人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ザビ「・・・・・・・・・」

ネロ「魔法少女とはなんと華やかな概念!奏者や余に相応しき晴れ舞台ではないか!我が美声とほわっとした声音こそ魔法少女の資格に相応しい・・・む、どうしたのだ奏者よ?何を頭を抱えているのだ?」

『平行世界 海上油田基地セラフィックス インストール履歴あり』

「──oh・・・」

『インストール内容 虚数事象 魔性菩薩 ダウンロード実行者 魔神柱ゼパル』

『反応検知 割愛の重力圏 検知反応──』

「──楽園の皆の力を借りなくちゃダメみたいですね・・・」

ネロ「???」

「直ぐに開発班に連絡。この世界じゃないけどあり得た事象に挑む。『KP』と・・・『IFブースター』を用意して。あと、BB派遣準備」

「う、うむ!よく解らぬが任せておくのだ、奏者!」

「・・・そっかー。『顕現』していない『羽化』なら起こり得るかー・・・リッカ、ギル・・・そしてそちらのキアラさん。うちの悪魔が、本当にすまない」


装飾の刻、きたれり~おかしなお菓子の国~

「ここが・・・『おかしなお菓子の国?』」

 

飛来し、駆け抜け、疾走した魔法少女がたどり着き目の当たりにしたもの。それはまさにお伽噺に出てくるような、少女が眠る際に夢見るような幻想の世界。建造物も何もかもが、甘い臭いを放ち明るい蛍光色。或いはホイップでスイートでひたすらに甘く芳醇な固有結界。まさに少女が、乙女が思い描く幻想の具現が其処に展開し広がっていたのだ。イリヤが呆然とした声をあげるのも決して責められまい。今時少女だって忘却の彼方に押しやるようなメルヘンチック。こんな臆面な世界は自分ですら思い描かないくらいに完成されたファンタジーであるからだ。まさに『夢と幻想の世界』である。その世界の在り方に、少なくない衝撃を受ける魔法少女達の驚きの声が上がる

 

「もぐ。これは害のないお菓子です間違いありません。ペロ、これはスイートホイップクリーム。間違いありません今確認しました。ペロ、ペロ、ペロ」

 

「本当!?アルトリアちゃんの感覚を信じるわ!ひょい、ぱく・・・あら、本当ね!美味しいわ!」

 

「二人とも、そんな名探偵コナンのような確認は危険極まりないです。此処は迅速な解析をですね」

 

「あんたらは常命の者たちでしょうが。そういう毒味形式は私みたいに頑丈じゃなきゃやっちゃいけないのよ、だから下がってなさい私が毒味するわ!」

 

「流石はマスクドビジンさんです!身内には誰よりも情の厚い御方!」

 

【流石パイセン!今日から二倍敬います!・・・まぁそれはともかく】

 

ぐるりと辺りを見渡すリッカ。此処は曲がりなりにも国だと言う。おかしなお菓子の国だという。それであるならば国に不可欠たる喧騒や雑踏、人込みが目の当たりにされてしかるべきであるのだが・・・

 

【誰もいないの・・・?ホントに?こんなメルヘンな国なのに?妖精とか魔法使いとかヘンゼルとかグレーテルとか誰もいないなんてある?】

 

不気味に静まり返った世界。不気味に沈黙しているメルヘン。食べるもののいないお菓子の国。怪訝かつ奇怪な状況に首を捻っていると・・・

 

「・・・!」

 

突如、ポタリと。空中から落ちるものがある。ドロリと粘性をもち、漆黒にしてほのかに暖かい温度を保持する液状のソレ。一滴、二滴と降り注ぎ始め、そして即座に一同にソレの正体を思い至らせる

 

「──チョコレートよ!これはチョコレートだわ!メルヘンチックとは思っていたけど・・・『空中からチョコレートが雨として降って来ているのよ』!」

 

魔術師であるなら、ソレ以前に真っ当な人間であるのなら耳と常識、そして頭の正常さを問い掛けたくなるような状況判断をオルガ☆フリージアが下す。それと同時に、成分と魔力を解析したルビーもおちゃらけながら切迫気味な声をあげる

 

『皆さんご注意くださーい!このチョコレートの雨に魔力反応!『耐性なく受け続ければチョコレートになってしまいます!』』

 

「チョコレートになる・・・!?どういうことよ!?」

 

「言葉通りの意味かと。チョコレートは私、私はチョコレート・・・其処には深遠なる人生と存在意義の哲学が込められ」

 

「込められていないです!先輩、ここの一帯は雨に覆われると予想されます、向こうに見えるお城に逃げ込みましょう!」

 

マシュの指差す通り、遥か向こうに正門が解放されたままの巨大なお城がある。状況の打開と離脱、そして情報収集には最適な建造物であることを把握、判断しリッカは素早く指示を出す

 

【各自!ライダークラスのカードを使って急速離脱!あの城に逃げ込むよ!オルガマリー!マシュ!】

 

「もうやっているわ。クラスカード、ライダー。『アキレウス』!」

 

「クラスカード『ゲオルギウス』さん!ベイヤードをお借り致します!」

 

デバイスを素早くインストールし、オルガマリーとマシュの姿が変わる。オルガマリーは漆黒のタイツに黄金の鎧、髪をポニーテールに束ねた韋駄天の姿。マシュは白きマントを纏い、白馬を召喚せし守護騎士となる

 

「頼むわね、蘭!ほらそこの女子二人もさっさと用意する!」

 

「は、はい!クラスカード、ライダー!」

 

「んもう、女体盛りはいいけれどチョコレート熱攻めとか斬新すぎるじゃない!」

 

ペガサスを、名馬を、戦車を駆り、アイリやアルトリアを回収し一堂が駆け抜ける。突如として降りだした雨、チョコレートの豪雨より逃れ出ずる為に。この国より訪れた手荒い歓迎と来訪。チョコレートへの文字通り洗礼より、高速と疾走にて魔法少女は離脱する

 

【行くよエドモン、力を貸して!【アヴェンジャー】!──待避ーっ!!】

 

一気に離脱し駆け抜ける一同。同時に前兆であった小雨より、本降りにして土砂降りとなり降り注ぐチョコレートの雨。魔力を存分に含み、一定量浴びたものを強制的に停滞させ、固定させ、そして物言わぬ美味しいチョコレートにしてしまう見た目にそぐわぬ凶悪さとおぞましさを発揮する謎の現象からそれぞれの疾駆にて逃れ離脱を図る

 

「──あれって・・・!」

 

その刹那、イリヤは見たのだ。お菓子の国の町並み、チョコレートに降り注がれている国、その町並みに飾りあげられたそれらを

 

可愛らしい少女のチョコレート。豪華絢爛なサーヴァントのチョコレート。それらが無機質に物言わぬ彫像、インテリアとして放置されている素敵で可愛らしいお菓子。・・・それが、なんなのかを理解してしまった少女の顔は蒼白に染まる。それらの材料がなんで、それらの経緯がどのようなものかを──理解してしまったがゆえに

 

「おかしなお菓子の国なんて言うけれど、実態はよっぽどシビアみたいね。あれ魔法少女やサーヴァ・・・」

 

「──っ・・・」

 

「・・・ごめん。でも大丈夫よ、イリヤ。あの中にミユはいないはずだから」

 

そう、アーチャーのクラスカード、鷹の瞳にてぐるりと見渡してみたがミユらしきチョコレート、人影は存在していなかった事は確認済みだ。まだ自分達の闘いは、目的は終わっていない

 

「・・・なんでこんな事になったか、確かめなくちゃ・・・この特異点に、何が起こっているのか。話を聞かなくちゃ・・・!」

 

顔すら、認識すら解らぬ出会うことすら無かった魔法少女達。話をする間もなく物言わぬメルヘンな彫像になってしまった者たち。それらの無念を我が事のように受け止め、思い、そして前を向く

 

目指すはお菓子の城。其処に何が待っているのか。魔法少女達を迎える試練とはなんなのか。幻想的、華やかであれど決して攻略は容易に非ず

 

「チョコレートの雨。エックスオルタな私が狂喜乱舞していそうな現象ですが穏やかではないですね・・・」

 

「天の衣をチョコレートまみれにしただなんてお祖父様が聞いたら何を思うのかしら・・・まぁ、わざとではないし不可抗力よね!」

 

「一生チョコレートのままだなんて御断りよね・・・精霊として生き恥にも程があるもの・・・」

 

「先輩!一人だけ乗り物がありませんが大丈夫ですか!?」

 

【クハハハハハ!──はっやーい!!】

 

「大丈夫そうね・・・」

 

曇天、否──茶色の空模様。初手より一筋縄ではいかぬ事を一同に実感させながら。魔法少女達を聳え立つ城の内部へと誘う──




中央部

オルガマリー「セーフね。誰か甘ったるいコーティングをした人はいるかしら」

ぐっちゃん「笑えないビターなジョークは止めなさいよね、苦くて飲み込めないわ」

「ふふっ、お上手」

イリヤ(カッコいい・・・!)

リッカ【クハッ!!(着地の意)──たのもーぅ!!】

ギルガメくん『なんとも忙しのない来訪よな。だが良い、沈痛に沈み込むよりは骨太な対応と言うものだ。──どうだ、幻想の少女よ。未来を奪還するには相応しき人選と自負しているが?』

「・・・チョコに、ならなかったの?凄いのね、あなたたち!・・・ギルガメくんのいうとおり、あなたたちなら・・・」

リッカ【・・・ナーサリー?】

「お願いします!魔法少女の皆さん!『魔法紳士』から、私の大切なお友達を救ってください!」

イリヤ「え?え?え?ほえ?」

クロ「また変な単語が出てきたわねー」

『気になる事の顛末!その詳細は近日投稿を御待ちください!それでは!』

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