幻想郷一行
貧乏巫女「本当に寝泊まりしていいの?後で払えとか割り勘とか詐欺とか止めてよね、本当に」
普通の魔法使い「ていうか誘ったヤツがヤツだから微塵も信用できないんだぜ。詐欺とかじゃないよな?」
境界の管理者「あら、嘘ではないわよ。何度も王に確認を取ったのだもの。間違いないわ、暫く楽しむとしましょう?」
「ふーん・・・ま、良いところね。どうせだし、羽根を伸ばさせて貰いましょうか」
不老不死その一「焼き鳥屋とか・・・受けるだろうか」
不老不死その二「折角の休暇なんだから、欲から離れなさいよ・・・」
目玉親子
誰が書いても目玉な親父『温泉が良いと聞くぞ、鬼太郎!いつも奮闘しているのだから、此処ぐらいでは休んでいけ!』
キタロー「はいはい。父さんの厚意に甘えさせてもらうよ。・・・でも凄いな。こんな場所がまだ日本にあったなんて・・・」
『世界にはまだまだ知らないことばかり!という事じゃ!そら行くぞキタロー!一番風呂に馳せ参じなくては!』
「あっ、走ると危ないよ父さん・・・!」
エスパーたい焼き兄弟
「行くんだな、お前よ。──ったく、何処にいっても楽しくやれてる辺り相当なやり手だぜ、おめぇは」
かすてぃら丸「うむ。──今生に仕える主を再び見つけたのでな。サーヴァント、悪くない」
「へへ、そうかよ。俺らの事、いつか伝えてやってくれてもいいんだぜ?離れたくらいで、無くなっちまうほどチンケな縁じゃねぇだろ?」
「──然り。一時たりとも、忘れたことなどない」
「そりゃあいい。──元気でやれよな、向こうでも」
「そちらも、妹らと睦まじく過ごせ。──覗きと読心は控えるのだな」
「しねぇよ!?ったく・・・持ってけ」
『たい焼き』
「皆で食えよ。新しい絆、手離さねぇこった」
「・・・──感謝を。そして──」
「あ?」
「かすてぃらは、ないでござるか・・・」
「はっ倒すぞテメー!!」
鬼灯「──どうやら、無事建て直したようですね。あなたの笑顔も無事に戻ったと閻魔様もお喜びです」
「そ、そうでちか。御心配かけて、申し訳ありまちぇん・・・」
「良いのです。個人的にはハラハラしているアレを眺めていたのは面白かったので」
「か、かわりまちぇんね鬼灯様は・・・」
「ずっとこれなのはいつもの事です。──私も暫く此処で休みたいのですが、そうもいきません。これをあの王様にお渡しください」
「──これは・・・!」
「地獄からの補填、気持ちです。・・・仕事は果たしましたので、私はマッサージルームに入り浸ります。探さないでください」
「ほ、本当に・・・お疲れさまでち・・・鬼灯様・・・」
「・・・ロマンさんは元気でしょうか」
「チュチュン!チュチューン!」
「大盛況だチュン!大盛況だチュチューン!閻魔亭、大繁盛だチューン!」
飛び回る雀、ごった返す客、来訪者。行き交う者達が満ち溢れ、感謝の気持ちと神気が満ち溢れる閻魔亭。最早数日前のうらびれた建物の面影は何処にもない。かつての・・・否。それより遥かに豪華絢爛となった建物が其処にあった。旅館として日本が誇りし閻魔亭は、此処に完全復活と相成ったのである
「長らく搾取されていた債務を清算し、『感謝の気持ち』とやらを循環させ奉納が叶ったのだ。最早憂いなど何処にも無かろう。此処に、我が抱えの旅館は復活と復興を遂げたという事よ。いや全く、下らん悪巧みを潰してしまえばそれなりに見れる旅館となったではないか。来年の予約も開けておくのだぞ?女将よ」
番頭王としての責務を終え、肩に羽織をかけながら感慨深げに王が呟く。長いようであっという間だったこの慰安もそろそろ終わりを告げ、楽園へと帰参する時がやってきたのだ。安寧は好ましけれど、停滞には用はない。次なる異変と問題に挑むことが出来るカルデアへ、全員が退去する事になるのである
「はいでち!本当にありがとうございまちた、ごきげんおーにその財の皆ちゃま!閻魔亭を代表してお礼を言うでちよ。・・・お世話をする側のあちき達が、お世話になってしまいまちたが・・・こうして皆ちゃんの心遣いを受けて、とても勉強になりまちた!」
「・・・お礼は言わなくちゃね。無礼千万にも程があったけど、こうして完璧に建て直してもらえたのは感謝に堪えないわ。・・・ありがとう、世界を救った人間達。今回ばかりは、素直に礼を言っておくわね」
ぐっちゃん、紅閻魔共に頭を下げる。この再建は御機嫌王の力無くしては絶対に不可能であった。金銭的にも、人材的にも。もっと滞在してもよいと言うのに、客が繁盛している今、大所帯は客入れの妨げになると最後まで完璧な勇退を選ぶ彼等には、最早頭が上がらないほどに恩と感謝が満ち溢れ、返しきれぬ程に高まっていたのだから詮無き事であろう
──二人にも笑顔が戻って、本当に良かった。その事実こそ、ワタシ達への報奨としては充分です。どうか閻魔亭の新たな満ち行きに、輝かしい充足と繁盛が満ち溢れておりますように!
それを見届け、王と姫も退去を果たさんとする。サーヴァント達も、客と入れ替わりにカルデアへと帰っていった。残るのはリッカやギル、カルデアの中心人物のみである。最早楽園の慰安は十分に果たされた。──騒がしくも愉快な戦いへ、舞い戻る時なのだから
「あ、ごきげんおー!トト様・・・閻魔様からこれを受け取っているでち!お土産として、お納めくだちゃい!」
「ん?──ほう。日本は恩を忘れぬ国であるが、それは神も同様であったか」
紅閻魔から渡されたソレ。それは御機嫌王らがこの数日で稼ぎに稼いだ魔力を変換した『聖杯』であった。完膚なきまでに稼ぎに稼いだ魔力は、聖杯として形を成すほどに高まりきっていたのだ。地獄としても、今回の一件は莫大な貢献と恩義に足ると認識したのであろう。きらびやかに輝くその聖杯をエアに手渡し、『手頃な聖杯置き場』に保管する
「ありがとう、教官!また来るからね、地獄を楽しみに!」
「いやぁ、日本の温泉はいいねぇ。やっぱり風情では日本が一番だよ、間違いない!」
「慰安になったのなら何よりよ、ロマニ。・・・オフェリア、カドックの帰還になったら私はまた来るけれど」
「先輩の手料理、先輩の御弁当・・・!閻魔亭!最高ですね!!」
「なんだかますますマシュ君がいきいきしているのは気のせいかな?気のせいじゃない?」
「愛してるわゴルドルフちゃん!絶対、絶対また来てネ・・・!」
「解った解った!雀達に言っておけ、ライブは野外で、とな!」
お土産を大量に買い込み、そして帰還の準備に入る。その顔に不満や不安はなく、全員が在るべき所に帰る安堵を浮かべている。その別れは、決して哀しいものではない
「じゃあ・・・私も行くわね。とりあえずカルデアの清掃員から始めるわ。恩は身体で返す、というヤツね」
ぐっちゃん、カルデアの制服に着替え決意を固める。無礼の補填、同時に恩返しとしてカルデアへと参ずることを決めたが故に、閻魔亭より共に発つのだ。それは、ぐっちゃんの決断であり初めて・・・人に手を貸さんと決意した瞬間でもあった
「宜しく!ぐっちゃん先輩!マスターとしても職員としても先輩として、御指導お願いしまーす!」
「ま、まぁね。私が先輩な事に変わりはないから、どれだけ強くても・・・、・・・上級職員?専用制服!?え、うそ・・・もう私より階級上なの!?」
「当たり前では無いですかヒナコ先輩!リッカ先輩は時計塔にて価値を示されるなら間違いなく冠位!最高最悪のグランドマスターに相応しい強さと実績と実力を持っているのですから!」
「そちらの頼んでもいない太鼓持ちなすびの妄言はスルーして大丈夫です!」
「先輩!?」
「ま、まぁ生い立ちからしてちょっと一般的な魔術師とは違うから、彼女は・・・ヒナコ、さんは気にしなくて大丈夫です。これから宜しくお願い致しますね」
「え、えぇ。分かっているわ。・・・まぁ、何はともあれ宜しくね」
「こちらこそ!ますますマスターとして磨きがかかるぞー!これからも頑張らなくちゃ!」
ヒナコの周りに集う、楽しげな笑顔。それを微笑ましく思いながら、また紅閻魔も告げる。自らの決意の表れを
「ごきげんおー。閻魔亭は、受けた恩は忘れまちぇん。カルデアとの縁は結ばれまちた。これからはあちきも、皆ちゃんのお役に戦うのも吝かではありまちぇん。・・・鬼灯様に頼んで、心配性なトト様を説得し終えたらの話でちが」
「ふはは!良かろう。我がマスターの女子力大幅躍進の功績に免じ、我が楽園への参列を許す!再受講が必要な輩もいるのだ、ヘルズキッチンを楽園においても開催せよ!」
──後は料理のレパートリー・・・!レパートリーだけなのです・・・!エミヤさんとも提携し、何卒、何卒お願い致します・・・!
割と切実な理由にて、参加を歓迎する王と姫。嬉しげな笑みを浮かべる紅閻魔。──別れ、帰参の時刻は、すぐそこまで迫っていた
「では、必ずまた!おまえたち、御客様のお帰りでちよ!」
「チュチュン!並ぶチュン、整列チュン!御客様への御挨拶の陣なのでチュン!」
ズラリと並ぶ雀達。輝きの閻魔亭。王達を送り出す陣、御挨拶の整列が瞬く間に展開され、一同に感謝を告げる
「──コホン。それでは皆さん、この度は当旅館を御利用いただき、まことにありがとうございました。皆様の旅路が、佳きものでありますように。その輝きが、絶えぬモノでありますように。どうか、お気を付けてお発ちくださいませ!御機嫌王とその財の皆様のご来訪を、雀一同、心から御待ちしていまチュン!」
「息災であるがよい。気が向いたら脚を運んでやろう。手にした栄華と繁栄、努手放さぬ事だ!──佳き慰安であった!再びのもてなし、大いに期待してやろう!ではな!雀どもよ!」
──本当に楽しかったです!どうか御互い、決して絶える事なく在り続ける事が出来ます様に──!
背を向け、歩き出す一同。手を振り、頭を下げ、別れを惜しみながらも王等は楽園へ舞い戻る。慰安は終わり、新たなる愉悦の戦いを求めんが為に
「先に行って待っているわ、えんまちゃん。また、必ず会いましょう」
「ごきげんおーを怒らせてはいけまちぇんよ、ぐっちゃん。──最後の居場所、今度こそ護りきるでち!」
互いに頷き合い、再会を固く誓いあった友の目線が交わされ──閻魔亭の繁盛奮闘記は、幕を閉じる
《──さて、寄越された聖杯の意図、言わずともお前なら掴めていよう?エア》
──はい!最後の仕上げ、ですね!
・・・最後の、細やかなピリオドを以て。真紅の閻魔亭と黄金の楽園の橋渡しは、確かに成ったのである──
ダ・ヴィンチ「お帰り~♪しっかり羽根は伸ばせたかい?休息、堪能した?こっちは全然羨ましくなんか無かったとも!最高級リゾートホテルが家のようなものなんだからね!愛弟子!お土産お土産!」
オルガマリー「はいはい、留守番と楽園の管理、ありがとうございました。戦果と武勇伝、土産話として大量ですからはしゃがないように。・・・食堂に行きましょうか?」
ムニエル「どうでしたか?ドクター、おっさん?楽しかったですか?俺の祝福が絶えないくらいエンジョイしました?」
ロマン「あぁ、勿論だよ。今度は社員旅行も検討して皆で行くとしようじゃないか!」
ゴルドルフ「忙しなかったが・・・まぁ、差し引いても楽しかったと言える、のか?なんだか蛇に凄くなつかれたような・・・だがまぁやっぱり、楽園でアドバイザーの方が安全だと思うのは仕方ないよね・・・?」
オルガマリー「大丈夫です。私がリッカのサーヴァントとしてレイシフトする際はあなたを所長代理に任命致しますので。レイシフトの現地アドバイザーか所長代理・・・どちらもこなしてくださいね」
「物凄い重大役職!?い、胃が痛くなってきた・・・!」
ぐっちゃん「・・・此処が・・・」
オルガマリー「あ、そういえば通過儀礼を忘れていました」
「?通過儀れ、はうっ!?」
「あなたも財です(ニッコリ)」
「な、何するのよあんたぁ・・・!」
マシュ「あれは!所長必殺のトレジャーパンチ略してトレパン!認めたのですね、彼女を財と!!」
リッカ「やったね!!・・・あ、そういえば。もう1つ。引っ掛かる事があるんだ。山や河で助けてくれたっていう・・・」
ギル「ふはは、目敏いなマスター。なに、それらも食堂にて語ってやろう。何、最後の総仕上げの一環と言うヤツよな」
──はい!そろそろ、と言った所でしょうか・・・?
閻魔亭
紅閻魔「・・・と、皆様を盛大に見送ったまでは良かったでちが、閻魔亭が元に戻ってしまったので、あちきたちは大忙しでち。──これは早急に鬼灯様に頼んで、増員してもらうしかないでちかね」
雀「あの御方にこそ休んでほしいチュン。見る度に隈が濃くなるでチュン。過労死が見えているでチュン」
「そうでちね・・・適度に働き、適度に休まなくては死んでしまいまちゅから・・・、・・・?」
猿たち「「「「「「うっきー!!」」」」」」
紅閻魔「!あなたたちは・・・リッカらを助けてくれた・・・?」
「猿でチュン!いっぱいいた猿でチュン!」
「何故、改まって集まったチュン?」
?「──ははは。それは、私が御使いと頼み事をして、力を借りていたからですよ。」
紅閻魔「──!」
「おお、此処が輝く姫様の仰有られていた。やっと着きましたなぁ」
紅閻魔「──────!!」
瘤のある老人「いえ、とある日に月よりも、星よりも輝いているような姫君が私の前に現れ『あなたを待っている雀がおられます』と告げるものですから、なにか助けてあげられないものかとうちにあるものを猿たちに届けてもらっていたのです。──忘れっぽい猿たちではありますが、不思議なことに小さな獣と出逢ってから人を積極的に助けるようになりまして・・・細やかな荷物、届いておりましたか?」
・・・──それは、王と姫が最後に残した置き土産。誰よりも報われるべき、誰よりも恩赦を受けるべき雀への報奨
「──はい。『届いていました』。たくさんたくさん、届いていました・・・」
滑らかに、涼やかに紡がれる言葉。饒舌なる滑舌にて紡がれし、懐かしの彼に告げる言葉。
──同時に、姫が聖杯にて祈りしは細やかな奇跡。『紅閻魔の切られた舌が、元に戻ります様に』──嘘偽りなく、お話が出来るようにと。静かに告げた心遣い
「ううっ、ぐすっ──うわぁあぁん!いらっしゃいませ、いらっしゃいませ・・・!ずっと、ずっと待っていたのです!あなたを、あなたを──待っていたのです──!!」
・・・ゴージャス御機嫌による、閻魔亭奮闘絵巻。これにて、めでたしめでたし──
どのキャラのイラストを見たい?
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コンラ
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桃太郎(髀)
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温羅(異聞帯)
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坂上田村麻呂
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ルゥ・アンセス
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アイリーン・アドラー
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崇徳上皇(和御魂)
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平将門公
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シモ・ヘイヘ
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ロジェロ
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パパポポ
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リリス(汎人類史)