人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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イリヤ「温泉とか食堂とかゴルフ場とかスイートルームとか沢山ある!!というか無いものの方が少ない!何これ、どうなってるのかな!?」

ルビー『空中三回トリプルアクセル失敗して頭でも打ったんですかねぇ?あの英雄王様!大盤振る舞いにも程度があると言いますかなんと言いますか?もしや我々は、惑星直列に匹敵する奇跡を目の当たりにしているのやも!』

イリヤ「そんなに!?あ、でも・・・」



「右も左も解らぬであろうが、そう畏まるな。一度楽園に来た以上、無下には扱わぬ。そら、飴をやろう。舐めると甘いぞ?」



「・・・(ぱくっ)・・・あの王様、いいひとかも~・・・ギル君なのに、ギル君とはなんだか全然違うっていうか・・・」

クロ「話し掛けてみたら気さくで面倒見のいいお兄ちゃんて感じよね~。・・・ま、面倒見のいいっていうなら・・・」



物陰

エミヤ(・・・どうして、こうなった・・・姉がノリノリで魔法少女な世界観なぞ何故生まれた・・・!?)

ヘラクレス(幸せな世界観があって私は嬉しい・・・だが今の私ではやっちゃえアーチャーとなってしまう。誰だか解らん・・・)

アサエミ(僕は関係無いはずだが・・・)



クロ「・・・いっぱいいそうだけど、ね」

イリヤ「ほぇ?・・・わぶ!?」

村正「おっと、余所見しながら歩いてるとあぶねぇだろが。シャキッと前を向いてろぃ」

イリヤ「すみませ──え、うぇえぇえ!?な、なんで此処にいるの──!?」

クロ「あーもう無茶苦茶よね、カオス過ぎるわここ!他人のそら似だらけじゃない──!」



高町式!魔法少女心構えのススメ!

「はい、という訳で。リッカちゃんへの魔法少女教導・・・と言っても、人理修復の旅路で経験と実績は充分積んでいるから、大事な心構えと意識することを教えたいと思います。きっちり体に叩き込むこと、忘れないこと。解りましたか?」

 

「はい!教官!」

 

『模擬戦や訓練をやると必ず自分はやり過ぎてしまう』という事から、あえて静かな、単純な心構えだけを教授しようと思い立ったなのは。リッカへの手解きはあくまで自分なりの心構えを教えるのみとして、先輩として経験を授けようと思い立ったのである

 

と言うのも、魔法少女として自分がしてあげられる事が出来た!と大喜びで友人に報告したら『お願いだから座学だけにして』と金髪の友人に念を押され『自分がなんて言われてるかよーく考えて教鞭振るうんやで』と止めを刺され、結局の処実践は抜きにした座学を選択したのだった。本気で教えると、『壊れない、負けない、無茶ばかりする』と言う自分の瓜二つな姿を作ってしまう筈だから。入念に自重する事にしたのである

 

「いい御返事!それでは早速始めましょう。魔法少女として、しっかりと意識するもの。忘れることなく覚えていってね?」

 

「はい!教官!!」

 

そうして始まったステップ、高町式魔法少女理念教授。執り行われる手解きがリッカの力になることを信じて、自分の信じた道筋を教える事になるのであった。その心構えとは・・・

 

「『その一!分からず屋は徹底的に戦う力を奪おう!話し合うのはその後からでも遅くない!』」

 

「おぉっ!流石高町教官!やるときはやるを躊躇わない!」

 

自分の経験上、リッカとスタンスが似通っている部分は多々あると感じている。話し合いで解り合えたら。戦いを、自分の意思で止めさせることが出来たら。対話を重きに置くからこそ、自分はこの心構えを彼女に教えるべきと思っているのだ

 

「お話ししたいとき、自分の気持ちを伝えようとするよね?でも相手にも相手なりの事情があって、言葉を叫ぶばかりじゃ届かないっていう場面が沢山あると思うの。そんな状況が続くと、どうなると思う?」

 

「焦ったり、イライラしたりするかもです!何でわかってくれないのかって!」

 

そう。相手にも譲れない信念があり、譲れない理由があって戦っている。そんな譲れない想いがあるからぶつかり合い、そして戦わなくちゃいけなくなる。そんなとき、叫ぶばかりじゃ届かない。告げるだけじゃ伝わらない。そんな時には・・・

 

「そういう時に、戦うことを躊躇っちゃダメ。負けたり譲ったりしちゃダメなの。言うことを聞いてくれないならとことんまで戦って、撃ち合って、殴りあって想いを伝えることを諦めない!それが一番大事!」

 

そう。聞いてくれないなら聞いてくれるまで諦めない。譲れないなら押し通し、解り合うために戦うことを諦めない。それが一番大事なことだ。一番捨ててはいけない戦いであり、意地を貫き通すために大事なことなのだ

 

「分からない、分かってくれない、なんで、どうして?そう感じる前にとりあえず撃ってみて。自分の気持ちを力にしてみて!相手に伝えたい想いがあるならそれはきっと力になる。それが魔法少女だと私は信じているから!」

 

「はい!教官!とりあえずセレーネノヴァをぶちかますことを躊躇いません!」

 

好感触!内心ぐっとガッツポーズをとるなのは。高町式魔法少女理論は異世界でもいける!後で二人に自慢しようと意気揚々と決心し、この調子で行こうと二つ目の心構えをリッカに説く。さらさらと黒板にかかれた事は・・・

 

「『必勝パターンは拘束→最大火力!チャンスは絶対に逃さないこと!』」

 

「おおっ!十八番の中の十八番!高町教官の必勝パターン!」

 

Do I say tell me it(それを教えていいのですか)?』

 

デバイスの諫言も何処吹く風。自分なりの最高最善を教えるならこれは外せないと黒板に書き上げていくなのは。魔法少女としての在り方が大火力、大艦砲主義へと成っていくものを突っ込む者は、デバイスたるレイジングハート以外には存在しなかったのである

 

「ほら、やっぱり大技は隙もあるし反動も大きいでしょ?やるときの隙や、後のフォローも大変。はずしたらもっと大変!だからそういう場合、全力全開の時は前準備を怠っちゃダメ!必ず、確実に当てるためにも。相手を拘束、動けなくする手段は必ず用意しておくこと!」

 

「はい!教官!相手をガンドしてからぶっぱなせと言うことですね!参考になります!」

 

それを食らった人間に、どれ程精神的外傷が刻まれているかが微妙に抜け落ちてる大火力傾倒理論をリッカに託すなのは。本来なら固定砲台、援護を是とするタイプでありながら類い希なる才能により『移動式大火力砲台』という独自のスタイルを確立したなのは。その持ち味を活かした戦法に絶対の自信を持っているが故のレクチャーである。どんな火力も、当たらなければ決して意味がない。絶対に当てること、それは即ち想いを届けることに繋がる。躊躇ってはいけないのだ。本当の意味で解り合うためにも

 

「──そしてこれが、一番大事なこと。前の二つより大切に、入念に覚えていってね。リッカちゃんはぜーったいに言わないと守らない筈だから」

 

「ふぁっ?」

 

その言葉を最後に、真面目に、真摯に黒板に言葉を紡ぐ。それだけは、これだけは絶対に意識させなくては、護らせなくてはならないこと。それを、きっちりと伝え教える。その輝かしい未来が、陰ってしまうことがないためにも。先輩として、教えなくてはならないことだからだ

 

「『絶対に、無茶はしないこと』。どんな状況になっても、自分が・・・自分だけが何とかしなきゃと思ったりしないこと。リッカちゃんには、これだけは絶対に守ってほしい。絶対にね」

 

「無茶をしない・・・」

 

そう、決して無茶をしてはいけない、してほしくない。人はなんとかできる事はなんとかしてしまうし、自分ができることを頼ったりする人はあんまりいない。だからついついやり過ぎてしまったり、まだ行ける、なんとかなると思ってしまう。でも、それは間違いだ。完全無欠で、なんでもできるヒーローはいない。何より・・・

 

「・・・無茶をして、怪我をして一番辛いのはね。『大切な人が哀しむ』事なの。自分の傷より、そっちの方がずっとずっと痛いんだ。私も無茶ばっかりするから、偉そうには言えないんだけどね?」

 

「あー・・・すっごく、解る・・・解ります、教官・・・」

 

言われてみれば、告げられてみれば。自分と彼女の在り方はそっくりかもしれない。背負い込んで、走り出し、突っ走ってなんとかする。出来たのだからそれでいいと言ってしまう

 

それは悪いことではなく、確かに英雄的で、誰もが憧れるカッコよさなのかもしれないけれど。それでも、確実に哀しむ誰かがいる事だけは忘れてはいけない。無敵じゃない自分を、忘れてはいけない

 

無茶や無理は、自分と相手を悲しませる。どんな力を持ったとしても。絶対にそれだけは忘れてはいけないから。致命的に間違えて、取り返しのつかないことになってでは遅いから

 

「時間も良いところだから、休憩の前になのは教官との約束!守れるかな?リッカちゃん?」

 

これだけは、念を押して伝えておかなくちゃいけない。経験で解る。リッカちゃんは間違いなく『楽園のマスターだから』と無茶をするタイプだから。そして、それを実際に見てきたから。魔法少女となるのなら、それだけは決して。忘れてはならない事だから

 

「はい!高町教官!絶対に無茶はしません。みんなを頼って、力を合わせて頑張ります!」

 

差し出された、指切りげんまんの小指に、リッカの傷だらけの小指が重なる。異世界で巡りあった、大切な教え子への願いと、無事を祈って

 

「ゆーびきりげーんまん、うーそつーいたら・・・」

 

「・・・嘘ついたら?」

 

「少し、頭冷やそっか?」

 

「はい!!遵守します!!鎧ごと蒸発されそう・・・!」

 

そして、その約束と誓いを果たし受け。計らずとも──

 

「・・・!クラスカードが・・・」

 

「あっ」

 

・・・キャスターの枠の一枚。スターティングフォームとしてのカードが、無事に埋まることとなった。金色のキャスターカード、『高町なのは』という鬼札かつ切り札を、初手で手にいれるリッカでありましたとさ




なのは「ご、ごめんねリッカちゃん!貴重な枠をこんなあっさり・・・!書き換え!書き換えとかできるかな!?ロマンさんにお願いして・・・!」

リッカ「やったー!!魔法少女のエースオブエース!なのはさんのカードゲットだー!!すっごく心強いです!ありがとう!なのはさん!!」

「え、え?い、いいの?私で大丈夫なのかな・・・」

「早速くろひーに伝えてきます!今日はありがとうございました!!教え、絶対に忘れません!!このカード・・・大切に使います!!」

「──そっか。じゃあこれを見て、毎日私の教えを思い出すこと!いい?」

「はいっ!!」

「それじゃあ・・・行ってらっしゃい!全部終わらせたら、成果を伝えに来てね!」

「行ってきます!!『なのはさん』!」

「──・・・やっと名前で呼んでくれた。ふふっ、これは教導大成功かも、だね!レイジングハート!」

I because you say that kind is referred to as a friend(類は友を呼ぶと言いますからね)

「えっ!?」

Let's celebrate the birth of a new devil(新たな魔王の誕生を祝いましょう)

「わ、私のデバイスが物凄く辛辣な件について・・・!?」


イリヤ「高町さーん!なのはさーん!」

なのは「!・・・この声、もしかして・・・イリヤちゃん!?」

I, I told?(ね、言ったでしょ?)

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