人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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プリヤ編です!オリジナルちょっと含めた魔法少女の戦いをどうぞ御覧ください!



子ギル「ん~・・・会いたいなぁ、エアさん・・・せめて一言お礼を言わなくちゃ。財を僕より大切にしてくれてありがとうって、一言でも・・・」

(でも確実に大人の僕に邪魔をされて殺し合いに・・・ううん、難しいなぁ。どうしようかなぁ・・・)

イリヤ「ほぇ?ギル君がうんうん唸ってるなんて珍しいね?また何か千里眼で見つけたの?」

子ギル「!──・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・え、何その『丁度いいところに丁度いいヤツがいた』みたいな顔。怖い、怖いよギル君!いつもの優しい君は何処へ・・・いや、そんなに優しくは・・・」

「『うん、君でいいや』。じゃあ早速アレとソレを連れていって・・・」

「え?え?え!?何事──!?」


絢爛特異点プリズマ・コーズ! 魔法少女軍団結成~一緒に行こう~
少女の夢、そして願い


「あぁ・・・キラキラしてるなぁ・・・」

 

カルデア、シアタールーム。様々な、というか世界ほぼ全ての映像作品が集い、そして映画館もかくやといった巨大な画面にてあらゆるアニメや映画が楽しめるという楽園自慢の一区画。其処でリッカはいつものように日課のワークをこなしていた。それ即ち・・・

 

『二人はプリキュア!!』

 

『月に変わって!お仕置きよ!』

 

『少し、頭冷やそうか・・・』

 

全般的に自分に足りないもの、不足しているもの。それを溢れんばかりに所持している作品、主人公達が豪華絢爛に活躍するアニメ作品を視聴し、最強の自分をイメージするトレーニングである。画面の向こうでキラキラと輝き、世の中の女の子と女性に夢と希望を与えるその存在を目の当たりにし、自分が真似できない輝きを持った数多のヒロインたちを目の当たりにし、自分もこうなりたいな、なれたらいいなと思いながら目を通しているのだが。言うなれば現代の女の子達の想いの結晶、高貴なる幻想の具現たる存在の方々のその華やかさを目の当たりにし、徹底した違いと格の差を見せつけられ若干のへこみとつらみを叩き付けられる結果となり、頑張ろうといった気持ちと同時に、とても辿り着けそうにないと不安になる気持ちがある。

 

「同じ性別どころか同じ人間であるのかどうか疑わしくなる時がある・・・煌めいてるなぁ。なんというキラキラ・・・」

 

勿論、自分だって日頃進歩し、魅力的になっている自信はある。リッカ系女子の先駆けになっている自信はある。誰にも負けない自分だけの魅力を、今なら持っているはずだと自負を持っているつもりだ。だけど、それはあくまで皆がそう言って感じてくれるからこそ認識出来るのであって、自分自身が夢見て憧れた存在である輝きとはまったく違った種類であることもまた痛感させられる。とにかく眩しく、目映い。

 

魔法少女──そう呼ばれる者達のなんと絢爛な事か。魔法少女だけではない。セーラー戦士、プリキュア・・・戦いながら、そして女性でありながら目映く、眩しく、そして美しく可愛い。そんな自分の求める全てを理想として持ち得ているものが画面の向こうにある。キラキラと、自分の目指すべきものを示してくれている。

 

「私もなぁ・・・いつかラスボス系列じゃなく、胸を張って可愛い、綺麗って呼んでもらえる風に戦ったりしてみたいなぁ・・・」

 

人類悪の鎧は、もうここまで来たら自分の半身のようなものなので今更疎んじるものでもない。今なら自分の唯一無二の個性であり、自分だけの魅力と胸を張って言える。この力を捨てたいとは思わない。が、それはそれとして、である。誰がどう見ても『可愛い』『美しい』といった感想は抱いてくれはしないだろうという確信もまたある。だって白黒で、トゲトゲで、ドラゴンだし・・・殴る蹴るでもどんなに頑張ってもキラキラしたエフェクトは出てこない。良くて血飛沫だろう。あわよくば参戦できたとして、どう考えても敵の用心棒かライバルキャラ。或いは敵か味方かなポジションであろう。アジダハリッカがそうであったように。

 

勿論、ライバルキャラが嫌いなわけではない。孤高や孤独や矜持を重んずる一匹狼。ダークでブラックな実力者。口ではそっけない事を言いながらしっかり助けてくれる頼れるソウルフレンド。単純にめっちゃ強い。ベジータ。熱血や内向的、あるいは迷ったりする主人公タイプとはまた違った存在感を醸し出し物語を楽しませてくれる第二の主人公ポジションはとても好きである。大好きである。でも・・・

 

女の子のアニメや作品の中で、男の子が好むようなカッコいいキャラクターが出てきた事、そしてそれがメインキャラであった記憶はそんなにない。あるとすればキュアパッションになったイースくらいだろうか。大抵男の子が好むようなカッコいい女キャラクターは幹部にいるような印象を受ける。それはやっぱり需要と微妙にずれているのだろうし、カッコいいキャラクターを求めたいなら普通に仮面ライダーやスーパー戦隊を見るだろう。となると自分を女の子向けアニメにて自分が人気を博し、愛してくれる子供がいるとするなら・・・

 

「・・・『女の子向けアニメに興味があって、それを皆に隠れながら見ている男の子』・・・?」

 

極めて希なケースであることは疑いようがない。が、それは男の子を責められないだろう。最初は女が見るものなんて!としていた男の子が新しい世界にきっかけを持つ。先入観を捨て、新しい扉を開き興味を懐く。それは歓迎されこそすれ、けして忌避されるものでは無いからである。ウェルカム沼へ。君の人生は確実にねじ曲がると断言しよう!でも楽しいよ!自分に正直になってアニメイトに入り浸ろう!

 

・・・まぁそんな自嘲と手招きは兎も角としてだ。少なくとも今の自分の持っている魅力はリッカ系女子。映画館でがんばえーして貰えるタイプのものではない。魔法少女の壁は高く、厚い。むしろ魔法少女を名乗るに相応しいのは・・・

 

「マシュとかオルガマリー、先輩、姫様なんだよねぇ・・・」

 

マシュ、頭にヘタが生えたあのなすびならあざとく真っ直ぐに人気を得るだろう。カルデア少女デミサー☆マシュとして大いに人気を博すに違いない。楽園カルデアスで私と握手!がこれほど似合う子もいないだろうと断言できる。

 

オルガマリーは自分には及びもつかないスタイリッシュさとクールさで天使を狩ったり悪魔を狩ったりしてくれるだろう。妖艶なポーズで銃を撃ちまくり悪魔も泣き出すに違いない。絶対に人気出る。むしろ自分が好きになる間違いない。ロマンとスタイリッシュ&クールとか自分とは対極過ぎる。こんなんカッコよくないわけない、ずるい!

 

ぐっちゃん先輩は・・・あれ、意外と自分と一緒にマスクドビジンとかやってくれそうな気がしてきた。あの格好どう考えても女幹部だし。自分と同系統だし、あれ?案外悪側仲間此処にいた?憎んでいる、全てをみたいな事たまに思い出したように言うし。旦那様も含めて行けるんじゃないだろうか。やっチャイナ!なんちゃって。今度ギルに聞かせてあげよう。

 

姫様はもう、ゴセイナイトとかデカマスターとかそういったポジションだろう。存在が勝利フラグ、変身したら勝ち。スパイダーマンのレオパルドン。敗北どころか苦戦すらしない最強戦士。一人だけ全く別系統のアイテムとか使って、ぶっちぎりで大人気になるタイプ。戦うときの凛々しさと平常時のほわっとしたギャップとか誰だって大好き、自分だって大好き!ぎゅってしてほしい・・・

 

「はぁーぁ・・・一度でいいから私もオシャレでキラキラした魔法少女になれたらなぁ・・・着せかえとか変身バンクとかハートとか振り撒いてみたいなぁ・・・」

 

恐怖や絶望を相手に振り撒くのは間に合っている。キュウべぇの勧誘も御免被る、が。いつかそんな特異点が現れないだろうか。カッコよさではなく、なけなしの可愛らしさが必要となるそんな特異点が。そうすれば私も、視覚的にもマスター的にも最高の体験が出来そうなのだけど。

 

「空から・・・美少女が・・・変身して・・・一緒に・・・」

 

徹夜で可愛いとは何か、プリティとは何かを研究していたリッカを睡魔が労る。もういい、休めっ・・・そんなエボルト(ブラックホール的な意味で)みたいな甘い声に誘われ、ゆっくりとシアターの柔らかな椅子に包まれながら目を閉じるリッカ。

 

「・・・魔法、しょうじょ・・・可愛らしい自分に・・・なれたら・・・」

 

誰もが考える、乙女が思い描く細やかな夢。──幸か不幸か、リッカのいる日常は紛れもない非日常であり、故にこそ──

 

「──ん、あれ・・・?」

 

・・・──運命は君を放っておかない。君が願うことは全てが現実になるのである。

 

楽園に選ばれた、人類最悪のマスターであるのだから──




『それは丁度良かった。僕もそろそろ楽園に関わりたいなと思っていた所なんです。利害の一致は嬉しいですね』

【──誰?】

『あなたが、皆がよーく知っている人ですよ。まぁちょっと姿は違うけれど、間違いなく大本は同じ・・・あぁ、まぁそうですね、混乱してしまいますよね。でも、安心してください』

【?】

『賄賂や先払い、という訳ではありませんが。あなたの願いを、楽園のテストも兼ねて叶えてあげますね。ほら、大人げない僕を支えてくれたお姫様にも楽しんでもらいたいですし』

【・・・え、ちょっと待って、え?もしかしてあなた・・・】

『口に出してはダメですよ。まだ内緒です。これからの戦いのいいチュートリアルにもなりますから、肩慣らしとしてサクッとクリアしちゃってください。こちらからも手土産をレンタルさせますからね』

【──!】

『それでは、また後にお逢いしましょう。可愛く、強く。頑張ってくださいね~』

そんな、自分の魅力を知り尽くしているような声音に導かれるように、いつものようにリッカは楽園ならざるどこかへ転移するのであった──

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