはっ倒すぞ!!」

「誰が女王の子供ですか!怒りますよ!!」

 

「ハァ・・・ったく、くだらねぇお喋りしている時間が勿体ねぇ。行くぞ、付いてきやがれ」

 

「御意に!」

 

「では、華麗に舞うとしようか!所でメイヴ殿、それは私達フィニアンサイクルの者達にも適用されるのかな?」

 

「ごめんなさい、嫉妬する男とか生理的に無理なの」

 

「ははは!フラれてしまったようだディルムッド!いや無理もないことだな、内心心から同意してたりするのかな?」

 

「い、いえ、そのような事は決して!」

 

それぞれの交流、それぞれの思いと気安い会話が行われるなか──いよいよ以て、狩りの時間が訪れる

 

「よし──門を開けよ!これより先は我等が武勇を示す時だ!ただ殺せ、ただ戦え!糧も恵みも栄光も、勝利と闘争の最中にしか有り得ぬと知らしめよ!!」

 

「「「「「応!!」」」」」

 

『立ち入り禁止』の重い門を蹴破り、血沸き肉踊る戦場の地へと飛び込んでいく戦士達の咆哮が山を震わせ地響きを起こさんがごとき戦慄の怒濤となりて雪崩れ込む。目の前に存在する者、全てが糧となるか生命を奪い行く者となるかの岐路に立ちし好敵手。その死線を前に、勇士達の魂はより猛り狂い震え、剥き出しの殺気に対し高揚とした戦意にて迎え討つ

 

「猪だろうがなんだろうがかかってこいや!纏めて鍋にしてやるからよぉ!!」

 

「毛皮は俺が貰うぞクー・フーリン!メイヴちゃんのプレゼントにすればさぞかし喜んでもらえるだろうからな!気の利く男は!モテるのだからな!!」

 

「好きにしろや!俺が用があんのは、コイツらの食えるうめぇ肉以外にねぇからなぁ!!」

 

蒼き弾丸となりて、手当たり次第に巨大な飛竜や四足歩行の猛獣を紅き槍、象牙色の剣にて皆殺しにしていくクー・フーリン。二足で立つ見上げるような熊やゴリラと真っ向から組み合い、背骨や首をへし折っていくフェルディア。ディルムッドが苦手とする猪を優先的に引き受け、肉を引き裂き辺りを鮮血に染め上げていく。武器を一つ振るうごとに屍が積み重なり、首や急所を狙い仕留められた食材がうず高くつまれていく

 

「治癒のルーンはお任せください!死ぬ寸前ならば、私とフィンさんがお癒しします!」

 

「心配しないでほしい!指から溢したりはしないとも!と言うわけでディルムッド、思いきりやりたまえ!」

 

「承知!!」

 

ディルムッドの二刀、モラルタとベガルタの一振りにて、跳躍を行う剣技が冴え渡る。力任せの中に大黒柱がごとき型の顕現が、見るものを魅了する質実剛健の剣へと昇華させるのだ。数多の障害物を文字通り『踏み越え』、猛獣達をすれ違い様に切り捨てていく

 

後方、一歩下がり治癒の力を振るいしはコンラとフィン・マックール。前衛が気兼ねなく戦い抜けるよう、癒しのルーンと治癒の水を仲間達に振るまい、手傷を受けた傍から回復させていく。だが、ヒーラー一辺倒などという軟弱なスタイルは存在しない。暇さえあればコンラはスリングショットを放ち空の怪鳥を仕留め、槍から放たれる激流にて活路を拓いていく

 

「フッ、粋のいい小僧どもに負けてはおれん。いざ、真なる天地天空、大回転を見せつけるとしようかぁ!!」

 

こちらはコノートの勇士の中の勇士、フェルグス・マック・ロイ。手にした大きく雄大な捻れし虹の剣にて、一振りの一撃にて殺到する獣達を大地ごと真っ二つに引き裂いていく。雑な剣閃ですら三つの丘を両断した剣の閃きが、的確に振るわれたならば其処に過ちや仕損じる事は有り得ない。断面すらも鮮やかな剣の一撃が、山の虹となりて閃き行く

 

「ケッ──しゃらくせぇ。動くヤツを全員殺せばいいんだろうがよ・・・!」

 

凄惨、無惨、そして蹂躙という点において、この黒きクー・フーリンに並ぶものはない。槍にて内臓を粉々に粉砕し、力任せに振るわれた腕の剛力は大木を引き抜く。黒き暴風がごとしその狂乱の疾走の前に、猛獣などが抗える術は微塵も存在しなかった。死臭に返り血、辺りが余すことなく鮮血へと染まり行く凄惨極まりない殺戮の饗宴がごとき有り様を知らしめている。巻き込まれた者、例外なく肉片へと成り果てる。その唸りと叫び、行われる血肉の四散に、大地の精霊すらも恐れ戦き嘆きを上げるほどである。大山鳴動、山に降り立てし狂獣。生態系の頂点が何者かを一目瞭然とする愚直なる王の姿が其処に顕現していたのである

 

「ははは!いいぞいいぞ!戦え!戦え!ワシの授けた叡智に武勇!存分に振るって見せよ!」

 

無数の槍を放ち、振るい、女王もまたその狩りに参ずる。かつての未熟な弟子達が独り立ちし、各々の実力を肌で感じ実感しながら、成長を受け止める。そしてその様子を前にし、スカサハ自身も胸の炎を昂らせる

 

「弟子どもに負けてはおられんな。──私を殺せる獣はいるか!誰でもよい、その牙を、その爪を!我が命に届かせてみせるがいい!」

 

ケルトの大進撃にして大蹂躙。害獣の駆除と幸を手に入れる為の戦いは、日暮れが訪れるまで延々と続けられた。戦意を見せるもの、立ち向かうもの。等しく戦うに値するものと判断し力を振るい討ち取っていく。糧となるに相応しき獣は、勇士の血肉となりて生き続けるが故に

 

その光景はまさに戦争、原初の闘争・・・食物連鎖の縮図、弱肉強食の姿を如実に示していた。返り血は戦化粧、傷は誉れ、生きるか死ぬかの原初の戦い。高揚と熱狂が渦巻く真っ向勝負。自然と向き合う、憎しみと怒りの挟まらぬ己の存在をかけたシンプルな生命の奏でる咆哮にただただ戦士達は没頭し続けた

 

・・・──やがて、衣服や装束が紅く染まっていない箇所が存在しないほどに戦い抜いた頃合いに、漸く陽が沈み行き、夕暮れにて戦士達を優しく照らし戦いの終わりを告げる

 

「──よし、御苦労だった!お前達、戦いは終わりだ!戦利品を、勝ち取った血肉を改めよ!」

 

「もう終わりかよ?あっけねぇもんだ。もちっと骨があるかと思ったんだがよ」

 

「ははは、これだけ揃った面子で苦戦するなど嘘であろう!そら、ロイグの迎えを待とうではないか!」

 

「お疲れ様!私の勇士たち!メイヴちゃん特製のハチミツレモンを食べなさい?もう本当美味しいんだから!」

 

「コンラはそんなものいりま・・・むぐぐ・・・」

 

「どう、美味しいでしょう?」

 

「・・・・・・(こくり)」

 

「メイヴちゃん!!是非俺の口にも捩じ込んでいただきたい!!」

 

 

「フン、好きにやってろ。俺は帰って寝る。やることはやったからな」

 

「おぉ、まずは身体を清めるのだクー・フーリン。このような血染めで旅館に入るわけにもいくまい!」

 

「・・・チッ、下流は何処だ。コンラ、案内しやがれ」

 

「むぐむぐ・・・はっ!?分かりました!皆様!コンラについてきてくださーい!」

 

「いやはや、これがアルスターサイクルの勇士たち・・・我等フィオナ騎士団も及ぶかどうかとは!肌で感じた感想はどうかな、ディルムッド?」

 

「日本の山は恐ろしいところですね!!(バタリ)」

 

「ディルムッド──!?」

 

「うむうむ。存分に汗をかき、存分に死合った。旅館と言うもの・・・悪くないな!」

 

「ババ様ー!置いていきますよー!」

 

「あっははは、そろそろババ様は止めよコンラ!うむ、ワシが割りと悪かった!」

 

夕暮れの最中、川に向かう戦士達の笑顔と凱歌が、いつまでも響き渡っていく。山に住み着いていた、害獣達を一掃せしめし勇士たちが、満足げに帰路につく──




戦闘跡地


ロイグ「・・・やれやれ、やはりな。あいつら、本題を忘れていたか」

『雀の幸』

「猛獣駆除はあくまでついで。溜め込んでいた雀の幸が本命であることを覚えていた者はいなかった、か。ケルトがバーサーカー呼ばわりされる所以だな」

マハ(おぉ、もしかしてこれを忘れないように参加しなかったのか、ロイグ!)

セングレン(かしこーい。ずのうはー)

「誰か一人くらいは一歩退いてモノを見なくてはな。・・・さて、材料に幸は回収した。旅館に戻るとしよう。──あいつらを迎えてな」

マハ(おう!温泉、楽しみだなぁ!)

セングレン(入れるかなぁ・・・おっきいもん、ボクら・・・)

「安心しろ、王ならやってくれるさ。──きっとな」



猛獣・害獣達 たくさん

雀の幸 1200

各種材料 600


旅館

ギルガメッシュ「ふむ、改築に必要な材は存分に貯まったか。──ならば、我等が成すべき事は最早一つしかあるまい!」

──客足が遠退き、やむを得ず閉鎖していた部屋のリストを此方へ纏めておきました!それでは、参りましょう!

《よい仕事ぶりだエア!ならば次は我の番よ──此処に!閻魔亭の大改築を執り行う!此処に、異界の迷い里は復活を遂げるのだ──!!》

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  • コンラ
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